中国アント・グループ、中小企業の国際送金のためのブロックチェーン

以前本ブログでご紹介しましたが、中国のアリババ傘下のアント・グループは、ブロックチェーン技術を利用した金融プラットフォームの提供を通じて、国際送金の革新を目指しています。

関連記事
アント・フィナンシャル、パキスタンのマイクロファイナンス機関にブロックチェーンの国際送金サービスを提供
(本ブログ2月19日記事)

以前ご紹介した記事は、アントが提供するプラットフォームが、個人間の国際送金を簡便で安全にする、という内容でした。例えば、マレーシアに出稼ぎに出ているパキスタン人の自国への送金が簡便になる等です。

一方、アント・グループは最近、同社のブロックチェーン技術を用いた、企業間の国際取引のための金融プラットフォームを新たに提供すると発表しました。

関連外部記事
Ant Group Launches “Trusple,” an AntChain-Powered Global Trade and Financial Services Platform for SMEs and Financial Institutions
(アント・グループがAntChainを活用した”Trusple”という中小企業および金融機関向けの国際貿易金融サービスを発表)
メディア:businesswire
掲載日:9月25日

地理的な距離や国境が関係のないブロックチェーンにとって、国際送金は得意分野と言えます。

一方、ブロックチェーンが革新的な機能(ソリューション)を提供しても、金融サービスとして成り立つためには、実在の”人”とサービスとの接点の利便性をいかに向上するかや、既存の規制にいかに対応するかなど、解消しなければならない課題は山のように存在します。

本日ご紹介したアント・グループのプレスリリースには、プロダクトの機能の説明が多く、その「ビジネスモデル」に関する情報がほとんど含まれていません。個人間の送金や、中小企業間の金融など、多様なサービスを打ち出すアント・グループは、まさにブロックチェーン技術が活きるビジネスモデルを模索中なのではないかと想像します。

トークンエクスプレス株式会社では、国内外の持続可能な社会づくりに寄与する事業・プロジェクトの企画、構築、運用サービスを提供しています。
ブロックチェーン技術に知見がありますが、その利用を前提とするものに限りません。
ご関心ある方は、お問い合わせページからお気軽にご連絡ください。

発展途上国と先進国をつなぐ取り組み、ブロックチェーンは特異点か

本日、ブロックチェーン技術の専門家やブロックチェーン企業のビジネス部門の方、そして国際開発のエキスパートたちが一同に会し、途上国開発における同技術の活用可能性について議論するという、大変エキサイティングな場に出席させていただきました。

その議論は、普段あまり接点のない業界の方々同士の出会いの場であったことから、貴重な気づきが多くありました。

ブロックチェーン技術は日々進化しています。技術者たちはその技術の進化に貢献するために常に腕を磨いています。一方で、持続的な社会づくりのためにブロックチェーンが活きる機会は、技術そのものとは離れた社会の中にあります。そうした機会をみつけられるのは、日々社会の課題と向き合っている専門家たちです。

このように異なる分野の専門家たちの間に、ギャップが生まれてしまうのは致し方ありません。しかし、真に社会をより良くするためには、そのギャップを埋める仲介者が存在するべきです。そうした仲介者の重要性について、つい最近のForbesの記事が指摘していました。

関連外部記事
Iris Scans, Hydroponics And Blockchain: How Innovation Is Helping Fight Global Hunger
(虹彩スキャン、水耕栽培そしてブロックチェーン:どのようにイノベ―損が世界の飢餓との闘いに貢献するか)
記者:David Vetter @Forbes
掲載日:9月22日

上記記事において、開発途上国の新興企業と先進国のメンターとのマッチングの場を提供する機会の提供者として、国際連合世界食糧計画(World Food Program, WFP)のInnovation Acceleratorプログラムが紹介されています。

国際開発機関が、開発途上国に所在する主体と、先進国の主体とをつなぐ機会を提供する取り組みは過去も現在も数多く存在します。しかし、社会の在り方に変革をもたらしうるブロックチェーン技術について言えば、当該技術が社会をより良く変えるチャンスを知る専門家と、その技術の専門家とは、その潜在的な相性がいいにも関わらず、ギャップが大きくなりがちです。そのため、両者のマッチングの機会提供は、他のコンビネーションよりも、費用対効果が大きいものと言えるかもしれません。

