“責任投資” とブロックチェーンの利用可能性

本記事では、弊社の最近の考えをご紹介します。

最近、金融系や資産運用系のメディアでも目にすることになったESG投資(環境面、社会面、企業統治面に配慮を見せる企業に投資する考え方)ですが、この考え方を国連は、責任投資原則(Principles for Responsible Investment)という名前で提唱し、世界中の企業に賛同・署名を呼び掛けています。

以下の外部記事においてはそのESG投資の更なる普及に際して、投資の社会的または環境的影響に関する信頼できるデータが欠如している点を挙げています。

関連外部記事
仮想通貨よりも有望なESG投資でのブロックチェーン利用
記者:Lee Robertson @ Octo Members Group
掲載日:8月3日

上記の記事は、そのESG投資のための信頼できるデータの確保に、ブロックチェーンが有用であると訴えるものです。ブロックチェーンが持つ、ブロックチェーン上の情報の耐改竄性や、サプライチェーンの上流から下流までの複数の企業が共同でデータを管理できる点などは、客観的に信頼できるデータの保存手段として有用と言えるでしょう。公共のデータベースを提供できる点が、ブロックチェーン技術の強みだからです。

ESGに配慮した経営を行いたい企業は、そうしたブロックチェーンが提供する「公共性」を積極的に活用することで、自身の取り組みの信頼性を獲得することができます。

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ブロックチェーン技術に知見がありますが、その利用を前提とするものに限りません。
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ESG投資熱は社会変化の証か?オーストラリアの古代遺跡爆破が試金石

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世界最大手資源会社による故意の遺跡爆破事件

あまり日本で報道されていなかったと思いますが、世界トップクラスの資源メジャーであるリオ・ティント社が、先月5月24日、オーストラリアの先住民アボリジニが神聖視する、起源46,000年前の洞窟を、鉄鉱石採掘の規模拡張のためにダイナマイトを使って爆破したという事件が起こっています。現場はJuukan Gorgeと呼ばれる2つの洞窟からなる遺跡で、CNNの報道によれば、数万年にわたって継続的に人間が居住していた痕跡がみられるものだったそうです。

関連外部記事
リオ・ティント、先住民の洞窟遺跡爆破し謝罪 豪西部の鉄鉱石開発で
メディア:CNN
掲載日:6月2日

リオ・ティント社は、爆破された地域を管理するアボリジニ団体に対して精神的苦痛をもたらしたことについて謝罪したものの、同事業の実施については2011年以降「包括的かつ相互的な合意」が結ばれており、正当なものであるという立場です。

国際経済資本と地域社会の対立は、外部者には意見しがたい

私はこの事件に関して報道でしか知ることができないので、現時点ではいかなる立場も取ることができません。というのも、企業活動とその現場に根差す地域社会との関係というのは、どちらも正当性を主張し、経緯も長く複雑である場合が多く、外部者が一時の報道内容に基づいて意見することが的外れとなる場合が多いからです。一般に国際的な大企業は経済的体力があり、地域社会はそれがないために、前者が悪者になることが多いですが、第三者から見てよりフェアなのがどちらかという点においては、内部者しかうかがい知ることができませんし、判断できません。

ESGとの関係で、まず注目されるのは投資ファンドの動向

一方で、その企業に投資している投資ファンドたちは、内部者になりうる存在と言えます。少なくともESG投資の理念に理解を示す投資ファンドは、投資先の企業が今回のような社会との関係に疑義を持たれる行動をとった場合、出資者たちを代表して調査を行い、自らの立場を明確にする必要があると思います。

リオ・ティントに投資している投資ファンドたちがこの事象に対してどのように対応するか。それはその個別の投資ファンドのESG投資への真摯さを測る尺度になると同時に、ESG投資に関心を高める社会が、それらの投資ファンドに調査をさせ、結論を表明させるだけの熱意を持っているかを測る尺度になると思います。すなわち、ESG投資への昨今の熱が、真に社会の価値観の変化となるかどうかの試金石に、今回の事件がなりうると言えるのです。

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ESGとスタートアップ

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ESG投資は上場株式投資のイメージだった

ESG投資というのはこれまで上場株式に対する投資を前提に語られることが多かったと感じます。それはESG投資は初期には国連が旗を振り、責任投資原則という機関投資家向けのガイドラインを提示したなかで、ESG投資の概念を含めていたためです。機関投資家は上場株等への投資が主であることから、ESG投資と言えば上場株式への投資という前提イメージがあったものと考えられます。

