地域金融にブロックチェーンが活用される先行プロセス

本記事では、弊社の最近の考えをご紹介します。 |
地方銀行に忍び寄るフィンテック
地方銀行とは、地域金融の中心的な担い手です。地域の経済活動を支えるインフラの役割を担っている、社会的に重要な主体です。しかし、金融とは規模の経済が働きやすい業界で、広い範囲でたくさんの顧客に金融サービスを提供する金融機関の方が、小規模な金融機関よりも、一般的に競争力が強いです。地方銀行は、地域を跨いで全国的に展開する銀行に比べて小規模になることが多く、民間同士の競争に任せておくと地域経済のために活動する地方銀行が失われてしまい、地域経済に悪影響が及ぶ可能性もあります。
そうした中で、日本においても海外においても、地域経済のために活動する銀行を行政の監督下に置き、保護を与えることが一般的です。
フィンテックが登場して、地方銀行はどのようになるのでしょうか?フィンテックを上手く取り込めれば競争力を持てますが、概して地方銀行はそれを実施するモチベーションやリソース、リーダーシップ等の観点からなかなか難しいでしょう。逆にテクノロジーを取り込めないと、フィンテックは物理的な地域の境界を超えてサービス提供できるので、地方銀行にとって脅威となるでしょう。
ブロックチェーン技術はどのように地域金融に取り込まれていくか
ブロックチェーン技術は今日の金融システムを変革する可能性がありますが、その技術が地域金融にメリットをもたらすに至るまでにはどのような変遷をたどる可能性があるでしょうか?その一つのモデルケースが、フィリピンにあります。
フィリピンのUnion Bank of Philippines(以下、「UnionBank」。フィリピンの、資産規模10位の銀行)は、Microsoftと、スイスのソフトウェア企業Temenosと提携して、まさにそうした取り組みを行っています。
UnionBankは、上記の3者間協定に基づき、フィリピンの地方銀行、マイクロファイナンス機関(小口金融サービスを提供する金融機関)および協同組合と協力して、より多くのフィリピン人の手に、ブロックチェーン技術を用いるものを含めた、デジタル金融サービスを提供できるように動いています。具体的には子会社のUBXを立ち上げ、同社を通じて、ブロックチェーン技術を利用するプラットフォームなどのツールを構築し、地方銀行の市場を拡大し、国内の主要銀行ネットワークに接続できるようにしようとしています。
複数の主体で利用することで価値がでるブロックチェーン技術を、地域経済を支える地方銀行が取り込む際に、どのようなプロセスをたどることでそれを実現できるか。これを考える際に、このUnionBankの事例は、有意な示唆を与えてくれるのではないかと考えます。
主要参考資料:
Unionbank Drives Financial Inclusion In PH, Brings Rural Bank Partners To Cloud With Microsoft Digitizing Financial Services in PH with Blockchain UnionBank gears up for digitization to take on ‘fintechs’ 金融コングロマリットと範囲の経済(金融庁HP) |
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