カカオ豆農家への寄付を消費者が選択可能なチョコレートのブロックチェーン・プロジェクト、発起人とUNDPがその真の狙いを説明

本ブログでは、持続可能な社会のためのブロックチェーンの活用等について、原典が外国語のものを中心にご紹介してまいります。

本日は、海外ニュースをご紹介します。

記者:Oliver Nieburg @FOOD navigator.com
URL:https://www.foodnavigator.com/Article/2020/01/23/Blockchain-tokens-marketing-UN-s-zero-poverty-chocolate#
掲載日:1月27日(2月7日更新)

ニュース内容

    • オランダ出身の起業家によって創設されたFairChain Foundationと、国連開発計画(UNDP)は、Podcast番組のインタビューに答え、両者が取り組む”The Other Bar”というチョコレート商品に絡めたブロックチェーン・プロジェクトの狙いを説明した。FairChain Foundationの創設者であるGuido Van Staveren氏によれば、”The Other Bar”プロジェクトは、「世界での貧困をなくすために1,700億ドル(約19兆円)必要なのに、8,000億ドル(約88兆円)ものマーケティング費用が支出されている現状は、何かがおかしい」という考えのもと行われている社会実験なのだという。また、たとえ今の市販のチョコレートの価格を倍にしたとしても、カカオ豆農家が得られる収入は、必要な生活費の60-70%に留まるという現状から、カカオ豆農家の生計向上のための新たな仕組みが必要だという課題意識から始まったという。
    • このプロジェクトの仕組みはこうだ。”The Other Bar”を購入した消費者は、商品に記載のQRコードをスマホで読み取ることによって専用トークンを入手できる。このトークンは、次回購入する”The Other Bar”を25%割引で購入するために使用することもできるし、カカオ豆農家にカカオ豆の苗木の一部(1/4相当)にあたる寄付のために使用することもできる。寄付されたトークンがどの苗木に使われているかは、ブロックチェーンで追跡可能という。どちらの用途に使うかは、消費者に任されている。
    • このプロジェクトは2019年12月に開始されたが、少なくとも1年間はデータ分析に費やし、消費者が社会的インパクトに貢献するブランドに対してどのような行動をとるかを注視する予定だ。その結果によっては、両者は企業に対し、ブロックチェーンを使ったSDGsプロジェクトへの投資を促していきたいという。

トークンエクスプレス社のひとこと

    • 本プロジェクトを主導しているFairChain Fundationは、バリューチェーン上の富の分配について、全ての主体に公平なビジネスモデルを実現するために活動している団体です。”The Other Bar”プロジェクトは2019年12月に開始されたと記事中にはありますが、まだ実際のチョコレートの配布はしていない一方、プロジェクトのウェブサイトから事前予約できるようです。(日本に届くかはわかりませんので、注文は自己責任でお願いいたします。)ウェブサイト上には、26,000本用意したチョコレートは残り8,615本と表示されています。(2月9日の本記事執筆時。)
    • 弊社が社会的インパクトを志向するブロックチェーン・プロジェクトをご検討中の法人様とお話しさせていただく際には、①目的を明確化した上での多角的なビジネスモデルを構築・検証することと、②丁寧な顧客調査・マーケティングの実施をお勧めしています。(その実行伴走も行っております。)本プロジェクトはそのお手本のように感じます。すなわち、記事の元となっているPodcastでのGudio Van Staveren氏の発言にあるとおり、本プロジェクトの上位には、企業のマーケティング支出の社会的インパクト投資への振り替え、という上位目的が明確に存在しています。そして、今回チョコレートとカカオ豆農家という題材を一つの事例として活用し必要な情報収集を行うというプロジェクト目的がしっかりと設定されています。
    • また、現時点で国連機関を巻き込み、インタビューに共同で答えている点も、マーケティングの観点でも、今後のプロジェクトの進め方(企業への働きかけ)の観点でも、巧みだと感じます。
トークンエクスプレス株式会社では、国内外の持続可能な社会づくりに寄与する事業・プロジェクトの企画、構築、運用サービスを提供しています。
ブロックチェーン技術に知見がありますが、その利用を前提とするものに限りません。
ご関心ある方は、お問い合わせページからお気軽にご連絡ください。

