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ESG投資の旗手が直面:アルゼンチンの債務交渉

紺野 貴嗣
本記事では、社会的インパクトと経営管理等について、海外のニュース(原典英語)をご紹介します。

記者:Peter S. Goodman and Daniel Politi @The New York Times
URL:https://www.nytimes.com/2020/07/31/business/argentina-debt.html
掲載日:7月31日

ニュース内容

  • 米国のブラックロック社(訳者注:2020年6月末時点で7.32兆ドル(約789兆円)を運用する、世界最大の資産運用会社)の創業メンバー兼会長・CEOのローレンス・D・フィンクは、利益がすべてではない、進歩的な資本主義の先駆けとして自身をブランディングしている。投資においては、環境と社会の保護を重視していると標ぼうしている。
  • ブラックロック社が購入したアルゼンチン国債が、5月末に債務不履行に陥った。アルゼンチン政府は、660億ドル(約7兆円)相当の債務免除を求めており、フィンク氏は、自身が標ぼうする「Stakeholder Capitalism(ステークホルダー資本主義)」と伝統的な資産管理者としての義務との板挟みにあっている。アルゼンチンでは新型コロナウイルス感染症が経済的不況の悪化を助長し、貧困は急増しているが、ブラックロック社は政府が提案した和解に反対し、他の債権者を結集してそれを拒否している。
  • フィンク氏は、民主党大統領候補のバイデン氏が大統領になった場合の財務長官候補として2年前に報道された人物で、主要な米国の企業の経営者たちに、社会、雇用、環境面に配慮した経済活動を行うように呼び掛けたこともある。なお、ブラックロック社が管理する投資の3分の2は、世界中の労働者の退職後の貯蓄で構成されている。

トークンエクスプレス社のひとこと

記事が示唆するところでは、フィンク氏のESG配慮姿勢は見せかけのものであると言わんばかりの論調ですが、私としては、的外れで、ひねくれた悪意のある記事だと感じます。

問題は、ブラックロック社がアルゼンチンの国債を購入したこと、そして債務不履行が起きて債務救済に協力するかしないかという決断を迫られメディアに面白がられるところにまで追い詰められたことにあります。すなわち、このような状況に至るまでの同社の決断、打ち手(の不足)にこそ課題があり、資産運用会社としての純粋な経営能力上の問題なのです。直面している選択肢だけをみてESG配慮に対するパフォーマンス(の不足)を非難するのは、表層的であり、いたずらにESG投資のイメージを貶めています。

アルゼンチンの国債が大きなリスクを持つことは長年の常識ともいえることですし、そのリスク-リターンを見たうえでブラックロック社が国債を購入した際に、ESG的な判断があったとは思えません。純粋な金融判断だったでしょう。ことここに至ってESG配慮をもって債務救済をするしない、ではなく、過去の同社の判断プロセスをこそ批判すべきなのです。

ESG投資も呼び込める「社会的価値」のある企業になるためには 

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