危機後の継続が予想される、配当支払いに対するESG圧力

本記事では、社会的インパクトと経営管理等について、海外のニュース(原典英語)をご紹介します。

記者:Billy Nauman @Financial Times
URL:https://www.ft.com/content/da8b6f40-8afa-11ea-a109-483c62d17528
掲載日:2020年6月1日

ニュース内容

    • 新型コロナウイルスが世界経済をひっくり返した結果、ディズニーからロールスロイスまで、多くの企業が続々と配当支払いの削減を表明している。過去の不況時にもこうした動きがあったが、以前は景気が回復すると配当はすぐに復活した。しかし今回は、すぐには配当水準が復活しないのではないかと投資家たちは疑っている。コロナ危機が契機となって、企業の資金の使い方に大きな変化が生じ、従業員やより広い社会に対する責任が、株主に対するものと同程度存在するという考え方が、広く受け入れられていくだろうというのだ。
    • 配当から富を得る社会層に偏りがあるという指摘もある。イギリスのNPOであるOxfamの調査によると米国の配当金の97%は白人家庭に対して支払われているという。スイスの銀行UBSの関連企業UBS Global Wealth ManagementのAndrew Lee氏は「マクロ経済や金融市場に大きな影響を与えうる社会の大きなリスクのうち、一つは気候変動の問題であり、もう一つは社会の不平等の問題です。」「10年前、気候変動が金融に影響を与えることなどないと人々が言っていましたが、今ではその影響は明らかです。不平等についてのリスクが顕在化するまでに時間がかかるかもしれませんが、気候変動と同様にいずれ明らかになるでしょう。」という。

トークンエクスプレス社のひとこと

    • ESG投資において、企業の株式配当の扱いが焦点になることがあります。それは、企業が幅広い関係者を持つ中で、配当は株主にしか利益の還元が向かわないためです。企業の株主はその企業の所有者ですので、企業の利益が配当として所有者に向かうのは当然のことのように感じますが、利益の源泉は社員や企業の地元等、多様な関係者との関係の上に成り立つものであり、従業員や地域社会等への利益還元も十分になされなければ、そのビジネスの持続可能性も確保されない、ビジネスのリスクが高い、という考え方です。
    • ESG投資は、財務指標に表れない数値化が難しい事項を、財務面でのリスクとして勘案の上、投資の意思決定を行おうとする動きです。元々が投資に対するリターンの確からしさを判断するための概念ですので、配当の削減はESG投資の主体である投資家にとっては単純な問題ではありません。
    • 配当が多いことが良くないということではなく、他の関係者への利益還元とのバランスがとれているか、という論点だということを忘れてはいけないでしょう。すなわち、この問題については、配当単独で論ずることは誤解を生みがちであって、まずはステークホルダーの洗い出しと、それぞれとの関係の構築状況について、幅広く見える化の上で評価し、評価結果を開示していくことが必要です。
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