オーストラリア工業・科学・エネルギー・資源省、国家ブロックチェーン・ロードマップ発表

本ブログでは、持続可能な社会のためのブロックチェーンの活用等について、原典が外国語のものを中心にご紹介してまいります。

本日は、海外ニュースをご紹介します。

記者:Asha Barbaschow @ZDNet
URL:https://www.zdnet.com/article/australia-to-focus-on-blockchain-potential-with-new-roadmap/
掲載日:2月7日

ニュース内容

    • オーストラリア工業・科学・エネルギー・資源省は、52ページにわたる国家ブロックチェーン・ロードマップを発表した。ブロックチェーンは新たな雇用、新たな経済成長、コスト削減をもたらし、国全体の生産性の改善が期待されるとしている。
    • このロードマップでは、「規制と標準化」、「技術力とイノベーション」、そして「国際的な投資と協調」の3分野に焦点が当てられている。また、2025年までに取るべき施策を12のステップで示している。そのうち最初の施策は、既に設置されている国家ブロックチェーン・ロードマップ諮問委員会を正式化し、国家ブロックチェーン・ロードマップ運営委員会に名称変更することである。この委員会の役割は、政府に対する進言と、財務省フィンテック諮問委員会等の他の委員会との協調だ。
    • この工業・科学・エネルギー・資源省のロードマップに対し、デジタルトランスフォーメーション庁長官は、「ブロックチェーンは興味深い技術だが、まだ開発の初期段階であり、既存のものを含め他の技術で代替できるものはある。」と述べた。

トークンエクスプレス社のひとこと

    • オーストラリア政府がブロックチェーンに関する取り組みのロードマップを示したことは、ブロックチェーン技術に対する同国の期待感の高さを表しています。世界的な調査会社ガートナーのレポートを引用しつつ、ブロックチェーン技術は2025年までに1,750億ドル(約19兆円)、2030年までに3兆ドル(約330兆円)を超える規模になると謳っています。
    • 一方でロードマップの中身を見ると、ブロックチェーン産業育成と社会実装を目的として、官民のコミュニケーションを密にし、調査研究を通じてユースケースを精査し、徐々に社会に取り込んでいくという、現実的で手堅い12の施策が示されています。上記記事でデジタルトランスフォーメーション庁長官の、ブロックチェーン技術に対する若干冷ややかなコメントも紹介されていますが、今回の現実的なロードマップの発表は、まだ発展途上のブロックチェーン技術に対して、現時点で技術者以外の人々が行うべきことをまとめていると感じます。すなわち、着実に最新の情報を取得できる体制を作り、正しい理解のもとに都度最適な活用方法を実行できるようにする等、社会の受け入れ態勢を醸成することが重要であるということです。
トークンエクスプレス株式会社では、国内外の持続可能な社会づくりに寄与する事業・プロジェクトの企画、構築、運用サービスを提供しています。
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ノルウェーのトロンハイム市とIoT用途のブロックチェーンの財団、スマートシティ開発で協力促進

本ブログでは、持続可能な社会のためのブロックチェーンの活用等について、原典が外国語のものを中心にご紹介してまいります。

本日は、海外ニュースをご紹介します。

記者:Wilfried Pimenta @IOTA Foundation
出典元URL:https://blog.iota.org/trondheim-city-and-iota-gears-up-its-smart-city-development-towards-sustainable-development-goals-78fdc5480414
発信日:2月6日

ニュース内容

    • ノルウェー中部のトロンハイム市と、IOTAという名前のブロックチェーンの開発を行う財団は、国連のSDGs(持続可能な開発目標)達成に向けて、スマートシティ開発の分野で更なる協力を行っていくことを、2月5日に合意した。
    • 両者は、2017年以降、様々な分野において協力イニシアティブを発表してきている。トロンハイム市は、持続可能な開発のための拠点として、2019年に国連から認定されている都市。トロンハイム市での取り組みに協力する企業や団体は、国連から情報提供や実証実験のための区画等の提供が行われる。R&Dにかかる出資もありうる。

