[Interview] ナイジェリアの不動産ブロックチェーン “Seso Global”

ナイジェリア不動産テック “Seso Global”に弊社がインタビュー

ナイジェリアのスタートアップ、”Seso Global”のCOOであるPhillip Jarman氏と、ブロックチェーンを活用したビジネスについてじっくりとお話しさせていただく機会がありました。

Seso Globalは、不動産登記の公的サービスが機能していないナイジェリアにおいて、現地不動産デベロッパー、法律事務所、銀行と協力しながら、不動産情報をブロックチェーンを用いて管理するプラットフォームを構築・運用しているスタートアップです。
(ウェブサイトはこちら:https://app.seso.global/properties

日本のVC、”Kepple Africa Ventures”が投資

Seso GlobalはアフリカでVC投資をしている日本のベンチャーキャピタル、Kepple Africa Venturesから投資を受けています。Jarman氏は、その関係で特許庁と独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)による招聘で来日されていたものです。

Seso GlobalのCOO、Phillip Jarman氏

Jarman氏は元々金融機関で顧客の身元確認(Know Your Customer, KYC)業務を担っていた方です。Seso Globalでも、現地法律事務所と協力しながらKYCを行い、KYC済の確かな情報のみ同社が提供するプラットフォームに載せているとのこと。

インタビュー概要

不動産分野でのブロックチェーン利用という、世界中が注目する分野に挑戦する同社ですが、すでにナイジェリアの不動産デベロッパー15社と提携済で、プラットフォームへの不動産情報の登録も始まているということで、一歩抜きんでている印象です。大変興味深いお話しをいろいろとお聞きしてきました。以下、その一部を一問一答型式でご紹介します。

先進国含め世界中で取り組みが進む不動産分野でのブロックチェーン利用。御社の進捗についてどのように評価しますか?

(Jarman氏)
私自身はイギリス出身だが、先進国では不動産分野の制度が整っていて、それに基づく既存のビジネスも機能している。一方で、開発途上国では公的機関が提供すべき情報基盤に欠陥がある。
既に十分にワークしている情報基盤を新しい基盤に移すことは移行コストが大きいが、一から情報基盤を作れば移行コストはかからない。その意味で開発途上国をターゲットとする当社は先進国で取り組みを行う企業よりも有利であり、先行した取り組みが出来ていると思う。

不動産情報の管理にブロックチェーン技術を利用しているということですが、現時点でどの程度ブロックチェーンが役割を担っていますか?

(Jarman氏)
ブロックチェーンはあくまでツールであり、その適用を目的化してはいない。あくまでビジネスモデルありきで、その中で必要な部分だけブロックチェーンを利用する。現時点では不動産情報をハッシュ化して登録することと、情報を複数のノードで分散管理することに、ブロックチェーンの利用をとどめている。スマートコントラクトを利用した自動取引なども考えていきたいが、現在は信頼のおける不動産情報をプラットフォームに掲載することを優先している。

現在、御社は中間層以上が取り扱う不動産を取り扱い対象としています。不動産登記の情報は、高所得者層のみならずナイジェリア国民全員が必要としていますよね?

(Jarman氏)
ご指摘のとおり、不動産情報の管理、登記の管理は国家的課題だ。低所得者層ももちろん必要としているし、低所得者層の人数は多い。しかし、社会へのインパクトという観点から、まずは中間層以上が取り扱う不動産を中心に取り扱っていく。初めから低所得者層も含めた取り組みとすると、コスト当たりの社会インパクトが小さくなってしまう。広い範囲を相手にするよりも、まずは信用されるプラットフォームを構築することを優先する。

持続可能な社会づくりという観点で、御社が貢献している部分はどういうところでしょうか?

(Jarman氏)
まず、ナイジェリアで機能していない不動産登記の役割を担っていくことで、不動産分野での経済活動を正常化していく。現時点では銀行は貸し出しを行いたくてもKYCおよび不動産登記の観点でリスクが高く、貸し出しができない事例が発生している。その課題を解消し、経済および社会に貢献する。
また、先進国に住むナイジェリア人富裕層が多く存在するが、そうした層で、将来ナイジェリアに戻るときのためや、資産運用の観点からナイジェリアの不動産を購入したい人たちがいる。しかし、不動産売買および所有権の証明においてリスクが高く、購入の障害となっている。海外在住の富裕層が安心して不動産を売買できる環境を提供できれば、ナイジェリアへの対内投資が進み、経済発展に貢献できるだろう。

トークンエクスプレス社からひとこと

Seso Globalは確かな不動産情報を取り扱うプラットフォームを中心に、手堅いビジネス展開をしているスタートアップだと感じました。ブロックチェーンの利用が進む可能性の高い分野として、開発途上国の公共分野があると弊社は考えていますが、Seso Globalはそのビジネスの過程で結果的に不動産登記情報の管理という公共的役割を提供する可能性が高く、その活躍を今後も注目していきたいです。

トークンエクスプレス株式会社では、国内外の持続可能な社会づくりに寄与する事業・プロジェクトの企画、構築、運用サービスを提供しています。ブロックチェーン技術に知見がありますが、その利用を前提とするものに限りません。
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