欧州委員会のデータ戦略、ブロックチェーンに言及

本記事では、弊社の最近の考えをご紹介します。
  • 欧州委員会、データと人工知能に関する戦略案を発表

2月19日(水)、欧州委員会(欧州連合の政策執行機関)は、人工知能(AI)とデータ経済に対して、EUがどのような価値観のもとに行動していくかを宣言するプレスリリースを発表しました。(当該プレスリリースの駐日欧州連合代表部による仮抄訳はこちら。)

併せて、信頼できるAI開発の枠組みを記載した白書「人工知能について-優秀さと信頼に向けた欧州のアプローチ」、およびデータ経済をどのように構築・発展させていくかについての戦略「欧州データ戦略」を発表しました。EUは2020年後半にデジタル・サービス法(Digital Services Act)と欧州民主主義行動計画(European Democracy Actoin Plan)を制定することを予定しています。今回発表されたAI白書もデータ戦略もパブリックコメントを受付中で、今年後半に向けた一連の行動の一つと位置付けられています。

  • 「欧州データ戦略」内で、ブロックチェーンについて肯定的に言及

欧州データ戦略」の中では2か所、ブロックチェーンについての記載がありました。2か所とも戦略内の「4. The Problems(課題)」という項目の中に記載があります。

1つ目は「Empowering individuals to exercise their rights(権利行使のための個人へのツールの提供)」という課題の説明の中に、個人情報管理のために人々が利用できるようにするべきアプリケーションの一つとして、「ブロックチェーン上に構築された、完全に分散化されたソリューション」を例示しています。

2か所目は「4. The Problems」の最後に、囲み記事で以下のように記載されています。

ブロックチェーンのような新しい分散型デジタル技術は、個々の自由選択と自らの意思決定に基づいた、個人と企業によるデータフローとデータ活用管理のための、更なる可能性を提供します。このような技術は、様々な支払モデル(compensation model)のもとで、個人と企業によるリアルタイムでダイナミックなデータ移動を実現するでしょう。

35ページに及ぶ戦略の中で、たった2か所の記載、かつブロックチェーン技術の紹介文程度の記載ではありますが、上記2か所の記述はともに極めて肯定的な記載となっています。

  • 理念と価値観から入る欧州のアプローチ

欧州では複数の国々がEUという枠組みの下にありますので、それらの国々の方向性を統べるために、まずEUが共有する理念と価値観から入ることが必要です。EUの理念と価値観は、端的に言えばプレスリリース冒頭に記載されているような、「開放的で公正、多様で民主的」であることに価値をおくものと言えるでしょう。

今回、AIに関する白書とデータ経済圏の創出に向けた戦略とが同時に発表されたことは、機械学習を包含するAIが大量のデータを必要とするツールであることから、個人→地域→国家→EUという複層的な社会階層を持つEUにおいて、「欧州データ領域」の中でAIに必要なデータをどのように集約するか、具体化の前の原則の整理を行ったといえます。

今回発表されたデータ戦略が、AIを念頭に置いたものと考えられることから、ブロックチェーンに関する記載は、欧州データ戦略全体が35ページある中で、たった2か所しかありませんでした。しかし、その2か所がとても好意的なものでした。これは、分散型台帳技術と呼ばれるブロックチェーンが、通貨の民主化を目指したビットコインから生まれた背景もあり、EUが共有する理念・価値観に沿う技術だと捉えられていると読むことができます。

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