格付機関によってESGレーティングが大きく変動する理由

本記事では、社会的インパクトと経営管理等について、海外の有識者のオピニオン(原典英語)をご紹介します。

有識者:Tracy Mayor @MIT
URL:https://mitsloan.mit.edu/ideas-made-to-matter/why-esg-ratings-vary-so-widely-and-what-you-can-do-about-it
掲載日:2019年8月26日

オピニオン内容

    • 企業の社会的責任に関する価値観を反映した製品を購入したい消費者、投資先の評判リスクを気にする投資家などの存在により、CEOの約80%が自社の社会への取り組みを示すことが重要であると信じている。そのため、ベンチマークとしての持続可能性の評価に注目している。ESG情報になんらかの形で依存している投資は約30兆ドル(約3,290兆円)に及ぶと推計され、2016年比で34%増加している。
    • 世の中には複数のESG評価格付機関が存在するが、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者チームは、同一の対象への評価において、それらの機関間でレーティングが大幅に異なることを発見した。具体的にはESG格付間の相関は平均0.61で、財務的な企業評価を行っているMoody’s、S&P間の相関が0.99であることと比較すると、かなり乖離があると言える。
      この原因として、以下の3つの要因が挙げられる。
    1. 評価対象範囲(スコープ)の違い
    2. 評価の「重みづけ」の違い
    3. 測定方法(評価対象指標)の違い
    • 上記の違いは、格付が異なる要因に対して、それぞれ36.7%、13.2%、50.1%の寄与しているということも明らかになった。こうした「違い」が発生しないように、オープンで透明な開示基準を確立し、評価の元となっているデータがアクセス可能であるように企業は努めるべきだと、MITは推奨する。

トークンエクスプレス社のひとこと

    • ESG投資を行う方は、ESGを謳う投資信託にお金を預けるよりも、自ら投資先の取り組みなどに目を向けていただくとよいのでは、と本ブログで申し上げてきましたが、大きな機関投資家ならともかく、一般の投資家がそうした調査に時間とコストをかけることはできません。

関連記事
Facebookへの投資はESG投資か?
(本ブログ6月5日記事)

    • そのため、投資家はESG格付機関の格付を利用するのですが、上記記事に記載のとおり、その格付が「ぶれる」要因が多く存在します。格付の利便さは社会に必要だと思いますが、時間やコストをかける余裕があり、ESGテーマについて真摯に考慮の上投資先を決定したいという投資家のために、企業は格付機関に示したのと同様のデータ、情報を、投資家からアクセスしやすいように開示することが必要だと思います。
    • 一方で、各社各様にその開示の取り組みを行っても、閲覧者が必要な情報にたどり着くのは難しいままなので、開示フォーマットの標準化が必要でしょう。
トークンエクスプレス株式会社では、中規模企業(従業員100人から300人程度の企業)の経営者様に、経営の可視化に関するサービスをご提供しています。ご関心ある方は、お問い合わせページからお気軽にご連絡ください。