年金基金のESG重視が深化する背景

以下の記事で、ブラジルに拠点を置く食肉生産加工業者JBS S.A.社が、持続可能な社会づくりに十分な責任を果たしていないという投資家視点により、株価が低迷しているというニュースをご案内しました。具体的に同社への投資を手控えるようになったノルウェーの年金基金が存在することもご紹介しました。

ESGの株式市場への浸透、それを示す株式銘柄

ESGについて情報を収集すると、よく年金基金の投資方針の話に当たります。多くの場合、年金基金が中長期での投資リターンの最大化のためにESGの観点を入れなければならないから、と説明されます。

例えば、運用総資産が1.2兆円にのぼるオランダの31の年金基金の90%は、少なくともESGの観点から投資を避けるべき石油やガス、武器などの特定の企業やセクターを投資対象から除外しているようです。

Survey: Dutch pension funds accuse asset managers of greenwashing
(オランダの年金基金たちは、資産管理者たちのグリーンウォッシングを訴える)
記者:TJIBBE HOEKSTRA @IPE
掲載日:9月16日

年金基金が中長期での投資リターンを最大化するモチベーションを持つのは、運用期間が長い投資主体として当然です。また、ESG投資が中長期的に良好なリターンをもたらすようになってほしいという「期待」もわかります。しかし、ESG配慮が中長期的に良いリターンをもたらしてほしい、という期待で投資できるほど、年金基金の資産運用は甘いものではないでしょう。

そこにはまだロジックのピースが欠けているように見えます。

私はそのロジック・ピースは、グローバルな大企業がもたらす、正負両面の社会的影響が、無視できないほど大きくなったという背景があるのではないかと推察します。上述のJBSの事例などがまさにそうで、彼らの肉牛の調達能力が、アマゾンの森林の縮小をもたらすほどの社会的影響力を持つに至ったということが、年金基金のESG重視の背景にあると思います。年金基金は、それほどの力を持つ企業たちが、その力を持続可能な形で運用する組織を有しているのかという観点で、その企業の株式価値を見ているのではないでしょうか。

グローバル化の進展により、資本主義の世界のなかで企業が、社会課題に直接の影響を与えうるほどにまで力を持つに至った。そういうマクロな時代背景が、年金基金のESG重視が深化する背景にあるのではないかと考えます。

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