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SDGs12の取り組み事例4選!製品デザインとビジネスモデル

最近CMでも聞くようになった「SDGs」を知っていますか?
日本企業が続々と経営戦略に取り入れるようになってきましたが、具体的に何をすればいいのかわからない人も多いのではないでしょうか?

SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とは2015年に国連によって定められた17の目標です。その特徴は、貧困削減や飢餓の撲滅など主に低所得国に関係する項目の他に、ジェンダー平等や気候変動など先進国も含めた世界全体が取り組むべき項目が取り入れられていることです。

その中でも目標12「つくる責任、つかう責任」企業に関係の深い目標の1つで、次々と自社の経営に取り入れるようになっています。

そこで、この記事ではSDGs目標12に焦点を当て、目標12を達成する上で鍵となるサーキュラー・エコノミー(循環型経済)の考え方を説明しつつ、日本企業が実際に行っている取り組み事例を紹介します。

目次

  1. SDGs目標12と”サーキュラー・エコノミー”
  2. 目標12を経営に取り入れる!製品デザインとビジネスモデル事例
  3. まとめ

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1.SDGs目標12と”サーキュラー・エコノミー”

SDGs目標12とは?

SDGs目標12は「つくる責任、つかう責任」というキャッチコピーで「持続可能な生産消費形態を確保する」ことを目指しています。具体的には、先進国が取り組みをけん引する形で、自然資源の持続可能な管理(マネジメント)、食料ロス の削減、廃棄物のリサイクル、空気・水・土壌汚染削減への取り組み目標を定めています。詳しい内容は国連広報センターのページ を、小目標日本語訳は本記事最後※を参照してください。

SDGs-logo-Goal-12

参考資料:国連広報センター

目標12ロゴの意味:”サーキュラー・エコノミー”

目標12のロゴを見ると矢印が循環し、無限のループになっている様子がわかります。これは循環型経済(サーキュラー・エコノミー)を示しています。

サーキュラー・エコノミーとは資源の循環を遅らせること(廃棄までの時間を長くする等)と、循環を閉じること(廃棄物を資源とする等)を指し、地球が保持しているキャパシティを超えない範囲での経済成長を目指す概念です。

参考:Bocken, N.M.P.; de Pauw, I.; Bakker, C. and van der Grinten, B. (2016) ‘Product design and business model strategies for a circular economy’, Journal of Industrial and Production Engineering 33.5: 308-320

現在起こっている気候変動や生態系の破壊は、人間の経済活動が地球の持っている再生能力を超えていることを示しています。サーキュラー・エコノミーは経済成長を抑制する概念ではなく、従来の「作る、使う、捨てる」の直線的な生産・消費形態に対して、循環型の経済を推進し、長期的に地球環境を保全しつつ、経済成長を目指す考えです。

具体的には「資源の循環を遅らせる」とは直線的な生産・消費形態であっても、使用できる期間を長くしたり、繰り返し使ったりして生産と消費のサイクルを長くすること、「資源の循環を閉じる」とはリサイクルや廃棄物を再利用することで、資源を「ゆりかごからゆりかごへ」循環させることを指します。

環境保全に対する消費者意識の向上

スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんを始めとして、若者世代での環境意識は高く、この傾向は今後も強まっていくと考えられます。これは人々の消費行動にも影響し、環境に配慮しているかどうかで会社や商品を選ぶ傾向は今後、強まっていくでしょう。

今では環境に配慮した製品やビジネスモデルを作り出すことは企業の生き残り戦略の1つです。日本でも多くの民間企業が環境に配慮した製品やビジネスモデルを生み出しています。ここからは、4つのサーキュラー・エコノミーのモデルに当てはめて事例を紹介します

2. 目標12を経営に取り入れる!製品デザインとビジネスモデル事例

サーキュラー・エコノミーを実践する具体的な方法は、上でも説明した通り、「資源の循環を遅らせる」ことと「資源の循環を閉じる」ことの2つの方法があります。資源の循環を遅らせるためには、耐久性のある製品デザインや製品を繰り返し使うビジネスモデルを生み出すことが必要です。資源の循環を閉じる方法はリサイクルや廃棄物の再利用を通じて、今ある資源を最大限活用することが重要です。ここでは、「循環を遅らせる」方法と「循環を閉じる」方法のそれぞれについて、実際の事例を紹介します。

「資源のサイクルを遅らせる」事例2選

「資源のサイクルを遅らせる」といっても具体的にはどのようなアプローチの仕方があるでしょうか?例えば以下のような例が考えられます。

「資源のサイクルを遅らせる」製品デザイン例
      • 耐久性を高めて、使用期間を長くする
      • ギフト用など思い出深い商品として売り出し、長期的に愛用してもらう
      • メンテナンスや修理をしやすくする
      • ハードウェアを替えなくてもよいように、ソフトウェアなどの更新をしやすくする
      • 充電器を共通のものにするなど他の製品との併用をしやすくする
「資源のサイクルを遅らせる」ビジネス戦略モデル例
      • シェアリング・エコノミー:カーシェアリング、ランドリー、携帯電話や洋服の貸し出し
      • リユース:顧客が使い終わった製品を店に戻し、現金等を受け取る

少しイメージがつきやすくなったでしょうか?ここからは、このような考え方を具体的にビジネスに取り入れている具体的な事例を2つ見ていきましょう!

