イタリア:300以上の農業企業が参加するトマトのトレーサビリティ

本記事では、持続可能な社会づくりに関する議論やブロックチェーン活用等について、原典が英語のニュースをご紹介します。

記者:JAKE SIMMONS @ Crypto news
URL:https://www.crypto-news-flash.com/over-300-italian-agricultural-companies-adopt-vechains-blockchain/
掲載日:7月21日

ニュース内容

    • イタリア最大の農業組合と国内最大のトマト加工会社は、ブロックチェーン技術を利用してトマトのサプライチェーンを追跡可能にする。このプロジェクトは、コルディレッティ(直接生産者連盟)が主導する「Tokenfarm」によって管理されており、イタリアの約300の企業、17の協同組合、6つの生産者団体が関与。彼らは、すべての供給を追跡することへの同意を含む、原料の価格等について3年間の契約合意に至った。
    • コルディレッティとプリンセス・インダストリー・アリメンタリは協力して、野菜のサプライチェーンを保証するプロジェクトを立ち上げ、ブロックチェーンを分散型台帳技術(DLT)として統合。コルディレッティは、イタリアの農業を代表および支援する最大の協会であり、プリンセス・インダストリー・アリメンタリは、イタリアの都市フォッジャでヨーロッパ最大のトマト加工工場を運営。毎年300万個のトマトがプリンセス工場で加工される。
    • パイロットプロジェクトの目的は、すべての製品を追跡して、品質を向上させること。さらに、トマトが必要な倫理基準に準拠する農場からのものであることを保証すること。プロジェクトは1年半かけて準備された。特にCOVID-19の期間中には、農家はプラットフォームの使用方法とnブロックチェーンプラットフォームへの生産データ記入方法に関する研修を受けた。
    • 「Tokenfarm」のCEOによれば、プロジェクトの最初のテストは成功している。コルディレッティは、これがイタリアで高品質のトマトを保証する正しい方法であると確信していると述べた。

トークンエクスプレス社のひとこと

トマトと言うと、一般的な野菜であり、トレーサビリティの必要のないコモディティ商品のようなイメージを、我々日本人は抱きがちではないでしょうか。しかし、独立行政法人農畜産業振興機構の「野菜情報」という月報の2020年1月版によれば、イタリアは世界有数のトマト生産国、輸出国である一方、2017年にイタリア産トマト缶の原料産地偽装、添加物、労働環境の問題などが相次いで指摘され、2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals, SDGs)」への欧州全体の意識の高まりも相まって、トマトの品質証明が積極的に行われているようです。

関連外部記事
食農ラベリング制度を活用したイタリア産トマトの新たな挑戦~SDGs時代への対応~
著者:愛知学院大学 経済学部 准教授 関根佳恵先生
(野菜情報(2020年1月))

ブロックチェーン技術を活用して大々的に仕組みを作り上げるというのは一大プロジェクトですが、イタリア最大の農業組合と国内最大のトマト加工会社がプロジェクトメンバーに入っているというのは望ましい布陣であるといえます。プロジェクトの目的・目標を明確化し、成功のマイルストーンを乗り越えながら、プロジェクトが前進していくよう期待しています。

トークンエクスプレス株式会社では、国内外の持続可能な社会づくりに寄与する事業・プロジェクトの企画、構築、運用サービスを提供しています。ブロックチェーン技術に知見がありますが、その利用を前提とするものに限りません。
ご関心ある方は、お問い合わせページからお気軽にご連絡ください。

企業のテレワーク適応により急成長する従業員モニタリングツール

本記事では、社会的インパクトと経営管理等について、海外ニュース(原典英語)をご紹介します。

記者:Eric Chemi @CNBC
URL:https://www.cnbc.com/2020/05/13/employee-monitoring-tools-see-uptick-as-more-people-work-from-home.html
掲載日:5月13日

ニュース内容

    • テレワークが世界中の何百万人もの人々にとって新しい現実になっているため、ますます多くの企業が従業員の効率を追跡する方法を探している。従業員の生産性を監視するツールの提供企業ProdoscoreのCEOであるSam Naficyは、コロナウイルスが彼の会社の成長に急上昇をもたらし、見込み客からの関心が600%上昇したと語る。このソフトウェアは、従業員(特に営業マン)の活動を追跡し、管理者に生産性スケールのスコアを提供する。雇用主は追跡されていることを従業員に伝える必要はないが、Prodoscoreはそうすることを推奨している。
    • 同サービスを利用している米国の企業の一つは、Prodoscoreを2年間使用して営業チームを追跡し、彼らにより良いフィードバックを提供できているという。また、(営業についての自説の披露のような)主観的な会話が、単なる雑音であったとわかるまでになったという。
    • 職場環境の専門家は、こうしたモニタリングツールを利用する際には、完全な透明性をもって利用することを推奨している。「監視という言葉を聞いた途端、何人かの従業員はプライバシーの侵害のように感じることでしょう。」「もし従業員が上司にテレワーク中の勤務状況や生産性について信用されていないと感じれば、会社のモラル上ネガティブな影響があり、定着率の低下につながるでしょう。」
    • Prodoscoreを提供する企業のCEOは「我々は”ビッグ・ブラザー”(訳者注:有名なSF小説「1984」で登場する、人々の行動をすべて監視する権力者のこと。)とは全く異なります。」という。彼の会社の製品は、「生産性向上のためのツールであり、従業員、一義的には営業部隊に対して独自の採点システム提供するもの」である、とのことだ。

