スペイン・カタルーニャ州、そのデジタル政策は極めて政治的

本ブログでは、持続可能な社会のためのブロックチェーンの活用等について、原典が外国語のものを中心にご紹介してまいります。

本日は、海外ニュースをご紹介します。

記者:John Biggs @Coindesk
URL:https://www.coindesk.com/catalonia-is-moving-to-achieve-digital-independence-using-blockchain
掲載日:2月6日

ニュース内容

カタルーニャ州はスペインからの政治的自由を求めて長い間闘ってきた。デジタル政策・公共行政大臣であるJordi Puigneró氏は、カタルーニャ州の「デジタル独立」を追い求めている。

「インターネットが私たちに普遍的な接続性をもたらしたように、ブロックチェーンは私たちに新しい普遍的なガバナンスをもたらします。それは(政府の)行政に影響を与え、経済に影響を与え、そして私たちの社会で非常に重要な一つのことに影響を与えます。それは信頼です。」とPuigneró氏は言う。「信頼は経済取引を動かすものであり、それは市民と政府の間の関係を動かすものです。」

Puigneró氏は、ブロックチェーン技術はカタルーニャ州に自主的アイデンティティのモデルを確立する機会をもたらすと語った。

「アイデンティティが国家や州のみに独占されないことが非常に重要であると信じているので、市民に自己主権のデジタル・アイデンティティを提供しようとしています。」と彼は言った。「私たちは市民に力を与えるか、または市民がデータのプライバシーをより適切に管理できるようにしたいと考えています。」

次の目標は、カタロニアを先進技術のハブにすることで、それはまだ始まったばかりだとPuigneró氏は言います。

「技術研究機関や大学と協働し、10年後に私たちの市民が技術的スキルの面でより競争力を持つように、教育システムを変更しようとしています。私たちはカタルーニャの才能を引き付け、キュレートし、維持するのをサポートします。」

トークンエクスプレス社のひとこと

    • 市民の個人情報は、行政の最重要資産

行政にとって市民の情報というのは、その行政サービスの対象を知るために、もっとあからさまに言えば、権力が及ぶ範囲を認識するために必要不可欠なものと言えます。しかしながら、本日ご紹介したカタルーニャ州政府のデジタル政策・公共行政大臣のインタビューは、デジタル上に限る話ではありますが、市民の個人情報を州政府が管理するのではなく、法的な有効性を確保したうえで、市民自身が管理する手段を提供しようというものです。例えば、市民はこの州政府が提供するシステム(分散型IDシステム)を利用することで、生年月日や出生地を行政に提供せずに、法的年齢に達していることを証明できるようになるそうです。(詳細は下記関連外部記事に記載。)

関連外部記事(日本語)
スペイン・カタルーニャ州、分散型IDプラットフォームを市民向けに開発へ
記者:Daniel Palmer @coindeskJapan
URL:https://www.coindeskjapan.com/20203/
掲載日:2019年9月10日

これはいったい、どういうことでしょうか?どのようなモチベーションによって、カタルーニャ州政府はこのようなチャレンジをするのでしょうか?

    • 500年以上、独立に向けて闘っているカタルーニャ州

カタルーニャ州は、1479年にスペインが統一されて以降、独自の言語、自治権、徴税権等をめぐって長い間スペインと闘っている州です。そうした背景を踏まえると、本日ご紹介した、ブロックチェーンを使った分散型IDシステム提供の計画は極めて政治的な動きと考えられます。紙(アナログ)での個人情報管理は継続してなされるのでしょうが、デジタルの利便性によって今後デジタルな個人情報に紐づくサービスが主流化していくと、アナログな個人情報の管理で権力を持っていた主体、すなわち既存の行政主体はカタルーニャ市民を束縛する権力基盤の一部を削がれることになるでしょう。

    • 市民自身が、帰属する行政主体を選択する未来に向けて

そうしたことがすぐに現実化するとは思いません。また、スペイン政府が実行支配力を使って、スペイン政府が用意したデジタル基盤に個人情報を入力するように、カタルーニャ人に対して強制する未来が来るかもしれません。

しかし、カタルーニャ人たちは、そのブロックチェーン・ベースの分散型IDシステムに自らの情報、さらには民族の歴史を書き込み続けていくでしょう。これは、19世紀から成立したと言われる国民国家(Nation state)が孕んでいた矛盾に対して、ブロックチェーンという新しいテクノロジーが、既存の国家という枠とは異なるアイデンティティによる結束の方法を、市民に対して提供する可能性を示すと思います。

すなわち、カタルーニャ人は、カタルーニャ州政府が用意する分散型IDシステムに情報を入力することで、スペイン政府に縛られることなく、自分がカタルーニャ人であると証明することが可能になるのです。

トークンエクスプレス株式会社では、国内外の持続可能な社会づくりに寄与する事業・プロジェクトの企画、構築、運用サービスを提供しています。ブロックチェーン技術に知見がありますが、その利用を前提とするものに限りません。
ご関心ある方は、お問い合わせページからお気軽にご連絡ください。

「スペイン・カタルーニャ州、そのデジタル政策は極めて政治的」への1件のフィードバック

コメントは停止中です。