ドバイ電気・水庁がシーメンスとブロックチェーン適用戦略を策定中

本ブログでは、持続可能な社会のためのブロックチェーンの活用等について、原典が英語のものを中心にご紹介してまいります。

本日は、海外ニュースをご紹介します。

記者:Nicholas Nhede @Power Engineering International
出典元URL:
https://www.powerengineeringint.com/2020/01/31/siemens-and-dewa-working-on-revolutionary-blockchain-strategy-for-dubai/?topic=44268
発信日:1月31日

ニュース内容

    • ドバイ電気・水庁(DEWA)は、ドバイを世界で最初に、可能な限り全ての商取引(訳者注:おそらく電力や水道料金に係るもの)をブロックチェーン上に載せた政府とすることを目指し、独シーメンス社とパートナーシップを組んだ。
    • ドバイ政府は別途制定されているデジタル・トランスフォーメーションにかかる目標(訳者注:Smart Dubai 2021のことと考えられる。)を達成するため、シーメンスといくつかの戦略策定を行っている。戦略の中の具体的な施策には、DEWAが保有する職業訓練施設におけるセミナーの実施やプロジェクト資金調達の実施なども含まれている。セミナーの内容例としては、ブロックチェーン技術の概要や、電力事業の資金調達にかかるクラウドファンディング(訳者注:ICO?)の利用等。
    • DEWA長官によれば、2021年までに政府(の電力・水道にかかる)商取引の50%をブロックチェーン上に載せる戦略と、2020年中に全ての商取引をブロックチェーン上に載せる戦略とが並存しているようだ。「DEWAは、多くのサービスとイニシアティブにおいて、世界で最初にブロックチェーン技術を提供する政府機関となる。電気自動車のための電力補給機の登録サービスなどがその一つだ。」とDEWA長官は述べた。

トークンエクスプレス社のひとこと

    • 記事はところどころ不明瞭な部分があり、ブロックチェーン技術を知る英語ネイティブが書いたものではないと考えられます。(そのため、上記概要にはかなり意訳を入れています。)私が駐在していたエジプトを含め、中東地域の報道の質は彼の地域全体の課題と思います。
    • 一方でこの記事をご紹介したのは、①ドバイのブロックチェーン導入においてドイツのシーメンスが既に手を付けているということ、②「電力事業の資金調達にかかるクラウドファンディング」という奇妙な表現がおそらくICO(ブロックチェーン・トークンを用いた資金調達方法)を指していることが興味深いこと、③唯一「電気自動車のための電力補給機の登録サービス」というとても具体的な事例がでてきたこと。この3つの理由からです。
    • ドバイは新しい技術の実験場となる場合が多く、ドバイ首長国も資金と技術を集めるための国家的プロモーションをする国です。中東地域と歴史的関係の深い欧米企業はそれを積極的に活用し、まずは国家戦略の策定からドバイ政府内に入り込み、ある種「胴元」となって具体的ビジネスチャンスを獲得していきます。早くもブロックチェーンにおいてそのやり方が踏襲されていますが、記事内に具体的なプロジェクトが出てきたことは、彼らの狙うビジネスチャンスの具体例として着目すべきと思います。
トークンエクスプレス株式会社では、国内外の持続可能な社会づくりに寄与する事業・プロジェクトの企画、構築、運用サービスを実施しています。ブロックチェーン技術に知見がありますが、その利用を前提とするものに限りません。

ご関心ある方は、お問い合わせページからお気軽にご連絡ください。

 

マイクログリッドへのブロックチェーン活用の大きな期待(特に欧州)

本ブログでは、持続可能な社会のためのブロックチェーンの活用等について、原典が英語のものを中心にご紹介してまいります。

本日は、海外のニュースをご紹介します。

記者:Jonathan Spencer Jones @Ledger Insights
出典元URL:
https://www.ledgerinsights.com/blockchain-energy-trading-in-microgrids-a-multi-billion-dollar-opportunity/
発信日:1月30日

