ブロックチェーンが貢献しうる、政府腐敗の対策5分野

本記事では、持続可能な社会づくりに関する議論やブロックチェーン活用等について、海外の有識者のオピニオン(原典英語)をご紹介します。

本日は、海外有識者のオピニオンをご紹介します。

有識者:Rachel Davidson Raycraft & Ashley Lannquist @World Economic Forum
URL:https://www.weforum.org/agenda/2020/07/5-ways-blockchain-could-help-tackle-government-corruption/
掲載日:7月13日

オピニオン内容

ブロックチェーンは、耐改ざん性、永続的なデータベースと記録保持の特性によって、世界中の民主的ガバナンスと持続可能な開発に重大な影響を与えることができる。具体的には、透明性、説明責任、市民の関与の向上という価値を提供できる。

腐敗は、ブロックチェーンだけで防ぐことはできず、法的枠組みおよび構造と組み合わせる必要がある。特に必要となるのが、一貫した法執行機関、正確な情報入力、適切な技術的ノウハウ、協力的な政治家、および社会的善意である。一方で、実装コストや拡張可能性、十分な情報を得ていない政策立案者等は障壁となりうる。

(1)公共調達、(2)土地所有権登録簿、(3)デジタル投票、(4)企業所有権レジストリ、(5)助成金支給の5分野における政府腐敗への対策にブロックチェーン技術導入をもって取り組んだ場合の、それぞれのメリットとその限界を以下に記述する。

(1) 公共調達

《メリット》ブロックチェーンベースのプロセスは、改ざん防止トランザクションの監視を容易にし、スマートコントラクトで客観性と均一性を向上可能。トランザクションとアクターの透明性と説明責任を強化。

《限界》ブロックチェーンプラットフォームへのアクセスが容易であるほど、悪用に対する脆弱性が高まる。攻撃は、システムに無用または悪意のある情報を溢れさせる。また、オフラインで共謀、贈収賄等が発生し続ける場合、ブロックチェーンベースの腐敗防止の実効性が薄れる。

(2) 土地所有権登録簿

《メリット》ブロックチェーンベースの土地登記簿は、個人が自分の土地への権利を明確に証明できる、安全かつ分散化され、公に検証可能で不変の記録システムを提供できる。

《限界》土地登記が存在しない、不完全であるような国では、ブロックチェーンベースの土地所有権登記簿が機能する前に、これらの情報を収集、クリーニング、デジタル化するプロセスを経る必要がある。

(3) 電子投票

《メリット》ブロックチェーンによって分散性、透明性があり、暗号化され不変性を確保することで、選挙の改ざんを最小限に抑え、民主的プロセスへの信頼と参加を高めるのに役立つ。

《限界》サイバー攻撃やその他のセキュリティの脆弱性が問題。投票操作、紙の証跡消去、または選挙の混乱を引き起こす可能性がある。顔認識などの生体認証を使用する場合、有権者の識別で偽陽性・偽陰性が起こりうる。

(4) 利益関係にある企業所有権データベース

《メリット》利益相反と犯罪活動を追跡するため、利益関係にある企業所有権に関するデータベースが開発されているが、改ざん防止機能があり、広くアクセス可能なブロックチェーンベースのものは、非常に高い透明性を提供できる。

《限界》企業所有権データベースは一般的ではなく、他の関連データベースは適切な検証システムを欠いている。包括的で検証可能な企業所有権に係るブロックチェーンベースのデータベースの採用には、政治家、弁護士、銀行、および大企業からの賛同が必要だが、彼らは必ずしも賛同していない。

(5) 助成金の支払い

《メリット》ブロックチェーンは、人々の信頼を向上させることができる。助成金の授与、支払い、および管理に関与する主体の数削減、プロセス合理化、コスト削減等につながる。

《限界》受給者がブロックチェーンベース助成金の支払いを管理するのは困難。技術に精通していなかったり、リソースが不足でシステムを使用できなかったりする場合、助成金の支払いプロセスから差別または除外される可能性がある。

トークンエクスプレス社のひとこと

    • 政府の腐敗というのは様々なパターン・経路がありますが、そのなかでブロックチェーンが対策に貢献しうる5分野についての記事です。基本的にはデータの改ざんや不透明性が腐敗の温床になりうる分野が挙げられているといえます。
    • 耐改竄性のあるデータベースや情報の透明性の向上そのものは、そのデータベースの管理者が社会的信用を有しており、かつ、しっかりとした業務遂行のプロセスを定めていれば、従来型のデータベースでも問題なく実現できる可能性を持っています。問題は、政府の腐敗を管理するためのデータベースの管理者が民間企業である場合、そうした情報を管理するに足るほどの社会的信用を当該企業が保持することができず、かといってそれほどの信用を持つ主体は、腐敗の被監視主体である政府くらいしかいない、という点です。
    • ブロックチェーンの、特定の管理主体を持たずともデータ管理を行うことができる仕組みが、まさにここに活きてくることになります。特定の管理者がいないということは、特定の管理者がいる場合よりも、システムとしての信用力を持ちうる、ということです。
トークンエクスプレス株式会社では、国内外の持続可能な社会づくりに寄与する事業・プロジェクトの企画、構築、運用サービスを提供しています。ブロックチェーン技術に知見がありますが、その利用を前提とするものに限りません。
ご関心ある方は、お問い合わせページからお気軽にご連絡ください。