トークンエクスプレス社のひとこと

    • IOTAというブロックチェーンは、IoTで機械と機械が価値を交換することを前提に開発されているものです。ブロックチェーンは分散台帳と言われますが、IOTAは他のブロックチェーンとは異なる情報の管理様式をとっており、大量の小額の価値交換に向いているという特徴や、スマホ等のマシンパワーの小さなデバイスでも取り扱えるというメリットを有するものです。
    • このブロックチェーンの開発を行う財団は、国連やEU、自治体などに積極的に関与しており、権威を上手く利用している団体であると言えます。今回のニュースもその一環のものと言え、社会で利用されるブロックチェーンという観点から、有望なものと言えるかもしれません。
    • 一方で、こうしたブロックチェーン企業と積極的に関係を持ち、信用力の提供によって支援する自治体の存在も見逃せません。ブロックチェーンは、日本ではすぐに仮想通貨と結びつけて考えられ、信用が低いとみなされる場面も多いです。見極めはもちろん必要ですが、国や自治体は、人、モノ、カネ、情報ではないリソース、すなわち社会的信用を供与できる主体であるという点を上手く利用して、社会を良い方向に導いていただきたいと思います。
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持続可能な小麦粉 “AXIANE”の背後にブロックチェーン

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本日は、原典がフランス語の海外ニュースをご紹介します。

記者:Sylvie Carriat @Les MARCHES
出典元URL:
https://lesmarches.reussir.fr/une-blockchain-derriere-la-farine-durable-daxiane
発信日:2月4日

ニュース内容

    • 仏アクセレアル穀物グループの製粉事業Axiane Meunerieは、フランスの持続可能な農業に由来する小麦粉”サボワー・テール“の消費者が、その製品のパッケージから原産地と製造段階を正確に追跡できることを発表した。
    • これらの情報は、ブロックチェーンに記録され、保護され、携帯電話でQRコードをスキャンし、パッケージの消費期限を示すことによって、消費者は使用される小麦を栽培した農家の身元、農場の場所、小麦が貯蔵され粉砕される場所、小麦粉が包装されている場所を知ることができる。 さらに消費者は農家が提供するレシピにもアクセス可能。
    • 同社はシャンデルール(ヨーロッパの祝日。フランスではクレープを食べる習わしがある)を利用して、消費者と農家を近づけるこの技術革新を立ち上げている。また、このアプローチは環境、社会、経済の問題をカバーする良好な農業の尊重に基づいていて、アクセレアルのイニシアチブメンバーであるアクセレアルCultivUpの持続可能な農業について広めることも可能する。

トークンエクスプレス社のひとこと

    • 本日は、フランス語が原典の海外ニュースを、本ブログで初めてご紹介させていただきます。弊社の紺野は、国際開発の仕事をしていたころ、英語圏、仏語圏、両方の報道に触れる機会が多く、英語圏のものと仏語圏のもので意外なほど取り上げるニュースが異なっていたり、同じニュースでも報道の切り口が異なることが多いことを実感してきました。このため「持続可能な社会づくりのためのブロックチェーン利用の世界の事例」をご紹介している本ブログでも、ご協力者様の貴重なお力添えをいただきながら、できるだけ英語圏以外のニュースもご紹介していきます。
    • 上記のニュースは、ブロックチェーンが得意とし、IBM Food Trustなどでも既に実績がある食料トレーサビリティにかかる取り組みのニュースではありますが、フランスの重要産業であり、またフランス文化にとって枢要な小麦粉を取り扱ったという点が興味深く、ご紹介させていただきました。
    • また、この取り組みを実施しているのが(IBMのような巨大なIT企業ではなく)フランスの1企業であり、またその企業がマーケティングに強みをもつ企業であるという点も、注目ポイントだと考えます。なぜなら、社会的課題解決へのブロックチェーン活用による自社ブランディングへの貢献という、企業にとっての価値あるブロックチェーンの利用方法の一つを体現しているためです。今回トレーサビリティの対象となった小麦粉は、そもそも「持続可能な農業」というブランドを持った製品であり、トレーサビリティの対象とすることが、ブランドの更なる強化につながるとの考えでしょう。恵方巻のような、文化的イベントに合わせてこのサービスを開始した点や、生産農家の紹介をするだけではなく、生産農家が情報(レシピ)を発信できる仕組みを設けている点も秀逸です。
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バミューダ政府、仮想通貨受入政策の背景にある国家的課題

本ブログでは、持続可能な社会のためのブロックチェーンの活用等について、原典が英語のものを中心にご紹介してまいります。

本日は、海外ニュースをご紹介します。

記者:John Biggs @Coindesk
URL:https://www.coindesk.com/bermuda-is-planning-a-comprehensive-crypto-framework
掲載日:2月3日

