ESG投資に不可欠、格付機関3社+αを徹底解説!

ESG徹底解説シリーズ第2弾へようこそ!
第1弾の記事「ガバナンスとは?ESGの”G”ガバナンス(企業統治)を徹底解説! 」もご覧ください。

ESG経営ESG投資について調べていると格付機関がキーになっていることに気が付くと思います。

現在、世界全体では31兆ドル日本でも231兆円(2018年時点)がESG投資に資金流入しています(Global Sustainable Investment Report 2018, GSIA)。ESG投資というシステムを支える根幹ともいえる、ESG評価とそれを付与する格付機関についての知識は、今後ビジネスパーソンにとって必須と言えるでしょう。

この記事では、

      • 主な格付機関はどこか?
      • 各格付機関はどのようにESG評価をおこなっているのか?
      • 各社のESG評価の結果は、どのように確認できるか?【事例で解説】

という疑問にこたえていきたいと思います。

この記事は、格付機関を説明することを目的としているため、そのシステム自体の問題点には触れません。ESG格付の課題について詳しく知りたい方は以下の記事へどうぞ!

「ESG格付」「ESGランキング」の課題とESGコンサルタント

目次

  1. ESG格付とは?
  2. 主要なESG格付機関3社事例+α
  3. まとめ

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1. ESG格付とは?

ESGとは?

ESGの「E」は「環境(Environment)」、「S」は「社会(Social)」、「G」は「企業統治(Governance) 」をそれぞれ意味しています。

財務面だけでなく、これら3分野へ配慮して経営することをESG経営と呼びます。機関投資家や個人投資家のあいだで、ESG評価の高い企業に投資をふりむけるESG投資が注目を集めています。

ESGに格付機関が不可欠な理由

ある投資家が、ESG評価が高い企業に投資したい!と思っても、実際にどの企業どんな取り組みをしているのか、個別に調べるのは大変な作業です。個別に調べるのは効率が悪いですし、限界があります。

加えて、例えばESGの「E(環境)」への取り組みも、プラスチック包装などを使用する最終消費財の企業と、SNSサイトのようなテック企業では、取り組み方法もその影響も全く違い、直接比較が難しいですね。

このような業種による差異の調整等を通して、多様な企業を同じ尺度で点数付けする格付があると便利です。そこで、投資家が簡便に投資判断にESG要素を取り入れることができるようにするツールとして、ESG格付が開発されたのです。

いまのところESG評価の共通基準は存在せず、各格付機関が、独自の評価方法や分析方法、情報網を使って、格付評価を付し、格付結果を公開したり販売したりしています。

ESG格付と信用格付の違い

格付と聞くと、信用格付を思い浮かべる方もいるかと思います。投資家がそのポートフォリオ構成を検討する際に参考にするという意味でESG格付と信用格付は同じ機能を持っています。しかし、格付結果の利用方法が違います。

信用格付は、債券等の投資先リスクの高低を、様々な要件から「意見」として格付会社が評価するものです。リスクと利回りは基本的に相関していて、高リスク高リターン(格付では低評価)低リスク低リターン(格付では高評価)です。投資家の投資への姿勢によって、どの評価の債券を購入するかが決まってきます。

ESG格付では、基本的にESG評価高い企業がリスク低い「良い」投資先と考えられています。ここでいうリスクは、高リターンとセットになっている訳ではありません。ESG格付結果が、信用格付の結果と同様にAAAやCCCと表示される場合もあるので、誤解しないようにする必要があります。

信用格付とESG格付は、その方法においては共通する部分もあり、実際に、信用格付を提供する大手機関が、ESG格付にも参入しているケースが多いです。本記事でご紹介する格付機関もルーツが信用格付機関であるものが多いです。

ESG格付は利用されているのか

それでは、投資家は実際に投資判断の際にESGを考慮にいれているのでしょうか?

Russel Investment社が行った、全世界(含む日本)のアセットマネージャー400名対象のアンケート調査 では、75%PRI(責任投資原則)署名という形で、ESG要素投資判断に取り入れることを表明しています 。さらに、アセットマネージャーの42%MCSIという格付機関の評価を、37%Sustainalyticsの評価を利用していることが明らかになりました。各機関については次の章でご説明します。

別のESG評価の利用方法として、インデックスファンドの運用における活用があります。インデックスファンドとは、一定のルールに基づいて計算された「指数」と同じ値動きをするように運用される投資信託のことです。ESG投資を行いたい投資家からみれば、ESGの観点から問題がない、もしくは優れたESG経営をしている企業群に投資をしてくれる投資信託があると便利です。その投資家の需要にこたえるために、ESGの観点も取り入れた投資信託が多く組成されていますが、その銘柄選定においてESG格付 が利用されます。

例えば、日本ではGPIF(年金積立金管理運用独立法人) が2018年以降、S&Pダウ&ジョーンズのS&P/JPXカーボン・エフィシェント指数シリーズ 、MCSIのジャパンESGセレクト・リーダーズ指数 及び日本株女性活躍指数(WIN) 、FTSEのBlossom Japan Index の指数を順次採用 しています。

S&P/JPXカーボン・エフィシェント指数は、東証一部上場企業全社のうち、同業種内で炭素効率性が高い(「温室効果ガス排出量/売上高)が低い)企業と二酸化炭素排出量などに関する情報開示を行っている企業の投資比重(ウエイト)を高めています。MSCIは、MSCIジャパンIMIを構成する企業のうち、時価総額上位500銘柄を親指数とし、MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数では、ESG格付結果に基づいて総合的に選別(252社)したり、日本株女性活躍指数(WIN)では、性別多様性指数 を個別に評価した結果をもとに銘柄選別をしています(208社)。FTSEの場合は、FTSE All World Japan Indexの構成銘柄509社のうち、ESG評価結果と業種を勘案して総合的に指数を構成しています(149社)

2. 主要なESG格付機関3社事例+α

この記事では、もともと信用格付を提供していた大手で、ESG格付に参入したような格付機関をご紹介しますが、AIなどのテクノロジーを利用してまったく新しい方法でESG評価 を提供する新しい会社もあります。
ESGにおけるAI技術の利用について詳細を知りたい方は下の記事 もどうぞ!

ESG投資で存在感を増すAIの事例

MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)

沿革・一般

アメリカ合衆国。1998年設立。金融サービス業全般。MSCI指数(世界70ヵ国以上の株式市場をカバー)を、多くの機関投資家や投資信託がベンチマークとして採用している。米大手資産運用会社BlackRockも採用 。ESG評価の付与実績は18年前から。

格付方法

情報源は、政府やNGO等のデータ、企業自身の公開情報、メディアによる報道、企業への聞き取り調査。37のキー・イシューについて、リスクの大きさ(リスク・エクスポージャー)と管理体制の2つの視点から(相対値ではない)絶対的点数を付与。産業カテゴリ(インダストリー)ごとに、考慮するキー・イシューや重み付け(ウエイト)が異なる。同じ産業カテゴリに所属する企業の中での順位によって相対的評価を7段階で付与(AAAからCCCまで)。

格付結果の公表状況

2800社以上の企業のESG格付 について、総合評価及び一部個別評価結果をWebサイト上で公開。各指数 の構成銘柄については、総合評価と重み付け(ウエイト)を公表。MCSIのジャパンESGセレクト・リーダーズ指数の構成銘柄はESG総合評価及びウエイトを、日本株女性活躍指数(WIN) では、構成銘柄の性別多様性スコアとウエイト を公表。

MSCIのWebサイト 上で、銘柄コードあるいは企業名を入力するとESG格付 が表示されます。

例えばSONYと入れてみると、「ソニー(銘柄コード:6758)」のESG評価AAAと経年変化が表示されます。さらに、同じ家庭用耐久消費財業界カテゴリに所属する企業27社のなかで、上位4%に位置していることが分かります。家庭用耐久消費財業界で重要視されているキー・イシューのうち、「コーポレートガバナンス」及び「化学物質安全性」については緑(平均以上)、労務管理、疑義のある資源調達、「電気電子機器廃棄物」については黄色(平均的)、サプライチェーンにおける労働基準については赤(改善の余地あり)に分類されていることが分かります(2020年10月28日アクセス時点)。

格付結果の購入方法

MSCIでより詳細なESGデータを購入するには、MSCIにお問い合わせ する必要があります。(MSCI Tokyo インデックス関連の問い合わせ先 Index queries: +81 3 5290 1555、被格付企業による問い合わせ先: +81 3 5290 1560)

FTSE Russell

沿革

ロンドン証券取引所(LSE)の子会社。以前は、FTSE4Good指標という名称であったが、現在はFTSE Russell’s ESG Rating。

格付方法

350のインディケーターに対する採点に基づき、14のテーマスコア(各テーマにつき10-35のインディケーター)を設定。テーマスコアに基づきESGの3分野のスコア及び総合スコアを付与。すべて0-5の絶対評価。

格付結果の公表状況

ESG関連インデックスの構成銘柄のみ総合評価及び該当インデックス内でのウエイトが公表。FTSEのBlossom Japan Index の構成銘柄はこちら から。

格付結果の読み方

例えば、MSCIではAAAに分類されていたソニーは、FTSEでは3.9の評価が付されています。FTSEのBloosom Japan Indexで、ソニーは3.4%のウエイトを占めているようです。構成銘柄の表(PDF)では銘柄コード順に並んでいるので、探すときの手がかりにしてみてください。

格付結果の購入方法

FTSEは現在、各Index商品を構成している会社の総合評価しか公表していません。各社の詳細や、Index商品に入っていない会社のデータへアクセスするには、購入 する必要があります。必要なデータ量によって金額が異なるので、FTSEにお問い合わせする必要があります。(FTSE Tokyo + 81 (3) 4563 6346)

Sustainalytics

沿革

本社はオランダ。1992年設立。Morningstar系列。STOXXやMorningstarの株価指数作成に活用されている。

格付方法

「リスクへのエクスポージャー(Exposure、リスクの大きさのこと)」と「どの程度リスクを管理できるか(Management)」を勘案した総合評価を0-100でレーティング。0-10ほぼリスクなし、10-20が低リスク、20-30が中リスク、30-40が高リスク、40以上を重篤なリスクと分類。「管理可能にもかかわらず管理できていないリスク(Management Gap)」も勘案。ストライキやリコール等企業業績にとって「重大なリスク」となりうる項目(Controversy Rating)も随時モニタリングし勘案。

格付結果の公表状況

Webサイト上で総合評価、一部詳細を公開。Exposure(高・中・低)とManagement(強・平均・弱)の3段階評価、同じ産業カテゴリ(インダストリー)に所属する企業内で何番目か、過去の「重大なリスク」となりうる項目の重度を5段階で表示。産業カテゴリ毎にリスト表示も可能。

格付結果の読み方

例えば、ソニーでは、総合評価が13.4低リスクで、同じ耐久消費財業界では203社中7番目。業種混合の13,182社中では469番目にリスクが低い企業と評価されています。類似企業数社とも比較してくれます。日本企業だと、パナソニックが38.4と高リスクに分類されています。

「リスクへさらされている度合(Exposure)」は低・中・高の3段階のうち、低に分類され、「リスクを管理している度合(Management)」についても、強・平均・弱の3段階のうち、強に分類。さらに、ESG項目のうち、ソニーにとって重要(マテリアル)だと認識されているのはコーポレートガバナンスや人的資本などであることも分かります。

最後に、ソニーの「重大なリスク」になり得る過去の出来事のうち、最も重大な出来事でも中程度のリスク(5段階中2番目)であったことが左側に示されています。競争原則に反し、顧客にとって不利になるような事案、サプライチェーンの社会的側面として、従業員の人権が問題になるような事案などが過去にSustainalyticsによって捕捉されていることも分かります。

格付結果の購買方法

Sustainalyticsは、Webサイト上でもかなり詳細な情報を提供していますが、より詳しいデータをAPIなど様々な形態で提供しています。(Sustainalytics Tokyo (+81) 3 4510 7979)

その他の格付機関8選

CDP

2000年設立。イギリス拠点。上記3社と違い、営利企業ではなく国際NPO環境面に特化。各社に送付したアンケートへの回答結果を用いてレーティング。質問項目はすべて公開 。気候変動、水資源、森林保全の3分野についてAからDマイナスの8段階でランク付け。環境面では非常に影響力を持つ。世界525機関投資家運用資産額約96兆ドル)がCDPの、温室効果ガス対策等の情報開示を進めるイニシアチブに賛同。2019年時点で、世界8,400社(内日本企業356社)が回答し、回答企業の時価総額は全世界の時価総額5割を超える。CDP自体はインデックス商品を持たないが、STOXXがCDPのA評価企業で構成される指数を設定している。回答結果は年次レポートで公開。
例えばソニーは、最上クラスのA分類(CDP気候変動レポート2019:日本版 )。

Refinitiv

トムソン・ロイター系。400以上のデータポイントから70種類以上のKPIを算出。環境、社会、ガバナンスの各スコア算出後、ESG不祥事を勘案後、総合評価算出。スコアは0-1で、格付は、A+からD-まで12段階。格付 結果はWeb上での一般公開は無。情報源は、企業自身が発表する情報に加え、NGOや報道機関提供の情報、取引所の開示情報。更新は年に1回。

Bloomberg

他の格付機関が、内容をもとに評価しているのに対し、ブルームバーグESG開示スコアは、情報を開示しているかどうか自体を評価するBloomberg ESG disclosure socreを提供。スコアは一般非公開。既存プラットフォーム「ブルームバーグターミナル」上にESG評価結果 表示機能が追加

ISS-Oekom Corporate Rating

ドイツ拠点。800以上のインディケーターからESGの各ピラーを評価 。各インダストリーでキー・イシューを5つ選定。同じ産業カテゴリに所属する他企業との比較でレーティング。2格付は、A+からD-まで12段階。

Robeco SAM Corporate Sustainability Assessment

スイス拠点。評価結果一般非公開。E「環境」5項目、S「社会」9項目とED「経済」(Economic Dimension)9項目の3分野で評価。一般的にG「ガバナンス」に含まれる項目は、ED「経済」に含まれる。

Vigeo Eiris Sustainability Rating

フランス及びイギリス拠点。330のインディケーターから、41のサブセクターを評価。セクター毎に関連性に応じて重みづけし、6分野(環境、地域社会への貢献、ビジネス行動、人権、ガバナンス、人事)にグループ化。総合評価は、A-Eの5段階評価。評価結果を用いて銘柄構成する指数も作成。評価結果は非公開 。

