ベーシックインカムへの注目と課題

本記事では、持続可能な社会づくりに関する議論やブロックチェーン活用等について、原典が英語のニュースをご紹介します。

記者:Robert Stevens @Decrypt
URL:https://decrypt.co/28988/coronavirus-makes-universal-basic-income-a-global-talking-point
掲載日:5月15日

ニュース内容

    • 新型コロナウイルス(以下、「COVID-19」)流行によってユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)が、政府の現実的な政策として議題に上るようになった。大量失業、経済危機に対処するために、年齢や収入に関係なく、全国民に給付し、景気を刺激し貧困を食い止める。
    • メキシコ、フィンランド、アラスカは、UBIの数少ない成功例。フィンランドはその財政負担の大きさのせいでパイロット事業を中止。他にも小規模な実験を継続しているパイロット事業もあるが、完全に国家政策に組み込まれたことはない。COVID-19対応で、米政府は数千人のアメリカ人に対して1,200ドルを供与。16歳以上のすべてのアメリカ人に毎月2,000ドルを送るような「コロナウイルス現金支給法案」も提出された。
    • しかし、数百万ドルの現金送金では、エラーが発生しやすく、費用や時間がかかる。誰にいくらのお金が支払われるか、給付条件の確認、実際に意図した受取人に給付が届いたかどうかを確認するには莫大なコストがかかる。
    • ブロックチェーンと暗号通貨は、UBIの配布に役立ち得る。ブロックチェーンによる不変の台帳は、政府に、受取人に送金されたという不変の証拠を提供。ブロックチェーンによって完全に自動化されたシステムがUBIの支払いで重要な役割を果たす可能性がある。暗号通貨を用いると、政府が望ましい支出比率を設定し、支出先の透明性を確保できる。デジタルトークンはバウチャーのように機能し、交通機関、食料品、家賃などの必需品支払いに利用を限定できる。

トークンエクスプレス社のひとこと

単発の現金給付は管理コストがとても高い

新型コロナウイルス感染症によって再確認された事柄の一つに、現金給付のオペレーションの困難さ、コストの高さがあります。今回日本における現金10万円の一律給付においても、行政側はオンラインと郵送と申請手段を用意した一方、オンラインだと複数回の申請ができてしまったり、申請資格のない人(世帯主ではない人)からも申請もオンラインで受け付けられる仕様になってしまっていたりで、行政側にかなりの管理負担が生じ、結果として給付が遅れていると状況が発生しているようです。

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掲載日:2020年5月19日

10万円給付での課題はブロックチェーン利用でも残るだろう

本日ご紹介した記事では、ユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)について、ブロックチェーン技術の活用が期待されていますが、一般的には技術的な課題も多く指摘されています。今回の10万円現金給付にて起こったような、本人確認・本人照合の手間とコストの問題は引き続き大きな課題です。

ただ、今回の10万円の現金給付は、突如起こったイベントとしての施策であり、通常運用化したUBIの世界においては、口座振込の積極推進等により本人確認・本人照合の問題は、行政のみが負担するものではなく銀行等の他のプレイヤーとの分業体制によって解消するかもしれません。(その場合ブロックチェーンの必要性が低減するかもしれません。)

政策目的達成のために現金給付が最善か?

大切なのは、政策の目的の設定と、目的達成のための手段の選択であり、ブロックチェーンの利用可否は、手段の中のツールの問題です。ブロックチェーンというツールを持つことで手段の選択肢は広がりますが、まずは政策目的を明確化することが重要です。政策目的によっては、以前本ブログでご紹介したヨルダンのでの事例のような、モノでの給付という手段が有効と認められブロックチェーンはその運用の一部での活用がベスト、という結論が出るかもしれません。

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