トークンエクスプレス社のひとこと

「テレワーク対応の早さ」は流行りの企業ブランディングの一つ

新型コロナウイルスにより、世界中の主要都市でテレワークの実施が求められています。ESG投資関連のニュースなどを日々追っていると、コロナに伴うESG投資への注目の高まりを伝えるアナリストが、併せて自らの会社のテレワークへの早い対応を自画自賛する記事に出会います。最近ではこの危機を契機として、危機終息後もテレワークを通常の業務スタイルの一部になる、または完全に切り替わると予想する意見も見るようになりました。

テレワークしやすい業務とそうでない業務

元々個々の業務の専門性、独立性が高く、彼/彼女の付加価値が他者(顧客や同僚)とのコミュニケーションの増減にあまり左右されない業種の人々は、そうした変化にスムーズに対応できるでしょう。それに対し、営業担当などは、相手のある話であり、成果を出すまでの経過がテレワークによって上司から見えにくくなります。蓋を開けてみたら成果が全然出ていなかったとき、なぜその営業マンが成果を出せなかったのか、テレワークなると更にわかりづらくなるわけです。

「モニタリング」は上司による部下の監視ではなく、PDCAのため

「従業員モニタリングツール」というと、監視というネガティブなイメージが出てしまいますが、PDCAを回すためには様々な指標を「管理」し、改善策を常に検討・実践していくことが必須です。新型コロナウイルスによって人と人が物理的に接触できなくなると、計測可能なツールの利用が増加し、営業という一種のアートだと考えられてきた業務の「見える化」が前進する可能性があります。

手元にあるツールでも「モニタリング」は実行可能

本日の記事では、米国の具体的なサービス名が紹介されていましたが、そうしたサービスを使わずとも、手元にあるツールのみであっても、業務プロセスを見える化、標準化することで、計測できる業務指標はたくさんあります。大切なのは、きちんとした計測ができるよう、業務を標準化することと、データを関係者全員がアクセスできるところに保存し、全員で改善策を考えられる体制を整えることです。

トークンエクスプレス株式会社では、中規模企業(従業員100人から300人程度の企業)の経営者様に、経営の可視化に関するサービスをご提供しています。ご関心ある方は、お問い合わせページからお気軽にご連絡ください。

代表・紺野がブロックチェーンに賭けた理由

1月1日から1月5日まで、弊社創業の背景にある考え等を、連日ブログ投稿させていただく取組みを行っております。本稿はその最終稿です。

1月1日:世界の価値流通の全体像
2日:企業・個人が国境を超える経済活動を行う際の大きな課題
3日:代表・紺野が実際に経験した国際送金の不便、不安、不満
4日:ブロックチェーンは発展途上?今あるチカラを最大限活かそう
5日:紺野がブロックチェーンに賭けた理由(本稿)

第1回目の記事では、開発途上国-先進国間の国境を超える、インターネットを活用した価値交換を、ブロックチェーンを用いて格段に便利にするサービスを提供していきたい、と弊社が考えている旨をお話ししました。
第2回目の記事では、開発途上国-先進国間の国際送金の課題が、幅広い主体の価値交換における障害になっている旨を申し上げました。
第3回目では、実際に私(紺野)が体験した、国際送金の苦労の経験について述べ、その解決にブロックチェーンが使えるという考えを述べました。
第4回目では、私視点でのブロックチェーンの意義をご説明し、今事業を始めた理由について述べました。
シリーズ最終稿となる本稿では、起業という手段を選んでまで、ブロックチェーンを活用した「世界の価値流通の革新」に挑もうと思った私の経験についてお話しさせていただきます。


変化のスピードが速くグローバルなかかわりが深まった現在では、1年後の未来を見通すことも容易ではありません。しかし、私には一つだけ、長期的な世界の動向について「これは確実な見通しだ」と自信をもって言えるものがあります。それは、「世界のマイクロファイナンスは、ブロックチェーンによって代替されるか、もしくは構成要素がバラバラになって再構成される中で、現在のビジネスモデルは雲散霧消する」というものです。