トークンエクスプレス株式会社では、国内外の持続可能な社会づくりに寄与する事業・プロジェクトの企画、構築、運用サービスを提供しています。
ブロックチェーン技術に知見がありますが、その利用を前提とするものに限りません。
ご関心ある方は、お問い合わせページからお気軽にご連絡ください。

食品追跡でのブロックチェーン、鍵となるチェーンの”ガバナンス”

以前本ブログにて、イタリア産トマトの品質向上のために、ブロックチェーン技術を用いる予定の事業をご紹介しました。

関連記事
イタリア:300以上の農業企業が参加するトマトのトレーサビリティ
(本ブログ7月28日記事)

こちらの事業では、VeChainという中国発のブロックチェーンが活用されています。VeChainというブロックチェーンは、非営利財団によって開発・運営される、”自称”パブリックチェーンです。

パブリックチェーンとは、一般的には、誰もが参加でき管理者が存在しないネットワークのことを指します。パブリックチェーンではないブロックチェーンには、コンソーシアムチェーンやプライベートチェーンなどがありますが、それらは管理者が単数または複数で存在するものとなります。

上記のVeChainは、パブリックチェーンをうたいますが、実際には非営利財団が身元確認を行ったものでないと一定の権限が持てないなど、複雑な統治機構を持ちますので、ビットコインやイーサリアムのような、一般的にイメージするパブリックチェーンとは異なるものと考えていいでしょう。

食品トレーサビリティの分野では、上記のVeChainの他に、Hyperledgerというブロックチェーンも有名です。こちらはLinux財団というオープンソース界で有名な非営利団体が主導する事業です。

Hyperledgerは、企業利用を想定したコンソーシアムチェーンとして開発されています。コンソーシアムチェーンというと、パブリックチェーンよりも「閉じられた」イメージがありますが、Hyperledger事業に参加している企業の質・量が、VeChainよりも圧倒的なので、その開発・運営の信頼性は高いです。

ブロックチェーン技術はまだまだ進化の途上にあります。進化の過程において、今後も大きな技術仕様の変更等も起こりえるでしょう。そのような技術仕様の変更リスクのコントロールを行うのが、ブロックチェーン・ネットワークの開発・運用における”ガバナンス”(統治機構)です。

食品トレーサビリティは多くの企業や生産者が関係する事業となりますので、ネットワークの開発・運営主体の都合でプロジェクトが振り回されるようなリスクは、最小限にしなければなりません。

すなわち、食品トレーサビリティの事業においては、活用するブロックチェーン・ネットワークの運営の信頼性や安定性、すなわち”ガバナンス”の信用度を見ることは必須と言えます。

トークンエクスプレス株式会社では、国内外の持続可能な社会づくりに寄与する事業・プロジェクトの企画、構築、運用サービスを提供しています。
ブロックチェーン技術に知見がありますが、その利用を前提とするものに限りません。
ご関心ある方は、お問い合わせページからお気軽にご連絡ください。

教育分野のブロックチェーン利用、盲点とその重要性

教育分野へのブロックチェーン技術の利用は、今世界中で注目を集め、様々な試みが行われている分野です。

関連記事
米国教育協議会によるブロックチェーン活用に関するレポート
(本ブログ6月13日記事)

特に、学位管理をブロックチェーン上で管理するという試みは、学位詐称・偽造が社会課題になっている国ほど積極的に取り組んでいます。

日本においては学位詐称・偽造は社会問題としては認識されていませんが、例えばイギリスではHigher Education Degree Databookというイギリス政府公認の中央集権型の学位認定システムが存在します。

学位詐称・偽造という問題は、特に企業の採用における課題という側面に注目されがちですが、もう一つ学位供給者側にとってもニーズがあるという側面も、盲点となりがちですが見過ごすべきではないと思います。

