「ESG格付」「ESGランキング」の課題とESGコンサルタント

本記事では、社会的インパクトと経営管理等について、海外の有識者のオピニオン(原典英語)をご紹介します。

有識者:Nisha Kohli @Consultancy.asia
URL:https://www.consultancy.asia/news/3445/nisha-kohli-on-the-benefits-and-pitfalls-of-esg-investing
掲載日:8月10日

オピニオン内容

    • 過去10年、投資家の間で環境面、社会面、企業統治面へ配慮した投資(ESG投資)への注目が高まっている。そうしたなかで「ESGランキング」といった、簡素化されたESG評価を、投資家はその利便性から利用している。しかし、シンガポールに本拠を置き、ESGに関する企業向けのコンサルティング・サービスを提供しているNichefin Consulting社のエグゼクティブ・ダイレクターであるNisha Kohli博士は、投資家が利用するESG格付とランキングの問題点を以下のとおり挙げている。
      1. ESG評価と測定方法は政府による規制を受けておらず、評価先企業がもつリスクについて開示に不十分な点がある
      2. ESG評価の判断項目は事業の革新性と経済価値について焦点を当てていない
      3. ESGの評価尺度は全てのビジネスに共通して適用されるべきものではない。例えば、保険産業においては二酸化炭素排出に関する尺度は意味をなさない
      4. ESG評価は粉飾をもたらす
    • 資本を配分して社会と経済の便益を向上させることは投資家の社会的責任と言える。企業はESGの視点と、経済的価値の創造および財務パフォーマンスを統合することで、戦略上のブレークスルーを達成しうる。投資家が、そうした企業を特定するには時間がかかり、企業との関係構築が必要となり、投資管理会社のESGアナリストを多く雇う必要があるだろう。
    • そのようななか、独立したESGコンサルタントは、企業と投資家が「共有された価値」を創出するためのギャップを埋める役割を果たす。彼らは、見せかけではない、リアルな、意義深い事業価値を社会にもたらすために重要な役割を果たす。

トークンエクスプレス社のひとこと

ESG投資に関する社会の関心が高まる中で、機関投資家等が、なるべく手間なく、要求されるESGへの対応を行いたいと思うのは自然なことであり、その際に簡便でわかりやすい「ESG格付」や「ESGランキング」等があれば、それを利用したくなるでしょう。それを利用した投資で、投資後特に問題が発生しなければ、コストをかけずにESG投資を実現できたこととなり、その投資家は「上手くやった」と言えるでしょう。

まだ実績の少ないESG投資において、ESG的に優良とされた投資先の、その開示情報に粉飾があった等の大きな問題がまだ発生していないため、ESG格付を利用していた投資家が、受託者責任の瑕疵等で指弾される例も顕在化していません。

しかし、今後ESG投資の実績がでてくるなかで、ESG格付をめぐる課題が世の中に共有されてきた際には、本日ご紹介したオピニオンのように、ESG格付の裏にある企業の取り組みの実態を、投資家自身でも一つ一つしっかりと評価することが必要となる時代がやってくると考えられます。

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