マイクロファイナンスとは主に開発途上国で展開されている小口金融のことを指し、所得の少ない、もしくは所得のない人に、小額の金融サービス(融資、貯蓄、送金、保険等)を提供するビジネスのことを言います。(マイクロファイナンスについての詳細は、2014年から2018年まで私が運営していたブログ「マイクロファイナンスをめぐる世界のいろいろ」に詳述しております。)

私は、2013年6月から2016年8月まで独立行政法人国際協力機構(通称JICA)から派遣されてエジプトに駐在していた経験があります。そこで最も力を入れて取り組んだことの一つが、現地でのマイクロファイナンスの普及、発展支援です。具体的には、マイクロファイナンスの一形態であるマイクロ保険の適法化と、その業界団体の設立に奔走しました。(実際、両方とも達成されました。)こうした業務経験や、国連が提供する国際的なマイクロファナンス実務の研修プログラムへの参加等を通じて、現在のマイクロファイナンス産業の全体像を私は知ることになりました。

簡単に言えば、マイクロファイナンスとは、扱う金額規模が小さすぎて一般的な金融サービスでは顧客になり得ない顧客に対して、社会的使命を持った組織(以下、「マイクロファイナンス機関」と言います。)が、労働集約的手法とコミュニティにおける人的つながりを活用しつつつ行うビジネスです。サービスの提供方法も人と人とのやり取りが基本で、膨大な金融取引の記録は、文字どおりの実物台帳にて、マイクロファイナンス機関の担当者が、顧客との直接のコミュニケーションを通じて記録していきます。

既存のマイクロファイナンスは、人と人のつながり、対面でのやり取りを前提にしていますので、ハートフルに感じられる側面もありますが、問題もあります。例えば、マイクロファイナンス市場が過熱したインド等において、過酷な取り立てやその結果の利用者の自殺等の社会問題も発生しました。金融はITとは相性がいいので、できるだけ金融サービスがフェアで効率よく提供されるように、マイクロファイナンスも少しずつIT化していくべきだと考えられます。

しかしながら、従来のIT技術では、そのインフラの用意と維持に多額の資金や人的リソースが必要になります。開発途上国のマイクロファイナンス機関が日本の銀行などのように多額の資金と人的リソースを投資してITシステムを構築・運用することはできません。

一方で、昨日の記事にも記載したように、ブロックチェーンは、世界中に開かれている、誰もが使える「台帳インフラ」です。マイクロファイナンス機関が自前で壮大なシステムを用意しなくても、うまくブロックチェーンを用いれば、自前で用意するよりは低いコストで金融システムに適した機能を利用することができます。

もちろん、すぐに全てがひっくり返る、という類のものではありませんが、長期スパンで俯瞰してみると、ブロックチェーンを使って小額の金融取引をするコストが格段に下がった現在、マイクロファイナンスというビジネスの枠を、ブロックチェーン技術が内側からも外側からも侵食していく可能性があります。例えば、途上国の所得の低い人が、先進国の大企業が呼びかけるアンケートに答えることで、小額の仮想通貨を直接もらうことができる、というルートが生まれた未来はどうでしょう?ブロックチェーンから提供される仮想通貨の受け渡しには、距離も国境も関係ありません。先進国と途上国の通貨の価値の違いに鑑みれば、途上国の仮想通貨の受け手は、それなりの収入を得ることになるでしょう。その結果、マイクロファイナンス機関から融資を受ける必要性が低減するかもしれません。このルートはやろうと思えば技術的にはすぐに作ることができる、「もうすぐそこにある未来」です。もちろんアンケートに答えて収入を得るという手段が人の生活において持続的かという疑問や、仮想通貨を現金に換える手段が途上国に今後どのように広がるか等の現実的課題はありますが、ブロックチェーンの登場、特にこれまでとは全く異なる小額資金の送金手段の登場によって、マイクロファイナンスという既存スキームが不要な社会環境が生まれてしまうかもしれないという点はご理解いただけるのではないでしょうか。

私は現在のマイクロファイナンスの社会的な重要性を十分に知っていますし、マイクロファイナンスに携わる人々を尊重しています。マイクロファイナンスが現在果たしている社会的役割は、維持もしくはさらに増大してほしいと思っています。しかしながら、マイクロファイナンスも完璧なものではありません。前述のように人に危害を加えうる可能性も有ります。一方で、ブロックチェーンはその小口金融サービスとの相性の良さから、必ずマイクロファイナンスの「黒船」になると信じています

