代表・紺野がブロックチェーンに賭けた理由

1月1日から1月5日まで、弊社創業の背景にある考え等を、連日ブログ投稿させていただく取組みを行っております。本稿はその最終稿です。

1月1日:世界の価値流通の全体像
2日:企業・個人が国境を超える経済活動を行う際の大きな課題
3日:代表・紺野が実際に経験した国際送金の不便、不安、不満
4日:ブロックチェーンは発展途上?今あるチカラを最大限活かそう
5日:紺野がブロックチェーンに賭けた理由(本稿)

第1回目の記事では、開発途上国-先進国間の国境を超える、インターネットを活用した価値交換を、ブロックチェーンを用いて格段に便利にするサービスを提供していきたい、と弊社が考えている旨をお話ししました。
第2回目の記事では、開発途上国-先進国間の国際送金の課題が、幅広い主体の価値交換における障害になっている旨を申し上げました。
第3回目では、実際に私(紺野)が体験した、国際送金の苦労の経験について述べ、その解決にブロックチェーンが使えるという考えを述べました。
第4回目では、私視点でのブロックチェーンの意義をご説明し、今事業を始めた理由について述べました。
シリーズ最終稿となる本稿では、起業という手段を選んでまで、ブロックチェーンを活用した「世界の価値流通の革新」に挑もうと思った私の経験についてお話しさせていただきます。


変化のスピードが速くグローバルなかかわりが深まった現在では、1年後の未来を見通すことも容易ではありません。しかし、私には一つだけ、長期的な世界の動向について「これは確実な見通しだ」と自信をもって言えるものがあります。それは、「世界のマイクロファイナンスは、ブロックチェーンによって代替されるか、もしくは構成要素がバラバラになって再構成される中で、現在のビジネスモデルは雲散霧消する」というものです。

マイクロファイナンスとは主に開発途上国で展開されている小口金融のことを指し、所得の少ない、もしくは所得のない人に、小額の金融サービス(融資、貯蓄、送金、保険等)を提供するビジネスのことを言います。(マイクロファイナンスについての詳細は、2014年から2018年まで私が運営していたブログ「マイクロファイナンスをめぐる世界のいろいろ」に詳述しております。)

私は、2013年6月から2016年8月まで独立行政法人国際協力機構(通称JICA)から派遣されてエジプトに駐在していた経験があります。そこで最も力を入れて取り組んだことの一つが、現地でのマイクロファイナンスの普及、発展支援です。具体的には、マイクロファイナンスの一形態であるマイクロ保険の適法化と、その業界団体の設立に奔走しました。(実際、両方とも達成されました。)こうした業務経験や、国連が提供する国際的なマイクロファナンス実務の研修プログラムへの参加等を通じて、現在のマイクロファイナンス産業の全体像を私は知ることになりました。

簡単に言えば、マイクロファイナンスとは、扱う金額規模が小さすぎて一般的な金融サービスでは顧客になり得ない顧客に対して、社会的使命を持った組織(以下、「マイクロファイナンス機関」と言います。)が、労働集約的手法とコミュニティにおける人的つながりを活用しつつつ行うビジネスです。サービスの提供方法も人と人とのやり取りが基本で、膨大な金融取引の記録は、文字どおりの実物台帳にて、マイクロファイナンス機関の担当者が、顧客との直接のコミュニケーションを通じて記録していきます。

既存のマイクロファイナンスは、人と人のつながり、対面でのやり取りを前提にしていますので、ハートフルに感じられる側面もありますが、問題もあります。例えば、マイクロファイナンス市場が過熱したインド等において、過酷な取り立てやその結果の利用者の自殺等の社会問題も発生しました。金融はITとは相性がいいので、できるだけ金融サービスがフェアで効率よく提供されるように、マイクロファイナンスも少しずつIT化していくべきだと考えられます。

しかしながら、従来のIT技術では、そのインフラの用意と維持に多額の資金や人的リソースが必要になります。開発途上国のマイクロファイナンス機関が日本の銀行などのように多額の資金と人的リソースを投資してITシステムを構築・運用することはできません。

