EUの大学、炭素クレジット市場でのブロックチェーン有用性を分析

本記事では、持続可能な社会づくりに関する議論やブロックチェーン活用等について、原典が英語のニュースをご紹介します。

記者:Sebastian Sinclair @Coindesk
URL:https://www.coindesk.com/microsoft-eu-based-universities-say-blockchain-could-help-meet-paris-agreement-carbon-goals
掲載日:6月23日

ニュース内容

    • ドイツとデンマークの大学が、国際的な炭素クレジット市場(訳者注:温室効果ガスである二酸化炭素の排出削減量に関する権利を売買する取引市場)の構築におけるブロックチェーン技術利用の利点に関する論文を発表。他の新興技術との相互運用性、スマートコントラクトによるプロセスの自動化、透明性、トレーサビリティと監査性の向上、システムのセキュリティと当事者間の信頼の向上という点で明確な利点がもたらされると結論づけている。
    • 当該論文では、パリ協定の第6.2条に従って、炭素マーケットメカニズムに対するブロックチェーンと分散型台帳技術の適合性を分析。パリ協定の目標は、世界の気温を産業革命前の水準よりも摂氏2度(華氏35.6 °)高く保ち、気候変動の脅威に対して世界的に対応すること。第6.2条は、国際的な排出量取引スキームのフレームワークの設計について規定するものだ。
    • 論文によると、2005年の京都議定書で定められたメカニズムなど、市場向けのレガシー・インフラストラクチャ・ソリューションは、「集中型および断片化されたデータバンク構造」内の手動プロセスに基づいているため、制限がある。ブロックチェーン技術が、その情報の透明性と不変性によって、実行可能な代替案を提供できる可能性について指摘。「パリ協定で想定されているボトムアップ型の分散型ガバナンスシステムについては、ブロックチェーンアプリケーションが有望であり、透明性の向上と自動化の向上に利益をもたらすことができることを発見した」としている。
    • しかし、ブロックチェーンおよび分散型台帳システムは、すべての炭素市場の問題を解決する力を持たない「発生期の」テクノロジーとされ、ブロックチェーン技術適用によるトレードオフをケースバイケースで評価する必要があるともしている。ブロックチェーンが目的に適しているかどうかを判断するためのフレームワークを開発(下図)。
    • 本論文は、Microsoftのデータ/AI/ブロックチェーン/Azureスペシャリストやベルリン及びデンマークの工科大学の研究者らによる共著。

図:ブロックチェーン技術適用の優位性を判断するフレームワーク

トークンエクスプレス社のひとこと

弊社ブログでは、二酸化炭素の排出権取引市場において、個人のレベルにまで取引参加者のすそ野を広げるためにブロックチェーン技術が活きるだろうという立場を取っています。既にその取り組みを進めている企業や団体は、米国やスイスに存在します。

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(本ブログ3月20日記事)

今回ご紹介した記事は少し専門的な内容ですが、要するにこれまで何らかのシステムを作るにはシステムの管理権限をもった管理者が必要で、「データバンク構造」を取る必要があり、公平・公正なデータ管理において不自由があったが、中央管理者を不要とするブロックチェーンを用いればそのハードルを乗り越えることが可能だという趣旨です。

一方で、ブロックチェーンに対する夢見がちな主張ではなく、現時点でのその技術の制約も冷静に分析しています。弊社が翻訳した上記の図にはブロックチェーン技術が活きる条件が整理されており、ブロックチェーンを用いたソリューションを提案する業者が頻繁に直面する「なぜブロックチェーンを用いることが有利なのか(Why Blockchain?)」への答え方を示す、大変有用な資料だと考えます。

トークンエクスプレス株式会社では、国内外の持続可能な社会づくりに寄与する事業・プロジェクトの企画、構築、運用サービスを提供しています。ブロックチェーン技術に知見がありますが、その利用を前提とするものに限りません。
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