ブロックチェーンがマイクロファイナンスに影響を与えるのも数年といったタイムスパンではなく、数十年という単位になる可能性も有ります。「何十年かかるかわからないが、マイクロファイナンスがブロックチェーンによって進化、変容していくその過程に立ち会いたい。その中で何らかの役割を果たしたい。」その思いをもって、「世界の価値流通を革新する」という使命を掲げ、私はトークンエクスプレス株式会社を立ち上げました。

マイクロファイナンスがブロックチェーンによって変容するのには、様々な環境の整備が必要です。まずは、仮想通貨が世界中で当たり前に流通することが必要でしょう。現時点では、仮想通貨には「出口」、すなわち現実的な利用用途がありません。現実的な利用用途は、ブロックチェーンの得意を伸ばすことでこそ作られていくと考えています。私にとってそれは、まずは、開発途上国-先進国間の国境を超える、インターネットを活用した価値交換における、ブロックチェーン・仮想通貨の利用ここを起点に世界の価値流通を革新するその価値流通の革新は、世界のマイクロファイナンスも巻き込んでいく

そのミッション達成のための第一歩として、1月中に、誰でもご利用いただける、Webアプリケーションを発表する予定です。ベータ版となりますが、テストを重ね、またブロックチェーンを利用するので、価値の送受にエラーが発生して利用者様が損をする等の可能性も有りません。またその時が来たら本ウェブサイトで発表させていただきますので、ご期待ください。


以上、5日間にわたり、弊社の設立の背景にある考え等をご紹介させていただきました。お読みいただき、本当にありがとうございました。

トークンエクスプレス株式会社はまだ立ち上がったばかりの会社です。これまで全5回にわたって述べたような考えと信念に基づき、ビジネスモデルの構築・検証を行っていますが、一緒にこのエキサイティングな旅を歩んでくれるパートナーを大募集しています。もしこれを読んでくださっている方々の中に、もしくは読者のお知り合いの中にこの信念に共感してくださる方がいらっしゃいましたら、ぜひ本サイト「お問い合わせ」フォーム等を用いて、お気軽にご連絡ください。

それでは、2020年もトークンエクスプレス株式会社をよろしくお願いいたします。

ブロックチェーンは発展途上?今あるチカラを最大限活かそう

1月1日から1月5日まで、連日ブログ投稿させていただく取組みを行っております。本稿は第4回目の記事です。

1月1日:世界の価値流通の全体像
2日:企業・個人が国境を超える経済活動を行う際の大きな課題
3日:代表・紺野が実際に経験した国際送金の不便、不安、不満
4日:ブロックチェーンは発展途上?今あるチカラを最大限活かそう
5日:紺野がブロックチェーンに賭けた理由

第1回目の記事では、開発途上国-先進国間の国境を超える、インターネットを活用した価値交換を、ブロックチェーンを用いて格段に便利にするサービスを提供していきたい、と弊社が考えている旨をお話ししました。
第2回目の記事では、開発途上国-先進国間の国際送金の課題が、幅広い主体のサービスの価値交換における障害になっている旨を申し上げました。
第3回目の記事では、実際に私が体験した国際送金の苦労の経験について述べ、その解決にブロックチェーンが使えるという考えを述べました。
本稿では、ブロックチェーンの意義、および今このタイミングで事業を始めた理由について述べさせていただきます。

トークンエクスプレス株式会社を創業してから、ブロックチェーンを一言で説明する必要があるときが時々あります。その際に私がよく言うのは以下の説明です。

「ブロックチェーンとは、世界中で常に同じ内容の台帳データを共有する技術です。その台帳では、どの口座がいくら保持していて、いつどの口座からどの口座にいくら送ったか、という情報が記録されています。ノードと呼ばれる世界中にあるコンピューターで情報が共有されているので、どこかの部分が止まっても全体が止まってしまうことはなく、常に記帳され続けています。そのため改ざんも極めて難しいです。そのシステムの維持は、システム維持への貢献者にルールに沿った報酬を与えることで担保されています。中央集権的な管理者がいないので、誰でも利用することができるインフラです。こうした斬新な仕組みによって、利用者のコストは、既存の技術を使って同様の機能が提供される場合よりもとても低く抑えられます。」

技術に明るい方に対してであれば、他にも様々なキーワード(公開鍵暗号方式、Proof of Work、暗号学的ハッシュ関数、マークルツリー等)を使って、ブロックチェーン技術の素晴らしさをお伝えした方がいいと思うのですが、私は、そこまで必要になったケースに未だ出会いません。
上記の説明で必ず含めるのは、「可用性」「完全性」「分散性」の要素です。それぞれの言葉の説明は、私が見た中では総務省の資料(※1)が最もわかりやすいと思いますので、ここに引用させていただきます。

