持続可能性に配慮した金融がパンデミック下で上手くいっている理由

本記事では、社会的インパクトと経営管理等について、海外の有識者のオピニオン(原典英語)をご紹介します。

有識者:Rodrigo Tavares @QUARTZ DAILY BRIEF
URL:https://qz.com/work/1856470/why-sustainable-finance-performs-well-in-the-pandemic/
掲載日:5月14日

オピニオン内容

持続可能な経済に焦点を当てたコンサルティング会社であるGranito Groupの創設者兼社長であり、ポルトガルのノバ経済経営大学院で持続可能な金融の教授を務めるロドリゴ・タヴァレス博士。現在の新型コロナウイルスの危機下において、持続可能性に配慮した金融(投資)が従来の金融よりも良いパフォーマンスをあげている理由として以下の11個の理由を挙げた。

    1. コロナによって激烈なネガティブ影響を受けた航空会社等の運輸会社やクルーズ会社への投資が限られていた
    2. 同様に、石油会社への投資が限られていた
    3. IT企業等のハイテク企業への投資が多く、それらは危機下において国内消費の恩恵を受けた
    4. 3.で上げた情報技術分野に次いでESG投資額の多い医療関係、消費財分野、特定の小売り分野が、危機下において回復力が高かった
    5. ESG投資の対象企業ははリスク管理能力が高い企業といえ、他社よりも強い競争上の優位性と健全な財務諸表をもつ傾向がある
    6. ESG投資の対象企業は長年にわたり構造的かつ画期的な経営改善を行い、運用コストを削減してきていたため、危機に迅速に対応できた
    7. 柔軟な労働条件が用意されており、危機下における負荷の高いオペレーションにも対応しやすかった
    8. ESG投資の対象企業は技術的革新を経営の中に上手く取組んできていた
    9. ESG投資の対象企業は長期視点で経営に取り組む傾向があり、経営のボラティリティが低くなる傾向があった
    10. ESG投資の対象企業はコミュニティの対話と市民の関与で確かな実績を誇り、しっかりとした地盤を持っていた
    11. 各国政府やIMF等の国際機関による危機対策としての企業向け経済支援は、ESG的目的と合致する条件付き支援となる可能性があり、ESG企業はその恩恵を受けると期待されている

トークンエクスプレス社のひとこと

今日までの限られた範囲で、ESG投資のパフォーマンスが良い理由について分析した記事は多くみられますが、ここまで列挙してあるものは初めて見ましたのでご紹介いたしました。ブレインストーミングをして出てきたものを列挙した印象で、もれなくダブりなく、という整理はなされてはいませんが、これだけ列挙してみると企業のペルソナといいますか、「ESG投資対象企業像」のようなものがうっすら見えてくる気がします。

私が抱いたそのペルソナをあえて言語化してみると、以下のようになります。

① 長期的視点に立って経営を行っている
② 慎重な財務戦略を採っている
③ 経営合理化のための構造改革を継続的に行っている
④ 多様な人材を受け入れ可能な労働環境を整備している
⑤ 技術的イノベーションを積極的に取り入れている
⑥ 市民社会において議論のある産業分野にいない
⑦ 市民生活に近い産業分野に所在する

ただし、この整理の仕方にもまだ穴があります。例えば、IT企業はプライバシー関連で市民社会において議論のある企業(Google、Facebook等)も含みますがESG投資を多く受けている分野だとされていますし(上記③と矛盾)、航空会社は市民生活に近い産業分野ですが今回大打撃を受けた代表産業です(上記⑦と矛盾)。

新型コロナウイルスの危機はまだ解消しておりません。危機下においてESG投資のパフォーマンスが良いということも、一時的な観測に過ぎないかもしれません。無理に定式化しようとせず、多様な視点を許容することこそ、ESGの大切にする価値観です。財務パフォーマンスという単一の評価軸とESGとの関係を無理に結び付けようという姿勢が、少しずれているという気もしています。

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