EUが進める医療情報のブロックチェーン化

本記事では、弊社の最近の考えをご紹介します。
  • サプライチェーン、臨床試験、健康データ

EUは、PharmaLedgerプロジェクトという、医療関係のデータをブロックチェーンで取り扱えるようにするためのプロジェクトを支援しています。同プロジェクトは本年1月にリリースされたものですが、既に12の大手製薬会社を含む、10のEU加盟国から29のパートナーを集めています。プロジェクト目的は、医療業界の効率的なデジタル化のためのブロックチェーンベースの枠組みを構築することにあります。同プログラムの暫定ウェブサイトを見ると、「サプライチェーン」「臨床試験」「健康データ」の3つに焦点を当てて取り組むようです。

  • 大きな予算、多様な参加企業

PharmaLedgerプロジェクトは、EUが支援する革新的薬品イニシアティブ(Innovative Medicines Initiative (IMI))および欧州製薬産業協会( the European Federation of Pharmaceutical Industries and Associations (EFPIA) )が後援する3年間のプロジェクトです。合計予算は2,000万ユーロ(約24億円)を超え、そのうちIMIは最大で833万ユーロ(約10億円)を拠出します。参加企業は12の製薬会社の他に、テクノロジー企業、病院、大学、研究機関、患者の代表者などが参加しています。

  • 「のろし」として意義深いが、船頭多くして船山に登らないか

EUとして、医療分野における公的なブロックチェーン基盤を作るという、壮大なイニシアティブであり、出足上々という状況でしょう。先日ご案内した米国の大手製薬会社らが進めるブロックチェーン事業への対抗馬としての位置づけかもしれません。

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なお、EUは電子政府サービスへのブロックチェーンの活用に向けて、欧州ブロックチェーン・サービス・イニシアティブという試みも行っています。

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こうした動きから、EUがブロックチェーンを公的サービスのために活用できる体制を作ろうとしていることは明らかですし、手を打つスピードの速さ、投資する資金の規模から、政治的な動きの速さは舌を巻くものがあります。これにより、欧州のブロックチェーン業界は活力を得ることでしょう。

一方で、PharmaLedgerプロジェクトは、まだ目的も絞り切れておらず、いきなり業界関係者を多量に参加させてしまっており、事業の進め方としてはかなり不安な点があります。まずはこのプロジェクトの中でリードポジションを取る事業者を決め、具体的なマイルストーンたちを決定するべきでしょう。

トークンエクスプレス株式会社では、国内外の持続可能な社会づくりに寄与する事業・プロジェクトの企画、構築、運用サービスを提供しています。ブロックチェーン技術に知見がありますが、その利用を前提とするものに限りません。
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