学位管理は、大学等の教育機関が負うべき責務です。その卒業生が進学や就職に当たり、一人当たり複数回にわたって教育機関に対して学位証明書の請求を行うことを考えれば、教育機関側の事務業務の負荷は大きなものとなります。

また、学位の偽造を行う業者などが存在した場合には、それへの対策も基本的には教育機関側が行わなければなりません。そのコストも大きなものとなります。

そうした課題に対して、イギリスのように中央集権的な学位管理システムを設けられればそれは一つの解になりますが、ブロックチェーンのように各教育機関が自ら管理できるツールを提供することで分散的に学位詐称・偽造の対策を行うというのは、これからの時代にはより良い選択肢となると考えます。

なお、日本においても、慶應大学がすでにブロックチェーンによる学位管理の実証研究を始めています。

関連外部プレスリリース
ブロックチェーンによる学生の個人情報管理プラットフォームを共同開発(STARプロジェクト)
発信者:慶應大学
掲載日:2020年8月1日

この学位詐称・偽造への対策といった、教育機関全体で取り組めば教育機関も企業も個人も皆メリットを得られる類の社会的事業においては、ブロックチェーン技術の持つ力が大いに役立ちます。

トークンエクスプレス株式会社では、国内外の持続可能な社会づくりに寄与する事業・プロジェクトの企画、構築、運用サービスを提供しています。
ブロックチェーン技術に知見がありますが、その利用を前提とするものに限りません。
ご関心ある方は、お問い合わせページからお気軽にご連絡ください。

持続的社会のためのブロックチェーン利用、リーダーの条件

最近では、持続可能な社会づくりのためにブロックチェーンが役立つのではないか、という視点を紹介する記事も増えてきました。

関連外部記事
How Will Blockchain Technology Be Leveraged To Solve Un’s 17 Sustainable Development Goals? Can It Help Solve The World’s Most Pressing Social And Environmental Problems?
記者:Richard Kastelein @Blockchain News
掲載日:9月17日

こうした記事が増えるのは大変喜ばしいことです。まず目指すもののイメージが共有されることで、仲間を集め、実験を始めることが可能です。

しかし、いざ始めようとした時に、どのように始めるかで、多くの人は立ち止まってしまうのではないでしょうか。ブロックチェーン技術は、持続可能な社会のための活用においては、利害を超えた関係者が、共通の目的のために結集することで、これまで実現できなかった価値を生み出すことをサポートする技術です。

技術そのものよりも、現実世界における調整が大きなチャレンジになる技術、それがブロックチェーン技術です。すなわち、ブロックチェーン技術の価値は、そのプロジェクトを率いるリーダーの力量によって引き出されるものだと言い換えることもできます。

持続的社会のためのブロックチェーン利用におけるリーダーの条件としては、現実世界において多様な関係者を巻き込めることと言えます。具体的には、公的な責任を持っている機関(政府機関、自治体等)、持続的な社会づくりを使命としている機関(NPO, NGO等)、そしてサプライチェーン等において要となる役割を担っている企業(広範な顧客接点を持つ企業等)ということになるだろうと考えます。

トークンエクスプレス株式会社では、国内外の持続可能な社会づくりに寄与する事業・プロジェクトの企画、構築、運用サービスを提供しています。
ブロックチェーン技術に知見がありますが、その利用を前提とするものに限りません。
ご関心ある方は、お問い合わせページからお気軽にご連絡ください。

開発金融機関が後押し、貿易金融におけるブロックチェーン利用

先日、本ブログにて貿易金融におけるブロックチェーン実証が進んでいる旨ご紹介させていただきました。

関連記事
ブロックチェーン技術のみでは、新たな信頼のしくみは成り立たない
(本ブログ9月8日記事)

先日ご紹介した事例は、ブラジルの資源開発企業のヴァーレと、中国の南京鋼鉄の関連企業との鉄鉱石取引における信用状取引部分において、シンガポールのブロックチェーン企業Contour社が提供するプラットフォームが活用された、という事例でした。

