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企業がSDGsインパクトを創出し、企業価値につなげる方法

トークンエクスプレス編集部

SDGsが企業の経営戦略に盛り込まれることが多くなってきています。

SDGsにおいては「社会へインパクト(影響)」という言葉がよく登場しますが、インパクトとは何でしょうか?
この問いに対する正解を出せる人は少ないかもしれません。

本記事ではSDGsに取り組む際に注目される社会へのインパクトについて、そしてインパクトを出そうとする中で企業にもたらされる便益について解説していきたいと思います。

目次

  1. 「インパクト」の定義
  2. 企業がインパクト創出を期待される理由
  3. SDGsを用いたインパクトの策定
  4. 企業の便益につながるインパクト
  5. まとめ

1. 「インパクト」の定義

開発業界におけるインパクト

インパクト(影響)という言葉は、アジアやアフリカなど、発展途上国における開発支援の世界ではこれまでも頻繁に使用されてきました。例えば開発業界における事業の良し悪しは、投資の規模との比較で、目指す世界や社会を創出できるだけのインパクトがあるかで判断されます。基本的にインパクトは、ある事業単独で創出できるものではありません。複数の関係者による多様な活動が相乗効果を生んで創出されるものとして捉えられています。

例えばこんなケースがあります。ある人が難民キャンプで活動をしています。その人は難民キャンプ内に住む女性が生計を得るための支援として、女性達にハチミツや香水の生産方法とそれを販売する方法などを教えていました。この活動は有意義な活動といえ、この活動の存在に感謝する難民キャンプの女性たちは多くいらっしゃいます。

一方でこの活動のもつインパクトという観点では、更に工夫ができることがあります。例えば、難民キャンプ在住の女性が生計を得ようとする際に等しくぶつかる障壁があったり、社会環境面での課題があれば、難民キャンプの女性たち一人ひとりへの支援と合わせてそれに取り組むことで、活動がもたらすインパクトの度合いは高まります。例えば、身に着けた技術を活かせる就職先とのマッチング事業や、難民が就労できるような法的整備に向けたアプローチなどの上流事業も必要です。

このように、開発業界でインパクトが話されるとき、実施している事業が、目指す世界、社会を創出できるだけの影響があるのかという視点になります。

企業活動におけるインパクト

では、企業活動によるインパクトをどのように捉えればいいでしょうか。
これまで企業は財務的指標でのみ評価される時代が長く続いていました。しかしながら、昨今のSDGsやESG投資の潮流において、企業は自社、そして社会に対するサステナビリティに取り組む必要性が高まっています。企業が自社の活動により持続可能性への貢献といったインパクトが求められる時代になっています。

企業の社会的インパクトの例で分かりやすいものでは、再生可能エネルギーがあげられます。企業は、自社の技術革新により従来の火力発電から風力発電等のCO2排出量の大幅な削減を実現し、最終的には気候変動にインパクトを与えます。近年増加傾向にある気象災害ですが、企業の技術革新はその傾向に歯止めをかけることができます。

このように企業活動におけるインパクトとは、自社の活動、技術革新が今後の社会、世界をいかに創出していけるかということになります

2. 企業がインパクト創出を期待される理由

国連が企業をSDGs達成に不可欠なパートナーとして位置づけ

2015年に国連でSDGsが採択され、経済界も参加する形で「SDGs Compass」において企業のSDGsに取り組むための行動指針を示しました。企業がSDGsに取り組む重要性とそのための5ステップについて説明しています。SDGsは国連がけん引したものですが、主体となる個人や企業がどのように今後行動するかによって、その目標が達成できるか左右されます。

とりわけ、企業活動に期待されるところが大きいです。

SDGsは、気候、教育、環境等企業活動に関連のある分野を取り扱い、課題に対する解決方法や技術を企業が開発することが期待されています。実際に国連事務総長(当時)の潘基文氏は「企業は、SDGsを達成する上で、重要なパートナー」であるとし、企業によるSDGsへの参加を強く期待しています。この点、日本政府も企業へのSDGsの取り組みを期待しています。例えば、日本でも内閣府において「地方創生SDGs・ESG金融調査・研究会」が立ち上げられ、地方創生に企業を巻き込んだSDGsの活用を進めています。

では、なぜ国連や政府は企業にSDGsへの取組みにこれほど期待するのでしょうか?
答えはシンプルです。企業と個人がSDGsに取り組むことにより生じるインパクトの大きさの違いによります。そもそも企業は個人の集合体であり、個人が力を合わせて事業に取り組み、個人一人で生み出すものより大きな成果を生み出すことができます。分かりやすいところで、道路などのインフラが良い例です。個人がバラバラで何かに取り組むよりも、組織だって取り組む方がインパクトは大きいです。

投資家が企業による社会的価値創出へ期待

企業活動の目的として、興味深い書簡があります。2018年1月に世界最大手の資産運用会社であるBlackRockのCEOがS&P上場500社に対して「財務業績だけでなく、明確な社会的目的の下、社会的な価値を生み出してほしい」と提起したものです。持続可能な社会の実現が更にクローズアップされる潮流において、企業が社会的インパクトを生み出すことに対する期待はさらに大きくなっています。

とはいえ、社会的インパクトを生み出すとしても、一体何から始めるのがいいのでしょうか。社会的インパクトと言われても、その射程が広すぎて、自社が創出したいインパクトを特定することは案外難しいのではないでしょうか

