ブロックチェーン技術のみでは、新たな信頼のしくみは成り立たない

貿易金融の分野で着々と進む実証試験

ブロックチェーンの活用が期待される分野の一つに、貿易金融の分野があります。

貿易金融は関係者が多いうえに、国境や地理的な距離を乗り越える取引であるため、一般化された伝統的な仕組みから変化することが難しい分野でした。すなわち、一つの取引において何枚、何十枚ものスタンプ付きの紙のやり取りを行い、取引の完了までに複数週間要するような業務プロセスを、過去何十年変わることなく行ってきたのです。

どこかの誰かがより効率的な貿易金融のあり方を提案したとしても、世界中に数多存在する貿易金融の関係者の賛同を取りつけ、実際にその新方式に対応してくれなければ、効率化が実現できない分野だったのです。

ブロックチェーンは、ビットコインの例でわかるとおり、システムが持つ耐改竄性と、二重支払いを防止する仕組上の性質から、社会の「信用」にかかる仕組みに変革をもたらす可能性があるため、ブロックチェーンの登場によって貿易金融が革新することが期待されています。実際に石油や鉄鉱石の国際取引においてブロックチェーン活用事例が出てきています。

関連プレスリリース
Vale completes its first sale of iron ore using blockchain technology with Nanjing Iron & Steel
(ブラジルの総合資源開発企業ヴァーレ、南京鋼鉄の関連企業とのブロックチェーンを用いた鉄鉱石取引を完了)
掲載日:9月4日

今回のブロックチェーン取引は、この分野での代表格と言える、Contourというブロックチェーン企業のプラットフォームを利用しています。

伝統を革新するには、技術のチカラだけでは足りない

貿易金融はIT技術が発達した現代においては、前時代的に見る部分が多く存在するため、ブロックチェーンが契機となって非効率さが改善するというのは美しいストーリーに見えます。

しかしながら、ブロックチェーンによって伝統的な仕組みが置き換わるかどうかは、ブロックチェーンという技術が持つ仕組み、耐改竄性と二重支払いの防止機能のみによって決まるわけではありません。

その本質は、そのブロックチェーン・プラットフォームが、誰によって開発されているのか、誰がその開発を管理・監視しているのか、運用体制がどのようになっているのか等の、「統治機構」が信頼可能かどうかという社会的な側面にあります。

貿易金融ブロックチェーンの代表格であるContourには、社会的信用のある多数の企業(ベイン・アンド・カンパニー、バンコク銀行、BNPパリバ、HSBC、ING、SEB、R3、クリプトBLK、CTBCベンチャー・キャピタル)が資本を提供しています。その信用力があるからこそ、ご紹介したヴァーレと南京鋼鉄との実証試験等も実施されています。

もちろんブロックチェーン技術がもつ耐改竄性と二重支払いの防止の仕組は、貿易金融が革新されるためのキー技術です。しかし、それは極めて局所的な技術的側面であり、それが広く慣行を変えるためには、プラットフォーム開発・運営体制の社会的信用という、極めて伝統的な要素も必要となる点を見逃してはいけません。

トークンエクスプレス株式会社では、国内外の持続可能な社会づくりに寄与する事業・プロジェクトの企画、構築、運用サービスを提供しています。ブロックチェーン技術に知見がありますが、その利用を前提とするものに限りません。
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