ヘルスケア分野におけるEU主導ブロックチェーン・プロジェクトに進展

本記事では、持続可能な社会づくりに関する議論やブロックチェーン活用等について、原典が英語のニュースをご紹介します。

記者:James Bourne @Tech Forge Media
URL:https://blockchaintechnology-news.com/2020/06/pharmaledger-eu-healthcare-blockchain-use-cases/
掲載日:6月30日

ニュース内容

欧州連合(EU)主導のヘルスケア分野のブロックチェーン・コンソーシアムであるPharmaLedgerが、最初の使用例を8つ発表。(訳者注:PharmaLedgerとは、ヘルスケア分野のグローバル企業や大学等29団体が参加するコンソーシアム。3年間のプロジェクトとして2020年1月発足)。コンソーシアムのメンバーには、ファイザー、アストラゼネカ、グラクソスミスクラインの研究開発部門等が含まれている。

8つのユースケース属する領域

サプライチェーン領域:ブロックチェーンによる証明が付与されたeリーフレットが、モバイルアプリ、ウェブサイト等に配信され、製品の信憑性と透明性の評価を可能にする取り組み。eリーフレットは、リコール履歴、製品の更新情報、薬の飲み合わせ情報、環境にやさしい薬の廃棄処分に関する情報など、患者にとって価値のある機能拡大の基盤となりうる。

ヘルスケアデータ領域:GDPR(訳者注:General Data Protection Regulationの略。EUが導入する個人情報の取り扱いに関する規則)に準拠した患者の許可取り付けのための事前スクリーニングに、ブロックチェーン技術が利用される予定。これによって、患者が、誰がいつ、自身のヘルスデータへアクセスできるか等を完全にコントロールできるようになる。

臨床試験領域:「eConsent」と呼ばれるユースケースでは、デジタルベースで信頼できる同意プロセスを作成し、紙ベースのシステムを軽減し、IoTデータを高度な分析と統合する予定。

ノヴァルティス社のブロックチェーンビジネスアナリストによれば、「ブロックチェーンはデジタル社会へ信頼をもたらすのに役立つ可能性があるが、そのためには大量の採用実績と真の水平イノベーションを起こす必要がある。PharmaLedgerは、その実現に貢献している。

トークンエクスプレス社のひとこと

EUが主導するPharmaLedgerプロジェクトについては、かつて本ブログの中で取り上げたことがあります。

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(本ブログ3月6日記事)

3月6日の時点では、PharmaLegerプロジェクトへ参加している企業数の多さを理由に、本プロジェクトの実行性について疑問を持っていました。その際の私の中でのイメージは、この29社が参加するプロジェクトが一つの共通の目的・目標をもってそのためのプロジェクトを一つ遂行していくイメージでした。

しかし本日ご紹介したニュースをみて、その前提が異なる可能性があることに気づきました。まだはっきりと示されてはいませんが、このコンソーシアムは、複数の重点分野を選定し、そうした分野に関するアイデアをもつ主体に資金や実データなどを提供してそのアイデアの実現をサポートし、その過程で生じる知見、経験、またはプロトコル(プログラム)を29社で共有する、という目的の団体なのかもしれません。

示されている3つの領域のうち、「ヘルスケアデータ領域」についてはブロックチェーンでしか実現できない領域だと感じますが、説明文を読む限りは、他の二つはブロックチェーン技術を用いなくても技術的には実現できそうに見えます。一般的には「サプライチェーン領域」もブロックチェーン技術を活用する優位がありうる領域なので、詳細がまだ明かされていないだけという可能性があります。今後の進展が楽しみです。

トークンエクスプレス株式会社では、国内外の持続可能な社会づくりに寄与する事業・プロジェクトの企画、構築、運用サービスを提供しています。ブロックチェーン技術に知見がありますが、その利用を前提とするものに限りません。
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