ニュース内容

    • 北大西洋の諸島であるバミューダの首相顧問(チーフ・フィンテック・アドバイザー)であるDenis Pitcher氏は、ダボスにて、コインデスク社のインタビューに答える中で、同国が仮想通貨受入に積極姿勢となった理由を明かした。
    • Pitcher氏によれば、その理由は「バミューダ人を国際的な金融サービスにアクセス可能とする」こと。具体的には、バミューダはその6万人あまりという極めて少ない人口のために、国際的な送金サービス(Paypal, Revolut, Square)が提供されていない。この現状を変えるために、仮想通貨を積極的に受け入れることとしたという。仮想通貨に係る金融商品・金融サービスの提供者を積極的に輩出し、世界の金融機能へのアクセスをバミューダ人にもたらし、さらには金融ハブとしていく考えだ。

トークンエクスプレス社のひとこと

    • バミューダは2018年夏に仮想通貨に係る包括的な規制体系を整え、2019年10月16日には仮想通貨による税金、手数料、その他の政府サービスの支払を認めるとの政府発表を行った国です。この事実はブロックチェーン業界や仮想通貨界隈には画期的な出来事と伝えられましたが、今回ご紹介したような、背景にある国家的課題については伝えられませんでした。
    • 今回のインタビューにより、バミューダ政府の取り組みの背景がわかったことで、当該国の仮想通貨への積極姿勢が、一時的なパフォーマンスではなく、国家戦略であることが確認されました。
    • この事例のように、ブロックチェーン・仮想通貨は、強者がさらに強くなるためのツールというよりも、これまで弱い立場にあった人々に新たな選択肢をもたらすものであると弊社は考えます。このブログではそうした視点をもって引き続き記事選定とご紹介をしてまいります。
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シエラレオネのCIO、ブロックチェーンを使ったナショナルID付与計画の意義を説明

本ブログでは、持続可能な社会のためのブロックチェーンの活用等について、原典が英語のものを中心にご紹介してまいります。

本日は、海外ニュースをご紹介します。

記者:Rakshitha Narasimhan @AMB CRYPTO
URL:https://eng.ambcrypto.com/blockchain-enabled-digital-ids-help-boost-financial-inclusion-in-sierra-leone/
発信日:2月3日

ニュース内容

    • シエラレオネはブロックチェーンにずいぶん前から取り組んできている。実際、アフリカで最初にブロックチェーン・ベースのナショナルID(訳者注:日本でいうマイナンバーに相当するもの)付与計画を発表した国だ。
    • シエラレオネのChief Innovation OfficerであるMoinina David Sengeh博士(訳者注:シエラレオネの大統領および首相のアドバイザーで、大統領府の科学・技術・イノベーション担当局長)は、先日BBCが行ったイベントにおいて、ブロックチェーンを用いたナショナルID付与計画および、それによって国民の金融アクセスの向上を狙っている旨を説明した。
    • Sengeh博士によれば、現在シエラレオネで金融アクセスを有する人は人口の17-20%に過ぎず、特に女性の金融アクセス向上により、国の経済の拡大に貢献したい考えだ。BBCのインタビューの中で彼は、ナショナルIDを持たない人が多かったことが、人々が銀行口座を持てなかった要因であるとしたうえで、指紋認証とブロックチェーンとを組み合わせることで、ナショナルIDの付与を推進し、銀行口座保有率を上昇させたいと述べた。

トークンエクスプレス社のひとこと

    • シエラレオネのナショナルIDにブロックチェーンを用いる計画は、昨年8月に発表され、国連機関(UNCDF、UNDP)およびオンライン上でマイクロ融資を仲介する非営利団体Kivaが協力していることが公表されています。国連は以前から開発途上国におけるブロックチェーンの活用に積極的であり、シエラレオネでの取り組みも積極的にPRしています。Kivaにとっては、IDを付与し、信用情報の管理を行えるようにした、独自開発のブロックチェーンを用いる初めての案件とのことです。
    • 途上国の金融アクセスの課題を知る弊社としては、このブロックチェーンベースのシステムの導入は、重要な一歩ではあるものの、システム導入だけでシエラレオネの金融アクセスに関する問題を劇的に改善するとは考えられません。Sengeh博士の発言にある「ナショナルIDを持たない人が多かったことが、人々が銀行口座を持てなかった要因である」という発言は、正しい部分もありますが、それ以外の要因の方が大きいでしょう。(必要条件ではあるが十分条件ではない、ということです。)金融アクセスの改善を本質的にもたらすのは、主にシステムの運用における課題の克服と、それにマッチするシステムの継続的な改善活動です。その部分に関する情報がSengeh博士の発言から見えなかったことから、本プロジェクトの挑戦はまだ始まったばかりだと考えられます。
    • 弊社としては、こうしたプロジェクトの実施においては、いきなり国家レベルで展開するのではなく、中長期ロードマップを定め、小規模実験を重ねてシステムの要件定義や運用プロセス等を詰めつつ、多様なアクターを巻き込みながら、段階をおって展開するべきと考えます。政治的パワーの活用はロードマップの後半であるべきと考えます。
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サムスン、ブロックチェーンを用いた保険給付金請求の簡素化サービスをリリース