高い可用性
中央一元管理では、管理体に不具合があった場合に全てのシステムが停止してしまう可能性がある。分散管理・処理を行うことで、ネットワークの一部に不具合が生じてもシステムを維持することができる。

高い完全性
ブロックチェーンは取引ごとに暗号化した署名を用いるため、なりすまし行為が困難である。加えて、取引データは過去のものと連鎖して保存されているため、一部を改ざんしても過去のデータも全て改ざんする必要があり、改ざんはほぼ不可能である。また、台帳により過去のデータを参照することができるため、データの改ざんをリアルタイムで監視可能である。

取引の低コスト化
中央一元管理では、中央で管理する第三者に仲介手数料を支払う必要がある。ブロックチェーンのシステムを用いれば、仲介役がなくとも安全な取引が行えるため、取引の低コスト化が望める。

さて、ブロックチェーンの世界では、今も多くの技術者がブロックチェーンの技術的課題の解決に取り組んでおり、「ブロックチェーンは不完全な技術だ」という人や、「ブロックチェーンはまだ実用フェーズではない」という人に出会うことも多いです。

こうした言葉を聞くと、私はインターネットの発展の歴史を思い出します。
私は1986年生まれで、物心ついたころにWindows95が発売され、インターネットが人々の生活に入っていく過程とともに過ごしてきました。初期のインターネットは、できることは限られていたし、これが今のような未来をもたらすことを想像させるものではなかったと私は思います。しかしその後、Googleが現れ、Amazonが現れ、Facebookが現れ、そしてスマホが現れる中で、インターネットの「不完全さ」を覆い隠してしまいました。もっと正確に言えば、不完全であっても、それは前提としたうえで、できることをどんどん育てていった結果、今の世界が成り立っているのだと思っています。(例えば、あるページから別のページに1方向しかリンクが貼れないことや、リンク切れが起こってしまう問題は、Webが登場した当初は、Webの構造的欠陥として技術者たちに捉えられていたようです。(※2)今じゃ当然のこととして皆さん受け入れてしまっていますよね。)

この経験から、「ブロックチェーンは不完全な技術だ」という人に出会っても、その人がブロックチェーンをさらに高度にしてくれることは期待し応援しつつも、その完全化が完了するまで待つ必要は全くない、と思っています。

また、「ブロックチェーンはまだ実用フェーズではない」という人は、ブロックチェーンへの期待が大きすぎるか、「ブロックチェーン」という言葉の定義が狭いのだろうと考えるようにしています。なぜなら、既に仮想通貨がこれだけ広がり、それに価値を認める人々が世界中にいて、世界中の金融当局において具体的な対応が行われている現在において、その一点においてはブロックチェーン技術は十分実用フェーズに入っていると、私は考えているからです。もちろんスケーラビリティの問題等はありますが、出来ることが既にあるという意味で、既に実用フェーズだと考えます。

ブロックチェーンの得意分野を正しく認識したうえで、その得意分野を活かして世界をより良くする具体的打ち手を打つべきだ、それを自分がやろう、と私は思っています。

連日ブログ投稿の最終日となる明日は、なぜ私がブロックチェーンに賭けようと思っているのか、そのきっかけと長期的目的をご紹介させてください。


※1
総務省「平成30年版 情報通信白書のポイント」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd133320.html

※2
「Webを支える技術」、山本陽平、2010、技術評論社

代表・紺野が実際に経験した国際送金の不便、不安、不満

1月1日から1月5日まで、連日ブログ投稿させていただく取組みを行っております。本稿は第3回目の記事です。

1月1日:世界の価値流通の全体像
2日:企業・個人が国境を超える経済活動を行う際の大きな課題
3日:代表・紺野が実際に経験した国際送金の不便、不安、不満(本稿)
4日:ブロックチェーンは発展途上?今あるチカラを最大限活かそう
5日:紺野がブロックチェーンに賭けた理由

第1回目の記事では、超長期での日本の産業構造の変化、インターネットの登場、グローバル化の進展という3つの社会的変化を挙げ、弊社が開発途上国-先進国間の国境を超える、インターネットを活用したサービスの提供を格段に便利にするために、ブロックチェーンを用いていきたい、と考えている旨をお話ししました。

第2回目の記事では、開発途上国-先進国間の国際送金の課題が、幅広い主体のサービスの価値交換における障害になっている旨を申し上げました。本稿では、その具体的事例として実際に私(代表・紺野)が体験した、国際送金の苦労の経験について述べさせていただきます。

その体験は、エジプトからスペインへの国際送金時のものです。

2015年にスペインのIE Business Schoolへの入学が決まったとき、私はエジプトに駐在しており、エジプトからスペインに43,000ユーロ(当時の価格で600万円弱)を送金する必要がありました。それほどの金額を1度に支払う金銭的余裕がなかった私は、一括払いか、3回払いかという学校側が提示した選択肢のうち、3回に分けて支払うことを選びました。この送金において、大きな不便、不安、不満があったのです。

