ピンチをチャンスに!日本企業がSDGsに取り組むメリット3選

2020年7月、三菱UFJフィナンシャル・グループに続いて、みずほフィナンシャルグループと三井住友フィナンシャルグループが石炭火力発電所の新設事業への融資停止を発表しました 。気候変動への早急な対策が叫ばれる中で、この決断は関係者の予想よりも踏み込んだものでした。

なぜ大手銀行は融資停止に踏み切ったのでしょうか?それは日本のビジネスシーンでもよく目にするようになったSDGsSustainable Development Goals持続可能な開発目標の観点の広がり が影響している と考えられます。なぜ企業がSDGsに取り組むようになってきたのでしょうか?そのメリットは何でしょうか?

この記事で、日本企業がSDGsに取り組む3つのメリットを一緒に見ていきましょう!

目次

  1. SDGsに取り組まないリスク、取り組むチャンス
  2. ミレニアル世代の優秀な人材確保
  3. パフォーマンスを高めるSDGsへの取り組み
  4. まとめ

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1. SDGsに取り組まないリスク、取り組むチャンス

SDGsとは?

SDGsとは2015年に国連によって定められた、持続可能な社会の実現のための17の目標です。その特徴は、貧困削減や飢餓の撲滅など主に低所得国に関係する項目の他に、ジェンダー平等や気候変動など先進国も含めた世界全体が取り組むべき項目が取り入れられていることです。

※出典:SDGsポスター(国連広報センター)

「持続可能な社会の実現への貢献」=当たり前、という潮流

皆さんもCMや雑誌など、社会のいたるところでSDGsを目にするようになったのではないでしょうか?SDGsは2030年までの目標を定めたものですが、その後も新たな目標が設定され、世界は引き続き気候変動などの社会問題に取り組んでいくことになるでしょう。持続可能な社会の実現 を重視する兆候は一過性のものではなく、今後ますます強まっていくものと言えます。

では、日本の一般的な企業はどうするべきでしょうか?持続可能な社会への貢献や社会問題解決を重視しつつある時代の変化を先読みし、それに合わせたビジネスを展開する必要があります。SDGsへの取り組みは生き残り戦略の1つとも言えるのです。SDGsの本質をとらえ、長期に渡ってコミットすれば、それが会社の強みとなり、安定的な経営優秀な人材の確保、そして業績アップにもつながります。

世界全体がSDGsに取り組んでいる中で、この世界的に大きなトレンドを無視し、それに逆行するようなビジネスを行うことは、大きな経営リスクとなり得ます。企業の評判が下がったり、融資を受けられなくなったり、消費者が商品を購入してくれなくなったりする可能性があります。

さらには、SDGsの理念に沿うような法的規制が設けられた場合に、今まで行えていた原料調達や海外工場での生産活動を行えなくなるなどのリスクもあります。
このサプライチェーン管理面での経営リスク低減方法はこちら記事をご参照ください。

サプライチェーン管理を経営に活かす – SDGsを入口に

児童労働や劣悪な工場環境でイメージ悪化

例えば、海外では20年以上前にナイキ児童労働をさせていたとして大きな批判を受けました。サッカー関係の衣類やアクセサリーを生産するインドネシアやパキスタン、ベトナム、中国の工場で、必ずしも現地の法律に違反していなかったにも関わらず、子どもを雇用していたことが批判の的となりました 。

その後も服飾、特にファスト・ファッション業界のサプライチェーンは悪い意味で注目され続け、ZARAH&Mなどの大手ファスト・ファッションメーカーは発展途上国の下請生産工場における待遇の悪さなどを批判され続けています

今では、特にヨーロッパでは、消費者も商品を選ぶ際の基準として、エシカル(倫理的)かどうかが視野に入れるようになっています。原料調達や生産がエシカルに行われているかどうか、それを開示しているかどうかが、消費者が商品を選ぶ際の1つの目安になっています。一度アンエシカル(倫理的でない)イメージがついてしまったファスト・ファッション業界は対策を講じていますが、生産スピードと価格競争のなかで、国際的に広がるサプライチェーンの末端までエシカルであることを徹底することは、容易なことではありません 。

ピンチをチャンスに!持続可能なパーム油の利用を目指す「ヤシノミ洗剤」

ピンチをチャンスに変えた企業もあります。日本の衛生用品のメーカーであるサラヤはかつて、ロングセラー商品の「ヤシノミ洗剤」パーム油が含まれていたことから、「環境に優しい」という同社の打ち出すイメージとは逆に、批判を受けたことがあります。東南アジアの熱帯雨林の破壊とそこに住む野生の象への悪影響の一端を担っているという批判です。