ESG投資と類似の言葉:インパクト投資

ESG投資と類似の言葉として、インパクト投資という言葉もあります。こちらは「金銭的リターンを追求しつつ、同時に、地球環境問題の改善や社会経済システムの向上に向けたインパクトの創出を意図して行われる投資活動」と定義することができます。(参考:上場株式投資におけるインパクト投資活動に関する調査報告書(2020年3月、ニッセイアセットマネジメント株式会社))

ESG投資とも概念的に重なる部分がありますが、ESG投資が環境面、社会面、企業統治面に関して正しく配慮している企業に投資するという考え方であるとすれば、インパクト投資はより積極的と言えます。すなわち、社会課題の解決において波及的な効果をもたらすような事業を実施する企業に対し、その社会的インパクトの創出という目的をもって投資するもの、と言えるでしょう。

このインパクト投資という言葉は、途上国開発等の文脈で用いられることも多く、未上場株式等の未公開市場における投資のイメージが強かったですが、最近では上場株式投資を前提としたインパクト投資が急速に拡大しているようです。(参考:前出の報告書)

ESG投資の認知拡大により、スタートアップ領域へ浸透か

上記のように、これまでは大まかにESG投資は上場株式、インパクト投資は未上場株式、といったイメージがありましたが、新型コロナウイルス後にESG投資のパフォーマンスが比較的よかったこともあり、ESGという言葉がより広く認知されてきました。ESGという言葉が広まれば広まるほど、スタートアップ領域でESGに配慮した投資を行うファンドも出現・増加してくるでしょう。実際、米国の著名なベンチャーキャピタルである500Startupsは、最新のファンドではESGポリシーを設定して投資判断を行っていくようです。

ESG投資、インパクト投資等、類似の言葉が氾濫しがちなこの分野ですが、より広く認知を得た言葉が、いろいろな境界を乗り越え、社会的インパクト評価の標準的手法等を含め、業界標準を形成していくことでしょう。

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香港におけるESG投資環境整備

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香港証券取引所の常務取締役兼COOの投稿

中国との関係の変化でメディアでも話題の香港ですが、”The Asset”という企業経営者向けのメディアに、香港証券取引所の常務取締役兼COOによる、香港のESG投資環境に関する記事が、6月8日付けで掲載されています。

対象記事
The coronavirus teaches Hong Kong businesses important ESG lessons
(新型コロナウイルスは香港企業に重要なESGの教訓を与えている)
URL:https://www.theasset.com/index.php/article-esg/40706/the-coronavirus-teaches-hong-kong-businesses-important-esg-lessons
掲載日:6月8日

彼女は記事内で、「2019年、香港の社会的状況からもたらされた混乱により、香港企業は大きな課題に直面した。その結果、多くの企業は、コミュニティ内における彼らの役割を認識し、適切な課題対応手順を確認しつつ、事業継続計画(business continuity plans)を更新した。それにより新型コロナウイルスへの対応能力が向上した。」と述べています。

香港証券取引所の上場企業のESG報告義務

記事の中で私が興味深いと感じた点は2点です。
一つは、2016年から香港証券取引所はすべての上場企業にESG報告を義務化しているという点。制度の詳細については、香港証券取引所のこちらのページに詳細が記載されています。その内容を見ると、環境、社会、企業統治面について、開示すべき項目(Subject areas)と、推奨される開示内容例が具体的に明記されています。

ESG報告は、社会とのコミュニケーション

もう一つは、上記のような具体的な規程を示している一方で、ESG投資においてマテリアリティ(Materiality, 財務面での実質的な影響度)はキーとなる要素だが、それを評価する一般的な手法は存在しないと認めている点です。その上で、香港証券取引所は、最近のルール変更によって、ESGの議論が企業の取締役会レベルにまで引き上げられ、リスクと機会が評価されたうえで、株主やその他の利害関係者に対して取締役会が責任をもって直接説明することを促している、としています。

私自身、ESG投資の本質は、企業と社会の多様な関係者とのコミュニケーションなのだと考えています。そのため、情報の開示がキーであり、さらにはその開示方法の標準化が最重要事項なのだと考えています。その観点で、行政に加えて、証券取引所もESG投資環境整備の最重要プレイヤーなのだと、本日の記事で再確認させてもらいました。