まず、当時エジプトのメイン銀行口座としていたCitibankに行き、国際送金を行いたい旨伝えました。当時のエジプトのCitibankではインターネット経由の取引などできませんでしたし、出来たとしても数百万円の海外送金を行えるほどシステムを信頼できないので、窓口で対面で行う方が望ましかったのです。窓口では用紙に記入するように言われます。事前に学校側から聞いていた送金先を、なんと手書きで記入します。送金先の銀行名も、住所を含めてアルファベットで手書きするのですが、当時はAIによる文字認識などメジャーではなかったですから、この用紙を手打ちする銀行行員のミスとかあったらどうするのだろう、と不安になりながら用紙の記入をしたことをよく覚えています。

記入しているうちに、事前に受け取った情報だけでは埋められない項目があることに気づきます。窓口の行員に聞いても、記入必須項目は送り先によって異なるからわからない、自分で送付先に確認してくれとのこと。なんとも頼りない。特にややこしかったのは、送付先を数字等で表現する方法が2種類あり(IBAN、SWIFT)、学校側から示されていた番号が、どちらの番号か最初はわからなかったことでした。結局一度目の訪問では用紙を埋めきることができず、一度持ち帰って学校側にいろいろ確認したうえで再度銀行に行くことになりました。

学校側とのやり取りの末、必要情報を集め、約1週間後に再度銀行に訪れて必要事項を用紙に手書き記入します。手持ちの米ドルを使って、送金先にユーロで納めることになっていました。記入した用紙を行員に手渡します。渡しつつ、「送金手数料はいくらになるのか」、「何日後に先方に着金するのか」など、支払者として当然知りたいことを質問します。

しかし、行員からは何を聞いても「わかりません。」という答えしか返ってきません。これはエジプトのCitibankの行員の能力が低いとかではなく、国際送金の構造的問題です。実は、国際送金はエジプトからスペインの送金先口座に直接届くわけではなく、いくつかの金融機関でリレー形式で送金を行います。そのリレーの参加者によって手数料が変わるので、送金を行う際には仲介手数料は予測しきれないのです。

※参考資料:TransferWise社資料 https://transferwise.com/jp/blog/correspondent-bank

その送金リレーによっては、予定よりも多くの手数料が受取人側から差し引かれてしまうので、送ろうと思っていた金額が予定どおり送金先に届くかどうかわかりません。また、リレーの参加者が誰になるかわからないことから、いつ着金するかも当然わかりません。私の送金の場合は、少なくともニューヨークは経由するだろうと言われていたので、ニューヨークの銀行の休業日とぶつかると、その間は送金が止まる、といったことも言われました。もしロンドンを経由することになった場合には、ロンドンの銀行の休業日にも送金は止まるそうです。

送金後、少なくない金額が無事先方に着金するかソワソワしながら、何度も送付先に着金確認をしてもらい、なんとか最後は先方にお金を届けることができました。念のため少し多めに送金したのですが、結局相手はいくら受け取ったのかわからずじまいでした。

こんな不自由な国際送金の現状で、1月2日の記事に記載したような、時間も人手も限られた個人や中小企業が、先進国、開発途上国という枠を超えた経済関係を築くことはできるでしょうか?私はそれには懐疑的ですし、国際送金に関して、個人や中小企業に大きな負担を強いたままとすることは、社会システムとして善だとは言えないと思います

こんないい加減なシステムに基づいたサービスを金融機関が提供することが許されるのか!と2015年当時、カイロのCitibank窓口で憤慨していた私ですが、ブロックチェーン、仮想通貨と出会ったとき、このフラストレーションを解消できる、と興奮したことをよく覚えています。そう、ブロックチェーンであれば、国際送金に伴う不便、不安、不満を鮮やかに解消することができるのです。(下図ご参照)

図:既存の国際送金と仮想通貨を用いた送金イメージ

まずは明日の投稿で、ブロックチェーンとは何かを簡単にご説明させていただきます。

企業・個人が国境を超える経済活動を行う際の大きな課題

1月1日から1月5日まで、連日ブログ投稿させていただく取組みを行っております。本稿は第2回目の記事です。

1月1日:世界の価値流通の全体像
2日:企業・個人が国境を超える経済活動を行う際の大きな課題(本稿
3日:代表・紺野が実際に経験した国際送金の不便、不安、不満
4日:ブロックチェーンは発展途上?今あるチカラを最大限活かそう
5日:紺野がブロックチェーンに賭けた理由