パーム油とは、アブラヤシの実から採れる油で、主に菓子類やインスタント食品など日常のあらゆる生活用品に使われています。しかし、原料名には「植物油脂」などと表示されており、パーム油が商品に含まれていること、それが東南アジアの生態系破壊に繋がっていることはあまり知られていません。

批判を受け、サラヤはパーム油製造に伴う無秩序な森林伐採の悪影響を食い止める活動に乗り出すこととしました。その結果サラヤは、業績を右肩上がりに伸ばすほどに、環境保全持続可能な社会づくりに貢献する企業としてのブランドを取り戻すことに成功しました。

経済を活発にし、雇用を生み出すSDGs

企業がビジネスを通じてSDGs に取り組むことは、企業の存続基盤を強固なものにするとともに、いまだ開拓されていない巨大な市場を獲得するためのチャンスでもあります。新技術や新たなビジネスモデルを生み出す、大きな変革の波に一番初めに乗った企業が将来、市場の成長牽引することにつながります。

国連はSDGsを達成した場合、2030年までに世界経済に12兆米ドル(1ドル105円換算で、約1,260兆円 )の価値をもたらし、38億もの雇用を生み出すと予想しています 。具体的には、SDGs達成への取り組みを通じて、世界の低所得層の生活水準が底上げされたり、新たなビジネスモデルの創出が見込まれます

2. ミレニアル世代の優秀な人材確保

2つ目に注目するべきなのは、若い世代の価値観の変化です。今後、いわゆる「ミレニアル世代 」が消費者・従業員として、投資家として、起業家として、企業をとり巻く ステークホルダーの中心となってきます。ミレニアル世代とは1980年代から2000年代初頭までに生まれた世代を 指します。

若者の環境保全意識の高まり

若者の環境意識を象徴する存在として、スウェーデンの環境活動家であるグレタ・トゥーンベリ氏がいます。彼女は15歳だった2018年に、気候変動への対策を取らない大人への抗議のために、学校を休んでスウェーデン議会の前に座り込む「学校ストライキ」を開始しました。その後、運動は世界中に広がり、トゥーンベリ氏が登壇した2019年の国連気候行動サミットに合わせて開かれた「グローバル気候マーチ」には、世界各地で何百万人もの人々が参加しました。

最近では、「プラネット・アース」などの環境ドキュメンタリーシリーズを手掛ける94歳のイギリスのキャスター、デイビッド・アテンブローグ(David Attenborough)氏のインスタグラム史上最速開設後4時間44分100万フォロワーを超えた ことが話題になりました。これは、インスタグラムを使いこなす「デジタル・ネイティブ」のミレニアル世代が、いかに環境生態系保全関心が高いかを示していると言えます。

意識の変化は企業の採用活動や働き方にも!

ミレニアル世代の価値観の変化は企業の活動にも大きく影響を及ぼしています。例えば、経済産業省の資料によると、ミレニアル世代は仕事上の利益のみならず、働く目的をよく考えており、社会課題の解決企業選びにおいて重要な価値の1つになっています 。

さらに経済産業省によれば、ミレニアル世代の人たちは会社のコミットメントバリューが以前からどうだったということを詳しく見ているようです。そのため、儲かるという証拠がそろってからSDGsに取り組むのでは手遅れであり、「社会貢献の価値をアピールできない企業は投資家の資金も引き寄せられず、ミレニアル世代優秀人材採用できないという時代が来ているのではないか」と結論づけられています。

実際に、デロイトトーマツが2018年にミレニアル世代を対象に行った調査によると、「事業の成功は財務上のパフォーマンス以外でも測定されるべきだ」と考える人が83%を占めました。「企業が達成すべきこと」に関する質問では、ミレニアル世代は、「地域社会の改善」「環境の改善と保護」なども重要と考えている一方、雇用主が「収益の創出」や「効率性の追求」などを優先事項と考えていると見ており、大きなギャップが見てとれます。

※デロイトトーマツ「2018年デロイトミレニアル年次調査」より抜粋

社会貢献も重視する価値観へ

世の中の企業に向ける目線の変化を示す例として、コモンズ投信の「コモンズ30ファンド」と「コモンズSEEDCap」を紹介します 。2008年のリーマンショック直後に誕生したコモンズ投信は、「こどもたちの時代をより良い社会にしていく持続可能な社会を創る」という理念のもと、30年の長期投資の目線をもつ「コモンズ30ファンド」を提供しています。

