公共性をもつサービスの信用を補完するブロックチェーン

本記事では、弊社の最近の考えをご紹介します。
  • 公共ツールとしてのブロックチェーンの可能性

特定の管理者がいなくても、参加者の協力によって情報が記録・管理されるブロックチェーンは、公共のツールとしての可能性を秘めています。そして、その公共ツールの提供の端緒を、小さな民間企業でも提供しうるという点で、ブロックチェーンという技術は優れていると感じます。また、それを可能にする周辺環境も、徐々にですが整いつつあると感じています。

  • フランスの定款自治と、資本情報の各社での記録義務

ブロックチェーンを用いることで、公共ツールをスタートアップが提供できるのではないかと感じさせる海外ニュースをご紹介します。2月25日のDafmag.frというフランス語のウェブ・メディアの記事で、「仏スタートアップMiplise、ブロックチェーンで株式変動記録を提供」という見出しの記事があります。(当該記事はこちら。)

フランスには株式会社の他に有限会社、そして単純型株式会社(SAS)という会社形態がありますが、このSASでは、定款自治という概念があって、定款に会社の資本に関する情報を記載しなくてもいい(定款外の株主間契約により補完する)ことになっているようです。(ご関心ある方は本記事下部に記載の参考資料をご参照ください。)

一方で、株式構成の変動の記録、特に会社の有価証券に影響を及ぼす各取引については、各社で記録に残すことが義務化されているようです。デジタル化が進む現代においては、そうした資本情報をデジタル上に記録したいというニーズが出てくるのも当然だと感じますが、そうした情報の記録先をSASに広く提供するサービスは、サーバーの管理やサービスの永続性の観点から、スタートアップが担うには荷が重い仕事だったといえるでしょう。大企業であったとしても十分にユーザーから信頼されうるかわからないほどの、公共のためのサービスという側面があると思います。

上記のDafmag.frの記事は、まさにその部分を、ブロックチェーンを用いたサービスとして提供しようとしているスタートアップMipliseを紹介するものです。同社は、ユーザー企業が資本情報をブロックチェーンに残すことができるサービスを提供しているようです。新興企業が自社内のデータベースでユーザー企業の資本情報を管理します、という体裁ではとても実現できなかったと考えられるサービスですが、ブロックチェーンという技術を使うことで、信用が補完されるのではないかと感じます。

  • 公共性を持つブロックチェーン・サービスを企業が提供する場合の条件

新興企業がブロックチェーンを用いることでサービスの信用力の補完を行える可能性についてお話ししておりますが、もちろんいきなり壮大な事業展開をできるわけではありませんし、ブロックチェーン技術も単純なものではありません。ブロックチェーンを用いることで企業サービスが信用力を補完できるのは、そのブロックチェーンがきちんと設計・展開され運用されるフェーズに入ってからであり、それまでは小さく始め、実験と検証を繰り返し、プライベートな環境で最適なモデルに成長させることが前提条件です。そうした一連のロードマップを描き、実行していく体力が、企業側には求められると考えます。

参考資料:
会社設立の手続き:フランス(日本貿易振興機構(JETRO)ウェブサイト)
フランス簡易株式組織会社(SAS)における株式譲渡に関する定款自治の拡大と限界(小西みも恵先生)
トークンエクスプレス株式会社では、国内外の持続可能な社会づくりに寄与する事業・プロジェクトの企画、構築、運用サービスを提供しています。ブロックチェーン技術に知見がありますが、その利用を前提とするものに限りません。
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