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ESG投資に必要なもの:アクティブ投資的姿勢

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ESG投資に対する投資家の関心の変化は本物か

弊社では、持続可能な社会づくりについて毎日考えています。最近特に注目しているのは、新型コロナウイルス感染症の問題が顕在化して以降のESG投資(環境、社会、企業統治面への配慮を行なっている企業への投資)です。日々世界中の情報をフォローしております。「ESG投資において不可逆的な変化がおきている。今回発生したESG投資への関心の高まりは、新型コロナ後も継続するだろう」という意見が、日々多く発信されています。

そのような言説が飛び交う中で私が注目しているのは、投資家が閲覧する情報の変化です。投資家がESG投資に関心を高めた場合、投資家向けに発信されている情報にも変化が起こると考えているためです。例えば、米国の個人投資家向けメディアで組まれる特集にどのような変化が起こっているか、定点観測をするとESG投資に対する投資家の実際の関心の変化が見えてきます。

「責任ある投資家のための15のベストESGファンド」

例えばKiplingerという、1920年創刊の個人に向けた資産運用に関する米国のメディアがあります。その中で最近見つけた特集記事が「責任ある投資家のための15のベストESGファンド」というタイトルのもの。

関連外部記事
15 Best ESG Funds for Responsible Investors
記者:Coryanne Hicks @Kiplinger
発信日:6月1日

中身をみると、15個選定された投資信託商品それぞれについて、①管理資産規模(数値)、②配当率(数値)、③管理フィー(数値)、そして④各ファンドの投資方針(文章での要旨記載)がまとめられています。おすすめ投資テーマごとに注目の投資信託商品をまとめて紹介する記事(例えば、「IT投資」や「インドネシア投資」等)は多く存在しますが、上記の①~④の情報掲載様式は、そうした従来の投資信託商品紹介記事でよく用いられる掲載様式です。しかしながら、ESG投資はとても幅広い概念であり、「IT」とか「インドネシア」といった言葉ほど、「ESG」という言葉に対する人々の共通理解は形成されていません。

そのため、上記の記事においてESGにおける注目点の記載もまだまだ曖昧であり、それぞれの投資信託商品が具体的にどのような判断基準で投資先を選定しているか、具体的な内容は示せていません。もっと言えば、15個選定された投資信託は全て管理フィーが1%以下のいわゆる「パッシブ投資」を行う投資信託で、積極的にESG面の評価を行うようなコスト負担ができそうにない投資信託商品たちばかりです。

ESG投資には「アクティブ投資」が向いている

ESG投資には、環境、社会、企業統治に関して、そのリスクが発現したときに深刻な経営インパクトがあり得るが、その影響を数値化できない経営リスクを、投資判断に織り込んで投資を行うという思想があります。そのため、そもそもコストをかけずに一定の基準に基づいて投資先を選定していく「パッシブ投資」とは相性がよくない投資思想だと考えられます。

むしろ、対象企業の具体的取り組みについて、公開情報およびヒアリング等をもとに一社ごとに投資判断を行なっていくような、「アクティブ投資」の方が、ESG投資には向いていると感じます。その分コストのかかる投資手法ですが、数値化しきれないリスクに向き合う以上、投資家が手間暇かけていくのは当然といえます。一方で、そのESG投資家のコストを下げるために、企業側の情報開示方法の標準化が進められることも、ESG投資市場の成長には必要でしょう。

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医療分野におけるブロックチェーン利用、最大の課題は新習慣への適応

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人の習慣を変えることは最大のチャレンジ

人の習慣や行動を変えるというのはとても大変なことです。特に、本人が差し迫った必要性を感じていない分野において、他者が手取り足取せずに、自ずから習慣の変更を実現してもらうのは至難の業といってもいいでしょう。

本日、ある地域金融機関の方とお話ししていた際に、この事実を再度意識させられました。その金融機関では、顧客からお預かりしている定期預金について、その顧客の戸口まで職員が訪問して集金をしているというのです。日本において定期預金は口座振替が当たり前と思い込んでいた世間知らずな自分にとっては、少し驚きの事実でした。と同時に、開発途上国で広まっているマイクロファイナンスの分野では、金融包摂(誰もが正規の金融サービスを受けられる状態)の実現のための最大の障害は顧客にリーチする難しさ(業界では”Last One Mile”といわれます。)だという当時の気づきも思い出させられました。

関連外部記事
松本信用金庫 渉外係の一日

新型コロナによって期待される医療分野におけるブロックチェーン利用

新型コロナウイルスの広まりにより、医療分野におけるブロックチェーン(以下、「BC」)の活用が世界的に注目されています。特に注目されているのは電子カルテ分野だと言われます。BCにより、単一の主体(企業等)が個人データを管理するのではなく、患者自身によるデータ管理を実現できるためです。また、生物医学研究や臨床試験・治験の分野、健康保険分野、医療品サプライチェーン等においてもBCの活用が期待されています。