EcoVadis CSR Rating

フランス拠点。情報源は企業自身の公開情報、オンラインアンケート回答結果に加えて、NGOや政府機関、CDPの評価結果等を利用。4分野(環境、社会、倫理、持続可能な調達)21項目で評価。産業カテゴリによって、21項目のうちどの項目を評価するかが異なる。4分野の重みづけは、産業カテゴリ及び企業規模に応じて異なる。総合評価結果は0-100で表示。

RepRisk

スイス拠点。1998年設立。情報源は、公的機関の公開情報及び利害関係者インタビュー。企業自身が発信する情報は分析対象外。AI及び機械学習を取り入れて格付を構成。主要顧客はAllianzJP Morgan Asset Management。総合評価はAAAからDまで10段階。企業ごとの評価結果表示のサンプル はこちら。

3. まとめ

いかがでしたでしょうか。
様々な格付機関が、それぞれ独自の方法で企業のESG要素評価格付していることが分かっていただけたでしょうか?
結果を一部公表している機関も少しですがあります。ぜひ自社や取引先企業の評価結果を確認してみてください。

取引先のESG評価が高い場合、将来的にサプライチェーン内にいるあなたの企業へ、ESG要素へ取り組むことを要請してくるかもしれません。逆に低い場合も、今後改善していく取り組みの中で、取引先へも改善要請があるかもしれません。

ESG格付は、その評価基準の統一が叫ばれつつ、なかなか進んでいないのが現状です。ESG格付で高い評価を得るために経営戦略を寄せていく必要はありませんが、自社の経営方針持続可能なものにしていくための取り組みが、きちんと格付機関からも評価されたらいいですよね。そのために、主要な格付機関がどのように評価を付けているのか理解しておくことは重要です。

ESG格付の課題について詳しくはこちらの記事もどうぞ。(再掲)

「ESG格付」「ESGランキング」の課題とESGコンサルタント

ESG格付を上手く経営に活かすには…

ご紹介したとおり、ESG格付は格付機関ごとにバラバラに実施されています。そのため、ESG格付を経営に有利に活用しようとするときには、ESGの概念を自社の文脈で解釈し、格付にとらわれずに「社会的価値」を追求することが近道と言えるでしょう。そのためには、経営レベルがコミットする一貫した戦略が必要です。トークンエクスプレス株式会社はその具体的な打ち手をご提案できます。ご関心ある方はぜひ「お問い合わせ」よりお気軽にご連絡ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピンチをチャンスに!日本企業がSDGsに取り組むメリット3選

2020年7月、三菱UFJフィナンシャル・グループに続いて、みずほフィナンシャルグループと三井住友フィナンシャルグループが石炭火力発電所の新設事業への融資停止を発表しました 。気候変動への早急な対策が叫ばれる中で、この決断は関係者の予想よりも踏み込んだものでした。

なぜ大手銀行は融資停止に踏み切ったのでしょうか?それは日本のビジネスシーンでもよく目にするようになったSDGsSustainable Development Goals持続可能な開発目標の観点の広がり が影響している と考えられます。なぜ企業がSDGsに取り組むようになってきたのでしょうか?そのメリットは何でしょうか?

この記事で、日本企業がSDGsに取り組む3つのメリットを一緒に見ていきましょう!

目次

  1. SDGsに取り組まないリスク、取り組むチャンス
  2. ミレニアル世代の優秀な人材確保
  3. パフォーマンスを高めるSDGsへの取り組み
  4. まとめ

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1. SDGsに取り組まないリスク、取り組むチャンス

SDGsとは?

SDGsとは2015年に国連によって定められた、持続可能な社会の実現のための17の目標です。その特徴は、貧困削減や飢餓の撲滅など主に低所得国に関係する項目の他に、ジェンダー平等や気候変動など先進国も含めた世界全体が取り組むべき項目が取り入れられていることです。

※出典:SDGsポスター(国連広報センター)

「持続可能な社会の実現への貢献」=当たり前、という潮流

皆さんもCMや雑誌など、社会のいたるところでSDGsを目にするようになったのではないでしょうか?SDGsは2030年までの目標を定めたものですが、その後も新たな目標が設定され、世界は引き続き気候変動などの社会問題に取り組んでいくことになるでしょう。持続可能な社会の実現 を重視する兆候は一過性のものではなく、今後ますます強まっていくものと言えます。

では、日本の一般的な企業はどうするべきでしょうか?持続可能な社会への貢献や社会問題解決を重視しつつある時代の変化を先読みし、それに合わせたビジネスを展開する必要があります。SDGsへの取り組みは生き残り戦略の1つとも言えるのです。SDGsの本質をとらえ、長期に渡ってコミットすれば、それが会社の強みとなり、安定的な経営優秀な人材の確保、そして業績アップにもつながります。

世界全体がSDGsに取り組んでいる中で、この世界的に大きなトレンドを無視し、それに逆行するようなビジネスを行うことは、大きな経営リスクとなり得ます。企業の評判が下がったり、融資を受けられなくなったり、消費者が商品を購入してくれなくなったりする可能性があります。

さらには、SDGsの理念に沿うような法的規制が設けられた場合に、今まで行えていた原料調達や海外工場での生産活動を行えなくなるなどのリスクもあります。
このサプライチェーン管理面での経営リスク低減方法はこちら記事をご参照ください。

サプライチェーン管理を経営に活かす – SDGsを入口に

児童労働や劣悪な工場環境でイメージ悪化

例えば、海外では20年以上前にナイキ児童労働をさせていたとして大きな批判を受けました。サッカー関係の衣類やアクセサリーを生産するインドネシアやパキスタン、ベトナム、中国の工場で、必ずしも現地の法律に違反していなかったにも関わらず、子どもを雇用していたことが批判の的となりました 。

その後も服飾、特にファスト・ファッション業界のサプライチェーンは悪い意味で注目され続け、ZARAH&Mなどの大手ファスト・ファッションメーカーは発展途上国の下請生産工場における待遇の悪さなどを批判され続けています

今では、特にヨーロッパでは、消費者も商品を選ぶ際の基準として、エシカル(倫理的)かどうかが視野に入れるようになっています。原料調達や生産がエシカルに行われているかどうか、それを開示しているかどうかが、消費者が商品を選ぶ際の1つの目安になっています。一度アンエシカル(倫理的でない)イメージがついてしまったファスト・ファッション業界は対策を講じていますが、生産スピードと価格競争のなかで、国際的に広がるサプライチェーンの末端までエシカルであることを徹底することは、容易なことではありません 。

ピンチをチャンスに!持続可能なパーム油の利用を目指す「ヤシノミ洗剤」

ピンチをチャンスに変えた企業もあります。日本の衛生用品のメーカーであるサラヤはかつて、ロングセラー商品の「ヤシノミ洗剤」パーム油が含まれていたことから、「環境に優しい」という同社の打ち出すイメージとは逆に、批判を受けたことがあります。東南アジアの熱帯雨林の破壊とそこに住む野生の象への悪影響の一端を担っているという批判です。

パーム油とは、アブラヤシの実から採れる油で、主に菓子類やインスタント食品など日常のあらゆる生活用品に使われています。しかし、原料名には「植物油脂」などと表示されており、パーム油が商品に含まれていること、それが東南アジアの生態系破壊に繋がっていることはあまり知られていません。

批判を受け、サラヤはパーム油製造に伴う無秩序な森林伐採の悪影響を食い止める活動に乗り出すこととしました。その結果サラヤは、業績を右肩上がりに伸ばすほどに、環境保全持続可能な社会づくりに貢献する企業としてのブランドを取り戻すことに成功しました。

経済を活発にし、雇用を生み出すSDGs

企業がビジネスを通じてSDGs に取り組むことは、企業の存続基盤を強固なものにするとともに、いまだ開拓されていない巨大な市場を獲得するためのチャンスでもあります。新技術や新たなビジネスモデルを生み出す、大きな変革の波に一番初めに乗った企業が将来、市場の成長牽引することにつながります。

国連はSDGsを達成した場合、2030年までに世界経済に12兆米ドル(1ドル105円換算で、約1,260兆円 )の価値をもたらし、38億もの雇用を生み出すと予想しています 。具体的には、SDGs達成への取り組みを通じて、世界の低所得層の生活水準が底上げされたり、新たなビジネスモデルの創出が見込まれます

2. ミレニアル世代の優秀な人材確保

2つ目に注目するべきなのは、若い世代の価値観の変化です。今後、いわゆる「ミレニアル世代 」が消費者・従業員として、投資家として、起業家として、企業をとり巻く ステークホルダーの中心となってきます。ミレニアル世代とは1980年代から2000年代初頭までに生まれた世代を 指します。

若者の環境保全意識の高まり

若者の環境意識を象徴する存在として、スウェーデンの環境活動家であるグレタ・トゥーンベリ氏がいます。彼女は15歳だった2018年に、気候変動への対策を取らない大人への抗議のために、学校を休んでスウェーデン議会の前に座り込む「学校ストライキ」を開始しました。その後、運動は世界中に広がり、トゥーンベリ氏が登壇した2019年の国連気候行動サミットに合わせて開かれた「グローバル気候マーチ」には、世界各地で何百万人もの人々が参加しました。

最近では、「プラネット・アース」などの環境ドキュメンタリーシリーズを手掛ける94歳のイギリスのキャスター、デイビッド・アテンブローグ(David Attenborough)氏のインスタグラム史上最速開設後4時間44分100万フォロワーを超えた ことが話題になりました。これは、インスタグラムを使いこなす「デジタル・ネイティブ」のミレニアル世代が、いかに環境生態系保全関心が高いかを示していると言えます。

意識の変化は企業の採用活動や働き方にも!

ミレニアル世代の価値観の変化は企業の活動にも大きく影響を及ぼしています。例えば、経済産業省の資料によると、ミレニアル世代は仕事上の利益のみならず、働く目的をよく考えており、社会課題の解決企業選びにおいて重要な価値の1つになっています 。

さらに経済産業省によれば、ミレニアル世代の人たちは会社のコミットメントバリューが以前からどうだったということを詳しく見ているようです。そのため、儲かるという証拠がそろってからSDGsに取り組むのでは手遅れであり、「社会貢献の価値をアピールできない企業は投資家の資金も引き寄せられず、ミレニアル世代優秀人材採用できないという時代が来ているのではないか」と結論づけられています。

実際に、デロイトトーマツが2018年にミレニアル世代を対象に行った調査によると、「事業の成功は財務上のパフォーマンス以外でも測定されるべきだ」と考える人が83%を占めました。「企業が達成すべきこと」に関する質問では、ミレニアル世代は、「地域社会の改善」「環境の改善と保護」なども重要と考えている一方、雇用主が「収益の創出」や「効率性の追求」などを優先事項と考えていると見ており、大きなギャップが見てとれます。

※デロイトトーマツ「2018年デロイトミレニアル年次調査」より抜粋

社会貢献も重視する価値観へ

世の中の企業に向ける目線の変化を示す例として、コモンズ投信の「コモンズ30ファンド」と「コモンズSEEDCap」を紹介します 。2008年のリーマンショック直後に誕生したコモンズ投信は、「こどもたちの時代をより良い社会にしていく持続可能な社会を創る」という理念のもと、30年の長期投資の目線をもつ「コモンズ30ファンド」を提供しています。

「コモンズSEEDCap」はコモンズ30ファンドの信託報酬の1%相当を、選抜された社会企業家に寄付するプログラムです。今年で11回目(11年目)を迎えます。

コモンズ30ファンドへの投資家は、コモンズ投信に支払う信託報酬の一部の寄付を通して社会企業家を育て、間接的に社会問題の解決に貢献することができます。この取り組みが11年も続いていることは、少なくとも投資家が企業に期待するものとして、従来の金銭面での価値提供金銭リターン)に加えて、持続可能な社会づくりへの貢献も重要視されてきたことを表しているとも言えるでしょう。

ミレニアル世代の価値観は投資においても大きく反映されています。調査 によると、上の世代と比べて、より多くのミレニアル世代ESG投資について財務専門家に相談したことがあると答え、81%ミレニアル世代が、投資を通じて、金銭的に得をするだけではなく、精神的な満足を求めていると答えました。

(ESG投資とは、 「環境(Environment)」、「社会(Social)」、「企業統治(Governance)」に配慮する企業への投資行動を指します。ESG投資の具体例等は弊社の 別記事 をご覧ください。)

3. パフォーマンスを高めるSDGsへの取り組み

経済産業省は、日本企業がSDGsに取り組むべき理由として、財務パフォーマンス の向上を挙げています。学術的なコンセンサスはいまだ得られていないものの、SDGsを積極的に経営に取り込む企業は、他社と比べてパフォーマンスが高い傾向があると結論付ける研究も存在しているようです。

森林を守りながら、企業利益向上

例えば、ドイツの香料メーカーであるシムライズSymrise)は、倫理的なビジネスを行う民間企業が加盟する国連グローバル・コンパクトに参加しており、2012年と2019年には「ドイツ・サステナビリティ・アワード」を受賞するなど、持続可能な社会への貢献に配慮した事業運営が高く評価されてきました。

シムライズはマダガスカルバニラのバリュー・チェーンにおいて、ユニリーバやネスレ、ケロッグなどの世界有数の衛生用品メーカーや食品メーカーと「バニラ・アライアンス」というコミュニティを発足しました。これは、マダガスカルの教育保健森林保護などを重視し、持続可能なバニラ調達を行うイニシアティブです。

そのおかげか、シムライズのCEOは2019年ハーバード・ビジネス・レビューの「最も功績をあげたCEO」ランキング35位に選ばれ、さらにはコロナ禍にも関わらず、2020年上半期のシムライズの売り上げ前年度比7.6%上昇しました。持続可能なバニラの調達は売り上げ向上 に大きく貢献したと考えられています。

SDGsへの取り組みと企業パフォーマンスの関係は、特に日本において研究が進んでいないので立証は難しいです。しかし、製品の原料調達地環境保全を行わなかったり、製造過程の工場が適切な労働環境でなかったりすれば、いずれ企業活動が行えなくなり、存続が危うくなる可能性については、すでに述べたとおりです。

