ESG投資に必要なもの:アクティブ投資的姿勢

本記事では、社会的インパクトと経営管理等について、弊社の最近の考えをご紹介します。

ESG投資に対する投資家の関心の変化は本物か

弊社では、持続可能な社会づくりについて毎日考えています。最近特に注目しているのは、新型コロナウイルス感染症の問題が顕在化して以降のESG投資(環境、社会、企業統治面への配慮を行なっている企業への投資)です。日々世界中の情報をフォローしております。「ESG投資において不可逆的な変化がおきている。今回発生したESG投資への関心の高まりは、新型コロナ後も継続するだろう」という意見が、日々多く発信されています。

そのような言説が飛び交う中で私が注目しているのは、投資家が閲覧する情報の変化です。投資家がESG投資に関心を高めた場合、投資家向けに発信されている情報にも変化が起こると考えているためです。例えば、米国の個人投資家向けメディアで組まれる特集にどのような変化が起こっているか、定点観測をするとESG投資に対する投資家の実際の関心の変化が見えてきます。

「責任ある投資家のための15のベストESGファンド」

例えばKiplingerという、1920年創刊の個人に向けた資産運用に関する米国のメディアがあります。その中で最近見つけた特集記事が「責任ある投資家のための15のベストESGファンド」というタイトルのもの。

関連外部記事
15 Best ESG Funds for Responsible Investors
記者:Coryanne Hicks @Kiplinger
発信日:6月1日

中身をみると、15個選定された投資信託商品それぞれについて、①管理資産規模(数値)、②配当率(数値)、③管理フィー(数値)、そして④各ファンドの投資方針(文章での要旨記載)がまとめられています。おすすめ投資テーマごとに注目の投資信託商品をまとめて紹介する記事(例えば、「IT投資」や「インドネシア投資」等)は多く存在しますが、上記の①~④の情報掲載様式は、そうした従来の投資信託商品紹介記事でよく用いられる掲載様式です。しかしながら、ESG投資はとても幅広い概念であり、「IT」とか「インドネシア」といった言葉ほど、「ESG」という言葉に対する人々の共通理解は形成されていません。

そのため、上記の記事においてESGにおける注目点の記載もまだまだ曖昧であり、それぞれの投資信託商品が具体的にどのような判断基準で投資先を選定しているか、具体的な内容は示せていません。もっと言えば、15個選定された投資信託は全て管理フィーが1%以下のいわゆる「パッシブ投資」を行う投資信託で、積極的にESG面の評価を行うようなコスト負担ができそうにない投資信託商品たちばかりです。

ESG投資には「アクティブ投資」が向いている

ESG投資には、環境、社会、企業統治に関して、そのリスクが発現したときに深刻な経営インパクトがあり得るが、その影響を数値化できない経営リスクを、投資判断に織り込んで投資を行うという思想があります。そのため、そもそもコストをかけずに一定の基準に基づいて投資先を選定していく「パッシブ投資」とは相性がよくない投資思想だと考えられます。

むしろ、対象企業の具体的取り組みについて、公開情報およびヒアリング等をもとに一社ごとに投資判断を行なっていくような、「アクティブ投資」の方が、ESG投資には向いていると感じます。その分コストのかかる投資手法ですが、数値化しきれないリスクに向き合う以上、投資家が手間暇かけていくのは当然といえます。一方で、そのESG投資家のコストを下げるために、企業側の情報開示方法の標準化が進められることも、ESG投資市場の成長には必要でしょう。

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