事例1:サイクルを遅らせる製品デザイン:耐久性を上げて長く使う(パナソニック)

始めに紹介するのは、耐久性を上げて消費者に1つの商品を長く使ってもらうための製品です。パナソニックのノートパソコンの「レッツ・ノート」は高額パソコンであることで有名ですが、毎日持ち運んでも頑丈であること、愛用年数が6.04年という長期間であることが特徴的 です。

耐久性を高めることで、故障や早期の買い替えを防ぎ、結果的に消費~生産サイクルを遅らせることができます。また、消費者に長く愛用してもらうには、製品に愛着をもってもらうことが重要です。高い値段設定によってむしろ、消費者は製品に愛着を持ち、長期的に渡って同じ製品を愛用するようになります。さらには、レッツ・ノートにはメモリー容量などのスペックや天板の色などのデザインをカスタマイズできるサービスもあります。

Working on laptop computer

事例2:サイクルを遅らせるビジネス戦略:リユースで必要な人に服を届ける(ユニクロ )

次は、資源のサイクルを遅らせるビジネス戦略について紹介します。資源のサイクルを遅らせるとは、ビジネス戦略に工夫を加えることで、製品の使用期間やリユースの割合を高めることを指します。

ここでは事例として、ユニクロのリユース・システムを紹介します。ユニクロでは店舗で着なくなった服を回収し、国連難民高等弁務官事務局(UNHCR)や世界のNGOやNPOとともに、世界で服を必要としている人たちに届けています。また、リユースできない服を仕分けし、それらは燃料や防音材として加工・リサイクルしているようです。

H&MやZaraなどのファストファッション企業はたびたび、低所得国にある工場の労働環境の悪さや環境に配慮しない生産と消費(つくる、つかう、捨てる)が問題になってきました。ユニクロは質のいい製品と環境にいいモデルをアピールすることで、批判されてきた外国企業との差別化を図っています。

「資源の循環を閉じる」事例2選

次は「資源のサイクルを閉じる」ためのビジネスアイディアを見ていきましょう。こちらの方がなじみがあるかもしれませんが、実際に導入するとなると初期投資が比較的高くなりますね。いったん導入してしまえば、長期的な企業価値の向上を見込むことが出来そうです。

資源のサイクルを閉じるデザイン・ビジネス戦略例
      • 技術的にリサイクルできる製品
      • 土へ還る製品
      • 解体しやすく、組み立てやすい製品

それでは、具体的にはどのように自社のビジネスに応用できるでしょうか?日本企業2社の事例を見ていきましょう!

事例3:サイクルを閉じる製品デザイン:土に還るプラスチック(GSアライアンス )

資源のサイクルを閉じる製品デザインをご紹介します。兵庫県に本社を置く会社であるGSアライアンス株式会社ナノ・サクラ という100%天然バイオマス系素材の生分解材料でできたプラスチックを開発しました。会社HPによると、

セルロースナノファイバーや植物、木材、廃木材、間伐材、竹、古紙などの、あらゆるバイオマス系リサイクル材料を複合化させた生分解性樹脂材料や、デンプン、及び非可食性バイオマスであるセルロース系の生分解性樹脂など、NANO-SAKURA には、さまざまな種類の新素材があります。

これにより、石油の使用料ゼロ、生産・使用・廃棄の過程でCO2の排出ゼロを実現しています。現在、海に捨てられたプラスチックごみが生態系を壊し、細かくなったマイクロ・プラスチックが私たちの食す魚介類の中に入っていることなどが注目を集め、次世代の環境にいいプラスチックが求められています。

そのほかにも、資源のサイクルを閉じる、つまり製品をリサイクルできるようにするデザインには以下の特徴があります。

Underwater global problem with plastic

事例4:サイクルを閉じるビジネス戦略:茶殻リサイクル(伊藤園)

資源のサイクルを閉じる、つまり、廃棄物の活用やリサイクルを通して資源を循環させる事例を紹介します。

伊藤園では3R(リデュース、リユース、リサイクル)に取り組み、廃棄物の削減に努めています。その一例として、茶殻を資源に変える「茶殻リサイクルシステム」があります。伊藤園のHPによると、