上記のような分野におけるBCの利用上の課題として、運用コスト、スケーラビリティ(ユーザーの規模や取引量が大きくなったときの運用上の問題)、処理速度の問題等がよく挙げられます。しかしながら、そうした技術的な課題や運用上の課題は、多くの場合他の要素とのトレードオフによって(実用上問題のない範囲での妥協によって)クリア可能です。最大の課題は本記事の冒頭で言及した、人々の習慣の変更の問題だと思います。習慣の問題を乗り越えられるのは、対象の人々が習慣を乗り越える必要性を強く認識したときです。今世界を混乱の渦中に引きずり込んでいる新型コロナウイルスは、その力を持っているのかもしれません。

関係記事
新型コロナウイルス時代のデジタルヘルス
メディア:OMICS(生物学のジャーナル)
URL:https://www.liebertpub.com/doi/10.1089/omi.2020.0049

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データの原材料、加工、流通と企業経営への活用

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新型コロナ:特定データの社会的価値の急激な高まり

新型コロナウイルスの危機下において発生した最も興味深い現象は、特定のデータに、社会全体の注目が集中したという事象だと考えています。感染者数、死亡者数、入院率等のデータがメディアで繰り返し報道され、外出自粛中の人々は報道されるそうしたデータをチェックし、論評する毎日を過ごしました。

昨日、ご縁あってオープンデータという概念をかなり以前から日本に広めようと努力なさってきた方のお話しを伺う機会がありました。その方はコロナ危機の中でも大活躍された方で、有名な新型コロナウイルス対策ダッシュボードを作られた方です。

この方のお話しをお伺いする中で印象的だったのは、新型コロナで注目されたデータに関して、データの発信者側(多くの場合公的機関)と、ボランティアでデータを加工し流通させていたデータ専門家との共同作業の難しさでした。データの発信者側の公的機関の担当官は、データの取り扱いに関する専門家ではないので、例えば公表しているデータの集計方法を途中で変更してしまい、その後工程でデータを加工・発信しているボランティア専門家が辻褄合わせに苦労する、という状況が度々発生していたようです。

無形資産としてのデータの、「生産プロセス」の意識が重要

この話を聞いて私が感じるのは、普段あまり意識されませんが、データという無形資産にも、工業製品と同じように、原材料の取得、加工、流通という取り扱いのプロセスがあるということです。新型コロナで注目されたデータは大変需要のある「製品」だったので、その付加価値プロセス、特にその後半部においてボランティアの方々の力も借りていました。そしてその前工程で事前の予告なしでの「仕様変更」があると、最終製品としてのデータの「品質」に大きな影響が出てしまっていました。

企業内でも、生データ取得、加工から経営層への提供までのプロセスの見える化が必要

少し飛躍しますが、企業経営におけるデータの取り扱いでも同じことが言えます。データは経営において欠くことのできないものです。その中で特に必要なデータは財務諸表に関するものでしょう。しかし、経営層の手元に財務データが辿り着くまでには、現場社員による「原材料」となる取引データの入力、経理部門や財務部門等によるデータの「加工」、「成形」等の処理を経て、最終的に経営者に提供されます。そのプロセス上に「手入力」や「属人的な処理方法」があると財務諸表の品質は劣化しますし、全ての数字の処理プロセスの前提を経営者が知っていなければ、受け取ったデータをどのように経営に反映させればいいのかわかりません。誤った示唆を得てしまう可能性もあります。

つまり、企業は自社内で入力、処理、出力されるデータの「製造工程」を可視化し、できるだけそれを自動化しておくことが理想的です。必要な場合にその工程を改善できる体制整備に、経営者は力を尽くす必要があります。

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ブロックチェーン産業とは?その産業支援とはどのようなものになるか

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  • 韓国政府が「ブロックチェーン産業」の積極的支援を表明

4月17日、韓国の企画財政部(日本の財務省に相当)が、政府の関係機関や民間の専門家を集めたブロックチェーン懇談会を開催し、その場にて企画財政部の次官が「ブロックチェーン産業は成長が見込まれる分野であり、政府が積極的に支援する」意向を表明したようです。