本日ご紹介する事例は、スタンダードチャータード銀行タイと、ベトナムのベトナム投資開発銀行との間の5万ドル分の輸出に係る信用状取引を、Contourの提供するブロックチェーン・プラットフォーム上において実施するものに、アジア開発銀行(Asian Development Bank, ADB)が信用保証を出したものです。

関連プレスリリース
ADB Conducts its First Credit Guarantee Using Distributed Ledger Technology for Trade Finance
(貿易金融における分散台帳技術の適用に、ADBとして初めて信用保証を提供)
発信者:ADB
掲載日:9月11日

今回の取引は5万ドル規模と、とても小規模な取引です。開発金融機関がブロックチェーン技術を用いた信用状取引に信用保証を出すという「挑戦」においては、規模の小ささ仕方のないことだったと言えるかもしれません。なお、先日ご紹介したヴァーレと南京鋼鉄との取引は、鉄鉱石176,000トン分の鉄鉱石取引は、約2,130万ドル規模の取引と考えられますので、その比較でみると今回の規模の小ささがお分かりいただけると思います。

ただ、開発金融機関が一つ実績を作ったというのは大きな意味があり、今後、中南米、欧州、アフリカの各地にも存在する開発金融機関たちに、ブロックチェーンを活用した信用状取引への信用保証の付与依頼が舞い込むこととなるでしょう。

トークンエクスプレス株式会社では、国内外の持続可能な社会づくりに寄与する事業・プロジェクトの企画、構築、運用サービスを提供しています。
ブロックチェーン技術に知見がありますが、その利用を前提とするものに限りません。
ご関心ある方は、お問い合わせページからお気軽にご連絡ください。

食品の損失と廃棄物問題に立ち向かう、世界とテクノロジー

食品廃棄の現場で抱いた感情

先日、あるカフェでコーヒーを買いました。受取コーナーでソイラテを受け取り、そのすぐ横にあるごみ箱に、レシートを捨てようと近づきました。すると、お爺さんと言えるくらいの年齢の男性が、買ったばかりのコーヒーを、勢いよく1/3ほど捨てているのを見てしまいました。カップのサイズはトールサイズという、真ん中くらいのサイズです。

私はギョッとしてしました。恐怖心すらありました。量が多いなら、ショートサイズというもう一つ小さなカップサイズを注文すればよかったのに、なぜトールサイズを買って、買ったそばから一部捨ててしまうのか。

冷静になって、なぜ自分はギョッとしたのか考えました。自分なりの答えとしては、飲食物という、そのお爺さんの手元にたどり着くまでに多くの人が付加価値を積み重ねてきたものを、ためらいなく捨ててしまう心理に同調できなかったためではないか。そして、もっとマクロ的な視点では、ある人にとっては価値があるものであっても別の人の基準で価値がないものは廃棄されるという残酷な現実に触れたためではないか、という2つの理由が思い浮かびました。

後者の、ある人にとっては価値があっても他の人には価値がないという差異がもたらす社会的な課題として、食品の損失と廃棄物の問題があります。

食品の損失と廃棄物の問題

食品の損失と廃棄物の問題は国連が定める「持続的な開発目標(SDGs)」のゴール12にも関係する問題です。国連機関の一つである食糧農業機関(FAO)は、世界の食品の約1/3または30%が毎年失われているか無駄になっていると2011年に示唆しています。

そうした食品損失と廃棄物の問題の解決に、ブロックチェーンをはじめ最新のテクノロジーが役立てる可能性が指摘されています。

関連外部記事
Tackling global food waste: towards a smarter supply chain
(食品廃棄物への挑戦:よりスマートなサプライチェーン)
記者:Julie Vargas, Avery Dennison Corporation @Grocery Dive
掲載日:9月15日

食品のトレーサビリティ(追跡可能性)へのテクノロジーの活用は米国政府にも注目されており、アメリカ食品医薬品局(FDA)は食品安全性に確保のための施策として、人工知能、モノのインターネット(IoT)、センサーテクノロジー、そしてブロックチェーン技術の活用をあげています。

関連外部記事
New Era of Smarter Food Safety Blueprint
(よりスマートな食品安全政策の新時代)
発信者:FDA
掲載日:2020年7月13日