本ブログでは、持続可能な社会のためのブロックチェーンの活用等について、原典が英語のものを中心にご紹介してまいります。

本日は、海外ニュースをご紹介します。

発信者:SAMSUNG SDS
出典元URL:
https://www.samsungsds.com/global/en/about/news/Samsung-SDS-launches-one-stop-medical-claims-processing-service-fueled-by-blockchain.html
発信日:1月30日

ニュース内容

    • サムスンSDS社(サムスンのICT子会社。以下「サムスン」)は1月29日、保険給付金の請求プロセスを、ブロックチェーンを用いて簡素化、迅速化するサービスを開始すると発表した。これまでの保険給付金の請求プロセスは、書類のやり取りが多いものだった。つまり、被保険者が病院に行き、必要な書類を集めて保険会社にそれを送付するという手続きが必要であった。この被保険者にとって負担となるプロセスを無くすため、サムスンは保険会社や病院、デジタル医療関係会社と協力してサービスを提供することとした。
    • このサービスにより、被保険者は、(病院に書類を受け取りに行って受け取った書類を保険会社に送付せずとも、)病院、キオスクまたはスマホから、保険給付金を請求することができ、申請をしたら保険給付金支払いの通知がKakaoTalk経由で、被保険者のスマホに届くようになる。一方、医療機関にとっては、書類作成にかかる人的コストを削減することができ、また自機関名の入った偽の書類が出回ることを防ぐことができるというメリットがあるとされる。
    • このサービスは現段階では、サムスン火災海上保険およびNongHyup Life Insuranceの保険に加入し、Kangbuk Samsung Hospital(サムスンの関係病院)およびHallym University Dongtan Sacred Heart Hospitalに通院する被保険者しか利用できないが、今後30の医療機関と8つの保険会社を巻き込むことを予定している。

トークンエクスプレス社のひとこと

    • 弊社代表の紺野はエジプト駐在時代、マイクロ保険という、低所得者層、貧困層も加入できる保険商品の適法化、業界団体の設立、普及促進などに取り組んでいました。低所得者層が加入できる保険は、掛金が小額です。すなわち、より大きな金額を取り扱う一般的な保険と同じ方法で事業運用していたのでは事業者の儲けが少ない、または事業継続できないものになります。こうした課題に対処するため、なるべく人を介在させずに済むような、既存の保険とは異なる仕組みで運営される保険商品を作る必要があり、これをマイクロ保険と呼称していました。(マイクロ保険について詳細は私がかつて書いたこちらの記事をご覧ください。)
    • 保険給付金請求の簡素化は、マイクロ保険を実現するうえで避けて通れない打ち手のひとつです。もちろんそれ以外にも、マイクロ保険が成り立つためには、保険加入プロセスの簡素化、保険給付金支払のアクセスポイントの増加など、数多くの施策が必要です。しかしながら今回のニュースは、ブロックチェーンが、既存の保険商品の可能性を大きく広げうることを示す、大きな一歩であると考えられます。
    • 今回のサムスンのサービスは、韓国のコングロマリットであるサムスンのグループの中に保険会社も病院もあったことで、事業運用面でハードルが下がっている側面があるでしょう。日本にもそうした企業体はあると思いますが、より大きな社会インパクトを生み出すためには、企業グループの枠を超えた取り組みが必要であり、それをリードできる人材・チームも社会で求められていると言えるでしょう。
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医療分野のクラウド市場は2024年までに急拡大、ブロックチェーンも寄与見込