ニュース内容

    • マイクログリッドへのブロックチェーンの活用は、大きなビジネスチャンスになると期待されている。米国の調査会社Navigant Researchの調査によれば、その市場規模は2028年に全世界で12億ドルを超える見込みで、足元の市場成長率は67.8%にも上るという。2028年時点で各地域のシェアは、欧州が50%超え、米国は1/3、アジア大洋州は1/6に上るという予測。
    • 現時点では、マイクログリッドと消費者間での再生可能エネルギー(以下、「再エネ」)にかかる(仮想市場における)電力取引への、ブロックチェーンの適用に取り組む事例が多い。最初期の取組は米国のスタートアップLO3 Energyがニューヨーク・ブルックリンにおいて始めたものだが、その後当社の取組は拡大し、長野県富士見市においても、LO3 Energyによる実証試験が行われている。LO3 Energyによれば、富士見市での実証試験には、30の参加者がいるという。

トークンエクスプレス社のひとこと

    • 私がエジプトに駐在していた時に、再エネ開発を担当していたことがあります。当時、建設を予定してた巨大な発電量の再エネ施設が送電系統に与えるネガティブな影響を抑止するために、日本の技術の活用について真剣に研究していたことを懐かしく思い出しました。
    • マイクログリッドとは、再生可能エネルギーの発電能力が比較的高い地域(島しょ部等)や、脆弱な電力事情下にある一定の需要地内を対象とした「小規模な電力供給網」のことを言います。出力変動や需要変動のネガティブな影響を抑えることが目的の仕組みです。
    • 電力系統の管理は、歴史的に中央集権的仕組みがスタンダードで、その対立軸としてマイクログリッドが語られることがあるため、「分散系といえばブロックチェーン」というイメージからマイクログリッドとブロックチェーンが結び付きがちです。しかし、LO3 Energy社のウェブサイトや各種報道を見る限り、そうではなく、電力取引におけるデータの堅牢性やシステムの可用性の観点からブロックチェーンが用いられているようです。このブロックチェーンの利用方法は汎用性がある、芯をついた利用方法と言えるでしょう。

ブロックチェーンを用いたIBMの農作物トラッキング事業、オリーブオイルとコーヒー取扱い開始

本ブログでは、持続可能な社会のためのブロックチェーンの活用等について、原典が英語のものを中心にご紹介してまいります。

本日は、海外ニュースをご紹介します。

記者:Tom Li @IT WORLD CANADA
出典元URL:
https://www.itworldcanada.com/article/ibm-food-trust-ensures-savory-olive-oil-and-better-coffee/426581
発信日:1月28日

ニュース内容

    • IBMが主導するプロジェクトIBM Food Trustにおいて、オリーブオイルとコーヒーをトラッキング対象に含めることを発表。これにより、例えば、コーヒーのバイヤーが、その豆の生産地を知ることができるだけではなく、直接的に生産者に対して支援を提供することが可能になるという。
    • オリーブオイルは、長年、品質にかかる不正(オリーブオイルを称しながら、キャノーラ油や大豆油を混ぜたものが流通するなど)が問題になっていた。コーヒーは、その生産現場における労働問題、児童労働が問題になってきていた。IBMは、IBM Food Trustによって、そうした社会課題の解決に貢献できると謳う。

トークンエクスプレス社のひとこと

    • IBMはHyperledgerという、ブロックチェーンの規格を主導しています。このブロックチェーンは、誰でも参加できるものではなく、参加に許可が必要な、プライベートな許可制のブロックチェーン・ネットワークです。上記のIBM Food Trustも、Hyperledgerが用いられ、米国WalmartとIBMが共同で始めたプロジェクトです。
    • このニュースで注目すべきは、その追跡対象の農作物の選定です。高品質なオリーブオイルとコーヒー豆は、産地が限定されているという特徴があり、それを対象とすることで社会インパクトが出やすい作物と言えます。また、オリーブオイルもコーヒーも、その生産および流通過程における社会的課題が昔から問題視されており、これまでもスターバックスなど様々な企業がその解決に乗り出してきていました。(スターバックスの事例では、マイクロファイナンスが活用されています。本件の関係記事はこちら。)
    • 本仕組みを用いて、一般の消費者がコーヒーの産地情報などをスマホで閲覧できるようにもなる予定とのこと。(2020年初頭にアメリカ、カナダ、ヨーロッパでローンチ予定とのこと。)toC向けのサービスとして十分興味深いですが、SDGsの認知度が高まり持続可能な社会のための取り組みが企業に求められる現在、リスクヘッジ観点でのtoB向けの用途がより有用性を持つのではないでしょうか。