日本企業の例を挙げると、明治持続可能なチョコレートの原料カカオ豆生産のためにラテンアメリカや東南アジア、アフリカの計8か国でカカオ農家支援活動を行っています。

具体的には、収穫量を増やすための栽培方法や病虫害の管理方法などについて学ぶ勉強会を開催したり、栽培に必要な苗木の供給センターをつくったりしています。また、当社独自の発酵法を実践してもらい、高品質のカカオ豆を得られるような取組も行っています。さらには、井戸の整備や学校備品の寄贈、環境への配慮をした農法の応援など、カカオ農家やコミュニティの生活を支援する活動も行っています

まとめ

日本企業SDGs責任ある企業活動に取り組むメリットについてご説明しました。SDGsに取り組もうとする会社においては、地域でのボランティア活動やNPO団体への寄付 にとどまったり、SDGs推進の部署のみが盛り上がり、他の部署と具体的な連携ができていないなどの事例が散見します。

本来は社会に対して責任をもった企業活動の理念企業全体で共有され、中心に据えられるべきものです。もしあなたが「ウチも会社全体で取り組むべきだ!」と思いつつ、社内で理解を得られない場合には、ぜひこの記事や記事内の参考資料をご活用ください。

会社が世のため人のために存在するという考え方は、「三方よし」渋沢栄一道徳経済合一説にもあるように、日本では広く受け入れられ、脈々と受け継がれています。SDGs、広く言えば社会の諸課題の解決に取り組むのは、日本企業にとって決して突飛な挑戦ではないのです。

資料集はここから

国連グローバル・コンパクトに加盟している海外・日本企業の持続可能な社会づくりに関する報告書(サステナビリティ・レポート)(日本企業の場合は日本語あり)はここ から閲覧可能です。

さらに、グローバル・コンパクトのページには英語の資料集 があり、自社ビジネスの構造に沿って貢献できそうなSDGsの目標を選ぶ方法や実際に取り組む手順のヒントを得ることができます。日本語でのまとめ資料 にもアクセス可能です。

経営戦略としてSDGsに取り組むには・・・

トークンエクスプレス株式会社は、「『社会的価値』を、ビジネスのチカラに。」をスローガンに、企業経営層向けに、社会的価値をもちいた経営強化支援サービスを提供しております。経営戦略としてSDGsに取り組むためには、自社の属性情報から検討をスタートする方法と、自社の競合優位性(バリュープロポジション)から検討する方法があります。ご関心ある方はぜひ「お問い合わせ」よりお気軽にご連絡ください。

 

 

 

 

 

ガバナンスとは?ESGの”G”ガバナンス(企業統治)を徹底解説!

ガバナンスという言葉を聞いたことがありますか?

聞いたことはあるけれど、実際に何を意味するのかわからない、定義はわかるけれどガバナンスを改善するとはどうすればいいのかわからない、という人が多いのではないでしょうか?

環境Environment)」、「社会Social)」、「ガバナンス企業統治)(Governance)」へ配慮している企業に積極的に投資するESG投資の流行によって、ガバナンスという言葉を耳にする機会が増えてきたと思います。

この記事では、

      • そもそもガバナンスとは何か?
      • ESG投資において、ガバナンスをなぜ改善するべきなのか?
      • 「ガバナンス」の指標にはどんなものがあるのか?

という疑問にこたえていきたいと思います。

目次

  1. ガバナンスとは?
  2. ESG投資とは?注目されている理由は?
  3. ESGの中でガバナンスの位置づけ:日本企業はこれから本格化?
  4. 「ガバナンス」の評価項目事例
  5. まとめ

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1. ガバナンスとは?

一般的なガバナンスの定義

ESG投資における「ガバナンス(企業統治)」の詳細に入る前に、簡単にガバナンスという言葉についてみていきましょう。

ガバナンス(英語ではGovernance)とは、Governという「統治する、支配する、管理する」という動詞から派生している名詞です。知事のことをgovernorといいますね。同じ語源です。

ガバナンスは意味が広く、人が集まってできている集団・組織の統治、支配、管理の意味で使われます。組織内では、どのような方法であれ、個々人の動きを統率しなければいけません。統率が取れている状態のことを「ガバナンスが効いている」などと表現したりします。

企業におけるガバナンスの定義

企業の文脈では、経営者や取締役会、株主など、企業内の様々なグループについて、その権利役割責任定める枠組みを提供するものを、ガバナンスと呼びます。

ちなみに、企業におけるガバナンスは、コーポレート・ガバナンス企業統治)とも呼ばれ、日本証券取引所グループ(JPX)は、

“会社が、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組み“

と定義しています。

参照資料:
JPX「コーポレートガバナンス・コード~会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために~ 」2018/6/1

“ガバナンス” と “コンプライアンス” の違い

似た概念としてコンプライアンスという言葉がありますが、違いは何でしょうか?
コンプライアンスは、法令順守と訳されることが多いですが、企業が法律や社会的規範に違反しないこと、規則を守ることを意味します。
ガバナンスは、企業が法律を順守する違反しないような管理体制をつくることを指します。つまり、ガバナンスがしっかりしていれば、おのずとその企業はコンプライアンス違反を犯さないという関係になります。

参考資料:
ガバナンスとコンプライアンスの定義と活用法
情報ガバナンス研究室、2018/11/15

2. ESG投資とは?注目されている理由は?

ESG投資の「G」は今日のテーマの「ガバナンス企業統治)(Governance)」です。残りの「E」「S」はそれぞれ「環境Environment)」、「社会Social)」を意味しています。

財務情報だけでなく、これら3分野へ配慮して経営することを「ESG経営」と呼びます。今、機関投資家や個人投資家のあいだで、ESG評価の高い企業に投資をふりむける「ESG投資」が注目を集めています。

ESG投資が注目される理由

ではなぜESG投資が注目されるのでしょうか?いくつか挙げられますが、主要なものは下記3点でしょう。

リスク低減

ESGの3分野に取り組むと、経営における様々なリスクが低減し、長期的な成長が担保されると言われています。ESG評価の高い企業は事業の社会的意義成長の持続性など優れた企業特性を持つと考えられているからです。

財務リターン

ESG投資の財務的リターンについては諸説あり、一般的な投資と変わらない という研究結果もあれば、高いリターンを得られるという研究もあり、まだ評価が定まっていないのが現状です。

経済的利益以外への関心の高まり

しかし、パンデミックの後押しも受けて、企業が経済的利益さえ追求していればよいという風潮はすたれ、今後、企業の社会的責任への関心がどんどん強まっていくと考えられています。その先駆けとして、ESG投資が注目されているのです。

ESG投資の市場規模、日本における流行の兆し

注目されている、流行していると言われても漠然としていますよね。具体的に数字や公的機関の動きをみていきましょう。

ESG投資の市場規模、通常投資との比率

世界におけるESG投資の市場規模は、欧州及び北米を中心に、かなりの勢いで伸びています。Global Sustainable Investment Alliance(GSIA, 世界持続的投資連合) によれば、2018年のESG投資総額世界約31兆ドルと2016年比で34%増加 しています。 日本では231兆円で2016年時点から306%増で、後追いで増加傾向が加速していると言えます。
2018年時点で、投資額全体ESG投資占める割合は、オーストラリア/ニュージーランドで63.2%、欧州及びカナダで50%前後、米国でも25.7%になっています。日本では2016年の3.4%から18.3%へと2年間で約15ポイント上昇しています。

日本では2018年からGPIFが採用

日本におけるESG投資の火付け役は、年金積立金管理運用独立法人(GPIF) といえるでしょう。GPIFが2015年に「責任投資原則(PRI) 」に署名したことで流れが変わりました。

GPIFは実際、2018年以降、S&Pダウ&ジョーンズのS&P/JPXカーボン・エフィシェント指数シリーズ 、MCSIのジャパンESGセレクト・リーダーズ指数 および日本株女性活躍指数(WIN) 、FTSEのBlossom Japan Index の指数を順次採用し、パッシブ運用としてそのポートフォリオに組み入れています。

金融庁が機関投資家の行動規範にESG要素の勘案を導入

加えて、金融庁も機関投資家へ、非財務情報をしっかりと把握することを求めています。2017年には『責任ある投資家』の諸原則《日本版スチュワードシップ・コード》」を改訂 し、機関投資家に、投資先企業のESG要素を含む非財務情報等の状況を的確に把握することを義務付けました。

このコードの副題が、「投資と対話を通じて企業の持続的成長を促すために」となっていることからもわかる通り、財務的リターンのみで投資先判断をすることは時代遅れになりつつあります。金融庁は今年2020年3月に同コードを再改訂 し、持続可能性(サステナビリティ)への配慮について更に踏み込んで言及しています。

このように、今後の流れは、確実にESG投資に向いていると言えます

3. ESGの中でガバナンスの位置づけ:日本企業はこれから本格化?

「ガバナンス」を最重要視する投資家は約8割

Russel社の調査結果で、82%投資家が自身の投資判断において、「ガバナンス」を最も重要視していることが明らかになりました。この調査では、日本を含む世界中のアセット・マネージャー400名を対象にアンケート調査を実施しています。
「環境」が13%(2019年比4ポイント増)、「社会」が5%(2019年から変化なし)で、新型コロナウィルスの流行により、「社会」の重要性が高まってきた と言われるにも関わらず、ガバナンスが他を大きくつきはなしてトップを占めています。

2020 Annual ESG Manager Survey のデータに基づき筆者作成。

「ガバナンス」が「環境」「社会」に比べて後回しにされやすい理由

投資家がガバナンスに注目しており、企業にその改善期待があることはご理解いただけたと思います。とはいえ、「企業を健全に経営し不正などのリスクを避ける」といわれても、イメージがわきにくいと思います。具体的には「何」をすればガバナンスが改善されたといえ、ESG的に評価されるのでしょうか?

この想像しづらさが、ESGの他の2分野である「環境」や「社会」に比べて、ガバナンスが後回しにされがちである理由のひとつだと思います。ESG経営に積極的な日本の大企業の経営者でも、「ガバナンス面では何に取り組んでいますか?」という質問には、返答に窮してしまうことがあります。

ESG総合評価は☆☆☆なのにガバナンスのみ課題ありとされる大企業3社

ESG要素の開示に積極的に取り組み、とても高い総合評価を受けている日本企業はいくつかあります。
しかし、その中でもガバナンスだけは低い評価を受けている企業があります。以下に、総合評価は素晴らしい(FTSE及びMSCI)にも関わらず、残念ながらコーポレート・ガバナンスだけ評価が低い企業の例をご紹介します。(MSCIのみ個別評価を一般公開)

銘柄コード 企業名 FTSE総合評価 MSCI総合評価※※ MSCIコーポレート・ガバナンス※※※
9437 NTTドコモ※※※※ 4.2 AAA
6367 ダイキン工業 3.9 AA
8267 イオン 3.7 AA

FTSEの総合評価 は、0-5の絶対評価。評価結果は2020年6月時点。
※※MSCIの総合評価 は、同じ業界に属する企業との相対評価でCCC, B, BB, BBB, A, AA, AAAの7段階相対評価。評価結果は2020年6月時点。
※※MSCIのコーポレート・ガバナンス評価は、緑、黄色、赤の3段階絶対評価。評価結果は2020年10月アクセス時点。
※※※※NTTとの合併発表前の情報。

いかがでしょうか?誰もがよく知る大企業ですが、このあとご紹介する評価指標ではガバナンス体制に課題ありとされてしまっています。

コーポレート・ガバナンスは、企業の体制そのものです。変更するのに多額のお金はかかりませんが、組織が大きくなればなるほど、利害関係者の調整が難しいのでしょう。逆に言えば、「E」や「S」の改善に大々的にリソースを割くことが出来ない比較的中規模の企業にとっては、経営層の決断さえあれば取り組むことが出来る、ねらい目の分野とも言えるのです。

実は取り組みやすい?客観的な指標で示しやすいガバナンス

次の章で見るガバナンスの指標は、委員会などの組織の設置、人事や報酬に関係するものが多いです。経営者さえやる気になれば、取り組みやすく、結果が出るのも早く、客観的な数値でも示しやすいという利点があります。

例えば、「社外取締役の割合」「女性幹部の割合」といったものは、●%という数字が1つ出てきて、解釈の余地がありません。「幹部の報酬の計算方法の開示」も、経営者がやると決めれば今すぐにできますね。

例えば「環境」では、「CO2排出量の削減」が分かりやすい指標の事例です。これに取り組むには、サプライチェーンの洗い出し、どの段階でどれだけ削減できるかの調査、実際に削減するプロジェクトを企画・実行など、着手してから結果がでるまでに数年、十数年単位で時間がかかる可能性があります。特にこれまで対策をとってこなかった企業がいきなり取り組むにはハードルが高く、結果が出るまでにより長い時間がかかってしまうでしょう。

もちろん時間がかかるからといって取り組まなくてよいわけではありません。その対応策として、「環境」や「社会」の比較的時間がかかる項目を改善する取り組みと並行して、「ガバナンス」で結果を出し公表することで、自社がESG経営に積極的に取り組んでいることを早期効率的アピールすることが出来ます

4. 「ガバナンス」の評価項目事例

避けては通れないESG格付

それでは、実際にESG投資を引き付けるためには具体的にどんな項目を改善すればよいのでしょうか?
それを知るためには、ESG格付とは何か、どのような格付機関がどのように各企業のESG評価をつけているのかを理解する必要があります。

ESG格付とは

投資家が、ESGの各分野に積極的に取り組んでいる企業に投資をふりむけたいと思っても、個別企業の取り組みをいちいち調べることは出来ません。そこで、ESG格付機関が登場します。主に財務情報に基づく企業の信用格付を行っている会社が、ESG格付という別の格付体系を用意し、企業の取り組みをそれぞれの評価軸にもとづいて評価しています。その評価結果は公表あるいは販売され、その格付に基づいたインデックス投資商品も存在します。

ESG格付機関とは

日本にもESG格付を実施している機関はありますが、基本的には欧米大手信用格付会社が、ESG格付に参入し、その結果を用いたインデックス投資商品などを販売しているのが現状です。

