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情報発信事業担当。
中西部アフリカにおける国際開発業界での経験を活かして、ビジネスの社会的価値向上に従事。
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ESGインテグレーションとは?投資を受けたい企業が知っておくべき動向と対策

井上保子

非財務情報、特に「環境(Environment)」、「社会(Social)」、「企業統治(Governance)」情報の開示や取り組みに積極的な企業へ優先的に投資を振り向けるESG投資。その中でも、投資先銘柄を選択する際にESG情報を組み入れる手法をESGインテグレーションと呼びます。

ESG投資で一般的に知られている7手法 のうち、ESGインテグレーションはどの程度普及しているのでしょうか?

日本におけるESG投資残高の半分以上がこのESGインテグレーションです。米国ではすでに約8割にのぼります。日本でも今後、ESGインテグレーションに適格でないと投資を受けられなくなってしまう未来が来るでしょう。そうなる前に、企業としてはどのような対策をすればよいのでしょうか。

この記事では、機関投資家が、ESGインテグレーションを実施する際に、どのように投資判断にESG情報を組み入れているのかを解明しながら、企業目線で、適格であるためにはどのようにすればいいのかを解説します。

目次

  1. ESGインテグレーションとは?
  2. ESGインテグレーションの投資残高
  3. 代表的な運用会社はESGインテグレーションを採用
  4. まとめ

1. ESGインテグレーションとは?

ESGインテグレーションの定義

ESGインテグレーションとは、ESG投資の手法の一つです。持続可能なファイナンスを促進する国際団体であるGSIA(Global Sustainable Investment Alliance)は、ESGインテグレーションを以下のように定義しています。

「財務分析だけでなく、ESG要素が投資マネージャーの意思決定プロセスに体系的に明示的に組み込まれている こと」

投資を受ける側の企業目線で言い換えると、ビジネスモデルや財務諸表面の改善に資する取り組みはもちろんのこと、①ESGの各分野について取り組み、②その内容を投資家から評価してもらえる形で公表すること、この2点の両方を満たす場合に、この種の投資に適格になる、と言えます。

ESG投資は、ESGインテグレーション以外にも種類があり、GSIAは7つに分類しています。それぞれについては詳しくは下記の記事で解説しています。

ESGインテグレーションでのESG情報の利用のされ方

ESGインテグレーションをESG投資の手法のとして採用する場合、大きく分けて二つの取り入れ方があります。アクティブ運用とパッシブ運用です。それぞれ具体的に見ていきましょう。

1.アクティブ運用

アクティブ運用とは

アクティブ運用とは、投資家が、能動的にある情報を用いて投資先銘柄を判断、選択することを指します。反対概念であるパッシブ運用は次節で説明しますが、自動的にある指数に似た動きをするように機械的に銘柄を選択します。

アクティブ運用においては、ESG投資の興隆以前から、企業価値の評価の一環として、非財務要因が考慮されてきました。特に長期的視点の投資先選択では、企業の成長を下支えする要素ともいえる、企業理念や風土、人材育成体制などが考慮に入れられてきました。

ESG投資の流行に伴ってこれまでファンドマネージャーの「勘」にゆだねられていた投資対象企業の非財務的な部 分を数値化したりすることで、より投資判断への影響が明確になったと言えるのかもしれません。

※参考資料 三菱UFJ信託銀行「ESGインテグレーションの現在」

企業ができるESG投資アクティブ運用対策

それでは、このアクティブ運用でESG情報を用いている投資家へ、企業がアピールするためには何が出来るでしょうか?

企業としては、ファンドマネージャーが判断材料にするであろう、統合報告書や日々のプレスリリースなどにESG分野でどのような取り組みを行っているかについて、定量的及び定性的に、分かりやすい形で公表することが肝心です。

更に、グリーンボンドやソーシャルボンドなどに適格な案件があれば、普通の社債ではなくそちらを発行することを検討する価値があります。評価や報告のコストはかかるものの、一般的な社債より条件の良い債券を発行できるだけでなく、ESGインテグレーションに積極的な投資家からの資金の流れをうまく引き付けることが出来ます。
グリーンボンド発行 を通してESG投資を引き付ける方法の詳細はこちらの記事をご覧ください。

非上場企業やベンチャー企業においても、投資家が投資先候補の精査や投資意思決定段階で、ESG情報を用いるため、対策は欠かせません。プライベート・エクイティ等からの投資を受ける際に、少なくとも、自社のESG面でのマテリアリティ(重要課題)を明確化し、取り組む意思があることをアピールできる状態にしておく必要があります。 取り組みを始める前であっても、ESG分析やそれを踏まえた経営戦略、実施計画を策定済みであることを、投資家に説明できる状態にしておくことができたらベストでしょう。