「コモンズSEEDCap」はコモンズ30ファンドの信託報酬の1%相当を、選抜された社会企業家に寄付するプログラムです。今年で11回目(11年目)を迎えます。

コモンズ30ファンドへの投資家は、コモンズ投信に支払う信託報酬の一部の寄付を通して社会企業家を育て、間接的に社会問題の解決に貢献することができます。この取り組みが11年も続いていることは、少なくとも投資家が企業に期待するものとして、従来の金銭面での価値提供金銭リターン)に加えて、持続可能な社会づくりへの貢献も重要視されてきたことを表しているとも言えるでしょう。

ミレニアル世代の価値観は投資においても大きく反映されています。調査 によると、上の世代と比べて、より多くのミレニアル世代ESG投資について財務専門家に相談したことがあると答え、81%ミレニアル世代が、投資を通じて、金銭的に得をするだけではなく、精神的な満足を求めていると答えました。

(ESG投資とは、 「環境(Environment)」、「社会(Social)」、「企業統治(Governance)」に配慮する企業への投資行動を指します。ESG投資の具体例等は弊社の 別記事 をご覧ください。)

3. パフォーマンスを高めるSDGsへの取り組み

経済産業省は、日本企業がSDGsに取り組むべき理由として、財務パフォーマンス の向上を挙げています。学術的なコンセンサスはいまだ得られていないものの、SDGsを積極的に経営に取り込む企業は、他社と比べてパフォーマンスが高い傾向があると結論付ける研究も存在しているようです。

森林を守りながら、企業利益向上

例えば、ドイツの香料メーカーであるシムライズSymrise)は、倫理的なビジネスを行う民間企業が加盟する国連グローバル・コンパクトに参加しており、2012年と2019年には「ドイツ・サステナビリティ・アワード」を受賞するなど、持続可能な社会への貢献に配慮した事業運営が高く評価されてきました。

シムライズはマダガスカルバニラのバリュー・チェーンにおいて、ユニリーバやネスレ、ケロッグなどの世界有数の衛生用品メーカーや食品メーカーと「バニラ・アライアンス」というコミュニティを発足しました。これは、マダガスカルの教育保健森林保護などを重視し、持続可能なバニラ調達を行うイニシアティブです。

そのおかげか、シムライズのCEOは2019年ハーバード・ビジネス・レビューの「最も功績をあげたCEO」ランキング35位に選ばれ、さらにはコロナ禍にも関わらず、2020年上半期のシムライズの売り上げ前年度比7.6%上昇しました。持続可能なバニラの調達は売り上げ向上 に大きく貢献したと考えられています。

SDGsへの取り組みと企業パフォーマンスの関係は、特に日本において研究が進んでいないので立証は難しいです。しかし、製品の原料調達地環境保全を行わなかったり、製造過程の工場が適切な労働環境でなかったりすれば、いずれ企業活動が行えなくなり、存続が危うくなる可能性については、すでに述べたとおりです。

日本企業の例を挙げると、明治持続可能なチョコレートの原料カカオ豆生産のためにラテンアメリカや東南アジア、アフリカの計8か国でカカオ農家支援活動を行っています。

具体的には、収穫量を増やすための栽培方法や病虫害の管理方法などについて学ぶ勉強会を開催したり、栽培に必要な苗木の供給センターをつくったりしています。また、当社独自の発酵法を実践してもらい、高品質のカカオ豆を得られるような取組も行っています。さらには、井戸の整備や学校備品の寄贈、環境への配慮をした農法の応援など、カカオ農家やコミュニティの生活を支援する活動も行っています

まとめ

日本企業SDGs責任ある企業活動に取り組むメリットについてご説明しました。SDGsに取り組もうとする会社においては、地域でのボランティア活動やNPO団体への寄付 にとどまったり、SDGs推進の部署のみが盛り上がり、他の部署と具体的な連携ができていないなどの事例が散見します。

本来は社会に対して責任をもった企業活動の理念企業全体で共有され、中心に据えられるべきものです。もしあなたが「ウチも会社全体で取り組むべきだ!」と思いつつ、社内で理解を得られない場合には、ぜひこの記事や記事内の参考資料をご活用ください。

会社が世のため人のために存在するという考え方は、「三方よし」渋沢栄一道徳経済合一説にもあるように、日本では広く受け入れられ、脈々と受け継がれています。SDGs、広く言えば社会の諸課題の解決に取り組むのは、日本企業にとって決して突飛な挑戦ではないのです。

