米国証券取引委員会の2020年の検査優先事項:投資顧問業者のESG

本記事では、社会的インパクトと経営管理等について、弊社の最近の考えをご紹介します。

米国の証券取引委員会(SEC)とは

世界を代表する金融国家であるアメリカは、金融監督の仕組も複雑です。証券取引委員会(Securities Exchange Commission, SEC)は、投資家の保護、市場の公正・秩序・効率性の維持、資本形成の促進を使命としている機関です。資産運用業における投資家を保護するための業務を行い、以下の機関の登録・検査・監督を行います。(出典:「諸外国における金融制度の概要報告書」、平成29年3月、金融庁)

    • 投資顧問業者、投資会社
    • ブローカー、ディーラー
    • 証券取引所、自主規制機関
    • 信用格付機関、証券決済機関、清算機関、トランスファー・エージェント

SECの2020年の優先検査対象は、投資顧問業者のESGの取り扱い

SECが開示している”2020 Examination Priorities“(2020年の検査優先事項)という書類によると、投資顧問業者(富裕層に助言し、そのポートフォリオを管理する人または法人。要登録。)が顧客に勧める新しいタイプの投資戦略、例えばESG投資のような、持続可能性をうたう投資や責任ある投資といった類いのもの、に関する正確性や開示の適切性に関して、SECは特に注意深く検査を行うと明記しています。(前掲書15ページ)

前掲の公式のドキュメントとは別に、SECのコンプライアンス検査局は、ESG投資を取り扱う複数のファンドマネジャーにESGの取り扱いに関する管理詳細な書類の提出を要求しているようです。

関連外部記事
ESG-Focused Fund Strategies Face SEC Scrutiny on Disclosures and Internal Procedures
記者:Joshua M. Newville, Kirsten Lapham @THE NATIONAL LAW REVIEW
掲載日:2020年8月25日

SEC検査は業界に秩序をもたらすが、格付業者への依存深化が懸念

「環境」や「社会」や「企業統治」という分野は対象範囲が広く曖昧です。そうした概念を、定量的に厳密な取り扱いを求める金融業界の慣行で同様に取り扱うのは困難ですが、SECはその曖昧さに依存した無責任がないか検査する意向です。

こうした動向はESGの分野の整理が進む可能性があり、現在の無秩序なESG投資の世界の改善につながるので望ましい一方、MSCI等のESG格付業者が提供するESG格付を利用しておけば、とりあえず文句は言われないという業界の慣行が出来てしまう可能性があることを懸念します。

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