農業生産者のキャッシュフロー課題へのアプローチ

本ブログでは、持続可能な社会のためのブロックチェーンの活用等について、原典が外国語のものを中心にご紹介してまいります。

本日は、海外ニュースをご紹介します。

メディア:PYMNTS.com
URL:https://www.pymnts.com/news/b2b-payments/2020/grainchain-blockchain-farming-cash-flow-risk/
掲載日:3月31日

ニュース内容

    • 農家、とくに輸出作物を生産している農家は、その資金繰りに大きなリスクを負っている。それは、国境を越える農産物の取引において、買い手は品質、サイズ、量、異物の有無等について実際にモノを受け取るまで確実なことがわからず、支払サイクルが長くなる傾向があるためだ。また、関係する主体が多い(農家、買い手、ブローカー、銀行等)ことにより、キャッシュの流れが妨げられることがある。
    • 農産物取引に関するリスクの高さから、金融機関はサービスの提供に消極的だ。伝統的な金融サービスは、特に農産物の購入が国境を越えて行われる場合、その複雑さとリスクに対処することができない。農家は外国為替の変動に苦しみ、買い手は高額な信用状の入手に苦労する。
    • ブロックチェーンによるスマートコントラクトやトークンなどのツールが、農業輸出における信頼性、効率性、正確性に貢献可能だ。GrainChain社(訳者注:米国テキサスに本拠を持つ模様)は、それに取り組んでいる。最近そのサービスのプラットフォームを、Hyperledgerベースから米国ニューヨークを本拠にするSymbiont社が提供するブロックチェーンベースの金融プラットフォームに変更したところだ。

トークンエクスプレス社のひとこと

    • スマートコントラクトを用いた支払のエスクロー

本日ご紹介した記事では、ブロックチェーンの利用用途として、おもにスマートコントラクトを用いたエスクロー取引を想定しているようでした。これはブロックチェーンの利用用途としては基礎的なものです。なお、弊社でも、イーサリアムというブロックチェーン、スマートコントラクトを用いてエスクロー支払いが可能なアプリケーションを構築済です。

弊社オリジナルのWebアプリケーション
Token Express System

    • サプライチェーンにおけるブロックチェーン利用の多面性

上記の記事を読みながら、私としては、スマートコントラクトを用いたエスクローを用いた支払という用途以外の、農業サプライチェーンへのブロックチェーン利用に大きな可能性があると感じました。

ブロックチェーンのサプライチェーンへの利用には、既にいくつかのメリットが挙げられています。例えば、①消費者からの商品バリューチェーンの見える化、②サプライチェーン上のプレイヤーへの情報提供、③サプライチェーン金融への利用などです。③のサプライチェーン金融への利用という観点では、本ブログの3月29日の記事にて、中国アリババ・グループが提供するAnt Duo-Chainの例をご紹介いたしました。

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(本ブログ3月29日記事)

    • 農業は商品の換金不確実性によって金融が難しい分野

農業金融における課題は、特に開発途上国において数多くあります。この分野は、開発金融において歴史的に主要な分野の一つでもあります。上記の記事にご紹介したような農業サプライチェーンにおけるリスクのために、通常の民間金融サービスではカバーできない部分があり、これまで数々の国が、政府が運営する国有の農業銀行を設立し、農業の振興に取り組んできました。しかしながら、成功事例はあまりありません。不作や不況の度に農家の救済のために、または選挙に臨む政治家が票集めのために、市場原理と乖離した融資を実施し、農業銀行は経営規律を失い、自律的な金融機関としての役割を果たせないケースが多いと認識しています。

まだまだ実用化まで越えなければならない技術上、運用上の課題だらけではありますが、上記の中国アリババが提供するようなサプライチェーン金融が、農業において実現できるようになれば、1940年代から60年代にかけての「緑の革命」以来の、農業分野における大きなブレークスルーが起きる可能性を秘めていると感じます。

トークンエクスプレス株式会社では、国内外の持続可能な社会づくりに寄与する事業・プロジェクトの企画、構築、運用サービスを提供しています。ブロックチェーン技術に知見がありますが、その利用を前提とするものに限りません。
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