ESG評価結果は信用できるのか

上述の通り、各格付機関が、独自の手法でESG評価を付与します。計算根拠自体は公開されていることも多いですが、計算のもとになるデータの収集は、機械的なものもあれば、担当者によるインタビューなど主観が入る手法もとられています。
複数の格付機関の評価結果を比較し、結果が6割程度しか相関していない とする調査もあり、ESG評価手法の統一の必要性が叫ばれていますが、実現は長い道のりでしょう。

ESG格付の課題についてより詳しくは、こちらの記事参照 。

「ESG格付」「ESGランキング」の課題とESGコンサルタント

課題含みのESG格付、それのみを自社の取り組みの判断基準にするのは本末転倒ですが、各評価項目をみていくことで、自社ガバナンスの改善のヒントを見つけることはできます。

そこで本記事では、代表的な大手ESG格付機関が、「ガバナンス」項目を評価する際に実際に使用している小項目をご紹介していきます。

ESGの「ガバナンス」評価小項目例【海外の格付機関3社】

次の節で日本の格付機関の例もとりあげますが、やはり主流は海外の格付機関です。今回は、数多くある格付機関の中でも、GPIFが採用しているMSCIとFTSEに加えて、トムソン・ロイター系のRefinitivの3社が実際に利用している評価小項目をご紹介します。

FTSE

      • 腐敗防止
      • 企業統治
      • リスクマネジメント
      • 税の透明性

MSCI

      • コーポレートガバナンス
          • 取締役会構成(Board diversity):監査委員会独立性、取締役会出席率、報酬委員会独立性、多様性(性別)、独立した取締役会議長
          • 報酬(Executive pay)
          • オーナーシップと支配(Ownership and control):単年の取締役選任期間、持ち合い株、1株1議決権(OSOV)、ポイズンピル
          • 会計リスク(accounting):限定付き監査意見
      • 企業行動
          • 企業倫理(Business ethics)
          • 公平な競争(Anti competitive practices)
          • 租税回避(Tax transparency)
          • 汚職と政治不安(Corruption and instability)
          • 財務システムの安定性(Financial system instability)

Refinitive

      • 経営陣
          • 組織体制
          • 独立性
          • 多様性
          • 委員会
          • 報酬
      • 株主
          • 株主の権利
          • 敵対的買収への抵抗 (Tekeover defense)
      • CSR戦略
          • CSR戦略
          • ESG報告及び透明性

日本におけるランキング発表

日本独自の格付といえば、東洋経済社が発表しているCSRランキングESGランキング があります。しかし、この結果に基づいてインデックス・ファンドの構成が変わるわけではないので、影響力はそこまで高くないでしょう。

しかし、就職活動をしている学生などが参考にする 情報のひとつとなるので、優秀な人材を採用したい会社は、東洋経済が何をもとにESGスコアを算出しているのか知っておいて損はありません。

東洋経済CSRランキング評価項目

      • 中長期的な企業価値向上の基礎となる経営理念
      • ステークホルダー・エンゲージメント
      • 活動報告の第三者の関与
      • CSR
          • CSR活動のマテリアリティ設定
          • 担当部署有無
          • CSR担当役員の有無
          • 同役員の担当職域
          • CSR方針の文書化の有無
          • 国内外のCSR関連基準への参加等
      • 内部通報・告発
          • 内部通報・告発窓口(社内・社外)設置
          • 内部通報・告発者の権利保護に関する規定制定
          • 内部通報・告発件数の開示
      • 摘発・不正
          • 公正取引委員会からの排除措置命令等・他
          • 不祥事などによる操業・営業停止
          • コンプライアンスに関わる事件・事故での刑事告発
          • 海外での価格カルテルによる摘発
          • 海外での贈賄による摘発
      • 情報開示
          • 政治献金等の開示
          • 相談役・顧問制度の状況についての開示
      • 企業倫理
          • 企業倫理方針の文書化・公開
          • 倫理行動規定・規範・マニュアルの有無
          • 汚職・贈収賄防止の方針
      • 内部統制
          • 内部統制委員会の設置
          • 内部統制の評価
      • 関連部署の設置
          • IR担当部署の有無
          • 法令順守関連部署の有無
          • 内部監査部門の有無
      • 情報システム
          • セキュリティポリシーの有無
          • セキュリティに関する内部監査の状況
          • セキュリティに関する外部監査の状況
      • プライバシー・ポリシーの有無
      • リスクマネジメント・クライシスマネジメント体制
          • 基本方針
          • 対応マニュアルの有無
          • リスクマネジメント・クライシスマネジメント体制の責任者
          • BCM構築
          • BCP策定
          • リスクマネジメント・クライシスマネジメントの取り組み状況

※東洋経済公表資料より、カテゴリ筆者作成。

そのほかにも、点数をつけることが目的ではありませんが、経産省の「価値共創ガイダンス」 、東京証券取引所の「コーポレート・ガバナンスコード」 、KPMGの「日本企業の統合報告書に関する調査2019」 などが、ガバナンス改善に有用な視点をそれぞれ公開しています

まとめ

いかがでしたでしょうか。
まだ世の中に整理された情報が少なく、取り組もうにも何から手を付ければいいのかよくわからないESGGガバナンス(企業統治)について、格付機関が利用している小項目事例を紹介しました。自社の取り組みへの糸口を見つけられましたか?

格付機関からの評価の向上目的として経営改善を行うのは本末転倒です。そうではなく、自社の経営を持続可能なものにするという目的のために経営改善を行い、結果として、ESG格付機関から高評価を得ることが理想的です。あくまで持続可能な経営の実現のためのヒントとして、格付機関が使う評価項目を参考にしてください。

格付機関によって評価項目や手法がバラバラになりやすいESG格付の中でも比較的共通する部分の多いガバナンス」は、実は取り組みやすい分野だと言えるでしょう。ESGの視点をヒントにして、ぜひチャレンジしてみてください。

ガバナンス改善を収益に結びつけるためには…

ガバナンス改善は、企業の経営層(取締役会など)における改善です。重要なものですが、それだけでは収益は増加しません。収益向上には、経営層「現場」とのつながりの強化、および現場の業務オペレーション「見える化」強化も必須です。ガバナンス改善と同時に現場を強くし、経営層との距離を縮める。トークンエクスプレス株式会社はその具体的な打ち手をご提案できます。ご関心ある方はぜひ「お問い合わせ」よりお気軽にご連絡ください。

 

 

 

 

 

 

サプライチェーン管理を経営に活かす – SDGsを入口に

あなたの会社は、自社が関わる”サプライチェーン”を管理できていますか?
「仕入先と販売先はわかるけど、その先はわからないよ。」という状態になっていませんか?

国境を越える物流が当たり前になっている現在、サプライチェーンを管理することは企業のさまざまなリスクを減らすことに直結します。

ITの発達によって、サプライチェーン管理ができる範囲がどんどん広がっています。
さらに、サプライチェーン管理に積極的に取り組むことが、社会から「上質な会社」「社会的に価値の高い会社」だと認められるような時代になってきています。この傾向は国連の推進する「持続可能な開発目標(SDGs)」に、企業のサプライチェーン管理を求める目標が含められていることからも明らかです。
この記事では、世界のサプライチェーン管理の最前線をご紹介するとともに、あなたの会社ですぐに取り組める「はじめの一歩」をご紹介します!

目次

  1. サプライチェーン管理ってなに?
  2. サプライチェーン管理による経営リスクの低減
  3. サプライチェーン管理と持続可能な社会への貢献
  4. まとめ

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1. サプライチェーン管理ってなに?

モノを取り扱うビジネスはすべて、仕入先があって、販売先があります。仕入と販売の一連の数珠つなぎ“サプライチェーン”と言います。そのサプライチェーンを管理することがサプライチェーン管理ですが、”モノ”の流れの管理のみならず、データの流れの管理財務面の管理も含まれます。

参考資料:サプライチェーン管理とは (出典:オラクルウェブサイト

2. サプライチェーン管理による経営リスクの低減

災害に強い経営体制づくりのためのサプライチェーン管理

あらゆる企業で、自社の仕入先と販売先の管理はされているでしょう。これはサプライチェーン管理の最も基本的な段階と言えます。こうした自社に”近い”範囲でのサプライチェーン管理を、もう少し先まで見えるようにしておくと、さまざまな経営リスクの低減につながります。

例えば、災害時等でのサプライチェーンの途絶に対して、迅速に対応することができます。2011年の東日本大震災の際には、東北に自動車向けの半導体集積回路(マイクロコンピュータ)の生産拠点が集中していたため、そのサプライチェーンが一時的に途絶し、日本全体の生産活動が大きな被害を受けました。

参考資料:内閣府「平成24年度年次経済財政報告 」
第2章第1節「生産の立て直しとサプライチェーンの再編成」

上記の内閣府の報告書によれば、資本金10億円を超えるような大企業においては、仕入先が多岐にわたるためサプライチェーンの途絶などがあった場合に対応がしやすく、サプライチェーン寸断の影響を緩和させられましたが、規模の小さい企業は、部品調達先の多様化重要性は認識しているものの、コストとの関係から多様化できない、という現実がありました。サプライチェーン管理は小さな企業にも必要ですが、いきなり大規模に取り組むことはできないのです。

このように、規模の小さい企業も含めてすべての企業は、自社のサプライチェーンを常に把握し、もしもの時にすぐに対応できる経営体制を、平時から徐々に整えておくことが必要です。

社会的に望ましくない仕入先からの調達の防止

もうひとつ、経営リスクの低減のためにサプライチェーン管理が必要である ことを教えてくれる事例をご紹介しましょう。サプライチェーン管理ができていないと投資家から見られたために、投資が手控えられ、好業績なのに株価が低迷した事例です。

ブラジルを本拠地とする多国籍企業JBS S.A.は、食肉生産加工業者です。同社は米国でも事業展開をしています。その米国事業において、JBS S.A.はコロナ禍においても利益幅を拡大し、中国への輸出も増加させ、申し分ない財務成績を残しました。しかし、株価は低迷していました。

その株価低迷の原因として挙げられていることの一つが、ブラジルのアマゾン川流域の、違法な森林伐採による土地で飼育された牛を、JBS S.A.が仕入れているのではないか、と投資家から疑われたことです。アマゾン川流域の違法な森林伐採は、世界的に問題視されていて、それが大規模な森林火災の原因になったり、アマゾンの熱帯雨林からの大量の二酸化炭素排出につながると指摘されています。

参考ページ:アマゾンの森林火災は“必然”だった──急速に進む恐るべき「緑の喪失」のメカニズム
出典:WIRED
掲載日:2019年8月28日

JBS S.A.がサプライチェーン管理を十分に行っていないために間接的に森林伐採に関与していると投資家から疑われた結果、実際にJBS S.A.への投資を手控える投資家が現れました。ノルウェー最大の年金基金であるKLP and Nordea Asset Managementが、ESGの観点 から同社への投資をしない方針を決定したようです。

JBS S.A.が、もし自社のサプライチェーン管理を適切に行い、アマゾン川流域で違法に牛を飼育している業者から牛を仕入れない体制を築いていれば、好業績を背景に投資家からの投資が流入し、高い株価を誇ることができたでしょう

3. サプライチェーン管理と持続可能な社会への貢献

持続可能な社会のためにサプライチェーン管理に取り組む企業の好事例

前章でご紹介したJBS S.A.の事例は、サプライチェーン管理「持続可能な社会づくり」と密接に関連していることを示しています。実際、国際連合(United Nations, UN)が推進する「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals, SDGs)」においても、企業によるサプライチェーン管理を前提とする目標設定が多くなされています。

ここでは、持続可能な社会の実現のために、積極的にサプライチェーン管理に取り組む企業の事例3つご紹介します。

マルイグループの事例

ファッションビルの丸井などを傘下にもつマルイグループは、そのプライベートブランドの開発において、サプライチェーン管理を、取引先も巻き込んで進めています。

参考ページ:お取引先さまとの責任ある調達

マルイグループは以下のことを行っています。

① 調達方針の策定
マルイグループは2016年4月に、商品の製造過程における社会的責任を果たすことを目的に、「マルイグループ調達方針」 を制定しています。小売業を手掛ける同社が、その調達方針の制定の目的として「社会的責任を果たす」という軸を持っていることが画期的です。実際、その方針の項目の中に、「人権の尊重」「労働環境の整備」「公正な取引」「環境の保護」「地域コミュニティへの貢献」など、利益一辺倒では出てこない言葉も含まれています。

② 取引先とのコミュニケーション
同社は、プライベートブランドの取引先約100社に対し、上記調達方針のもととなる考え方の説明会を開催し、取引先から理解を得たといいます。また、商品の製造を委託している国内外の工場の現地視察を、取引先も巻き込んで実施 しています。

フランスのタイヤメーカー、ミシュランの事例

世界的なタイヤメーカーであるミシュランは、天然ゴム産業持続可能なものとするため、天然ゴムのサプライチェーンマッピングするスマートフォン用アプリケーションソフトを開発しています。

天然ゴムサプライチェーンには世界中で約600万人ゴム農園従事者10万人仲介業者および500か所を超える加工工場などが存在すると言われます。この複雑なサプライチェーンに関する情報収集し、その情報が世界中のタイヤ製造業者に提供されることによって、天然ゴムのサプライチェーンの透明性向上と、産業全体持続可能なものとすることを目指しています。

参考プレスリリース:
ミシュラン、コンチネンタル、SMAGの3社、持続可能な天然ゴムのサプライチェーンを促進するスマートフォンアプリ開発に特化した合弁会社設立
掲載日:2019年10月3日

スターバックスの事例(ブロックチェーン技術の利用)

コーヒーチェーンを展開するスターバックスは社会の持続可能性に対して高い感度を持っている企業ですが、持続可能な社会のためのサプライチェーン管理について、先進的な取り組みを行っています。

その取り組みとは、IT企業のマイクロソフトパートナーとして、ブロックチェーン技術を活用し、コーヒー農家から消費者コーヒー豆の袋を手にするまで来歴を追跡可能とするシステムを構築、消費者が利用できるようにしているというものです。

参考ページ(英語):
Greener cups, fewer straws and tracing your coffee’s journey via app
掲載日:2019年3月20日

スターバックスは、この取り組みを行うはるか前、10年以上前からコーヒー豆来歴管理を行ってきたといいます。この取り組みによって、その来歴データ顧客と共有できるようになりました。顧客は、目の前のコーヒー豆がどこから来ているのか、どのように栽培されているのか、そして持続可能倫理的な方法で生産されているのかどうかを知ることができるようになり、スターバックスの製品に対する信頼と安心を持つようになります。