関連外部記事
韓国、ブロックチェーン産業育成に意欲 | 政府支援策を検討する会議が発足
記者:FELIPE ERAZO @COINTELEGRAPH JAPAN
URL:https://jp.cointelegraph.com/news/south-korean-government-labels-blockchain-a-golden-opportunity
掲載日:4月18日

上記の記事の中で、同次官が、ブロックチェーンの技術開発が進んでいる欧州や米国、中国と韓国の技術格差は大きくなく、市場は初期の段階にあり、政府が効率的にサポートすれば産業をリードすることが十分に可能だ、と発言したようです。

  • 「ブロックチェーン産業」とは何か

ブロックチェーンは、基本的には新しい種類のデータベースです。従来のデータベースと同じように使おうとすると非効率な部分がありますが、分散性、可用性、透明性、耐改竄性、またはユーザーが自分のデータの管理が可能になるなど、これまでになかった性質を備えています。

ブロックチェーンがデータベースであるとなると、ブロックチェーン産業とはデータベース産業ととらえ直すこともできます。そうすると、既存のデータベース産業とは何だったか、と韓国のニュースを見た際に考えてしまいました。

既存の、データベースを生業とする企業と言えば、クラウドサービスを提供するアマゾンやグーグル、マイクロソフト、そしてリレーショナル・データベースで有名なオラクルなどがいます。これらの既存のデータベース企業は、データベースを企業や個人が扱いやすいように提供することで価値を出しています。既存のデータベース企業は、当該企業と顧客が基本的に1:1の関係で契約を結ぶことで売上を得ています。

データベースとしてのブロックチェーンがその強みを発揮するのは、データベースが複数の主体により共同で保持され、支配的な管理者がいないような場合です。となると、ビジネスとしては、データベースそのものの提供による(テクノロジー的な)価値の出し方に加えて、そのようなデータベースの共同運用、共同管理にかかるコミュニティ運営に関する知見・経験の提供による(アナログな)価値の出し方もあると思います。

これこそが、ブロックチェーンの産業としての新しい特性なのではないかと考えています。

  • ブロックチェーン産業に対する国の支援とはどのようなものがあるか

前述の勧告のニュースでは、今後、韓国政府はブロックチェーン戦略を策定し、それに基づいて予算措置を図る予定だということです。ブロックチェーン技術の研究やその開発には資金が必要なので、資金的支援は貴重でしょう。

しかし、より重要なのはユースケースの発掘と、実運用経験の蓄積です。私は、ブロックチェーンのユースケースは、これまで公的機関が行ってきたような、公共的な部分にこそ大きなポテンシャルがあると考えてます。政府自身がブロックチェーンの理解を深め、(もしくは公共のための事業の運用経験とブロックチェーンに知見を併せ持つコンサルタント等を雇用し、)行政が管理するデータの取り扱いの一部分について、ブロックチェーン利用の提案を民間から募るような、積極的な取り組みが可能ではないでしょうか。そういったブロックチェーン実運用経験の蓄積のための機会の提供支援も、政府による大変貴重な産業支援だと考えます。

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情報の価値を個人が管理する時代、新型コロナで早期到来?

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  • 「データは21世紀の石油」

「データは21世紀の石油」と言われますが、価値あるデータ、特に個人情報を個人が管理できるようになる時代が、ブロックチェーンによってやってくると言われています。(直近では原油先物がマイナスの価格をつけましたが、ここでは、データがかつての石油のような利益と力の源泉であるという意味で引用しています。)

ブロックチェーンの根幹には暗号技術があります。その暗号技術を活用することにより、自分に関する情報への他者のアクセス権限を管理できるようになると言われているのです。

  • 個人情報を預かり管理する「情報銀行」

このお話しは、総務省・経産省が中心となって検討されている情報銀行の件と関係しています。情報銀行とは、個人情報を要求してサービスを提供していた会社に個人の情報を完全に渡してしまっていたこれまでの仕組みから、個人情報の管理に特化する「情報銀行」に管理を委託し、そこ経由で企業に個人情報を提供する仕組みのことです。

ブロックチェーンの活用により、この仕組みが技術的に可能ではないかという議論が、昨年などは活発に行われていました。
まだ情報銀行の検討は始まったばかりではありますが、最近の新型コロナの災厄が長期化する中では検討が一気に進む可能性があると考えています。