昨日の記事「世界の価値流通の全体像」では、超長期での日本の産業構造の変化、インターネットの登場、グローバル化の進展という3つの社会的変化を挙げ、弊社が開発途上国-先進国間の国境を超える、インターネットを活用したサービスの提供を格段に便利にするために、ブロックチェーンを用いていきたい、と考えている旨をお話ししました。本稿では、そのような考えに至った代表・紺野の課題意識について述べさせていただきます。

私(紺野)は新卒で独立行政法人国際協力機構(通称JICA)という組織に入構し、主にイラク、エジプト等の中東の国々向けの国際協力事業に携わっておりました。そのため、日本の外、すなわち「世界」というときには欧米等の先進国というよりも、開発途上国と言われる国々を自然にイメージするようになっています。

開発途上国と先進国という言葉は、皆様にイメージしてもらいやすいので本稿内で用いていますが、この区分けは、どんどん時代遅れになってきています。第二次世界大戦後からの各国ごとの努力および各国間での取り組み、さらにさまざまな主体の貢献によって、それまで開発途上国と呼ばれていた国々が(その首都圏を中心に)どんどん豊かになってきています。(一方で、シリアやイエメン、アフガニスタンのように、厳しい状況に未だ苦しんでいる国々もいます。)

こうした環境の中で、前回の記事にてお話しした「インターネットの登場・普及」と「グローバル化の進展」があったことで、開発途上国から先進国へ、もしくはその逆も含めて、サービスの提供がしやすくなりました。有名なところでは、フィリピンの先生と日本の生徒をインターネットでつないで英会話のレッスンが行われていたり、日本企業がインドやベトナム、バングラデシュのIT企業にITソフトウェアの開発を外注したりする例が数多くあります。

私は今後、開発途上国の個人や中小企業が、先進国の法人からサービス提供を請け負うケースや、開発途上国と先進国に所在する個人・中小企業同士の協業が増えていくと考えています。私がJICAで携わっていた国際協力は政府間のものでしたが、そうした政府間の取組によって築かれた「土台」の上に、途上国と先進国の比較的大きな企業間でのつながりが生まれ、さらに途上国と先進国の個人や中小企業同士の経済関係が花開けば、国際開発は新たな次元に突入すると考えています。

私はそうした未来をつくることにぜひ貢献したい。

そうした未来を実現するにあたって、私は一つ大きな課題があると考えています。それは、サービスの対価を支払うときの国際送金の問題です。現代においても国際送金のシステムは、送金者、受取者にとって最適化されたものとは言えません。これには金融規制が国ごとに存在しているという構造的課題や、価値移転の規模でみれば国内の価値移転の方が国を超える価値移転よりも大きいというマーケット規模の相対関係(相対的に小さなマーケットは、大きなマーケットほど効率化に向けた投資が行われない)も原因となっています。さらに、送金規模が比較的小さいルート、例えば送金元または送金先が開発途上国であった場合には、通貨兌換の課題もあり、送金規模が大きいルートに比べて高いコストがかかる仕組みになっています。

こうした状況の中で、比較的小額(数十万円~数百万円程度)の国際送金は、現在のようなテクノロジーが発達した時代においても、驚くほど不便と言わざるを得ません。

具体的なお話しをしましょう。

私は実際に、エジプトからスペインに600万円弱の送金をしたことがあります。その際に、不便、不安、不満の三重苦を実感しました。明日の投稿で、そのお話しをさせていただきます。

ご挨拶/世界の価値流通の全体像

 

トークンエクスプレス株式会社のウェブサイトにお越しいただきありがとうございます。

弊社は「世界の価値流通を革新する」を使命としています。特に国境を超える価値の流通に着目して、ブロックチェーン技術を活用した法人様の収益向上への貢献に取り組みます。

また、「ソーシャル × ブロックチェーン」をキーワードに、ブロックチェーンのソーシャルビジネスへの適用事例創出にも取り組んでいます。

この度、弊社ウェブサイト内に、「代表者ブログ」として紙幅をいただくこととなりました。弊社はまだ生まれたばかりの企業ですので、ビジネスを行っていくうえでお客様や関係者の皆様にご信頼いただき、社会的信用を培っていかなければなりません。本ブログは、そのための一つの方法として、私(紺野)が何を考え、何を経験し、次に何をしようとしているのかをご紹介させていただく場としていきたく思います。(紺野の略歴については、こちらをご覧ください。)

普段は月数回程度の頻度で更新させていたければと考えておりますが、ブログ開始を記念して、新年1月1日から1月5日まで、連日投稿させていただきます。それぞれの記事タイトルは以下を予定しております。

