ロシア、今月の憲法改正の国民投票でブロックチェーン利用

本記事では、持続可能な社会づくりに関する議論やブロックチェーン活用等について、原典がフランス語のニュースをご紹介します。

記者:Christophe Auffray @Cryptonnaute
URL:https://cryptonaute.fr/la-russie-prete-a-realiser-une-election-majeure-grace-a-la-blockchain/
掲載日:6月9日

ニュース内容

    • 議会が憲法改正案の可決を行ったことで、プーチン大統領は、次期大統領選において新しい任期に立候補することができることとなった。(訳者注:6月3日に議会で現職大統領の再選を可能とする憲法改正案が可決されるまではプーチン大統領の任期は2024年までで、再選はできない規定だったが、議会が憲法改正を可決した。)それでも、国家元首は憲法改正の是非を問う国民投票を行う必要がある。この国民投票においてロシアはブロックチェーンを使用した電子投票システムを試みる。まず、首都モスクワ市民が対象となる。有権者は6月5日から電子投票に登録することができ、投票は6月25日から30日まで行われる。モスクワ当局によると、ブロックチェーンの実装は投票の「セキュリティと透明性」を保証するという。
    • 公式には、ブロックチェーンの使用は、各有権者の投票を匿名にし、データを暗号化し、それらの投票の改ざんを防ぐ。電子投票の安全性と透明性は、ブロックチェーン技術によって保証される。これらの保証にもかかわらず、モスクワ当局は、実装されたブロックチェーンの性質に関する技術詳細の公開を渋る。例えば、民間で開発されたものを利用するのか、内部開発されたブロックチェーンなのかなどは分かっていない。
    • ブロックチェーン投票に関しては、米国の政党選挙を含め、世界中でいくつか出現しているが、有権者の数は未だ少ない。一部の研究者はこれらのシステムについて警鐘を鳴らす。2月、MITは、ブロックチェーンを用いたAndroidアプリの脆弱性を特定したと述べた。投票を危険にさらすおそれは否定できない。

トークンエクスプレス社のひとこと

新型コロナウイルスのもたらす変化

ブロックチェーン技術の用途として注目される電子投票での利用ですが、米国では技術的な信頼性について学者も交えた議論が展開されている一方、ロシアではブロックチェーンを用いた電子投票が、なんと憲法改正の国民投票の場で今月にも使用されるようです。ロシアにおける電子投票は、新型コロナウイルス感染症の広まりを受けて先月23日に制定されたもので、その第一弾でいきなりブロックチェーンの利用とは、コロナウイルスがもたらした世界の変革の一つの事例と言ってもいいでしょう。

関連外部記事
遠隔投票を可能とする連邦法を制定、憲法改正を問う国民投票にも適用(ロシア)
(JETRO, 2020年5月25日)

見つかった根本的課題

興味深いのは、電子投票システムの技術詳細が一切明かされていないことです。ハッキング対策などを考えれば、技術内容について公開しないのは当然ともいえますが、ほんの一握りの開発集団しかシステム内部を知ることができず、ブロックチェーンの特徴とも言える「透明性」は有名無実ともいえます。

現在のロシアにおいては大きな問題にならないのかもしれませんが、システムが常にハッキングのリスクを抱えている以上、技術詳細の公開方法は世界の電子投票における大きな課題であると考えます。この課題以外にも、実際に国民投票をしていくなかで更にいろいろな課題が見つかると思いますので、今回のロシアのチャレンジは世界にとって大きな学習価値のあるイベントであると考えます。

トークンエクスプレス株式会社では、国内外の持続可能な社会づくりに寄与する事業・プロジェクトの企画、構築、運用サービスを提供しています。ブロックチェーン技術に知見がありますが、その利用を前提とするものに限りません。
ご関心ある方は、お問い合わせページからお気軽にご連絡ください。