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SDGsに取り組む中小企業向け、金融による後押し

トークンエクスプレス編集部

最近よく耳にするようになったSDGs。このSDGsに取り組んでいる中小企業のみを対象とした金融商品があるのをご存知でしょうか?SDGsの流れは金融業界も大きく巻き込んでおり、SDGsに取り組む企業への資金の流れが加速しています。こうした流れは、社会課題解決はもちろんのこと、社会課題解決に貢献する中小企業の資金調達や資金繰りを改善していくのではないかと考えています。

今回はそうした金融商品をご紹介しつつ、中小企業がSDGsに取り組む際に留意すべき点についてご紹介します。

目次

  1. 持続可能な開発目標(SDGs)と経営の意外な関係
  2. 中小企業の資金調達の実情と原因
  3. SDGsに取り組む企業への金融支援のトレンドと具体的事例
  4. SDGsに取り組む際に注意すべきこと
  5. 中小企業がSDGsに取組みやすい理由
  6. まとめ

1. 持続可能な開発目標(SDGs)と経営の意外な関係

SDGsの定義

「持続可能な開発目標」はSustainable Development Goalsの頭文字を取った、SDGsとして浸透しています。これは2015年に国連サミットで採択された、持続可能でよりよい世界を目指す2030年までの国際的な目標のことをいいます。(外務省「SDGsとは?JAPAN SDGs Action Platform」
このSDGsは中小企業にとっても他人事ではありません。SDGsにはあらゆる分野の社会課題と長期的なニーズが網羅されており、SDGsは今後の企業経営の道標、持続可能な企業経営に資するものと言われています。

SDGsが軽減する経営上の苦労とは?

SDGsが企業経営に役に立つとは言え、そもそも経営で一番大変なことはなんでしょうか?商品開発?顧客管理?それとも、新規顧客の獲得でしょうか?

この点、業種にもよるかもしれませんが、どの経営者さんも資金調達、特に金融機関からの融資でご苦労されたご経験があると思います。「世紀末より月末が怖いんです!」そういう声を耳にすることがあるくらいです。
そこで今回は、中小企業がいかにしてSDGsに取り組みつつ、資金調達の苦労を軽減することができるかをお伝えします

2. 中小企業の資金調達が難しい理由

中小企業の資金調達の実情

日本の中小企業は、金融環境の状況に関わらず、大企業に比べて資金繰りが厳しいと言われています。下図「企業金融関連判断(全企業)の推移」をご覧いただくと、中小企業は、1976年以降ほぼ全期間にわたって大企業よりも「資金繰り」が「苦しい」と感じていることがわかります。

※参考資料 日本銀行「2020年12月短観」

日本の企業は、金融機関からの借入によって資金調達する場合が多く、間接金融が大きな役割を担っています。一方で、中小企業は大企業に比べ、資産に占める借入金の割合が高く、金融機関の貸出態度の影響を受けやすい資産構造となっているにも関わらず、間接金融の構造上、中小企業にとって金融機関からの借入に難しさがあるという現実があります。そのため、前述のように「資金繰り判断」において中小企業は大企業よりも苦しさを感じているのです。

間接金融の構造上、中小企業にとって借入が難しい原因として、以下の3つが挙げられます。

  • 中小企業への融資にかかる金融機関側の管理コスト
  • 中小企業の融資に必要な情報収集の困難さ
  • 担保の不足や保証の問題

上記3つについて、以下でご説明します。

中小企業の資金調達が難しい理由

①中小企業への融資にかかる管理コストの相対的高さ

銀行融資は一般的に、融資金額が大きくなるほど、1件あたりにかかる管理コストの割合は低下します。つまり、10億円を融資するための審査費用やモニタリングコストは1,000万円の融資と大きく変わらないので、貸し手である金融機関は1件あたりの融資額が大きい大企業を優先しがちになるのです。

②中小企業の情報収集の難しさ

上場している大企業の場合、財務諸表等の企業情報を広く開示しており、会計監査が会社法上義務付けられていることから、金融機関側が入手できる情報と企業側がもつ情報の差が比較的少ないと言えます。しかし、中小企業の場合は企業情報があまり開示されておらず、社内でも情報インフラが整備されていないこともあり、金融機関にとってその中小企業のことを理解することが難しくなるため、リスクの把握が難しく、融資を渋られてしまう場合があります。

③担保の不足や保証の問題

金融機関はリスクが考えられる融資の場合、物的、人的担保提供を求めることがあります。しかし、担保となる財産を企業側が有していない場合や、過度に企業の代表者等が個人保証を負うことは適切ではないこともあり、担保徴求が中小企業に対する円滑な資金調達を阻害してしまっているのです。