SDGsにはサプライチェーン管理が必要なターゲットが多く存在

持続可能な社会づくりのためにサプライチェーン管理を行う企業の事例を3つご紹介しました。3社とも企業の社会的責任という意識を持ってサプライチェーン管理に取り組むことで、特に社会から見た企業イメージにも関係する、広範な経営リスクの低減を行っています。

「社会から見た企業イメージ」というものは漠然としてわかりにくいものです。
何が社会的に善とされていて、何がそうではないのか。
これまでは明確な範囲が限定的でした。

しかし昨今、国連が推進するSDGsの広がりにより、その社会的に善とされるものが、さらに広範囲に明確化されました。
SDGsでターゲットとされているもののなかで、持続可能な社会づくりのためのサプライチェーン管理に関係するものとしては、ゴール12「つくる責任、つかう責任(持続可能な生産消費形態を確保する)」があります。

SDGsのゴール12に関心のある方は、以下の記事もご覧ください。

SDGs12を経営に取りこめ!製品デザインとビジネスモデルの事例

SDGsを入口に経営のためのサプライチェーン管理!その第一歩とは

企業は、2030年までに達成することを目標とするSDGsへの対応が問われており、カタチだけではなく、腰をすえた取り組みが求められつつあります。
しかし、売上にすぐに直結しない施策に大きな投資を行うことは、社内で合意を得にくいという企業がほとんどでしょう。そのような企業においては、SDGsの文脈も活用しつつ、まずは何らかの認証の取得を目指したり、公的機関の取り組みに参加したりすることをおすすめします。そうすることで、SDGsの切り口から、自社のビジネスを取り巻くサプライチェーンの全体像を知ることができます。

対象のサプライチェーンにはどのようなプレイヤー存在するのか。そうしたプレイヤーの間で、現状どのような社会課題認識されているのか。サプライチェーンの一部に存在する自社が、社会課題解決に貢献できることは何なのか。そのような視点でサプライチェーン上の他社と交流を持つことが、経営に活きるサプライチェーン管理の第一歩になります。

サプライチェーンに関する認証は、業界ごとにさまざまに存在します。
例えば、マーガリンなどに利用され、「植物油」という食品表示名をもつパーム油には、「持続可能なパーム油のための円卓会議( RSPO, Roundtable on Sustainable Palm Oil )」という機関が運営する「RSPO認証」という制度があります。

パーム油は、その主要生産国が、インドネシアやマレーシアなど地球で最も生物多様性の豊かな熱帯林が広がる国々であり、その生産において熱帯林が大規模に失われてしまった歴史があります。熱帯林の開発にともなって、泥炭地が失われたり、森林火災が起きたり、野生動物先住民すみかを奪われるなどの社会課題が発生します。また、生産に携わる人々の労働環境収益性の問題もあります。

参考資料:パーム油 私たちの暮らしと熱帯林の破壊をつなぐもの(WWFジャパンのウェブサイト)

こうした環境問題社会問題配慮して生産された「持続可能なパーム油」認証する仕組みをRSPOが整備しています。RSPO認証油であれば、環境問題・社会問題に配慮されつつ生産・加工されたパーム油である、ということになります。

こちらのページ で、RSPOに賛同し円卓会議のメンバーとなっている企業が確認できます。企業の所在国毎にソートすることもでき、2020年10月時点で219日本企業RSPOのメンバーになっていることがわかります。

RSPOのような、すでに存在する認証制度公的な機関の取り組みに参加することで、自社のサプライチェーン上流下流何が問題になっているのかを知ることができ、経営リスクを減らす上で何をすべきか、具体的に検討を始めることができるでしょう

まとめ

本記事では、経営管理直結しているサプライチェーン管理についてご案内しました。その中で、サプライチェーン管理を行うことでどのような経営リスク低減することができるのか、実例とともに解説しました。
サプライチェーン管理不十分だったために、企業イメージ損ない株価低下を招いた食肉加工会社のJBS S.A.社の事例からは、「持続可能な社会づくり」とサプライチェーン管理が密接関連していることがわかります。

「持続可能な社会づくり」に貢献するという明確な目的のために、サプライチェーン管理に取り組む3つの企業のご紹介もいたしました。
最近日本でも認知が広まってきている「持続可能な開発目標(SDGs)」においても、サプライチェーン管理関連するものが一つの大きなゴール「12 つくる責任、つかう責任」として設定されています。

サプライチェーン管理は、売上にすぐに直結する施策ではありません。しかし、中長期で取り組むことで、社会からみた企業イメージを向上し、企業価値をあげ、結果として優秀な人材の採用や、売上増加株価の上昇投資の増加につながるでしょう。その過程で起こる様々な経営リスクに対する耐性向上するはずです。

いきなり大きな投資を行う必要はありません。パーム油RSPOなど、既にある業界団体の活動に参加し、まずは自社を取り巻くサプライチェーンの全体像を知ることが第一歩となります。サプライチェーン上に存在する経営リスク全体像をおおまかに把握したうえで、具体的サプライチェーン管理アプローチを検討すると良いでしょう。

サプライチェーン管理を実施し、自社の社会的価値を向上させるには…

サプライチェーン管理を行うには、自社内の情報管理情報活用体制整備、さらには情報発信の方法も含め、綿密な計画と、確実な実行が必要になります。トークンエクスプレス株式会社では、業務負担少なくそれらを実現する方法をご提案できます。ご関心ある方はぜひ「お問い合わせ」よりお気軽にご連絡ください。

 

 

 

 

 

 

SDGs12の取り組み事例4選!製品デザインとビジネスモデル

最近CMでも聞くようになった「SDGs」を知っていますか?
日本企業が続々と経営戦略に取り入れるようになってきましたが、具体的に何をすればいいのかわからない人も多いのではないでしょうか?

SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とは2015年に国連によって定められた17の目標です。その特徴は、貧困削減や飢餓の撲滅など主に低所得国に関係する項目の他に、ジェンダー平等や気候変動など先進国も含めた世界全体が取り組むべき項目が取り入れられていることです。

その中でも目標12「つくる責任、つかう責任」企業に関係の深い目標の1つで、次々と自社の経営に取り入れるようになっています。

そこで、この記事ではSDGs目標12に焦点を当て、目標12を達成する上で鍵となるサーキュラー・エコノミー(循環型経済)の考え方を説明しつつ、日本企業が実際に行っている取り組み事例を紹介します。

目次

  1. SDGs目標12と”サーキュラー・エコノミー”
  2. 目標12を経営に取り入れる!製品デザインとビジネスモデル事例
  3. まとめ

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1.SDGs目標12と”サーキュラー・エコノミー”

SDGs目標12とは?

SDGs目標12は「つくる責任、つかう責任」というキャッチコピーで「持続可能な生産消費形態を確保する」ことを目指しています。具体的には、先進国が取り組みをけん引する形で、自然資源の持続可能な管理(マネジメント)、食料ロス の削減、廃棄物のリサイクル、空気・水・土壌汚染削減への取り組み目標を定めています。詳しい内容は国連広報センターのページ を、小目標日本語訳は本記事最後※を参照してください。

SDGs-logo-Goal-12

参考資料:国連広報センター

目標12ロゴの意味:”サーキュラー・エコノミー”

目標12のロゴを見ると矢印が循環し、無限のループになっている様子がわかります。これは循環型経済(サーキュラー・エコノミー)を示しています。

サーキュラー・エコノミーとは資源の循環を遅らせること(廃棄までの時間を長くする等)と、循環を閉じること(廃棄物を資源とする等)を指し、地球が保持しているキャパシティを超えない範囲での経済成長を目指す概念です。

参考:Bocken, N.M.P.; de Pauw, I.; Bakker, C. and van der Grinten, B. (2016) ‘Product design and business model strategies for a circular economy’, Journal of Industrial and Production Engineering 33.5: 308-320

現在起こっている気候変動や生態系の破壊は、人間の経済活動が地球の持っている再生能力を超えていることを示しています。サーキュラー・エコノミーは経済成長を抑制する概念ではなく、従来の「作る、使う、捨てる」の直線的な生産・消費形態に対して、循環型の経済を推進し、長期的に地球環境を保全しつつ、経済成長を目指す考えです。

具体的には「資源の循環を遅らせる」とは直線的な生産・消費形態であっても、使用できる期間を長くしたり、繰り返し使ったりして生産と消費のサイクルを長くすること、「資源の循環を閉じる」とはリサイクルや廃棄物を再利用することで、資源を「ゆりかごからゆりかごへ」循環させることを指します。

環境保全に対する消費者意識の向上

スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんを始めとして、若者世代での環境意識は高く、この傾向は今後も強まっていくと考えられます。これは人々の消費行動にも影響し、環境に配慮しているかどうかで会社や商品を選ぶ傾向は今後、強まっていくでしょう。

今では環境に配慮した製品やビジネスモデルを作り出すことは企業の生き残り戦略の1つです。日本でも多くの民間企業が環境に配慮した製品やビジネスモデルを生み出しています。ここからは、4つのサーキュラー・エコノミーのモデルに当てはめて事例を紹介します

2. 目標12を経営に取り入れる!製品デザインとビジネスモデル事例

サーキュラー・エコノミーを実践する具体的な方法は、上でも説明した通り、「資源の循環を遅らせる」ことと「資源の循環を閉じる」ことの2つの方法があります。資源の循環を遅らせるためには、耐久性のある製品デザインや製品を繰り返し使うビジネスモデルを生み出すことが必要です。資源の循環を閉じる方法はリサイクルや廃棄物の再利用を通じて、今ある資源を最大限活用することが重要です。ここでは、「循環を遅らせる」方法と「循環を閉じる」方法のそれぞれについて、実際の事例を紹介します。

「資源のサイクルを遅らせる」事例2選

「資源のサイクルを遅らせる」といっても具体的にはどのようなアプローチの仕方があるでしょうか?例えば以下のような例が考えられます。

「資源のサイクルを遅らせる」製品デザイン例
      • 耐久性を高めて、使用期間を長くする
      • ギフト用など思い出深い商品として売り出し、長期的に愛用してもらう
      • メンテナンスや修理をしやすくする
      • ハードウェアを替えなくてもよいように、ソフトウェアなどの更新をしやすくする
      • 充電器を共通のものにするなど他の製品との併用をしやすくする
「資源のサイクルを遅らせる」ビジネス戦略モデル例
      • シェアリング・エコノミー:カーシェアリング、ランドリー、携帯電話や洋服の貸し出し
      • リユース:顧客が使い終わった製品を店に戻し、現金等を受け取る

少しイメージがつきやすくなったでしょうか?ここからは、このような考え方を具体的にビジネスに取り入れている具体的な事例を2つ見ていきましょう!

事例1:サイクルを遅らせる製品デザイン:耐久性を上げて長く使う(パナソニック)

始めに紹介するのは、耐久性を上げて消費者に1つの商品を長く使ってもらうための製品です。パナソニックのノートパソコンの「レッツ・ノート」は高額パソコンであることで有名ですが、毎日持ち運んでも頑丈であること、愛用年数が6.04年という長期間であることが特徴的 です。

耐久性を高めることで、故障や早期の買い替えを防ぎ、結果的に消費~生産サイクルを遅らせることができます。また、消費者に長く愛用してもらうには、製品に愛着をもってもらうことが重要です。高い値段設定によってむしろ、消費者は製品に愛着を持ち、長期的に渡って同じ製品を愛用するようになります。さらには、レッツ・ノートにはメモリー容量などのスペックや天板の色などのデザインをカスタマイズできるサービスもあります。

Working on laptop computer

事例2:サイクルを遅らせるビジネス戦略:リユースで必要な人に服を届ける(ユニクロ )

次は、資源のサイクルを遅らせるビジネス戦略について紹介します。資源のサイクルを遅らせるとは、ビジネス戦略に工夫を加えることで、製品の使用期間やリユースの割合を高めることを指します。

ここでは事例として、ユニクロのリユース・システムを紹介します。ユニクロでは店舗で着なくなった服を回収し、国連難民高等弁務官事務局(UNHCR)や世界のNGOやNPOとともに、世界で服を必要としている人たちに届けています。また、リユースできない服を仕分けし、それらは燃料や防音材として加工・リサイクルしているようです。

H&MやZaraなどのファストファッション企業はたびたび、低所得国にある工場の労働環境の悪さや環境に配慮しない生産と消費(つくる、つかう、捨てる)が問題になってきました。ユニクロは質のいい製品と環境にいいモデルをアピールすることで、批判されてきた外国企業との差別化を図っています。

「資源の循環を閉じる」事例2選

次は「資源のサイクルを閉じる」ためのビジネスアイディアを見ていきましょう。こちらの方がなじみがあるかもしれませんが、実際に導入するとなると初期投資が比較的高くなりますね。いったん導入してしまえば、長期的な企業価値の向上を見込むことが出来そうです。

資源のサイクルを閉じるデザイン・ビジネス戦略例
      • 技術的にリサイクルできる製品
      • 土へ還る製品
      • 解体しやすく、組み立てやすい製品

それでは、具体的にはどのように自社のビジネスに応用できるでしょうか?日本企業2社の事例を見ていきましょう!