製造工程で排出される茶殻の大部分は堆肥や飼料として再利用していますが、さらに伊藤園では独自の「茶殻リサイクルシステム」を開発しました。茶殻の一部を紙製品・建材・樹脂などに配合し、協力企業でさまざまな製品を製造販売しています。これにより原材料の使用量が削減でき、省資源化が図れます。
また茶殻を、水分を含んだまま、紙などの資材に配合するため、茶殻乾燥時の石油資源消費などに伴うCO₂発生が抑制され、省資源・CO₂ 削減・リサイクルという3つの環境配慮の特色があります。

廃棄物をまだ使える資源とみて、循環させることで、資源のサイクルを閉じることに成功しています

まとめ

いかがでしょうか?ここでは、SDGs目標12に関連するサーキュラー・エコノミーの概念とそれに実際に貢献している日本企業の事例を4つ紹介しました。資源のサイクルを遅らせる、または資源のサイクルを閉じる製品デザインとビジネスモデルの中には自社で活用できそうなものはありましたでしょうか?

今回は事例を紹介しましたが、SDGs達成に向けた取り組みには、決まりきった正解がある訳ではなく、場所や状況、企業の規模や性質に合わせ、柔軟な取り組みが必要です。また、そのような取り組みの効果を科学的に評価し、常に改善し続けることも重要になってきます。

例えば、持続可能な(サステナブルな)サプライチェーン構築やプラスチックの不使用に積極的に取り組んでいるユニリーバのHPでは、自社のSDGsに対する取り組みの達成度合いを可視化し、消費者に分かりやすく開示しています。

uniliver-sdgs-disclosure-website
この例では「2020年までに農業製品を100%サステナブルに調達する」という目標に対して、62%しか達成できていないことを示しています。その中でも、パーム油、フルーツと野菜の調達が100%サステナブルではないようです。(ユニリーバHPを筆者がスクリーンショット(2020年10月14日時点))

ユニリーバの事例のように、自社の取り組みが定量的に、かつ透明性高く開示されている状態は、外部から自社への信頼感の獲得につながります。さらに、自社の社員がそこで働くことに誇りと納得感を持つことにもつながります。

適時正確な情報を開示するのは容易なことではありませんが、持続可能な社会のための貢献を、本業とは異なる「おまけ」事業ではなく、本記事でご紹介したようにビジネスの一部として取り組むことで、可能となるでしょう。

弊社サービスでこんなことができます

トークンエクスプレス株式会社は、「『社会的価値』を、ビジネスのチカラに。」をスローガンに、企業様向けに、社会的価値をもちいた経営強化サービスをご提供しております。記事内でご紹介した事例のような取り組みを、既存のビジネスと一貫させ、利益を出すものとするための施策をご提案できます。ご関心ある方はぜひ「お問い合わせ」よりお気軽にご連絡ください
※SDGs 目標12 小目標 日本語訳

12.1
持続可能な生産消費の10年枠組みを実行する。全ての国々が行動を起こし、特に先進国が取り組みをけん引し、途上国の発展や可能性を考慮する
12.2
2030年までに自然資源の持続可能なマネジメントと効果的な使用を達成する
12.3
2030年までに世界全体で小売りと消費者レベルでの1人当たりの食糧廃棄を半分にし、収穫後の作物のロスを含む生産とサプライチェーンにおける食糧ロスを削減する
12.4
2020年までに、合意された国際枠組みに基づき、化学製品やすべての廃棄物のライフ・サイクルにおいて環境にいいマネジメントを達成する。人の健康と環境への影響を最小限に抑えるために、空気、水、土壌への放出量を減らす。
12.5
2030年までに予防、削減、リサイクル、リユースによって廃棄物の量を大幅に減らす
12.6
民間企業、特に大企業や多国籍企業に持続可能な実践と報告書に持続可能性に関する情報を盛り込むことを促す
12.7
持続可能で国の政策や優先事項に合った公共調達の実践を促進する
12.8
2030年までに、すべての人々が持続可能な発展と自然と協調したライフスタイルに関連する情報と意識を持つ
12.a
途上国が科学的、また技術的な能力強化をし、より持続可能な消費と生産形態に移行できるようサポートをする
12.b
雇用を創出し、地域の文化と製品を継承する持続可能な観光のために、影響をモニタリングできるツールを開発、実行する
12.c
国の状況に応じて、税システムの再構築や有害な補助金の段階的な撤廃などによって市場の歪みを取り除くことで、無駄な消費を促す化石燃料補助金の非効率性を合理化するとともに、環境への影響を反映し、途上国の特定のニーズと状況を十分に考慮し、貧困層や影響を受ける地域社会を保護する方法で開発に及ぼす悪影響を最小限に抑える。