本ブログでは、持続可能な社会のためのブロックチェーンの活用等について、原典が英語のものを中心にご紹介してまいります。

本日は、海外ニュースをご紹介します。

記者:Jesse Maida @Business Wire(PR media)
出典元URL:https://www.businesswire.com/news/home/20200130005458/en/Global-Healthcare-Cloud-Computing-Market-2020-2024-Introduction
発信日:1月30日

ニュース内容

    • 2020年から24年までの間に、医療分野におけるクラウド・コンピューティング市場は、全世界で255.4億ドル(2兆7,630億円)も拡大するという見通しを、調査会社Technavioが発表した。ここ数年で医療関係機関の間での共同研究が増加しており、そこでは高い計算能力を有する情報システムが求められている。その中でコスト抑制、柔軟性の向上、および拡張性の観点からクラウド・コンピューティングの利用が有利であるため、当該市場が拡大していくという予想だ。
    • 調査会社Technavioは、クラウド・コンピューティングにブロックチェーンが適用されることがその市場の急拡大にポジティブな影響を与えるだろうと考えている。情報セキュリティ、情報処理プロセスの合理化、薬剤のサプライチェーンと健康調査の統合管理等の観点から、医療分野のITインフラへブロックチェーンの適用が望ましいという見立てだ。また、データ交換の際のミスの低減や、患者に自身のデータの管理権限を持たせることができるというメリットにも注目している。
    • 2019年、医療分野でのクラウド・コンピューティング市場のシェアは、北米、欧州、アジア大洋州、南米、中東アフリカの順。今後も北米地域がこの市場拡大のけん引役になるだろうと期待されている。

トークンエクスプレス社のひとこと

    • この記事を見つける前日に、日本の地方医療機関の情報システム担当の方とお話しする機会がありました。その方は元々自治体の職員でいらっしゃるのですが、今は公立病院に出向されているお立場で、日本の病院の情報システムおよびその運用体制の未熟さについて強い危機感をお持ちでした。その方曰く、病院内で医科が異なると同一の患者の情報を共有する仕組みがなかったり、そもそも日本で電子カルテが浸透しきっていない等、医療電子データの取り扱いについて、国全体で改善すべき点が数多くあるということを訴えられていました。
    • この記事を読んだとき、その方のおっしゃっていた、アナログな日本の医療現場の実情とはかけ離れた内容だったので、とても印象深く、今回ご紹介させていただきました。
    • しかし、国家の枠組みで物事を捉えることは、目を曇らせます。この記事で述べられている、医療分野でのクラウド・サービスの利用も、日本を含めた先進国内の限られた先進的な病院(アーリーアダプター)から徐々に広まっていくことでしょう。そうして運用実績が培われていく中で、ブロックチェーンの適用も一般化されていき、クラウドの医療機関への大規模な浸透(マスアダプテーション)のなかで自然とブロックチェーンが入っていく。2020年から2024年は、クラウドの最初の浸透期と、ブロックチェーン技術の実証期が重なる時期になるのかもしれません。
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ドバイ電気・水庁がシーメンスとブロックチェーン適用戦略を策定中

本ブログでは、持続可能な社会のためのブロックチェーンの活用等について、原典が英語のものを中心にご紹介してまいります。

本日は、海外ニュースをご紹介します。

記者:Nicholas Nhede @Power Engineering International
出典元URL:
https://www.powerengineeringint.com/2020/01/31/siemens-and-dewa-working-on-revolutionary-blockchain-strategy-for-dubai/?topic=44268
発信日:1月31日

ニュース内容

    • ドバイ電気・水庁(DEWA)は、ドバイを世界で最初に、可能な限り全ての商取引(訳者注:おそらく電力や水道料金に係るもの)をブロックチェーン上に載せた政府とすることを目指し、独シーメンス社とパートナーシップを組んだ。
    • ドバイ政府は別途制定されているデジタル・トランスフォーメーションにかかる目標(訳者注:Smart Dubai 2021のことと考えられる。)を達成するため、シーメンスといくつかの戦略策定を行っている。戦略の中の具体的な施策には、DEWAが保有する職業訓練施設におけるセミナーの実施やプロジェクト資金調達の実施なども含まれている。セミナーの内容例としては、ブロックチェーン技術の概要や、電力事業の資金調達にかかるクラウドファンディング(訳者注:ICO?)の利用等。
    • DEWA長官によれば、2021年までに政府(の電力・水道にかかる)商取引の50%をブロックチェーン上に載せる戦略と、2020年中に全ての商取引をブロックチェーン上に載せる戦略とが並存しているようだ。「DEWAは、多くのサービスとイニシアティブにおいて、世界で最初にブロックチェーン技術を提供する政府機関となる。電気自動車のための電力補給機の登録サービスなどがその一つだ。」とDEWA長官は述べた。