2.パッシブ運用

パッシブ運用とは

パッシブ運用とは、あるベンチマークに連動する運用成果を目指す運用スタイルのことをいいます。ファンドマネージャーの判断を交えずに構成するため、「パッシブ」と呼びます。代表的なものとしては、日経平均株価やTOPIXに連動するように調整したインデックスファンドやETFが挙げられます。
ESG情報に基づいて構成されるインデックスは、ESGスコアの高い銘柄を多く組み入れたり、ある一定以下のESG評価の企業は除外したりして構築されるインデックスです。格付機関各社が様々なESGインデックスを開発しています。
例えばGPIFが国内外の株式パッシブ運用を行っており、現時点で、7つのESGインデックスを採用しています。
格付機関各社の指数構成方法等については、こちらの記事で詳しく解説 しています。

この手法は、指数を構成する銘柄の選定時にESG評価を考慮にいれているため、投資の意思決定プロセスにESG情報を組み込むESGインテグレーションの一形態と言えます。

企業ができるESG投資パッシブ運用対策

企業としては、インデックスに組み入れられるために、ESG評価を改善するための企業努力が必要になります。しかし、ESG評価の付け方は、ESG格付機関によってマチマチで、ある機関からは最高ランクを受けているのに、別の機関では最低ランクということもあります。
これからも改良されていく、つまり評価項目が頻繁に見直される可能性が高く、格付機関に左右されてしまう評価項目に惑わされず、ESGのそれぞれの分野が目指す根底にある社会・環境課題の解決への貢献を、自社ビジネスの経営戦略に組み入れ、どんな尺度であってもESGに取り組んでいることが評価されるような体制をつくる必要があります

2. ESGインテグレーションの投資残高

それでは、そもそも、ESGインテグレーションとは、コストをかけて対策をしてまで、惹きつけるに値する投資なのでしょうか?ESG投資全体の市場規模は、こちらの記事で紹介していますが、ESGインテグレーションに絞って、世界と日本でどの程度の規模の資金が流入しているのか、規模を確認しておきましょう。

世界全体のESGインテグレーションの投資残高

世界全体

世界全体で、2018年時点のESGインテグレーションの投資残高は、17.5兆ドルです。ESG投資の全手法の合計が、31兆ドルなので、ESG投資に流入している資金の約57%がESGインテグレーションの手法を採用しています。
2016年時点との比較では、ESGインテグレーションの伸び率は69%で、ESG投資全体の増加率の34%を大きく上回っており、成長している投資手法と言えます。

地域別のESGインテグレーションの投資残高

地域別にみると、北米(米国、カナダ)と豪州では、既に7-9割がESGインテグレーションでESG投資に資金が流入しており、ESG投資の主要な手法として定着し始めているといえます。
ヨーロッパは、歴史的にネガティブスクリーニングが多く、2018年時点でまだ1/3ほどがESGインテグレーションの手法を利用している程度ですが、伸び率は高く、既に多くの資金が流入しているESG投資市場において、これから主流になってくる手法と言えます。
日本は、ESG投資市場全体が、他地域に比べて急激に拡大しており、その中でもESGインテグレーションが半分ほどを占めているのですが、今後着々と増加していく手法と言えるでしょう。

日本

日本における、2018年時点のESGインテグレーションの投資残高は、121兆円です。ESG投資の全手法の合計が、231兆円なので、ESG投資に流入している資金の約52%がESGインテグレーションの手法を採用しています。
2016年時点との比較では、ESGインテグレーションが740.8%増加しており、他地域と比べても群を抜いて増加しています。日本におけるESG投資全体の増加率は306.5%なので、ESG投資全体も成長している中で、ESGインテグレ―ションは、中でも最も成長している投資手法と言えます。
日本は、2016-2018の期間で、ESGインテグレーションだけでなく、ESG投資全体における資金流入が他地域に比べて急速に伸びました。この急増の背景には、そもそも2016年時点の投資残高が著しく低かったことと、GPIF(2015年)と企業年金連合会(2016年)のPRI(責任投資原則)署名、それに続いてGPIFのESGインデックスの採用、金融庁のスチュワードシップシップコード改訂、日本取引所グループの「SSEイニシアティブ(Sustainable Stock Exchanges Initiative)」への参加等、ESG投資加熱への環境が整備されたことがあげられます。

米国

米国における、2018年時点のESGインテグレーションの投資残高は、9,5兆ドルです。米国におけるESG投資の合計が、12兆ドルなので、ESG投資に流入している資金の約79%がESGインテグレーションの手法を採用しています。
2016年時点との比較では、ESGインテグレーションに流入した金額は63.5%増加しており、ESG投資全体の増加率の37.5%を大きく上回っています。米国においても、ESGインテグレーションは、成長している投資手法と言えます。

欧州

欧州における、2018年時点のESGインテグレーションの投資残高は、4.2兆ユーロです。ESG投資の全手法の合計が、12.3兆ユーロなので、ESG投資に流入している資金の約34%がESGインテグレーションの手法を採用しています。
2016年時点との比較では、ESGインテグレーションが60.2%増加しており、ESG投資全体の増加率の11.4%を大きく上回っていて、特に成長している投資手法と言えます。