  • ブロックチェーンを用いた人の行動トレースサービスの乱立

今月に入り、感染防止のため人々の行動をトレースする、ブロックチェーン・ベースのサービスが検討されているというニュースが、とても増えました。世界中でその試みが行われています。現在は多くの国が外出禁止令を出したり、外出の自粛を要請したりしていますが、科学雑誌Scienceに掲載されたハーバード大学の論文に記載されているとおりに2022年ころまで事態が長期化するとなると、断続的に外出禁止措置を緩和する中で、実際に人々の行動のトレースをし始める可能性があります。

そうした行動トレースのプログラムが新型コロナ対策に有効になるためには、多くの人にそのプログラムを受け入れてもらう必要があります。そしてそれにはプライバシーの問題と折り合いを付ける仕組みづくりが必要となり、前述の情報銀行の仕組みが必要性を増す可能性があるのです。

私が知る限りでは、情報銀行はまだ概念実証の段階ですが、どこかの国で対新型コロナの行動トレース・アプリケーションが実運用されれば、その具体的事例を基準に法制面や技術の標準化等の検討が一気に進展する可能性があると考えています。そしてそこから、個人情報を個人が管理できる時代がやってくるのだと考えています。

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電気・ガス・水道等ユーティリティ会社が持つブロックチェーン潜在力

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  • 世界のブロックチェーンへのアプローチ

現在ブロックチェーンは、世界中から主に以下の観点で注目されています。
・金融
・不動産
・サプライチェーン
・投票関係
・個人情報(ID)管理
・学歴証明
・ゲーム
・著作権の二次流通
・真贋判断(フェイクニュース対策等)
・IoTとのコラボレーション

一般消費者向け(toC向け)サービスに取り組んでいる企業も多くいますが、より資金とリソースを割いて取り組めているのは企業向け(toB向け)サービス、もしくは企業内利用を前提とするシステム構築です。これは、ブロックチェーン技術における大きな課題であるスケーリング問題(大量のトランザクションを高速で捌くことを得意としていない)や、利用者の扱いやすさの問題(UX問題)がまだ解決できていないからだと考えられます。

  • ブロックチェーンが社会インフラになるための課題と克服方法

昨日の記事にて、スペインの経済大臣がベーシック・インカム導入を宣言したというニュースを取り上げました。そしてベーシック・インカムという政策をより効果的にするために、実務部分においてブロックチェーンを利用することが、「政策への信頼の補完」という観点で有効だろうという意見も述べました。

関連記事
危機下に価値を増す「執行力」、そしてベーシック・インカム
(本ブログ4月20日掲載)

しかし、この例でベーシック・インカムの実務にブロックチェーンを利用するにも、前述のスケーリング問題や利用者の扱いやすさの問題があるので、すぐに実行はできません。また、政府が単体でそれをやりきる能力(構築・運用両面における費用面の妥当性の検証、技術選定能力等)があるとは思えません。ではどのようにすればいいのでしょうか。

  • リテール網を持つ垂直統合型ユーティリティ企業に要注目

ヒントは、アルゼンチンにありました。アルゼンチンでは、IOVLabsというスタートアップがGasnorという国営から民営化された天然ガス販売会社(アルゼンチンの9つの天然ガス販売会社の1つ)と現地ソフトウェア会社と組み、IOVLabsのブロックチェーンを用いて、天然ガス流通におけるブロックチェーン適用をしようとしています。

関連外部記事
アルゼンチンの天然ガスディストリビューターGasnor がレギュレーターでブロックチェーンパイロットを開始
原題:Argentinian Natural Gas Distributor Gasnor to Launch Blockchain Pilot With Regulators
出典:IOVLabsプレスリリース
URL:https://iovlabs.org/press/argentinian-natural-gas-distributor-gasnor-to-launch-blockchain-pilot-with-regulators.html
掲載日:3月20日

本件は、ガス配給会社から小売り先までのネットワークをブロックチェーンに載せ、新しいガス設備を設置する業務プロセスの簡素化と効率化を図るもののようです。また、この業界は規制が多いですが、国の規制機関によるコンプライアンス監視能力を強化することも狙いのようです。

この事例は、ブロックチェーンの仕組みが、消費者の玄関までたどり着けるルートを示していると感じます。すなわち、ユーティリティ企業は、業界の規制の遵守のためや、上流から小売りまでの商流の管理効率化においてブロックチェーンを用いるインセンティブがありますが、副次的効果として、一般家庭にまでそのブロックチェーンが辿り着くことになるのです。

純粋にビジネス的観点で整備されるブロックチェーン網が、一般家庭まで到達している。この仕組みが一般化されていけば、このルートに乗せて上述のベーシック・インカムの供給網を構築する可能性があると考えます。

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