事例3:サイクルを閉じる製品デザイン:土に還るプラスチック(GSアライアンス )

資源のサイクルを閉じる製品デザインをご紹介します。兵庫県に本社を置く会社であるGSアライアンス株式会社ナノ・サクラ という100%天然バイオマス系素材の生分解材料でできたプラスチックを開発しました。会社HPによると、

セルロースナノファイバーや植物、木材、廃木材、間伐材、竹、古紙などの、あらゆるバイオマス系リサイクル材料を複合化させた生分解性樹脂材料や、デンプン、及び非可食性バイオマスであるセルロース系の生分解性樹脂など、NANO-SAKURA には、さまざまな種類の新素材があります。

これにより、石油の使用料ゼロ、生産・使用・廃棄の過程でCO2の排出ゼロを実現しています。現在、海に捨てられたプラスチックごみが生態系を壊し、細かくなったマイクロ・プラスチックが私たちの食す魚介類の中に入っていることなどが注目を集め、次世代の環境にいいプラスチックが求められています。

そのほかにも、資源のサイクルを閉じる、つまり製品をリサイクルできるようにするデザインには以下の特徴があります。

Underwater global problem with plastic

事例4:サイクルを閉じるビジネス戦略:茶殻リサイクル(伊藤園)

資源のサイクルを閉じる、つまり、廃棄物の活用やリサイクルを通して資源を循環させる事例を紹介します。

伊藤園では3R(リデュース、リユース、リサイクル)に取り組み、廃棄物の削減に努めています。その一例として、茶殻を資源に変える「茶殻リサイクルシステム」があります。伊藤園のHPによると、

製造工程で排出される茶殻の大部分は堆肥や飼料として再利用していますが、さらに伊藤園では独自の「茶殻リサイクルシステム」を開発しました。茶殻の一部を紙製品・建材・樹脂などに配合し、協力企業でさまざまな製品を製造販売しています。これにより原材料の使用量が削減でき、省資源化が図れます。
また茶殻を、水分を含んだまま、紙などの資材に配合するため、茶殻乾燥時の石油資源消費などに伴うCO₂発生が抑制され、省資源・CO₂ 削減・リサイクルという3つの環境配慮の特色があります。

廃棄物をまだ使える資源とみて、循環させることで、資源のサイクルを閉じることに成功しています

まとめ

いかがでしょうか?ここでは、SDGs目標12に関連するサーキュラー・エコノミーの概念とそれに実際に貢献している日本企業の事例を4つ紹介しました。資源のサイクルを遅らせる、または資源のサイクルを閉じる製品デザインとビジネスモデルの中には自社で活用できそうなものはありましたでしょうか?

今回は事例を紹介しましたが、SDGs達成に向けた取り組みには、決まりきった正解がある訳ではなく、場所や状況、企業の規模や性質に合わせ、柔軟な取り組みが必要です。また、そのような取り組みの効果を科学的に評価し、常に改善し続けることも重要になってきます。

例えば、持続可能な(サステナブルな)サプライチェーン構築やプラスチックの不使用に積極的に取り組んでいるユニリーバのHPでは、自社のSDGsに対する取り組みの達成度合いを可視化し、消費者に分かりやすく開示しています。

uniliver-sdgs-disclosure-website
この例では「2020年までに農業製品を100%サステナブルに調達する」という目標に対して、62%しか達成できていないことを示しています。その中でも、パーム油、フルーツと野菜の調達が100%サステナブルではないようです。(ユニリーバHPを筆者がスクリーンショット(2020年10月14日時点))

ユニリーバの事例のように、自社の取り組みが定量的に、かつ透明性高く開示されている状態は、外部から自社への信頼感の獲得につながります。さらに、自社の社員がそこで働くことに誇りと納得感を持つことにもつながります。

適時正確な情報を開示するのは容易なことではありませんが、持続可能な社会のための貢献を、本業とは異なる「おまけ」事業ではなく、本記事でご紹介したようにビジネスの一部として取り組むことで、可能となるでしょう。

弊社サービスでこんなことができます

トークンエクスプレス株式会社は、「『社会的価値』を、ビジネスのチカラに。」をスローガンに、企業様向けに、社会的価値をもちいた経営強化サービスをご提供しております。記事内でご紹介した事例のような取り組みを、既存のビジネスと一貫させ、利益を出すものとするための施策をご提案できます。ご関心ある方はぜひ「お問い合わせ」よりお気軽にご連絡ください
※SDGs 目標12 小目標 日本語訳

12.1
持続可能な生産消費の10年枠組みを実行する。全ての国々が行動を起こし、特に先進国が取り組みをけん引し、途上国の発展や可能性を考慮する
12.2
2030年までに自然資源の持続可能なマネジメントと効果的な使用を達成する
12.3
2030年までに世界全体で小売りと消費者レベルでの1人当たりの食糧廃棄を半分にし、収穫後の作物のロスを含む生産とサプライチェーンにおける食糧ロスを削減する
12.4
2020年までに、合意された国際枠組みに基づき、化学製品やすべての廃棄物のライフ・サイクルにおいて環境にいいマネジメントを達成する。人の健康と環境への影響を最小限に抑えるために、空気、水、土壌への放出量を減らす。
12.5
2030年までに予防、削減、リサイクル、リユースによって廃棄物の量を大幅に減らす
12.6
民間企業、特に大企業や多国籍企業に持続可能な実践と報告書に持続可能性に関する情報を盛り込むことを促す
12.7
持続可能で国の政策や優先事項に合った公共調達の実践を促進する
12.8
2030年までに、すべての人々が持続可能な発展と自然と協調したライフスタイルに関連する情報と意識を持つ
12.a
途上国が科学的、また技術的な能力強化をし、より持続可能な消費と生産形態に移行できるようサポートをする
12.b
雇用を創出し、地域の文化と製品を継承する持続可能な観光のために、影響をモニタリングできるツールを開発、実行する
12.c
国の状況に応じて、税システムの再構築や有害な補助金の段階的な撤廃などによって市場の歪みを取り除くことで、無駄な消費を促す化石燃料補助金の非効率性を合理化するとともに、環境への影響を反映し、途上国の特定のニーズと状況を十分に考慮し、貧困層や影響を受ける地域社会を保護する方法で開発に及ぼす悪影響を最小限に抑える。

 

 

 

 

 

 

 

SDGsの隠れ重要テーマ「金融包摂」と信用金庫

日本でもたくさんの企業がアピールを始めている”SDGs”、あなたの会社では上手く取り組めていますか?

いまや多くの日本企業が、SDGsに貢献する活動を実施し、17のゴールのいずれかに当てはめながら、自社のアピールに使っています。

そのようななか、銀行信用金庫信用組合などの金融業に携わる方々が知っておきたい、国連機関が認める、金融のプロ向けのSDGsテーマがあるのをご存知ですか?

金融機関は、このテーマを使えば、毎日の通常業務の成果を、大きなSDGs貢献として、効率的にアピールできます!本業に関係のない地域ボランティア活動を、自社のSDGs活動として無理にこじつけなくても大丈夫!本記事ではその方法をご紹介します。

目次

  1. 一部の人しか知らないSDGs隠れテーマ「金融包摂」
  2. 「金融包摂」を起源とする金融機関:信用金庫
  3. 信用金庫のSDGs取り組みのあるべき姿
  4. まとめ

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1. 一部の人しか知らないSDGs隠れテーマ「金融包摂」

SDGsとは?

SDGsとは、「持続可能な開発目標」のことを指し、2015年9月の国連サミットで定められた国を超えた世界的な目標です。2030年までに、誰一人取り残さずに、持続可能でよりよい世界にしよう、と掲げており、17のゴールが設定されています。

参考資料:
SDGsとは?(外務省ウェブサイト)

SDGsの17のゴール

17 goals SDGs logo

実は、この17のゴール以外に、国連が重視する隠れテーマ「金融包摂」が存在するのです!

SDGsの隠れテーマ「金融包摂」とは?

金融包摂とは、英語ではFinancial Inclusionと言い、以下のように説明されます。

“持続的で責任ある正規の金融機関によって提供される広範な金融サービスに、個人やビジネスがアクセスできる機会を有し、また、利用することができる状態”
(出典:CGAP, New Funder Guidelines, September 2015)

日本は比較的、金融包摂が実現している国です。

日本では、一般的に誰でもゆうちょや銀行で口座をもつことができ、貯蓄ができます。地域の共済や郵便局で入れるかんぽ(簡易生命保険)なども含めて、誰でも保険に入りやすい仕組みがあります。事業を始めたい時などは、いくつか満たすべき要件などはありますが、正規の金融機関からお金を借りる仕組みもあります。

このような状態を、金融包摂が一定程度実現できている状態と言います。

国民の半数以上が金融機関に口座を持てない国は世界に61か国以上

日本とは異なり、世界には一般の人の金融サービスへのアクセスが難しい国が多いです。例えば、15歳以上の国民が金融機関で貯金口座を持っている割合で、その国の金融サービスへのアクセスの簡単さがわかります。日本はその割合が98.2%ですが、統計がとれている範囲でその割合が50%未満の国は、61か国あります。20%未満の国は、南スーダンや中央アフリカ共和国など、6か国あります。統計が取れていない国は17か国以上あります。(世界銀行調べ。)

金融包摂が実現できていない国では、サービスの価格が高すぎたり(銀行口座を開くのに50万円以上の預金を維持することを求める銀行もあります。)、銀行は一般市民が行くところではないと考えられていたり、保険サービスに対する信用がとても低い、などといった状況があります。(そもそも正規の金融サービスが存在できないほど、政情が不安定な国もあります。)

なぜ金融包摂はSDGsの隠れテーマなのか?

金融サービスは、人々の生活にとってとても重要な「社会インフラ」です。金融包摂は社会生活のうえで必須です。それにも関わらずSDGsのゴールの一つになっていないのはなぜでしょうか?
それは、金融包摂が、17のゴールの複数にまたがって関係する社会課題だからです。国連は、その公式ページの中で、「金融包摂はSDGsの8つのゴールにまたがる重要テーマ」と述べています。

参考資料:Financial Inclusion and the SDGs(UDCDF)

17のゴールに含まれていないので、日本においてはあまり知られていない社会課題ですが、特にSDGsに取り組む日本の金融機関は、金融包摂は知っておきたいテーマと言えるでしょう

2. 「金融包摂」を起源とする金融機関:信用金庫

中小企業も市民も融資サービスが受けられるように

日本に様々な金融機関がある中で、信用金庫は、金融包摂の考え方を起源として始まりました。明治時代、日本は資本主義による急速な産業化が進みましたが、その中で株式組織の銀行は、地方で集めた資金を都市部の大企業や土地投機に集中的に運用したため、地域の中小零細企業や市民は自分達の預けた資金を利用できず、地域社会は衰退し、貧富の差が拡大しました。こうした中で、特に融資サービスにおいて金融包摂を実現する組織として信用金庫の前身組織たちが設立されるようになりました。

参考資料:城南信用金庫ウェブサイト

現在の信用金庫のSDGsへのアプローチ

現在、信用金庫(信金)はそれぞれSDGsにどのように向かい合っているのでしょうか。金融包摂の視点は取り入れられているのでしょうか。

2019年3月末における信金の総資産ランキング(出典:週間エコノミストOnline)の上位10信金のSDGsに関する取り組みをウェブ上の情報からまとめると以下のようになります。

総資産順位 信用金庫名 都道府県 SDGsに係る情報掲載 金融包摂をテーマとした言及
1 京都中央 京都 〇(宣言と複数のゴールに紐づけた重点項目の提示) ×
2 城南 東京  〇(ゴール6以外の全てのゴールに具体的活動を紐付け) ×
3 岡崎 愛知 × ×
4 大阪 大阪 〇(宣言と複数のゴールに紐づけた重点項目の提示) ×
5 埼玉県 埼玉  〇(ゴール8,9,11についての具体的活動を例示) ×
6 多摩 東京 × ×
7 尼崎 兵庫 〇(宣言と複数のゴールに紐づけた重点項目の提示) ×
8 京都 京都 〇(SDGs宣言の掲載) 〇(具体的取組についての情報なし)
9 城北 東京 〇(宣言と複数のゴールに具体的活動を紐付け) ×
10 浜松いわた 静岡 〇(宣言と複数のゴールに具体的活動を紐付け) ×

 

上記の表をご覧いただくとわかりますとおり、総資産順位でトップ10のうち、8つがSDGsに関してなんらかウェブ上で公開しています。SDGsの浸透度合いはかなり高いです。

現状の信用金庫のSDGsへの向き合い方としては、

      1. SDGsに取り組むという組織的な宣言を行う
      2. 既存の地域貢献活動 or 今後取り組む活動をSDGsゴールに紐づける
      3. ウェブ上で公表する

というスタイルが一般的だとわかります。

一方で、信用金庫の根源的な役割であった金融包摂という視点を持っている信金はトップ10内には1つしかありませんでした

3. 信用金庫のSDGs取り組みのあるべき姿

closeup.business partners signing a new contract.

本業の役に立つSDGs

信用金庫のSDGs検討において金融包摂がほとんど取り上げられていないのは、単に金融包摂という概念が知られていない可能性が高いです。

しかし、信用金庫の業務の多くの部分で金融包摂の価値観を「再発見」することが可能だと考えます。金融包摂というテーマでSDGsをとらえなおせば、通常業務を行う中でSDGsの8つのゴールにアプローチできる可能性があります。

例えば、金融包摂においては、「誰でもサービスを利用しやすい」という価値が重視されます。都会ではなく地方部を営業範囲とする信用金庫にとっては、物理的にアクセスしづらい地域が営業範囲に含まれている可能性があります。そうしたアクセスしづらい地域にも、支店を置いたり、出張所を設けたりしてその地域の金融基盤を支えている信用金庫もあるでしょう。そうした営業努力は、SDGs上も重要な取り組みであり、積極的に発信すべきです。さらに、もしそうした地域で高齢化に伴う人口減少などが社会課題となっており、既存の拠点の維持が難しくなっている等の経営課題があるならば、デジタルの活用や他拠点からの定期的な訪問への切替等の取り組みを行い、それをSDGsとして積極的に発信していけばいいのです。

また、世界的には、女性や資本を持たない人々が金融サービスを享受しづらいという点も、金融包摂の課題として挙げられることがあります。信用金庫が、女性が経営する地元企業に積極的に融資を行っているのであれば、それもSDGsの成果としてアピールできます。経営者が若い企業への融資でも同様でしょう。

このように、信用金庫にとっても、金融包摂という視点を中心にSDGs戦略を再検討することは、自らの社会的な価値を外に上手にアピール可能となると同時に、経営の質の向上を再点検できるなど、取り組む価値あることだと思います。信用金庫の間で金融包摂という概念がもっと広まってほしいと感じます。

今後さらに重要な金融包摂

また、現状日本では金融包摂は実現されているといえますが、少子高齢化が進行し、格差の拡大が問題視される日本において、金融包摂が今後も維持されるのかには大きな疑問符が付きます。

信用金庫が金融包摂の視点で自らの取り組みを見直すことは、SDGs文脈のみならず、信用金庫の事業の根源価値を再度磨きあげることに直結するものとなりえるのです

まとめ

SDGsにおける国連機関公認の隠れテーマ「金融包摂」についてご紹介しました。そのうえで、この金融包摂の理念を起源とする金融機関の代表例として信用金庫を取り上げました。

信用金庫のうち、総資産規模トップ10のSDGsの取り組みを俯瞰したうえで、SDGsの中でも金融包摂が重視されていることが、まだ信用金庫間でそれほど広まっていない現状について確認しました。

少子高齢化や格差の拡大が問題になっている現代日本においては、金融包摂の観点で社会を見つめ直し、取り組みを見直すことが求められています。信用金庫においては自らの事業が提供する価値を増やし、かつSDGsの観点でアピール可能な要素を獲得する、一石二鳥の成果を獲得できる可能性を指摘しました。

金融機関が顧客提供価値を増加しつつSDGs的にもアピーリングな取り組みを行うには…

トークンエクスプレス株式会社は、「『社会的価値』を、ビジネスのチカラに。」をスローガンに、企業経営層向けに、社会的価値をもちいた経営強化支援サービスを提供しております。金融機関様がインパクトのある事業を実施するために、各機関様の御事情に合わせた具体的な施策をご提案できます。ご関心ある方はぜひ「お問い合わせ」よりお気軽にご連絡ください。

 

 

 

 

グリーンボンド ― ESGにとりくむ企業の打ち手

ESG投資」という言葉を聞いたことがありますか?

