選挙におけるブロックチェーンの活用は賛否両論

本記事では、弊社の最近の考えをご紹介します。 |
「改ざんされにくい」特性、世界が選挙での適用に注目
ブロックチェーンには様々な特性がありますが、そのうちの基礎的なものが、データが改ざんされにくいという特性です。選挙は当然改ざんが入るべきではない情報を取り扱いますので、そこにブロックチェーンが使えないか、と考えることは自然でしょう。選挙におけるブロックチェーンの利用は世界中が注目している用途の一つであり、本ブログでも以前、インドの選挙委員会がブロックチェーンを利用した選挙システムの開発を、大学とともに進めているというニュースを紹介させていただきました。
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インドの選挙委員会、選挙へのブロックチェーン利用を検討中
米国ウェストバージニア州での突然のキャンセル
ブロックチェーンを用いたモバイルアプリケーション”Voatz”を用いて予備選挙を行う予定だった米国ウェストバージニア州では、その予定がキャンセルされるという事態が先月27日に発生しています。これは、マサチューセッツ工科大学(MIT)が実施した”Voatz”のセキュリティ分析で脆弱性の指摘があったためです。結果として、ワシントン州、カリフォルニア州、オハイオ州等で既に実績のある別の、ブロックチェーンを使わないアプリケーション”Democracy Live”が利用されることとなりました。
新興技術は地道な積み重ねが必要
選挙のような緊張感のあるイベントにおいて、100%全員が満足し、全く改ざんや悪意の入り込まないソリューションが歴史上で現れることはあるのでしょうか?ITを全く活用しないことが逆に不便さを招くことは想像に難くないでしょう。できる限り全ての有権者が投票できるように、郵便等のアナログ手法で臨もうとしたカリフォルニア州は、選挙結果を出すまでに数週間かかるようになってしまったようです。
インターネット技術には、数十年の歴史の蓄積があり、「枯れた」と業界でいわれる信頼された技術も数多くあります。それでも運用にリスクは数多く残っています。すべてはトレードオフです。
ブロックチェーンはインターネットに比べてまだ歴史が浅いですが、これまでにない特性があることは間違いありません。ウェストバージニア州でのできごとは確かにブロックチェーンへの期待感に水をかけるような出来事ではありますが、そのユニークな特性が否定されたわけではありません。一足飛びに大舞台に躍り出ることを避け、小さく限定的な範囲で特性を最大限活かせる場面を見つけ、実験と検証を何度も繰り返して信用と経験を培っていくことが、今この技術に関与するものの責務と言えるでしょう。
主要参考資料:
West Virginia Lost Against Blockchain Issue; Why Voting Results Should be Created With Blockchain? Results are coming in for the California primary. Why counting all the ballots will take weeks West Virginia backtracks on using smartphone voting app in state primary How Blockchain Could Secure Elections |
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