米国労働省の年金基金運用新規制:規制反対派の意見(SSGA)

本記事では、社会的インパクトと経営管理等について、海外のニュース(原典英語)をご紹介します。

記者:Attracta Mooney @Financial Times
URL:https://www.ft.com/content/128c5c92-203b-4a87-8f53-315b23018f9a
掲載日:8月1日

ニュース内容

    • 世界で3番目の規模を誇る資産運用会社ステイト・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(State Street Global Advisors, SSGA)は、米国労働省が提示した、年金資産の運用における新たな規制案を批判し、何百万人もの人々の退職所得を危うくしかねないと主張している。(訳者注:年金基金の運用受託者が、純粋に金銭的要因のみに基づいて投資判断を行うべきという考え方に基づく、労働省による規制の強化案。ESG投資商品の組成の条件が厳しくなるとされる。)
    • 「ESG要素の考慮は、良いビジネス慣行であり、(投資先となる企業の)長期的財務パフォーマンスの肝となるものです。我々の顧客のために、長期投資によって得られる価値を追求します。」と、SSGAのLori Heinel女史は言います。
    • SSGAは、インパクト投資(社会貢献の目的をもって行う投資)とESG側面を勘案した投資(気候変動や高額な役員報酬の支払にかかる潜在的財務リスクを考慮した投資)を、労働省が混同しているのではないかと懸念している。その上で、SSGAは、労働省の提案する新規制案は、年金基金運用における「不確実性と法的リスク」を増加させるものだと主張する。
    • 7兆ドル(約740兆円)以上の資産を取り扱う約3,000もの銀行、保険会社、年金基金、およびその他金融機関を監督するニューヨーク州政府金融サービス局は、労働省の新規制案が適用されれば、労働者の退職後所得保証は、守られるよりもむしろ毀損されるだろう、と警告する。

トークンエクスプレス社のひとこと

米国の保守-リベラル対立の局地戦の様相を呈する、年金資金運用に関する労働省の新規制案ですが、その対決の過程で行われる議論を見ると、ESG投資という、国連主導で始まったムーブメントの課題が整理されている感じます。

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本日ご紹介した記事において、SSGA側(ESG投資推進派)は、ESG側面を考慮した投資こそ、受託者責任のある年金資金運用者が長期的なリターンを獲得するために実施すべきもの、という立場で、金銭的に定量化ができる部分のみで投資判断を行うことはその責任を全うしないものである、という立場です。

特にSSGAによる興味深い指摘は、「インパクト投資(impact investing)」と「ESG配慮型投資(ESG integration)」を混同すべきではない、というものです。日本においては、この2つを明示的に区別する必要がある場面はまだ登場しておらず、区別が曖昧なまま用いられている例も散見されます。

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