一方で、昨日の記事にも記載したように、ブロックチェーンは、世界中に開かれている、誰もが使える「台帳インフラ」です。マイクロファイナンス機関が自前で壮大なシステムを用意しなくても、うまくブロックチェーンを用いれば、自前で用意するよりは低いコストで金融システムに適した機能を利用することができます。

もちろん、すぐに全てがひっくり返る、という類のものではありませんが、長期スパンで俯瞰してみると、ブロックチェーンを使って小額の金融取引をするコストが格段に下がった現在、マイクロファイナンスというビジネスの枠を、ブロックチェーン技術が内側からも外側からも侵食していく可能性があります。例えば、途上国の所得の低い人が、先進国の大企業が呼びかけるアンケートに答えることで、小額の仮想通貨を直接もらうことができる、というルートが生まれた未来はどうでしょう?ブロックチェーンから提供される仮想通貨の受け渡しには、距離も国境も関係ありません。先進国と途上国の通貨の価値の違いに鑑みれば、途上国の仮想通貨の受け手は、それなりの収入を得ることになるでしょう。その結果、マイクロファイナンス機関から融資を受ける必要性が低減するかもしれません。このルートはやろうと思えば技術的にはすぐに作ることができる、「もうすぐそこにある未来」です。もちろんアンケートに答えて収入を得るという手段が人の生活において持続的かという疑問や、仮想通貨を現金に換える手段が途上国に今後どのように広がるか等の現実的課題はありますが、ブロックチェーンの登場、特にこれまでとは全く異なる小額資金の送金手段の登場によって、マイクロファイナンスという既存スキームが不要な社会環境が生まれてしまうかもしれないという点はご理解いただけるのではないでしょうか。

私は現在のマイクロファイナンスの社会的な重要性を十分に知っていますし、マイクロファイナンスに携わる人々を尊重しています。マイクロファイナンスが現在果たしている社会的役割は、維持もしくはさらに増大してほしいと思っています。しかしながら、マイクロファイナンスも完璧なものではありません。前述のように人に危害を加えうる可能性も有ります。一方で、ブロックチェーンはその小口金融サービスとの相性の良さから、必ずマイクロファイナンスの「黒船」になると信じています

ブロックチェーンがマイクロファイナンスに影響を与えるのも数年といったタイムスパンではなく、数十年という単位になる可能性も有ります。「何十年かかるかわからないが、マイクロファイナンスがブロックチェーンによって進化、変容していくその過程に立ち会いたい。その中で何らかの役割を果たしたい。」その思いをもって、「世界の価値流通を革新する」という使命を掲げ、私はトークンエクスプレス株式会社を立ち上げました。

マイクロファイナンスがブロックチェーンによって変容するのには、様々な環境の整備が必要です。まずは、仮想通貨が世界中で当たり前に流通することが必要でしょう。現時点では、仮想通貨には「出口」、すなわち現実的な利用用途がありません。現実的な利用用途は、ブロックチェーンの得意を伸ばすことでこそ作られていくと考えています。私にとってそれは、まずは、開発途上国-先進国間の国境を超える、インターネットを活用した価値交換における、ブロックチェーン・仮想通貨の利用ここを起点に世界の価値流通を革新するその価値流通の革新は、世界のマイクロファイナンスも巻き込んでいく

そのミッション達成のための第一歩として、1月中に、誰でもご利用いただける、Webアプリケーションを発表する予定です。ベータ版となりますが、テストを重ね、またブロックチェーンを利用するので、価値の送受にエラーが発生して利用者様が損をする等の可能性も有りません。またその時が来たら本ウェブサイトで発表させていただきますので、ご期待ください。


以上、5日間にわたり、弊社の設立の背景にある考え等をご紹介させていただきました。お読みいただき、本当にありがとうございました。

トークンエクスプレス株式会社はまだ立ち上がったばかりの会社です。これまで全5回にわたって述べたような考えと信念に基づき、ビジネスモデルの構築・検証を行っていますが、一緒にこのエキサイティングな旅を歩んでくれるパートナーを大募集しています。もしこれを読んでくださっている方々の中に、もしくは読者のお知り合いの中にこの信念に共感してくださる方がいらっしゃいましたら、ぜひ本サイト「お問い合わせ」フォーム等を用いて、お気軽にご連絡ください。

それでは、2020年もトークンエクスプレス株式会社をよろしくお願いいたします。