プラスチックリサイクルを加速させるブロックチェーン

本記事では、弊社の最近の考えをご紹介します。
  • ノルウェーのスタートアップが挑戦

ノルウェーのEmpowerというスタートアップが、プラスチック廃棄物(以下、「プラごみ」)の回収に、ブロックチェーンを使って挑んでいるようです。戸沼君香さんという方が書かれた、Empower社のCEOのインタービュー記事があるので、ご関心ある方は下記をご覧ください。

関連外部記事
ブロックチェーンでWin-Winのプラスチックリサイクルを実現。ノルウェーの”Empower”
記者:戸沼君香さん @IDEAS FOR GOOD
URL:https://ideasforgood.jp/2020/03/16/empower/
掲載日:3月16日

Empower社の取り組みは、簡単に説明すると、対象地域で人々にプラごみを回収してもらい、その対価としてブロックチェーン・トークンを付与するというものです。そのプラごみが回収後どのように活用されるかも、ブロックチェーンを使ってトレースできるようです。このプロジェクトはすでにヨーロッパやアジア、アフリカなど15か国で試験運用されているといいます。

  • さらに詳しく

とても興味深い事例だったので、英語でさらに情報収集したところ、いろいろと興味深い事実がいくつか見つかりました。

このプロジェクトの原資は、Empower社が資金を集めたファンドから賄われており、80%がプラごみ回収協力者への報酬、15%がブロックチェーン・システムの維持等の運営費用、5%が対象地域で貧困対策に取り組む地元のNGO等に寄付されるようです。(出典はこちら。)

Empower社は、対象地域にリサイクルステーションを設置します。以下のURL先にある動画によれば、リサイクルステーションにはプラスチックの粉砕機が置かれており、回収したペットボトルやプラごみをその場で粉砕するようです。

関連外部記事
Blockchain-powered plastic waste collection
メディア: The Explorer
URL:https://www.theexplorer.no/solutions/empower-blockchain-powered-plastic-waste-collection/

報酬としてのトークンを受け取った人は、以下の3つの用途にトークンを使えます。
1. 現金に換金
2. 慈善活動に募金
3. 他の地域の海岸清掃に募金

50~60%の人々は上記の3つ目の選択肢である、他地域の海岸清掃活動への募金を選択するようです。

  • Why Blockchain?

ここまでの概要だと、ブロックチェーンを使わなくても、既存の技術で実現できたのでは?と思う人もいるでしょう。

このプロジェクトがブロックチェーンを使っているのは、Empower社のCEOが熱心なブロックチェーン信者で、元々は既存の銀行に代わる金融サービスを提供しようとしていた起業家だったことに起因するようです。彼は熱心にアクセラレータにブロックチェーンを使った金融サービスを売り込んだけれど注目されず、一方で海岸保全活動をしていた別の方から、「ビーチをきれいにするためにブロックチェーンが使えないか」と聞かれたことが、この事業の発端だったと言います。ですから、そもそも事業の発端から、ブロックチェーンありきだったのです。

確かに要素々々を見れば既存のデータベースでも実行できたかもしれませんが、金銭的価値をもつトークンのやりとり、そのトークンの(国境を超える)遠隔地とのやりとり、トレーサビリティ機能の付与等、複合的なプロジェクトの発展が実現できているのは、ブロックチェーンありきで事業が始まったからではないかと感じます。また、今後世界各地で自律的な活動を惹起していきたいという想いがCEOにあるようですが、ブロックチェーンを使うことで、新しく活動を始めた地域が既にその活動を行っている地域とつながることが、既存のデータベースアーキテクチャを用いるよりも、容易になっているのかもしれません。