優れた企業統治がESG投資のキモ / 英ファンド

本記事では、社会的インパクトと経営管理等について、海外の有識者のオピニオン(原典英語)をご紹介します。

有識者:Alex Illingworth (Co-manager, Mid-Wynd Investment Trust PLC Fund)
URL:https://citywire.co.uk/funds-insider/news/alex-illingworth-esg-is-great-but-good-governance-is-best/a1353139
発信日:5月4日

オピニオン内容

今こそESG投資の真価が問われている

投資ファンド運営者のほとんどは、投資パフォーマンスを最優先します。持続可能社会に貢献すると謳うファンド・マネジャーであっても、ESG投資(*)は単に”Nice to Have”(絶対必要ではなく、あればより良い、程度のもの)であって、好景気が終われば放っておかれるかもしれない、と長い間心配してきました。ESG投資の人気が続くためには、今こそESG投資はポジティブな結果を見せねばならず、ESG投資に懐疑的で現実的な投資家は、環境(E)、社会(S)、企業統治(G)のうちいずれが、財務パフォーマンスに最も影響を与えるのか興味深く見守っています。

外部環境の要素が多い「環境(E)面」

環境面には、広範な業界の多様な問題が含まれます。例えば、デンマークの風力発電の会社は、政府からの補助金に依存せず適切な債務水準に管理されていたため、順調に業績を上げてますが、電力需要が低減し、化石燃料発電のコストが急落した今、これまでどおりの好業績を続けられないかもしれません。また、失業対策や医療関係を優先せざるを得ない政府にとって、環境対策は最優先事項ではないかもしれません。

差別化が難しい「社会(S)面」

社会面については、ほとんどの企業は自社の社会性を発信しています。企業が何か発信する場合に、従業員、顧客、サプライヤーの安全を第一に考えている旨をアピールしないことはありません。一方で、Louis Vuittonのように、いち早く政府からの支援を利用し、ハンドバッグの製造から医療用マスクとガウンの製造に転向した例があります。これにより、同社は永続的な忠誠心を顧客や従業員等から得ることに成功し、後々利益をもたらすに違いありません。

真の姿が露呈した「企業統治(G)面」

今回、ESGの有益さが最も見いだされたのが企業統治面です。これまで取締役に何人女性がいるか等が指標として見られていましたが、危機下の今重要な視点は、資金調達面での慎重さです。危機、およびその余波の中において、いかに対象企業が(財務的に)強靭か目の当たりにすることになるでしょう。何年もかけて要塞のように現金を積み上げた財務諸表を持った日本企業を嘲笑ってきた人々は、もはやそのように考えないかもしれません。また、イギリスやフランスで、政府が企業に対し、たとえ配当支払いが可能でも一旦それをやめるべきだと命じたことは、直接金融システムを毀損し、その企業の投資家から見た信用も損ねました。企業が株主をどのように扱うかは、今後数ヶ月で重要な問題になるでしょう。

不況期には企業統治面こそ重要な評価指標

上記のような状況から、E、S、 Gそれぞれ企業財務と株価のパフォーマンスにとって重要ですが、荒れたマーケットにおいては、通常時以上に、優れた企業統治であるかどうかが最重要と言えます。

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(*) ESG投資:環境・社会・企業統治に配慮した企業への優先投資
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トークンエクスプレス社のひとこと

形式主義に陥るESG投資への批判

本日ご紹介した有識者、イリングワース氏は、ESG投資が複雑化し、無数のチェック項目にチェックがあるかどうかで投資を判断するような形式主義に陥っている点に批判的な立場を取っています。一方で、財務規律を維持し、経営ポリシーをもち、外部環境に左右されることなく、株主に対する責任を果たすための企業統治の優劣が、ESG投資の中でも最も注目されるべきだという主張をしています。

イリングワース氏の主張を要約すると「外部のリソース等への依存度の少ない、リスク体制の強い経営をしている会社に投資しろ」というシンプルなものです。ESG投資は、広範なリスク管理ができている企業に投資しようという思想ですので、その意味で彼は真のESG主義者だと言えるかもしれません。

イリングワース氏の主張の遂行は容易ではない

ただ、自立性を持った企業を、外部から定量的に見出し比較することが難しいからこそ、ESG投資が叫ばれ、結果としてチェック形式主義に陥っているともいえるでしょう。投資家はどのようにしてイリングワース氏のいう「優れた企業統治」を行う企業を見つけ出せるでしょうか?

それは外部にでている公表資料からのみではわかりません。優れた投資家が、企業経営者へのヒアリング、対話を重ねて見出すことができると思います。

全ての基本は経営者によるタイムリーな社内把握

そして、投資家の対面に座る経営者には、自社幹部への権限移譲を行いながら、自社の商流と各種経営指標、あらゆる側面へのリスクについてタイムリーに把握できる体制を整える努力が求められます。弊社が今コンサルティング・サービスを提供させていただいている会社様は従業員100名以上の中規模企業様ですが、まさにそうした組織体制づくりをさせていただいております。

トークンエクスプレス株式会社では、中規模企業(従業員100人から300人程度の企業)の経営者様に、経営の可視化に関するサービスをご提供しています。ご関心ある方は、お問い合わせページからお気軽にご連絡ください。