トークンエクスプレス社のひとこと

    • 記事はところどころ不明瞭な部分があり、ブロックチェーン技術を知る英語ネイティブが書いたものではないと考えられます。(そのため、上記概要にはかなり意訳を入れています。)私が駐在していたエジプトを含め、中東地域の報道の質は彼の地域全体の課題と思います。
    • 一方でこの記事をご紹介したのは、①ドバイのブロックチェーン導入においてドイツのシーメンスが既に手を付けているということ、②「電力事業の資金調達にかかるクラウドファンディング」という奇妙な表現がおそらくICO(ブロックチェーン・トークンを用いた資金調達方法)を指していることが興味深いこと、③唯一「電気自動車のための電力補給機の登録サービス」というとても具体的な事例がでてきたこと。この3つの理由からです。
    • ドバイは新しい技術の実験場となる場合が多く、ドバイ首長国も資金と技術を集めるための国家的プロモーションをする国です。中東地域と歴史的関係の深い欧米企業はそれを積極的に活用し、まずは国家戦略の策定からドバイ政府内に入り込み、ある種「胴元」となって具体的ビジネスチャンスを獲得していきます。早くもブロックチェーンにおいてそのやり方が踏襲されていますが、記事内に具体的なプロジェクトが出てきたことは、彼らの狙うビジネスチャンスの具体例として着目すべきと思います。
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マイクログリッドへのブロックチェーン活用の大きな期待(特に欧州)

本ブログでは、持続可能な社会のためのブロックチェーンの活用等について、原典が英語のものを中心にご紹介してまいります。

本日は、海外のニュースをご紹介します。

記者:Jonathan Spencer Jones @Ledger Insights
出典元URL:
https://www.ledgerinsights.com/blockchain-energy-trading-in-microgrids-a-multi-billion-dollar-opportunity/
発信日:1月30日

ニュース内容

    • マイクログリッドへのブロックチェーンの活用は、大きなビジネスチャンスになると期待されている。米国の調査会社Navigant Researchの調査によれば、その市場規模は2028年に全世界で12億ドルを超える見込みで、足元の市場成長率は67.8%にも上るという。2028年時点で各地域のシェアは、欧州が50%超え、米国は1/3、アジア大洋州は1/6に上るという予測。
    • 現時点では、マイクログリッドと消費者間での再生可能エネルギー(以下、「再エネ」)にかかる(仮想市場における)電力取引への、ブロックチェーンの適用に取り組む事例が多い。最初期の取組は米国のスタートアップLO3 Energyがニューヨーク・ブルックリンにおいて始めたものだが、その後当社の取組は拡大し、長野県富士見市においても、LO3 Energyによる実証試験が行われている。LO3 Energyによれば、富士見市での実証試験には、30の参加者がいるという。

トークンエクスプレス社のひとこと

    • 私がエジプトに駐在していた時に、再エネ開発を担当していたことがあります。当時、建設を予定してた巨大な発電量の再エネ施設が送電系統に与えるネガティブな影響を抑止するために、日本の技術の活用について真剣に研究していたことを懐かしく思い出しました。
    • マイクログリッドとは、再生可能エネルギーの発電能力が比較的高い地域(島しょ部等)や、脆弱な電力事情下にある一定の需要地内を対象とした「小規模な電力供給網」のことを言います。出力変動や需要変動のネガティブな影響を抑えることが目的の仕組みです。
    • 電力系統の管理は、歴史的に中央集権的仕組みがスタンダードで、その対立軸としてマイクログリッドが語られることがあるため、「分散系といえばブロックチェーン」というイメージからマイクログリッドとブロックチェーンが結び付きがちです。しかし、LO3 Energy社のウェブサイトや各種報道を見る限り、そうではなく、電力取引におけるデータの堅牢性やシステムの可用性の観点からブロックチェーンが用いられているようです。このブロックチェーンの利用方法は汎用性がある、芯をついた利用方法と言えるでしょう。