上記3つのような課題をクリアできる、優良な中小企業でなければ実際には融資を受けることが難しく、たとえ融資を受けることができたとしても、金利が高いなどの融資条件が厳しくなる場合があります。

※参考資料
経済産業委員会調査室「中小企業における資金調達の課題」

3. SDGsに取り組む企業への金融支援のトレンドと具体的事例

SDGsに取り組む企業への金融支援

中小企業は構造的に資金調達が難しい場合が多いのですが、最近ではその構造に変化が出てきています。SDGsに取り組む中小企業への金融支援の動きが出てきているのです。

その背景には、2015年に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が国連責任投資原則(PRI)に署名したことがあります。それを契機に金融業界がSDGsへの取組みを活発化させ、SDGsに取り組む企業を対象とした金融商品を取り扱うようになりました。

さらに、内閣府主導の「地方創生に向けたSDGs金融調査・研究会」では、地方創生の文脈で持続可能なまちづくりや地域活性化、地方創生をSDGsの理念にそって取り組むことが目指されており、その中でSDGsを原動力とした地方創生に取り組む企業・事業の拡大するための金融支援を提言しています。

こうした流れはますます加速すると想定されており、地域に根差したSDGsに取り組む中小企業にとっては、金融機関から資金調達できる機会が増えつつあると言えます。

具体的事例

では、SDGsに取り組む企業への金融商品はどのようなものがあるのでしょうか?SDGsを冠した金融商品や、間接的にSDGsに貢献するような、環境などの非財務情報に基づいて金利優遇する商品の事例をご紹介します。それでは早速、見ていきましょう。

千葉銀行

「環境格付融資制度(ちばぎんエコ・ステップ)」

千葉銀行の環境格付を受けた法人又は個人で、「Step1」以上を取得された方を対象に、環境格付に応じて融資利率から年利0.10%~0.50%が割り引かれるものです。

「環境配慮型企業サポートローン」

エコアクション21の認証を受けた方等を対象としたローン商品で、所定の金利から0.5%が割り引かれるものです。エコアクション21とは、環境省が策定した環境経営の認証制度であり、事業活動と環境との関わりに気付き、目標を持ち、行動する「企業価値を高める」環境経営を推進しているものです。

滋賀銀行

「ニュービジネスサポート資金(SDGsプラン)」

SDGsの趣旨に賛同し、「持続可能な社会づくり」に貢献可能な、社会的課題の解決につながる事業を対象とするもので、所定金利より最大0.3%の引き下げがあります。
このプランの融資第1号の事業者の取組みは、独自の水質浄化技術により陸上養殖における水の循環を可能とし、排水が不要となる効果や地域活性化への効果、SDGs達成への貢献が期待されています。
滋賀銀行は、2017年に地方銀行で初めて「しがぎんSDGs宣言」を表明しており、SDGsに早くから積極的に取り組まれています。

鳥取銀行

「とりぎん地方創生応援ローン」

こちらは地方創生に資する事業を対象としており、下限金利を0.7%としています。対象となる事業は、①雇用支援、人材育成事業、➁企業の地方拠点化事業、➂農商工連携事業、④観光ビジネスなどです。
こちらの商品のほか、補助金や助成金の行政情報の共有などのサービスも無料で提供されています。

福岡銀行

「FFGエコローン」

福岡銀行オリジナルの「環境格付」により、環境に配慮した経営を行う地域事業者の枠組みを評価し、最大で0.3%の金利引き下げを行う融資商品です。国の環境政策に限らず、地元九州での環境保全を意識する活動など地域特性を反映したオリジナル性のお高い「環境格付モデル」が使用されています。
 
金融商品のほか、マッチング支援等の非金融サービスを提供している金融機関もあります。例えば、滋賀銀行ではSDGsに特化した滋賀銀行主催の展示商談会を実施したり、鳥取銀行では、ネットワークを生かした事業パートナーの紹介サービスをしています。

 このように、SDGsに取り組む企業に対する支援の流れが加速し、資金調達の間口が広がりつつあると言えます。そのため、資金調達を検討している場合は、一度お近くの地銀のSDGs事業への取組みを調べてみてはいかがでしょうか。 

4. SDGsに取り組む際に注意すべきこと

SDGsに取り組む際に注意すべきこと

SDGsに取り組む企業への財務的・非財務的なサポートが広がっています。しかしながら、こうした支援を受けるために、企業側としてSDGsに取り組む際に注意すべきことはないでしょうか?何に注意する必要があると思いますか?