ESG投資の「E」「S」「G」はそれぞれ、「環境(Environment)」、「社会(Social)」、「企業統治(Governance)」の頭文字を意味しています。
ESGに配慮する企業に投資することをESG投資と呼びます。

この記事では、ESGのうち「E」(環境)に特化し、ESG投資を受ける企業の目線で、

      • どうやったらESG投資を呼び込めるの?
      • 具体的なESGの取り組み事例を知りたい!
      • ESG評価を上げるための、取り組みやすい方法はないの?

という疑問にこたえるため、「グリーンボンド」の発行という打ち手を、世界と日本の事例を交えてご紹介していきます。

ESG投資がこれから主流になるらしい・・・とは聞くけれど、漠然としていて自社ビジネスでどのように活かせばいいのかわからない、という方に読んでいただきたい内容です。

目次

  1. ESG投資とグリーンボンドの市場規模
  2. ESG経営としてのグリーンボンド発行
  3. 投資家は何を見ているのか?
  4. まとめ

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1. ESG投資とグリーンボンドの市場規模

グリーンボンド(英語でもGreen Bonds)とは、環境配慮事業に使途を限定して発行する債券のことです。この章ではまず、ESG投資グリーンボンドそれぞれの市場規模はどれくらいなのか?今後の成長が見込めるのか?について説明します。

ESG投資の市場規模

少し前の2016年時点の情報になりますが、世界全体の投資額26.3%ESG投資に分類されています
2016年以降も順調に拡大してきたESG投資。新型コロナウイルス感染症の広がりでESG投資はさらに注目を集めていますので、世界的にこれからどんどん伸びていくでしょう。

では、なぜ世界でESG投資が流行し、急拡大しているのでしょうか?
そもそもESG投資とは何なのか、その魅力を少しだけ振り返りましょう。

ESGの各項目に真剣に取り組む企業、ESG評価が高い企業は、企業経営、事業運営における様々なリスクが低減するため、長期的な成長において優れた企業特性を持つと言われています。そうした企業に投資するESG投資は、長期的な経済的リターンが大きい投資と言われます。

欧米においては、新型コロナウイルス感染症流行前からESG投資は流行の兆しを見せていました。しかし、コロナ流行後においてその人気はさらに拍車がかかっています。
これは、ESG関連銘柄や投資商品が、他の一般的なものに比べて、新型コロナ流行に伴う値下がり、いわゆるコロナショックの影響が少なかった、とする調査結果が数多く発表されたためです。(ただし、ESG関連とそれ以外でパフォーマンスに差はないという、反対の調査結果もあります。)

ESG投資は長期的リターンが大きいという見方が、コロナショックの影響の少なさで裏付けられた、と考えた投資家が多かったのです。
そのため、ESG投資への資金流入は今後さらに増えていくものと考えられます。

新型コロナで見えたESG投資の強さ / 企業経営者は何をすべきか

グリーンボンド市場規模推移

日本国内のグリーンボンド発行件数・総額の推移 (2014-2019)

次に、グリーンボンドについてご紹介します。

日本国内の企業等が発行するグリーンボンドは、2017年頃から発行件数及び発行総額、双方について急激に伸びています。2019年時点で、58件、総額約8,232億円のグリーンボンド債券が発行されています。

グリーンボンド発行プラットフォームの情報をもとに筆者作成。

世界のグリーンボンド発行総額の推移 (2007-2019)

世界では、2013年頃から発行総額が徐々に増加しています。2019年時点では、総額2,575億米ドル (1ドル=105円換算で、約27兆円)のグリーンボンド債券が発行されています。

グリーンボンド発行プラットフォームの情報をもとに筆者作成。

ESG投資とグリーンボンド、どちらの市場もかなりのスピードで成長していて、今後も拡大を続けていること、企業にとっては無視できない資金獲得方法になっていくことを理解して頂けたかと思います

2. ESG経営としてのグリーンボンド発行

前章では、ESG投資もグリーンボンド市場も、かなりのスピードで成長していることを感じてもらえたかと思います。本章ではいよいよ、自社へESG投資を呼び込む手法としてのグリーンボンドを、より具体的に解説していきます。

      • グリーンボンドとESG経営の関係?
      • グリーンボンド発行の事例って?【事例6社紹介】
      • グリーンボンド発行のデメリットは?

という疑問に、こたえていきます!

グリーンボンドとESG経営の関係?

ESG経営で無視できないESG評価、その評価基準とは?

ESG投資を呼び込むためのESG経営の基準として「ESG評価」というものがあります。ESG評価が高い企業には、ESG投資が集まります。
では、ESG評価はどのような基準で評価されているのでしょうか?環境対策の点では、CO2排出量の削減などが最初に思いつくかもしれませんが、評価基準はそれだけではありません。

現在のところ、全世界でESG投資が成長しているにもかかわらず、どのようにESGに取り組む企業を評価するのかについての統一基準はありません。大手の格付機関が独自に決定して発表する評価に左右されてしまっているのが現状です。
しかも、格付機関はそれぞれの評価基準を公開しておらず、各機関の格付結果の相関性は6割程度にとどまるという研究もあります。
この現状を憂いて、統一された評価基準の必要性が叫ばれていますが、道のりは平坦ではないでしょう。

ESG投資の世界では「リンゴとオレンジ」の比較に苦労

グリーンボンドはESG経営の手法のひとつ

他方、グリーンボンドは、グリーンボンド原則に則って、様々な情報を公開しなければなりません。しかし、その原則さえクリアしていれば、何が「グリーン」なのかの定義プロジェクトの内容については発行者が自由に規定できることになっています。

そのため、グリーンボンド原則にのっとって設計し、環境面をアピールすることによって、以下のような幅広い分野のプロジェクトをグリーンボンドの対象にすることができます。

グリーンボンドとして認められるカテゴリ例
      • エネルギー
      • 建築
      • 輸送
      • 水管理
      • 廃棄物管理と汚染防止
      • 土地利用、農業、林業などの自然資産
      • 産業とエネルギー集約型の商業
      • 情報技術と通信(ICT)

上記に限らず、環境への負荷低減や環境にポジティブなインパクトを与えるような事業であれば、自社事業の中で自由度高く定義できるのです。

グリーンボンドは、企業がESGに取り組む手段として着手しやすい

上記のとおり、ESG投資にはまだ統一された評価・格付基準がありません
それに対して、グリーンボンドは、「グリーンボンド原則」というかなり細かい規則によって、その透明性を担保する仕組みが整っています。
投資家がESG投資をしたいと思っても、格付機関が発表する企業のESG評価を信用できない場合、既にある程度の信頼性が確立され、リターンも定義されているグリーンボンド債券の購入を選択する可能性は高いといえます。
あとで説明するとおり、手続き的なコストはかかりますが、正当に評価される手段が整っているグリーンボンド債券の発行は、企業経営者にとってESGを経営に取り入れる手段として手軽で有効なものだと言えます。

グリーンボンド発行は効率的?

グリーンボンド発行が、ESG投資を呼び込むための手段として取り組みやすそうであると感じていただけたでしょうか?
ここからは具体的に、国内外における発行事例グリーンボンドのデメリットを見ていきましょう。大企業だけでなく中小企業にとっても、グリーンボンド発行がESG経営の一つの打ち手として効果的・効率的であるとを感じてもらえるかと思います。

グリーンボンド発行事例

グリーンボンドの発行事例を調べると東京都の例がよく出てくると思います。しかし、国や地方自治体の事例は、企業にとってはあまり自社ビジネスへの応用が効きませんよね。
ここでは、企業によるグリーンボンド発行事例をご紹介します。

国内大企業による数十~百億円単位のグリーンボンド発行事例
    • 日立造船
      規模:50億円
      使途:CO2排出量の削減効果が認められるごみ焼却発電施設にかかる資材購入等の費用としての運転資金
    • 三菱地所
      規模:200億円
      使途:「東京駅前常盤橋プロジェクト」A棟建設に関連する支出
国内中小企業における数億円単位のグリーンボンド発行事例
海外事例
    • (米)Starbucks
      規模:5千万米ドル (2016年発行時)
      使途:スターバックスの環境・社会基準を満たしたコーヒー豆の調達、農家への融資等
      ※現在スターバックスは、グリーンボンドに代わり、サステナビリティ・ボンドを発行。
    • (仏)HSBC France SA
      規模:0.38億ユーロ
      使途:エネルギー効率関連事業(ボイラー、ラジエーター、給湯器、太陽熱、コージェネレーション、再生可能エネルギー等)

ひとめで環境対策とわかりやすい使途だけでなく、三菱地所の例のように、あるプロジェクトの環境対策関連支出だけに使うこともできます。スターバックスの例では、原材料の調達にすら利用しており、自社ビジネスの根幹に関わる支出も、設計の仕方次第ではグリーンボンドの対象にできることが分かります。

このように、資金使途は割と自由であること、さらには意外と小規模でもグリーンボンドを発行できることがお分かりいただけましたでしょうか?

グリーンボンド発行のデメリット

これまで、グリーンボンドのメリットをみてきましたが、デメリットはなんでしょうか?

まず、あたりまえですが調達した資金は調達時に計画した「グリーンプロジェクト」にしか使えません。そして、グリーンボンドの発行及び管理には追加コストがかかります。

グリーンボンドを発行するためには、上述したグリーンボンド原則(GBP)を遵守する必要があります。それには、事務手続きや、外部評価、外部報告などのコストがかかります。

ESGの取り組みを行っていることを簡単にアピールできるメリットとこれらのコストをどう判断するかで、グリーンボンド発行に手を付けるか分かれるところでしょう

3. 投資家は何を見ているのか?

ネガティブ・スクリーニング

ESG投資において、ESG投資の適格性を評価する統一基準はないと説明しましたが、それでは投資家はどのようにESG投資をおこなうのでしょうか。

ESG投資にはいくつかの基本的なアプローチはすでに存在します。
中でも、ネガティブ・スクリーニングは必ず行われるといっても過言ではありません。ネガティブ・スクリーニングは、たばこ、アルコール製品、ポルノ、ギャンブル、動物実験、化石燃料、原子力発電などに関連している場合に、投資対象外にするものです。
つまり、企業としては、どんなにESG対策に取り組んでも、上記要素がある場合にはESG投資を呼び込むのが難しくなってしまいます。

財務リスクとグリーンボンド

投資家目線では、気候変動による中長期的な財務リスクに対し、グリーンボンド投資を行うことでリスクヘッジにも繋がると考えられています。また、グリーンボンドは債券ですから、評価基準と投資リターンがはっきりしているため、ESG投資の中では納得感をもって投資しやすいです。グリーンボンドはプロジェクトベースで発行されるため、経済状況や株式市場との価格連動性が低いという考え方もあります。

したがって、分散投資によるリスク低減策としても有効と言えます。自身のポートフォリオの中長期的なリスクを抑えたいと思っている個人・機関投資家はグリーンボンド債券を積極的に評価するのです。

グリーンボンドを取り扱う際の留意点

グリーンボンドは取り組みやすいといいましたが、注意しなければならない点もあります。

グリーンウォッシュという言葉を聞いたことがあるでしょうか?

実際は環境配慮型ではなかったり、調達資金が適正に環境事業に充当されていなかったりするグリーンボンド債券をグリーウォッシュ債券と呼びます。

軽視できないESG投資の「グリーンウォッシング」:韓国の事例

グリーンボンド原則の一部に定められている「グリーンボンドガイドライン」は自主的で、法的拘束力や罰則はありません
そのため、環境対策のための活動のための債券として募集しておきながら、実際にそうではない活動に資金を使うといった事例もでてきてしまいます。

自社がグリーンボンドを発行した場合、グリーンウォッシュをしていないと外部に示し信頼を得るためには、発行時の外部評価結果だけでなく、対象事業の進捗状況など、投資家が安心できる材料を、ウェブ上などで高頻度タイムリーに発信することが重要です。

報告書関連は年刊のことが多いですが、低コストで頻繁に発行できるプレスリリースなどを活用して情報を提供することで、よりタイムリーに自社の取り組みを評価してもらえます。
その際、うまくいっていない部分についても公開し、更新するたびに改善しているという変遷を見せることで、長期的目線で検討している投資家によりアピールできます

まとめ、もっと知りたい人は…

ここ数年で急拡大しているESG投資市場に流れている資金を、自社に取り込むための手段の一つとしてグリーンボンドを紹介しました。

ESG評価に比べて、使途とリターンがわかりやすいグリーンボンドは、環境対策を簡単に始めたい企業にも、ESG投資を行いたい機関投資家にとっても利用価値のある手段といえます。

もっと詳しく知りたい方には、以下のウェブサイトが有益です。

環境配慮を含む、事業の社会的価値を向上させるには

グリーンボンド発行においては、事業における環境負荷低減の見込みの算出や、既存の取り組みにおける効果の測定、およびそうした情報の合理的でわかりやすい開示が必要となります。トークンエクスプレス株式会社では、新たな業務負担なくそれらを実現する方法をご提案できます。ご関心ある方はぜひ「お問い合わせ」よりお気軽にご連絡ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

ESG投資で存在感を増すAIの事例

新型コロナウイルス感染症で、世界は大きく変化しました。

様々な変化の中で、世界の金融業界が注目しているのが「ESG投資」への急激な資金の流入です。

「ESG投資」という言葉を聞いたことはありますか?

