ノースカロライナ州、ブロックチェーンによる市民ID管理の検討

本ブログでは、持続可能な社会のためのブロックチェーンの活用等について、原典が外国語のものを中心にご紹介してまいります。

本日は、海外ニュースをご紹介します。

記者:Phil Foldstein @StateTech
URL:https://statetechmagazine.com/article/2020/03/blockchain-and-identity-management-state-governments-perfcon
掲載日:3月31日

ニュース内容

    • ノースカロライナ州では、ブロックチェーン技術を使用してID管理ソリューションを更新し、住民が単一のIDで政府サービスに簡単にアクセスできるように取り組んでいる。
    • IBMのブロックチェーン、モバイル、新興技術ストラテジストのピート・テイゲン氏は、ブロックチェーンの分散型台帳テクノロジーをID管理に使用する主な理由は2つあると言う。一つは、資格情報を共有する機能。例えば、運転免許証情報を必要な機関に送信することができる。ナイトクラブの入り口で、警備員に住所を知られることなく年齢を証明することも可能だ。2つ目は、さまざまなエコシステム間でデータを共有できること。これは、別々に運営されている州政府および地方自治体にとって理想的である。連邦政府がコロナウイルスのパンデミックと戦うために2兆ドルの経済刺激とローンを分配する準備をしているとき、テイゲン氏は特に有用であると指摘する。 「政府のあらゆるレベルで市民IDを認証して、救済がどこ必要で、それがどのように使用されているかを知ることができるデジタルIDプラットフォームがあったらいいのではないでしょうか?」
    • ただし、ほとんどの州にとってブロックチェーン技術はまだ評価中である。真剣に検討され、いくつかのパイロット・プロジェクトでテストされているが、このテクノロジーを完全に受け入れる準備はできていない。その州が採用する手前で具体的なユースケースを作るのは、ビジネス(民間企業)の役割と言える。

トークンエクスプレス社のひとこと

    • ブロックチェーンによる市民IDの管理は、ブロックチェーン技術の中長期的な最大チャレンジ

ブロックチェーンで管理できるのではないかと言われているものは多数あります。例えば不動産および動産の所有権、学歴、投票権、さらには温室効果ガスの排出権などです。しかし、ブロックチェーンでは、ブロックチェーンと「ブロックチェーン外のもの」との「紐付け」が大きな課題となっています。ブロックチェーンはデータの耐改竄性があると言われますが、ブロックチェーンの中に誤った情報が記録されることを防げるものではないのです。

この「紐付け」の対象には、上記に例示させていただいた様々な権利をもつ「人」自身も含まれます。ゲームのアセットとかであれば「所有者」とブロックチェーン上のIDとの紐付けはそれほど重要ではありません。しかし、その権利の対象がその人の生活にクリティカルなモノであればあるほど、一つのIDについて必ず一人が特定され判別される必要があります。

一人の人が、一つのIDしか持ってはいけない、ということではありません。しかしながら、ほとんどの人はそんなにたくさんのIDを管理することはできませんし、リスクも高いです。長期的には公的な証明が可能なブロックチェーンのIDを一つ用意して、そこに重要な個人情報、権利情報等は集約していくことになるでしょう。

    • 戸籍、紙、印鑑からブロックチェーンへ

これまではそうした情報の管理の多くを地方自治体や政府が委ね、自ら管理する必要のある情報は紙と印鑑を用いて管理していました。情報の「正しさ」を証明する方法が他になかったためです。皆、それが当たり前のことと考えていました。

しかし、ブロックチェーンという、管理者不在で情報の正しさを証明できるツールが登場した世界では、他の選択肢が生まれました。そしてその情報は、いつ誰に開示するかを含め、自分自身で管理することができるのです。

そうしたいわば「市民ID管理プラットフォーム」が誕生するためには、記事にあるとおりたくさんのユースケースが世の中に提示される必要があります。市民IDプラットフォームは、電話番号のように公的機関が主導して形成されるのか、インターネットのように民間主導で提供されるのか。中長期的に世界の在り方を占う注目事項です。

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