3. SDGsを用いたインパクトの策定

そもそも企業は、自社が創出したいインパクトをどのように策定できるのでしょうか?この点は企業の既存の技術、今後開発したい技術に関連させつつ検討できるかもしれません。

未来予想図としてのSDGs

SDGsは世界のあるべき姿を提案しています。SDGsが示す理想の未来、もしくはあるべき未来を考え、そこに至る過程で、自社がどのような役割を果たすことができるか、その視点からバックキャスト(逆算)により自社が与え有るインパクトを考えることができます。

創出したいインパクトの策定・運用

マテリアリティの設定

自社が創出したインパクトを検討するにあたり、優先順位をつけることが大切です。自社の企業価値の向上あるいは棄損する重要な課題をマテリアリティと呼びます。マテリアリティ分析では、自社に与える影響の度合いとステークホルダーにとっての重要度を勘案して、それぞれの課題に優先順位をつけ、取り組むか取り組まないかを決定します。マテリアリティの定義や特定方法についてはコチラの記事をご参照ください。

ロジックモデルの活用

自社のマテリアリティを分析したら、取り組むべきそれぞれの課題について、自社が創出するインパクトを決めましょう。自社が現在開発・提供できるサービス等がどのようなインパクト創出に繋がるのかを整理することが大切です。この整理にあたっては、ロジックモデルの活用が有効かもしれません。ロジックモデルの詳細な説明は社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブに譲りたいと思います。

この時、ロジックモデルは、社会的なインパクトのみをスコープにしてはいけません。自社が実施しているすべての活動が、ロジックモデル内に位置づけられるように設計し、財務的価値と社会的価値の双方が統合された経営戦略として位置づける必要があります。

実行と見直し

創出したいインパクトを実現するためにロジックモデルに応じて期限付きの目標を設定、予実管理をする、そして達成までの工程を進めます。こうした目標は都度見直されることもあります。この時、「手段の目的化」のように目的を達成することが目的になり、そもそもの自社のミッション、創出したいインパクトが形骸化しないように留意する必要があります。

創出したいインパクト策定時の留意点

負のインパクトの考慮

 企業が創出するインパクトには、負を誘発するものもあります。実際に「SDGs Washingの5類型」の一つとして、「特定の社会課題に対する取組みにより、別の社会課題を引き起こす/悪化させている」といものがあります。例えば、環境には大きなプラスの影響をもたらす事業が、人権侵害を引き起こす場合などが考えられます。
企業活動がもたらす負のインパクトには目が行きづらいかもしれません。そのため、NGO等からの指摘や、何らかの損失が発生してから気付く場合がほとんどではないでしょうか?こうした事態を回避するためには、自社のインパクトがマイナスの影響を引き起こしかねない課題について、顧客のみならず、顧客の周辺にいる関係者とのコミュニケーションの機会を持ち、常に情報を得られる体制づくりが必要です。

※参考資料
一般財団法人企業活力研究所「社会課題(SDGs 等)解決に向けた取り組みと国際機関・政府・産業界の連携のあり方に関する調査研究報告書」(平成29年3月)

SDGsを活用して網羅的に洗い出し

 また、自社が与えるインパクトが射程とする分野の見落としがないようにSDGsを活用することもできます。すでに述べたように、SDGsは全世界的視点で社会全体が目指すものを示しています。良くも悪くも、自分のビジネスの影響の範囲を知るための手本帖を提供してくれるため、見落としがないかを確認する機会をSDGsは与えてくれます

4. 企業の便益につながるインパクト

では、企業が創出したいインパクトを策定し、経営戦略に落とし込んだ場合には、具体的にどのようなメリットが企業側にあるでしょうか?
 これは、創出したいインパクトに基づき、パートナーの開拓、新領域の進出、リスク管理等、様々な項目について経営戦略を見直すことで、社会的インパクトに留まらず、ビジネスの拡大につながる新たな発見があります。

パートナーの開拓

 例えば、自社の創出したいインパクトを見出すことにより、新たなパートナーの開拓が必要と気づく場合があります。そして、その新しいパートナーとのコラボレーションを検討する中で、顧客に対する新たな価値提案が見つかったり、既存商品の生産・販売に要していたコスト低減が可能となり、最終的には自社の収益を押し上げる一助になるかもしれません。

新領域への進出・価値提案

 創出したいインパクトを実現するために、新領域への進出が必要という結論につながる可能性があります。営利企業が取り組む以上、その進出に当たってビジネスとして成立する形を知恵を絞って考えることになりますが、うまくいけば自社の活動範囲の拡大に繋がります。それに伴って、顧客にも新たな価値提案することで、別の収入源を構築できるでしょう。

リスク管理

上述の通り、企業が知らず知らずのうちに出している負のインパクトについて網羅的に検証し、対策を講じることで、ビジネス上の中長期的なリスク管理にもつながります

5. まとめ

いかがでしたか?企業が創出しうるインパクトをSDGsの観点から見てきました。なぜ企業が社会的価値の創出を求められているのか、どのように創出しうるインパクトを特定するのか、特定したインパクトの経営戦略への統合方法、企業にとって社会的インパクトを創出するメリットを見てきました。
自社に応用するヒントは得られましたか?
一見面倒な工程かもしれませんが、自社が創出したいインパクトを策定し、経営に取り込むことで、新たなビジネスチャンスに繋がりますので、挑戦なさることを強くお勧めします。

企業価値につながるインパクトを創出するために

事業と社会的インパクトとの関係を見える化し、具体的な打ち手をご提案できる、トークンエクスプレス株式会社にご相談下さい。

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