FDAが記事で取り上げているのは食品安全に関するものであり、食品の損失と廃棄物の問題とは異なりますが、両者は密接に関係するものです。(食品汚染の可能性がある際に、その廃棄の範囲の特定によって廃棄量を減らす等。)

グローバルにもローカル(国レベル)でも、食品サプライチェーンのよりスマートな管理による、社会課題解決への挑戦が進められています。

トークンエクスプレス株式会社では、国内外の持続可能な社会づくりに寄与する事業・プロジェクトの企画、構築、運用サービスを提供しています。
ブロックチェーン技術に知見がありますが、その利用を前提とするものに限りません。
ご関心ある方は、お問い合わせページからお気軽にご連絡ください。

テック企業の社会的事業の好事例(IBMブロックチェーン教育)

SDGsに対する注目が、世界でも日本でも高まっています。

多くの日本企業が、すでに自社内にある取り組みのうち、国連が定めているゴールおよびターゲットに当てはまるものをアピールしている姿をよく見かけるようになりました。

そのようななか、欧米の大企業の中には、自社の営利事業に寄与しつつ社会的にも大きな貢献効果を発揮する(社会的なインパクトをもたらす)事業を構築している、優れた事例があります。

テック系企業が社会的事業として教育分野に携わるのは、広く見られるものです。AppleもAdobeも、学生向けの特別料金は用意されていますし、Googleはアフリカの学校向けにChromeブック(Googleが提供するノートパソコン)を配布したりしています。

そのようななか、最近発表されたIBMのコロンビアにおけるブロックチェーンの教育事業は、壮大な取り組みです。「ブロックチェーンとデータの透明性にかかる9つのプロジェクト」と銘打たれたこのプロジェクトは、大学との基盤技術の最先端の研究から、新興企業のインキュベーション、IBMの専門家の大学生の授業への参加とインプットの提供など幅広く展開されています。これらの取り組みを通じて、ブロックチェーンに関するコロンビアの技術的国力を底上げしようという取り組みです。

もちろんこれらの活動に、IBMの推すブロックチェーン技術の普及や、コロンビアの「頭脳」の利活用など、「下心」は確実に存在します。しかし、すぐに売上につながらないけれども社会的に価値のある教育分野において、しっかりとまとまった投資をするという姿勢は、伝統ある大企業の社会的活動における、一つのお手本となるのではないでしょうか。

トークンエクスプレス株式会社では、中規模企業(従業員100人から300人程度の企業)の経営者様に、経営の可視化に関するサービスをご提供しています。ご関心ある方は、お問い合わせページからお気軽にご連絡ください。

ウォルマートが示す、ブロックチェーンによる小売事業者の業務効率化

ブロックチェーン技術は、ビットコインという事例とともに世の中に紹介されたため、中央銀行デジタル通貨など目立つユースケースに注目が行きがちです。しかし、ブロックチェーン技術の本質は新しいデータの管理方法を可能にする技術ですので、業務効率化など、比較的地味な分野でも、中央銀行デジタル通貨と同様に大きな力を発揮することができます。

米国最大の小売企業であるウォルマートは、マンゴーと豚肉のサプライチェーン追跡のシステムをIBMとともに構築するなど、かねてからブロックチェーン技術の利用に積極的な企業です。そのウォルマートから、小売業界が注目するユースケースのニュースがでました。

関連外部記事
Walmart Canada leverages blockchain to solve a billing nightmare
(ウォルマート・カナダ、請求書処理問題の解消にブロックチェーン利用)
記者:John G Smith @trucknews.com
掲載日:9月11日

ウォルマートのカナダ担当部門であるウォルマート・カナダは、長年の物流パートナーであるバイソン・トランスポート社との間の請求プロセスにおいて、ブロックチェーン技術を用いた効率化を行いました。バイソンからウォルマートに対する請求書の処理プロセスにおいて、これまでその請求内容の複雑さや請求量の多さから、ウォルマートからバイソンへの支払に遅れが生じがちだったところに、ブロックチェーンを用いた解決策を適用したのです。