1月1日:世界の価値流通の全体像(本稿)
2日:企業・個人が国境を超える経済活動を行う際の大きな課題
3日:代表・紺野が実際に経験した国際送金の不便、不安、不満
4日:ブロックチェーンは発展途上?今あるチカラを最大限活かそう
5日:紺野がブロックチェーンに賭けた理由


さて、記念すべき最初の投稿となる本記事では、弊社の「世界の価値流通を革新する」というミッションの前提となる、弊社の世界観について、少しお話しさせてください。

ミッションの中で「流通」という言葉を用いていますが、「流通」というと「流通革命」という標語で表象されるダイエーが思い出されます。流通革命という言葉が登場したのは1962年で、ダイエーが発展したのは1960年代~80年代です。

1960年代に流行した「流通革命」という言葉には、その中に「経路革命」(流通経路の革新と小売の販売革命を含む)、「消費革命」(消費意欲の自由化、多様化等)、「情報革命」(小売における生産性向上のための計算機導入)という3つの要素を内包しているとされます。(※1

この「流通革命」という言葉が生まれた50年以上前から現代までの社会の変容を振り返ってみると、この「流通革命」という言葉を唱えた人々の先見性に驚かされます。そして、「流通革命」の中に「経路革命」、「消費革命」、「情報革命」という3つの要素を内包しているという考え方は、現在でも十分に活用できる枠組みだと思います。

一方で、この「流通革命」という言葉が生まれた当時と現代とでは、当然のことながら、そもそも前提となる社会環境に大きな差異が生じています。

例えば、流通の対象の多様化です。50年以上前の「流通革命」では、その主対象は、生産者と消費者との間で流通される物的商品(食品、家電、衣類等)でした。ところが今日では、サービス、エンターテインメント、デジタルコンテンツ等、非物質的な価値も、購入対象の価値として大きな割合を占めるようになっています。

統計的にわかりやすいところで行くと、1960年代と現代で比較すると、経済における第一次産業(農業等)、第二次産業(製造業等)、第三次作業(サービス業等)の構成は大きく変化しています。50年以上前と現代とで比較できる指標でみれば、就業構造すなわち就業者数の産業別構成割合が下表のとおりがらりと変わっています。(就業者数割合と各産業の付加価値の割合が必ずしも一致するわけではありませんが、産業の構造の変化という意味で大枠を掴むことはできるでしょう。)

就業構造(就業者数の産業別構成割合)の変遷

第一次産業 第二次産業 第三次産業
1960年 32.7% 29.1% 38.2%
1990年 7.2% 33.5% 59.4%
2015年 4.2% 25.2% 70.6%

出典:「サービス産業と政策の百年:概観」、森川正之、経済産業研究所、2017
https://www.rieti.go.jp/jp/publications/pdp/17p003.pdf

したがって、今日の価値流通を考えるとき、その対象を「モノ」のみならず「コト」にまで広げて考えるべきであり、弊社使命における「価値流通」という言葉も、「コト」消費を含めて捉えています。

また、流通経路についても、「インターネットの登場と普及」と「グローバル化の進展」によって1960年代とは全く異なるステージに至っているといえます。

インターネットの登場と普及により、生産者と消費者が直接やり取りすることが可能になったことは、読者の皆様も日々実感されていることでしょう。もう一つのグローバル化については、世界全体の輸出入規模は、1960年から2018年の間に輸出で171倍、輸入で165倍にも増加しています。

1960年と2018年の全世界の輸出入規模比較

輸出 輸入
1960年 1,134億ドル 1,190億ドル
2018年 19兆3,754億ドル 19兆6,149億ドル
171倍 165倍

出典:
昭和37年年次世界経済報告、世界の経済情勢(内閣府(経済企画庁))
https://www5.cao.go.jp/keizai3/sekaikeizaiwp/wp-we62/wp-we62-000i1.html
ジェトロ世界貿易投資報告(2019年)
https://www.jetro.go.jp/world/gtir/2019.html

こうした「日本の産業構造の変化」(消費の変化)、「インターネットの登場と普及」(経路の変化、情報の変化)、「グローバル化の進展」(経路の変化)という大きなマクロの変化の中で私が注目しているのは、「国境を超える、インターネットを活用したサービスの価値交換」です。特に「開発途上国と先進国との間でのコト消費」に注目しています。

そのなかで、私は、開発途上国-先進国間の国境を超える、インターネットを活用したサービスの提供を格段に便利にするために、ブロックチェーンを用いていきたい、と考えています。

なぜ私がそのように考えるに至ったのか、そして、どのようなサービスを提供できると考えているのか、明日以降の投稿でご説明させてください。


※1
「流通革命論の再解釈」日本大学 戸田裕美子 先生、2005
https://www.j-mac.or.jp/mj/download.php?file_id=408