スペインの銀行BBVAが販売する「パンデミック債」

本記事では、社会的インパクトと経営管理等について、海外のニュース(原典英語)をご紹介します。

記者:Margaryta Kirakosian @CityWire
URL:https://citywireselector.com/news/dutch-am-invests-in-covid-19-bond-issued-by-bbva/a1361949
掲載日:5月29日

ニュース内容

    • オランダの資産運用会社アクティアムは、スペインの銀行大手BBVAが発行したパンデミック債に投資した。この新しいソーシャルボンド(社会的影響に配慮した投資に関する債券)は、スペインにおける新型コロナウイルス(以下、「COVID-19」)被害への救援活動への投資を対象としている。パンデミックの社会的影響の緩和を目標とし、適格である社会的プロジェクトを対象に投資を行う。
    • アクティアムによれば、国際金融機関によって発行されたCOVID-19債は以前にもあったが、BBVAはヨーロッパの一般的な民間金融機関としては初めてのCOVID-19債発行主体である。
    • BBVAは、このCOVID-19債を「持続可能な開発目標」のための債券(以下、「SDGs債」)の一つと定義する。そしてスペインにおけるSDGs債のリーダーになるという同社の狙いの一部として位置付けている。一方、アクティアムはBBVAのCOVID-19債をグリーンボンド(環境保全に配慮した債券)として位置づけ、同社の「持続可能な投資」の枠を拡大するという計画に合致するとしている。
    • アクティアムのChris Vrils氏は、「この債券の発行体がBBVAである点、SDGs配慮面、特にCovid-19の救済面が気に入っています。」と述べている。

トークンエクスプレス社のひとこと

時宜を得た販売、市場のニーズを捉えた商品

スペインのBBVAは以前にも本ブログで取り上げさせていただいた、スペイン第二の規模を誇る銀行です。

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スペイン第二の銀行BBVAからみたSDGsとブロックチェーン
(本ブログ2月12日掲載)

国連が掲げる「持続可能な開発目標」(SDGs)にに関するコミットメントとして、2025年までに1,000億ユーロ(約12兆円)もの資金を動員し、気候変動対策および持続可能な開発を推進すると宣言しています

今回の、通称「パンデミック債」は、10億ユーロ(約1,200億円)分発行され、アンダーライター(引受機関)はBBVA、ドイツ銀行、Natixis、野村證券、ソシエテ・ジェネラル、Unicredit等です。投資家から298件の注文書依頼があり、50億ユーロ(約6,000億円)もの需要を確認したとBBVAは言います

社会的配慮を謳う商品の割には、その管理体制は前時代的

本日の記事で興味深かったのは、このパンデミック債が、COVID-19の「社会的影響の緩和」という茫漠とした関連性から、SDGs枠の一つと位置付けられ、さらに買い手であるオランダの資産運用会社はそれを環境配慮型債券として位置づけているという点です。売り手と買い手の間で、商品の社会的意義が捻じれてしまっています。

ご紹介した記事の中に詳細は記載されていませんが、BBVAの資料に目を通すと、パンデミック債で集めた資金の投資先については具体的基準があるわけではなく、究極的にはBBVA SDGs Bonds CommitteeというBBVA内の組織が監督し、そのレポートはBBVAのウェブサイト上で2021年前半に公開される予定という、客観性、透明性が十分とは言えない管理体制のなかで実施されるようです。すなわち、このパンデミック債の買い手は、この商品が謳う社会的配慮の側面については、BBVAという組織の信用に全面的に依拠してこの商品を購入しているのです。この金融商品の財務面についてはMoody’s、S&P、Fitchという世界的な評価機関の評価を得る見込みである点と比較すると、社会的評価面については随分と前時代的な取り扱い方と言えます。

このパンデミック債はESG投資、SDGs投資の課題を示す

しかしこれが現在盛り上がるESG投資、SDGs投資の現実であり、今後変えていかなければいけない対象でしょう。企業に対する信用というのは、社会において欠くことのできない要素ですが、その信用に対する検証の仕組みがない中で、過信や妄信がはびこると、ブランド主義ともいえるある種のバブルが発生します。ESG投資やSDGs投資自身が持続可能となるための最大の壁は、このブランド主義(「あの企業が発行している商品だから大丈夫だろう」という考え方)であり、信用に対する検証の仕組みこそ、今求められていると考えます。

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