具体的には、以下のこのリンク先のビデオにあるとおり、請求額が計算されて請求書となりウォルマートに届けられ、バイソンがウォルマートから支払いを受けるまでの各プロセスにおいて、随時ブロックチェーン・プラットフォーム上でウォルマートとバイソンとの間で情報の共有を行うこととしました。またIoTを活用したり、ウォルマートの基幹システム(Enterprise Resource Plannning, ERP)と連携することにより、以前は11のステップがあった請求・支払プロセスを5ステップにまで削減できたとしています。これにより、支払にかかる監査に関し、外部の第三者サービスを活用する必要がなくなったとも言います。

この取り組みにおいて解消しようとした課題は、ウォルマートとバイソン・トランスポートに固有のものではなく、小売事業者とその物流業者との間で一般的なものです。世界的な小売業者が、こうした先進的な取り組みで実績を作ったことは、物流-小売業者間の効率的な取引および無駄が、世界的に排除されていく可能性を感じさせてくれます。

トークンエクスプレス株式会社では、国内外の持続可能な社会づくりに寄与する事業・プロジェクトの企画、構築、運用サービスを提供しています。
ブロックチェーン技術に知見がありますが、その利用を前提とするものに限りません。
ご関心ある方は、お問い合わせページからお気軽にご連絡ください。

 

中央銀行デジタル通貨を奇貨として中銀に近寄るMastercard

ブロックチェーンという技術が「発明」されたのはビットコインがきっかけです。

ビットコインのビジョンには、国や銀行等の権威に管理されない通貨を世界に提供するという考え方がありましたが、皮肉にもFacebookのリブラをきっかけにして各国の中央銀行のブロックチェーン技術を用いた中央銀行デジタル通貨(Central Bank Digital Currencies, CBDCs)への関心が高まりました。

80%の中央銀行がCBDCsについて何らかの行動を起こしており、40%が実証実験や実験のための概念調査をすでに始め、他の10%はすでにパイロット・プロジェクトを開始していると、国際決済銀行(Bank for International Settlements, BIS)の2020年1月の調査レポートが報告しています。

フランス中央銀行「デジタルユーロ」の最初の試験に成功

リトアニア中央銀行、公共へのブロックチェーン利用とデジタル通貨を並行推進

ロシア中央銀行、ブロックチェーンを介した住宅ローンの準備

こうした中央銀行の動きに対して、銀行等の金融機関が協力の姿勢を見せています。
本日ご紹介したいニュースは、クレジットカードの国際ブランドであるMasterCardが、中央銀行がCBDCsの実験や研究等を行う際のテスト・プラットフォームを提供するサービスを始めた、というニュースです。

関連プレスリリース
Mastercard Launches Central Bank Digital Currencies (CBDCs) Testing Platform, Enabling Central Banks to Assess and Explore National Digital Currencies
(Mastercardは、中央銀行デジタル通貨のテストプラットフォームを発表し、中央銀行が国のデジタル通貨を評価・調査できるようにします)
リリース日:9月9日

クレジットカードのビジネスは主に民間同士の決済サービスであり、銀行等の金融機関と異なって中央銀行と直接の接点があるビジネスではありません。(例えば、銀行等の金融機関と異なり、クレジットカード国際ブランドが、日本銀行に預金口座を設けたりはしません。)

しかし、クレジットカード会社には、消費者や店舗などとの直接の接点があり、そのデータを保有します。ブランドの信用力もあります。こうしたアセットを利用して、ブロックチェーン技術という新しい分野で、中央銀行との関係づくりを行おうとするMasterCardの戦略は、とても興味深いものです。先進国の中央銀行のみならず、発展途上国の中央銀行にも幅広くニーズがあるのではないかと考えます。

トークンエクスプレス株式会社では、国内外の持続可能な社会づくりに寄与する事業・プロジェクトの企画、構築、運用サービスを提供しています。
ブロックチェーン技術に知見がありますが、その利用を前提とするものに限りません。
ご関心ある方は、お問い合わせページからお気軽にご連絡ください。