欧州では、教会などが、酒やタバコなどの教義に反するような特定分野を投資対象から外すネガティブスクリーニングが100年以上前から実施 されてきた歴史があり、ネガティブスクリーニングが占める割合が多い特徴があります。2016年比で、ネガティブスクリーニングの手法は、6.8%マイナスとなっており、欧州でも、ESGインテグレーションがESG手法として主流になっていく経過途中であると言えます。

豪州・ニュージーランド

豪州における、2018年時点のESGインテグレーションの投資残高は、7675億オーストラリア・ドルです。ESG投資の全手法の合計が、1.3兆オーストラリア・ドルなので、ESG投資に流入している資金の約74%がESGインテグレーションの手法を採用しています。
2016年時点との比較では、ESGインテグレーションは17.4%増加しており、ESG投資全体の増加率の46.1%に比してあまり増加していません。すでに74%がESGインテグレーションの手法を使っているため、成長しているというよりは、定着しているといえるでしょう。

カナダ

カナダにおける、2018年時点のESGインテグレーションの投資残高は、1.9兆カナダ・ドルです。ESG投資の全手法の合計が、2.1兆カナダ・ドルなので、ESG投資に流入している資金の約89%がESGインテグレーションの手法を採用しています。
2016年時点との比較では、ESGインテグレーションは29.6%増加しており、ESG投資全体の増加率の41.6%に比べてしまうとあまり増加していません。すでに9割がESGインテグレーションの手法を使っているため、豪州と同様で、定着している手法といえるでしょう

3. 代表的な運用会社はESGインテグレーションを採用

純資産総額トップ5はほぼ全てESGインテグレーションを採用

上記で見た通り、日本におけるESG投資、特にESGインテグレーションを用いた投資は急激に増加しています。これらに取り組んでいるのは、社会課題解決に熱心な特殊な資産運用会社なのでしょうか?
日本における純資産総額が多い資産運用会社上位5社の動向を見てみましょう。

純資産総額上位5社のESGインテグレーションの取り組みの開示状況
順位会社名ESG投資の言及ESGインテグレーションの実施方法の詳細説明
1野村アセットマネジメント
2大和証券グループ△(※)
3日興
4三菱UFJ
5アセットマネジメント One
※大和証券もESGインテグレーションという言葉は使っていないものの、ESGインテグレーションと読み取れる説明はしています。

上位5社すべてESG投資に取り組んでいることは言及がありました。大和証券グループ以外は、ESGインテグレーションという言葉を用いて、具体的にどのようにESG情報を投資判断に利用しているか、程度の差はありますが、説明しています。

GPIF によるESGインテグレーション促進

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、株式・債券をほぼすべて委託運用しています。そのため、自身でESGインテグレーションを進めるというよりは、委託先の運用会社の選定・評価において、ESGインテグレーションを取り入れることで、間接的にESGインテグレーションを促進しています。
GPIFは、ESGインテグレーションを、「ESGを投資分析及び投資決定に明示的かつ体系的に組み込むこと」と定義しています。この定義に基づき2019年にESGインテグレーションの評価基準を作成し、委託先がどのようにESGインテグレーションに取り組んでいるかをより厳しく評価するようになりました。新規の委託先運用会社の選定にもこの新評価基準を適応しています。
GPIFは、ESGインテグレーションの一環として、グリーンボンド債等を積極的に取り入れたり、オルタナティブ資産の投資先決定時にもESG要素を取り入れています。
GPIFの株式運用の9割がパッシブ運用で、2020年末時点で、7つの ESGインデックスを用いた、パッシブ運用を実施しています

まとめ

いかがでしたでしょうか?
ESG投資の投資手法の中でもESGインテグレーションという、投資先企業の分析と投資決定判断にESG情報を加味する投資手法について詳しく見てきました。

予想よりもしっかりESG要素を取り入れているな、と思われた方も多いのではないでしょうか?北米や豪州ではすでにESGインテグレーションがESG投資の主要な手法になっています。日本でも、ESG投資の規模拡大に合わせて、ESGインテグレーションによる資金流入が大幅に増加していることが見て取れます。

投資判断に取り入れると言っても、そのESG評価基準については、いまだに統一されたものはなく、各格付機関が独自に評価を付している状況です。

このような中、企業はどうしたらこのESG投資の波を、うまく自社にひきつけられるでしょうか?記事内でも説明した通り、ESGへの取り組みをしっかりと自社の状況に当てはめて分析し、マテリアリティを設定し、経営戦略に組み込むこと、そして実施したらその結果をきちんと定量および定性的に、そして定期的に公表することが大切です。

アセットマネージャーという人間か、AIを含むコンピュータが、公表資料を分析して、投資判断に組み入れている現状では、何をどのように公表するか、公表のためには、そのデータをどのように普段から計測するか、その体制の構築が大切です。

今日ご紹介したような、ESG投資に積極的な資産運用会社と直接コミュニケーションをとって、どのように自社の取り組み自体や公表の仕方を改善するべきか相談するのもひとつの手段でしょう。また、既にESG投資の対象として選ばれている「ESG優良企業」の公表資料を分析してみるもの良いでしょう。
自社や競合など、特定の企業のESG評価を確認する手段は、こちらの記事で解説 しています。

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