ESG投資とは、投資対象がどれほど「儲ける力」をもっているかという視点だけでなく、環境(Environment)社会(Social)へいかに配慮した事業運営をしているか、組織運営の適切性(Governance)も考慮した投資のことを指します。

実は、このESG投資の世界的な盛り上がりは、日本企業、日本のビジネスマンにとっても大きなビジネスチャンスなのです。 このビジネスチャンスをつかむために知っておくべきことを、この記事でご紹介します。

カギは、ESG投資の裏にいる“AI”の存在です。

目次

  1. なぜコロナでESG投資に資金が集まった?
  2. ESG投資におけるESG格付の役割
  3. ESG格付で増加するAIの活用
  4. AIを活用したESG格付の事例
  5. AI活用が進む中で自社がESG高格付を得るための5つの打ち手
  6. まとめ

*******************************************

1.なぜコロナでESG投資に資金が集まった?

ESG投資とは?

ESG投資は、利益だけではなく、例えば以下の事項にきちんと配慮した経営ができている企業に投資しよう、というものです。

ESG投資の評価項目の例

      • 事業が地球環境に与える悪影響をなくそうとしている(環境配慮)
      • 事業が社会における不平等の低減に貢献するものである(社会配慮)
      • 経営陣に対し、多すぎない報酬基準を定めている(企業統治)

なぜコロナで資金が集まる?

ESG投資は、新型コロナ流行前から人気が高まっていましたが、新型コロナ流行によって、企業が従業員への疾病手当金を支給できるようにしているかや、適切な労働条件を提示しているか等が、ESG投資をおこなう投資家にとっての注目ポイントとなりました。こうした、企業が従業員との関係に適切な配慮を行なっているかは、「社会的配慮」として、ESGのSに含まれます。

参考資料:焦点:変わるESG投資、コロナで「E」より「S」が前面に
(REUTERS, 2020年5月19日配信)

新型コロナのなか、一部の投資家たちは、こうした従業員への配慮を行う企業に投資したい、と考えるようになり、ESG投資への関心が高まっています。

コロナ禍で好成績?

また、ESG投資が新型コロナ流行の環境下において、比較的好パフォーマンスを出した、という直接的な理由もあります。

例えば、米国ニューヨークのメディア”Pensions&Investments”によれば、本年4月1日時点での比較で、1年前からESG投資を行なった場合には、投資した額の4.3%の損失で済んだ一方、1年前からESG投資ではない一般的な投資を行なっていた場合には、7.0%もの損を出してしまったことになる、という試算を発表しています。

新型コロナで見えたESG投資の強さ / 企業経営者は何をすべきか

さらに、ESG投資に適格な企業は、一般的なリスク管理能力が高い、という認識が広まり、ESG投資は中長期的に良好なリターン(投資戦績)をもたらすと考えられるようになりました。

持続可能性に配慮した金融がパンデミック下で上手くいっている理由

こうした様々な理由から、新型コロナ流行開始以降、ESG投資への資金流入が急増しています。自社の株式の価格を上げたい、自社への投資に関心を持つ投資家を増やしたい、という企業は、ESGという切り口から、自社事業をとらえなおして外部発信していくという選択肢も有効になってきています

2.ESG投資におけるESG格付の役割

ESG投資の投資先を見つける方法

それでは、ESG投資とは具体的にどのような企業に投資を行うものなのでしょうか?

環境面(E)、社会面(S)に配慮した事業運営を行い、適切な経営を行なっている(G)企業を見つけるにはどうすればいいのでしょうか?

欧米の企業は、”ESG Report”や”Sustainability Report”といった名称で、自社のESGに関する取り組みを積極的に発信しています。

例えば、ESGの取り組みに積極的な、米国小売業大手Krogerは、もはやESGの取り組みは経営の主要な一部といわんばかりの、緻密で詳細なESGレポートを発表しています。

参考資料:Kroger 2020 ESG REPORT

日本企業も最近では、「統合報告書」「サステナブル・レポート」といった名称で、自社のESGの取り組みを発信する事例が増えてきています。例えば伊藤忠商事は、「三方よし」の価値観から、積極的に発信を行なっています。

参考資料:伊藤忠商事 統合レポート2020(オンライン版)

本来であれば、ESG投資を行う投資家は、投資を考えている企業がどの程度ESGにしっかりと取り組んでいるか、1社1社ウェブサイトをみにいって対象企業のESGの取り組みを確認するのが理想的です。

しかし、それをするのはとても大変ですよね?

さらに、ESGに詳しくない人がウェブサイトをみても、その企業が他社との比較において、ESG的にどれほど優れた取り組みをしているかすぐにはわかりません

こうした背景から、ESG投資においては、「ESG格付」と呼ばれる指標を用いて投資を行うことが一般的です。

ESG格付けとは?

ESG格付は、専門の格付業者が、各企業の発信情報を見たり、各企業に質問票を送ったり実際にヒアリングに赴いたりして、格付を決めています。

代表的な格付業者としては、例えば以下の業者が挙げられます。

ESG格付業者の例

      • MSCI(米国モルガン・スタンレー系)
      • RobecoSAM(米国S&Pグローバル系)
      • FTSE Russell’s(ロンドン証券取引所系)

格付けのもとになっている情報は主に英語!?

上記以外にも、多くのESG格付業者が存在しますが、残念ながら現時点では、世界の投資家が注目するのは、欧米の格付業者です。

したがって、英語で発信されている情報をもとに格付が行なわれているのです。

こうしたESG格付業者は、最近ではウェブ上からも、ESG格付に必要な情報を収集しています。したがって、ESG投資家からの自社への投資を獲得したい日本企業は、ウェブ上での英語での発信が重要です

3. ESG格付で増加するAIの活用

企業が発信する情報は古すぎる

ESG格付には多くのデータが必要です。

そうした情報を、格付対象企業が十分に開示していない可能性があります。(特にネガティヴな情報は開示される可能性が低いです。)

また、企業のESGに関する取り組みの公表は、年1回など、頻度が低い場合が多く、もっと頻繁に投資を行う投資家にとっては、最新のデータに基づいたESG格付のほうが利用しやすいのです。

そのため、ESG格付業者は、政府や研究機関NGOが一般公開している情報なども含めて広範な情報源から情報を集めます。インターネット上に情報が多数掲載される現在では、ESG格付業社は、インターネット上から多くの情報を収集します。インターネット上には、膨大な量の情報があるからです。

膨大なネット上の情報を人力で分析しきれない

データを集めた後は、格付業社はそのデータを分析して、個別企業にESG格付を付与していくことになります。

しかし、ここで問題が発生します。

インターネット経由で集めた膨大なデータは、見るだけでも一苦労です。

また、その膨大で広範なデータが、個別企業のESG格付にどのように影響を与えるものか、人力で関連づけるのも大変です。

さらに、格付業社のスタッフが人力でそうした作業を行なった場合、ESG格付判定において、データの利用方法や格付方法の基準に、個人差、主観が含まれてしまう可能性があります。

格付は、全ての対象企業を、全く同じ基準とルールに基づいて付与されなければ使い物になりません。

インターネットを用いて大量のデータが収集できる今、ESG格付業者は、人手に頼ったESG格付業務から脱皮しなければならない状況になりつつあるのです

4. AIを活用したESG格付の事例

こうした状況の中、ESG格付において人の介入を無くし、人工知能”AI”を活用したESG格付を行う格付業者が登場しています。

事例1:Arabesque

Arabesqueは、バークレイズ銀行(Barclays Bank)から2013年に分社して誕生した格付会社です。

多様なデータ源から大量に情報を収集し、AIを用いて7,000を超える米国上場会社のESG格付を、毎日更新しています。

ArabesqueのESG格付の最新版は、サービスを購入しなければ入手できませんが、3か月前の格付であれば、Arabesqueのウェブサイトから閲覧することが可能です。

事例2:Truvalue Labs

AIを活用したESG格付で最も初期から取り組んでいるのは、Truvalue Labsです。

こちらは、その格付において機械学習と自然言語処理を使用して、12を超える言語のメディア出版物、NGOレポート、学術論文、政府機関が発行する報道資料や法的に開示が義務付けられている資料やソーシャルメディアなど、多様な情報源からデータを集めます。

興味深いのは、Truvalue Labsでは、格付対象となる企業から示される広報資料は、ESG格付に一切用いない点です。これは、企業が自ら開示するデータは、部分的で、バイアスがかかっているとTruvalue Labsが考えているためです

5. AI活用が進む中で自社がESG高格付を得るための5つの打ち手

このように人工知能”AI”を活用したESG格付が広がる中で、増加するESG投資の資金を自社に取り込みたい企業の経営者は何をすべきでしょうか?

ポイントは次の5つです。

      1. 自社の存在意義の中への、社会貢献の位置付け
      2. 社会への影響の、低コストなモニタリング体制整備
      3. 社会への影響に関する、日本語と英語での高頻度な開示
      4. 社会への影響に関する、公的機関や研究機関との協働
      5. 社会課題についての情報収集、自社事業の随時見直し

上記5つについて、一つ一つ見ていきましょう。

A. 自社の存在意義の中への、社会貢献の位置付け

これまで見てきたように、投資家の関心がESG投資に向かう中で、ESG投資を自社に取り込もうという企業は、既にESGの考え方を自社の経営方針に組み込み始めています。

ご紹介した伊藤忠商事も、セブンイレブンを展開するセブン&アイホールディングスも、消費財メーカーの花王も、自社の基本的な価値観や社是に結び付けてESGをとらえ、そうした発信をどんどん始めています。

こうしてみると大企業のお話かと思われがちですが、今後、大企業はその取引先にもESGの考え方を持つところを優先的に選択していくようになると考えられています。

実際、セブン&アイホールディングスは、「5つの重点課題」として、「お客様、お取引先を巻き込んだエシカルな社会づくりと資源の持続可能性向上」をかかげ、取引先にもESGの取り組みを求めていくことを示しています。

ESGは、主に格付会社がその評価指標を用意していますが、その評価の仕方は格付会社によってバラバラです。自社を格付会社の評価枠に当てはめていこうとして、表層的に取り組むのではなく、経営方針のまんなかに、社会への貢献をしっかり位置付け、自社が事業を通じてできることから考えていくというアプローチが、無駄が少なく、ESG的にも効果を上げやすい取り組み方です。

B. 社会への影響の、低コストなモニタリング体制整備

ESGの取り組みを行うにあたり、実務上の課題は、そのモニタリング(管理)のコストです。実際にESGに取り組むに当たっては、目標を定め、具体的打ち手を定め、評価指標を定めたうえで、指標をもとに進捗を管理しなくてはなりません。

これを本業と並行して行うことは、規模の大きくない企業にとっては大変なコストです。

対応策としては、通常業務の中で、手間なくESG関連指標を収集できる体制を、社内で整えておくことです。これは、ESG指標を定める際に、実務の業務プロセスをしっかりと見える化し、そのなかでコスト低くデータを取得できる指標を選ぶことで実現できます。

C. 社会への影響に関する、日本語と英語での高頻度な開示

ESG格付にAIが用いられ、インターネット上から常時幅広くデータが収集されていることを既にご紹介しました。

このような環境においては、自社のESGの取り組みを年に一回、パンフレットで紹介するだけでは、ESG投資資金を自社に取り込むための情報開示としては全く不十分です。

ESG格付会社の情報収集は日本語でも行われている可能性はありますが、できるだけ英語版も用意し、プレスリリースなどで高頻度に情報共有を行う必要があります。

このとき、あまり良い成果が出ていない場合もあると思います。

それでも頻度高く開示し、その成果が改善されていく様を開示していくことが重要です。

D. 社会への影響に関する、公的機関や研究機関との協働

ご紹介したTruvalue Labsは、格付対象の会社の開示情報はあえて利用せず、公的な機関の情報を利用するとしています。

こうした情報の客観性を重んじる格付機関が存在することを鑑みれば、ESG関連の発信をしっかり行う場合、第三者的立場を取れる協業先と組んでおくことが有効です。

課題先進国と言われる日本において、企業と一緒に公益のための取り組みを行いたいと考える公的機関は多く存在しますので、企業側でしっかりと取り組みの計画を立てれば、それに賛同し協業してくれる公的機関、研究機関は見つけやすいです。

E. 社会課題についての情報収集、自社事業の随時見直し

有名な社会課題には、少子高齢化や地方の過疎化などがあります。

そうした大きな課題に、一企業ができることは少なさそうだという意見をよく聞きます。

しかしながら、少子高齢化も地方の過疎化も、たくさんの社会課題の集合体であると考えるたらどうでしょうか?

実は企業が自社事業を通じてESG関連活動を行う際に一つの障壁となるのは、自社事業が、社会にもたらしている価値を見過ごしてしまいがちだということです。

大きな社会課題の解決に向けた貢献方法を具体的に考えると、自社の事業を違う角度から見るだけで、すでにESG活動と言えるものだった、という場合があります。

社会課題は「発見」されるものです。こうした「違う角度からの視点」を見つけるために、どのような社会課題が存在するのか、広く意識を向けておくことが重要です

まとめ

この記事では、ESG投資(環境面、社会面への配慮を行い、適切な企業経営を行っている企業への投資)が注目され、新型コロナ流行後にESG投資額が急増する今、そうしたESG投資の資金を自社に取り込みたい企業が何をすべきか、ご紹介しました。

特に、ESG投資においては、格付業者が企業に対して付与するESG格付がキー情報となっており、その格付において、AIが活用されている現状を、具体事例とともにご紹介しました。

記事内でお示しした5つの打ち手を通じて、ESG投資をめぐる資金の流れを、ぜひ自社の経営に取り込んでいきましょう!

社会的価値を用いた経営強化を行うには…

トークンエクスプレス株式会社は、「『社会的価値』を、ビジネスのチカラに。」をスローガンに、企業経営層向けに、社会的価値をもちいた経営強化支援サービスを提供しております。記事内でご紹介した5つの打ち手について、各社様の御事情に合わせた具体的な施策をご提案できます。ご関心ある方はぜひ「お問い合わせ」よりお気軽にご連絡ください。