ひとつは、「SDGsウォッシュ」に陥らないことです。これは、表面的に自社の既存の取組みにSDGs目標を関連付ける一方、実際には真剣にSDGsに取り組んでいないことを言います。SDGsの17あるカラフルな絵文字を、外見上関係ありそうな事業内容に紐づけるだけで済ませるのは、SDGsの取組みとは言えません。例えば、根拠がないまま実態以上に環境に配慮しているように見せかける誇張表現や、不都合な真実を伝えず、良い情報のみを伝達しているようなときにSDGsウォッシュと言われる場合があります。

SDGsウォッシュと認定された場合の影響

仮に自社がSDGsウォッシュと評価された場合、どのような影響が想定されるでしょうか?まず当然ながら、企業や商品・サービスへの信頼感が損なわれ、企業活動全体がダメージを受けることがあります。そして、投資先としての企業の魅力を棄損する結果をもたらします。つまり、資金調達が困難となり、財務体質によっては企業経営の存続が危うくなりかねません。

そもそも、SDGsに取り組んでいる企業に対して資金調達の間口が広がりつつあるといっても、資金調達や企業経営を容易にするためにSDGsに取り組むというのは、SDGsの本質からしても本末転倒です。

また、実際に真にSDGsに取り組んでいる企業であっても、SDGsウォッシュにガイドラインがあるわけではなく社会の状況によってSDGsウォッシュとしてとらえられ、ソーシャルメディアなどで一気に風評が広まる可能性もあります。

SDGsウォッシュと言われないために

「SDGsウォッシュ」認定されないためには、まず誇張表現にならないよう企業規模、業界特性、地域に合わせた目標設定をする必要があります。次に、事業のポジティブ面だけではなく企業全体の事業が社会に及ぼすマイナス面についても、改善の方針とともに開示する必要があります。

このように一口にSDGsに取り組むといっても、やり方を間違えると期待とは逆の結果になる可能性があります。そのため、そうしたリスクを回避するためには、自社がどういう世界・社会を創造したいか、そのために自社は何ができるかというバックキャスト(逆算)の発想の仕方でSDGsへの取り組みを検討する必要があります。

具体的には、SDGsの17目標ごとに更に細かく設定されている指標であるターゲット(169個)をヒントにしつつ、自社事業を見直す(再定義)することが重要です。

※参考資料
ニッセイ基礎研究所「SDGsウォッシュと言われないために~「SDGsの実装化」に向かう日本企業のグッドプラクティス」

5. 中小企業がSDGsに取組みやすい理由

このようにSDGsに取り組むために事業戦略等の見直しが必要となる場合があります。そのため、「SDGsに取り組みたいけど、どこから手をつけて良いか分からない…」と悩んでしまう中小企業の経営者さんもいるかもしれませんね。しかし、SDGsに取り組むには中小企業ならではのメリットや可能性があります。

まず意思決定の速さが挙げられます。中小企業の強みとして、トップダウンで行動に移す速さや、経営者と社員との距離が近いことで情報共有が早いことが挙げられます。

次に、中小企業は、大企業と比べて地域に根差した事業活動を積み重ねてきた経験が多く、地域課題との関係が強いといえます。そのため、ビジネスとして地域が抱える課題の解決策を提案し、SDGs達成に貢献できる戦略が立てやすいと考えられます。そして、中小企業には大企業に比べて創意工夫や柔軟性があります。

このような中小企業のメリットを活かし、中小企業のSDGsの取組みにおいては、大企業が簡単には真似できないようなことが可能なのです。

そして先にも述べたように、SDGsへ取り組む中小企業に対する金融商品などの財務面・非財務面での支援が広がりつつあります。その動きが中小企業経営の資金繰りの困難を軽減し、そしてSDGsにおける社会課題の解決も加速する。中小企業のSDGsへの取組みと金融業界のSDGsへの取組みと相まって、そのような循環が出来つつあると言えます

まとめ

いかがでしたでしょうか?
昨今の金融業界のSDGsへの取組みの流れを受けて、SDGsに取り組む中小企業への資金提供の機会が増えつつあり、単に「儲かるだけ」の事業以外への資金の流れが加速しつつあります。本記事で取り上げた側面以外にも、そうした企業への後押しについては、行政からの補助金や入札時の加点等が広く検討されているところでもあります。

確かに、SDGsに真に取り組むには、新たな経営方針の策定や事業の再定義など対応すべき事項は多くあります。しかし、2030年に向けてSDGsに真剣に取り組む企業はどんどん増えていくでしょう。自社の特徴を十分に発揮しながら、SDGsウォッシュではない真のSDGs事業に取り組むことで、新しい資金調達手段へのアクセスを掴んでみてはいかがでしょうか。

真にSDGs事業に取り組み、企業価値を拡大するために

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