あるマレーシアのメディア上に、シャリアに準拠した投資とESG投資に多くの類似性があり、持続可能な社会のための投資として共通の目的を有しているという意見の記事を見つけました。
シャリアとは、イスラム教における規範や法を意味するアラビア語であり、シャリアに準拠した投資とは、イスラム教的に正しい投資という意味になります。
Responsible Investing: Combining ESG and shariah principles in a fund
記者:Tan Zhai Yun @The Edge Malaysia
掲載日:9月17日
このシャリア準拠投資とESG投資との間の類似性というのは興味深い論点です。
イスラム教の戒律というのは、イスラム教の聖典であるコーランと預言者ムハンマドの残した言葉等によって規定されていますが、その解釈は多様です。そもそもイスラム教における金融の扱いも、権威あるイスラム法学者間でも様々です。
そのような中で何がシャリア準拠なのか画一的に判断したり、明確な線引きを行うことは困難であり、その評価先が企業等の組織となると、なおさらシャリア準拠投資は曖昧さを包含する存在ということになります。
ESGもそういう意味では似ていて、何が環境配慮として正しい姿勢か、何が社会的配慮といえるのか、投資家や格付会社の「価値観」に大きく左右される概念です。
ただ、私としては、両者には根本的に異なる側面があると思います。
それは、ESG投資は中長期でみた投資リターンの優位性を目的として投資先が選定されるものである一方、シャリア投資は純粋に信条や倫理観に基づいて投資先が選定されるものであるという、出発点の違いです。結果として投資先が近い分布になったとしても、そもそもの出発点の違いの認識を誤ると、投資家はその投資を通じて得たいものを見込みどおり得られなくなるリスクを抱えることになります。
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