水取引におけるインセンティブ構造解明のためのブロックチェーン利用

本記事では、持続可能な社会づくりに関する議論やブロックチェーン活用等について、原典が英語のニュースをご紹介します。

発信元:CRCNA
URL:https://crcna.com.au/research/projects/improving-water-markets-and-trading-through-new-digital-technologies
掲載日:5月14日

ニュース内容

    • Civic Ledger Pty Ltd社、クイーンズランド州天然資源鉱山エネルギー省、ロイヤルメルボルン工科大学(RMIT)ブロックチェーン・イノベーションハブ、グリフィス大学、ファーノース・クイーンズランド・グロワーズがブロックチェーン技術を用いて、オーストラリア北部において、園芸用灌漑用水の取引改善を目指すパイロット・プロジェクトを開始。総プロジェクト費は、 203,438豪ドル(約1,400万円)。期間は、2020年3月~8月末の半年。
    • 本案件では、Civic Ledger社のブロックチェーン技術を用いたWater Ledger取引プラットフォームをテストする。目的は、完全な水の取引及び市場条件を作り出し、情報の非対称性を取り除くことで、水利用を確保するために必要な、(1)リアルタイムな価格発見可能性の向上、(2)取引コスト削減、(3)転送の流動性改善の可能性を評価すること。ひいては、水取引の効率的な機能のためのガバナンスと市場メカニズムの理解にも貢献する。
    • パイロットプロジェクト期間中は、既存の水情報システムでも並行して取引を行い、ブロックチェーン技術に基づくスマートマーケットと比較し、(1)水配分の最適化インセンティブ、(2)市場の信頼向上、(3)取引コスト削減、(4)データの整合性向上を分析する。

トークンエクスプレス社のひとこと

ブロックチェーンが機能するには参加者へのインセンティブが必要

ブロックチェーンは、「中心的な存在を持たずとも、複数の主体でのデータ管理を可能とする仕組み」を提供する技術です。一方、その仕組みを維持するためには時間や資金、手間や専門的知見など、様々なリソースを参加者が提供する必要があります。報酬やメリットなしでそうしたリソースを提供してくれる主体はあまり存在しないので、参加者に参加するインセンティブ、メリットを提供する必要があります。ブロックチェーンの代表的な事例であるビットコインが成功した背景には、そうしたインセンティブの仕組みの巧みさがあります。

ビットコインの成功を経て、「トークンエコノミー」という言葉が生まれ、上手いインセンティブ構造を実現して社会にこれまでなかった仕組みを生み出そうと挑戦している人が世界中にたくさんいます。そうした実験を可能とする技術がブロックチェーンだともいえます。

水取引はこれまで純粋な民間取引になりにくかった分野

本日ご紹介した事例は、まさにそうした機能をもつブロックチェーンを用いて、実世界で機能するインセンティブ構造を見つけようとする研究プロジェクトです。予算規模はそれほど大きくはないですが、水という、これまで民間取引の対象となりにくかったものについて、その取引のあるべき姿を見つけようとする意思が、とても野心的で興味深いものだと感じました。

社会インセンティブの解明に公的機関が資金を提供

本日ご紹介した記事を掲載しているのは、北オーストラリア開発共同研究センター(CRCNA)というオーストラリア政府が産学官連携のために設置した組織のウェブサイトです。同センターはオーストラリア北部の産業問題に対処する新しい技術、製品、サービスを開発するための産業界主導の研究協力を支援するために、10年間で7,500万ドルの連邦資金を投資しています。本日ご紹介したプロジェクトにも85,000豪ドル(約600万円)を提供します。

ブロックチェーンを用いた市場メカニズムの研究は、政府側にニーズがある例も多いと考えられ、こうした政府系機関によるブロックチェーンを活用した研究の助成などは、今後世界中で増えてくるだろうと弊社は考えています。

トークンエクスプレス株式会社では、国内外の持続可能な社会づくりに寄与する事業・プロジェクトの企画、構築、運用サービスを提供しています。ブロックチェーン技術に知見がありますが、その利用を前提とするものに限りません。
ご関心ある方は、お問い合わせページからお気軽にご連絡ください。