資料集はここから

国連グローバル・コンパクトに加盟している海外・日本企業の持続可能な社会づくりに関する報告書(サステナビリティ・レポート)(日本企業の場合は日本語あり)はここ から閲覧可能です。

さらに、グローバル・コンパクトのページには英語の資料集 があり、自社ビジネスの構造に沿って貢献できそうなSDGsの目標を選ぶ方法や実際に取り組む手順のヒントを得ることができます。日本語でのまとめ資料 にもアクセス可能です。

経営戦略としてSDGsに取り組むには・・・

トークンエクスプレス株式会社は、「『社会的価値』を、ビジネスのチカラに。」をスローガンに、企業経営層向けに、社会的価値をもちいた経営強化支援サービスを提供しております。経営戦略としてSDGsに取り組むためには、自社の属性情報から検討をスタートする方法と、自社の競合優位性(バリュープロポジション)から検討する方法があります。ご関心ある方はぜひ「お問い合わせ」よりお気軽にご連絡ください。

 

 

 

 

 

サプライチェーン管理を経営に活かす – SDGsを入口に

あなたの会社は、自社が関わる”サプライチェーン”を管理できていますか?
「仕入先と販売先はわかるけど、その先はわからないよ。」という状態になっていませんか?

国境を越える物流が当たり前になっている現在、サプライチェーンを管理することは企業のさまざまなリスクを減らすことに直結します。

ITの発達によって、サプライチェーン管理ができる範囲がどんどん広がっています。
さらに、サプライチェーン管理に積極的に取り組むことが、社会から「上質な会社」「社会的に価値の高い会社」だと認められるような時代になってきています。この傾向は国連の推進する「持続可能な開発目標(SDGs)」に、企業のサプライチェーン管理を求める目標が含められていることからも明らかです。
この記事では、世界のサプライチェーン管理の最前線をご紹介するとともに、あなたの会社ですぐに取り組める「はじめの一歩」をご紹介します!

目次

  1. サプライチェーン管理ってなに?
  2. サプライチェーン管理による経営リスクの低減
  3. サプライチェーン管理と持続可能な社会への貢献
  4. まとめ

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1. サプライチェーン管理ってなに?

モノを取り扱うビジネスはすべて、仕入先があって、販売先があります。仕入と販売の一連の数珠つなぎ“サプライチェーン”と言います。そのサプライチェーンを管理することがサプライチェーン管理ですが、”モノ”の流れの管理のみならず、データの流れの管理財務面の管理も含まれます。

参考資料:サプライチェーン管理とは (出典:オラクルウェブサイト

2. サプライチェーン管理による経営リスクの低減

災害に強い経営体制づくりのためのサプライチェーン管理

あらゆる企業で、自社の仕入先と販売先の管理はされているでしょう。これはサプライチェーン管理の最も基本的な段階と言えます。こうした自社に”近い”範囲でのサプライチェーン管理を、もう少し先まで見えるようにしておくと、さまざまな経営リスクの低減につながります。

例えば、災害時等でのサプライチェーンの途絶に対して、迅速に対応することができます。2011年の東日本大震災の際には、東北に自動車向けの半導体集積回路(マイクロコンピュータ)の生産拠点が集中していたため、そのサプライチェーンが一時的に途絶し、日本全体の生産活動が大きな被害を受けました。

参考資料:内閣府「平成24年度年次経済財政報告 」
第2章第1節「生産の立て直しとサプライチェーンの再編成」

上記の内閣府の報告書によれば、資本金10億円を超えるような大企業においては、仕入先が多岐にわたるためサプライチェーンの途絶などがあった場合に対応がしやすく、サプライチェーン寸断の影響を緩和させられましたが、規模の小さい企業は、部品調達先の多様化重要性は認識しているものの、コストとの関係から多様化できない、という現実がありました。サプライチェーン管理は小さな企業にも必要ですが、いきなり大規模に取り組むことはできないのです。

このように、規模の小さい企業も含めてすべての企業は、自社のサプライチェーンを常に把握し、もしもの時にすぐに対応できる経営体制を、平時から徐々に整えておくことが必要です。

社会的に望ましくない仕入先からの調達の防止

もうひとつ、経営リスクの低減のためにサプライチェーン管理が必要である ことを教えてくれる事例をご紹介しましょう。サプライチェーン管理ができていないと投資家から見られたために、投資が手控えられ、好業績なのに株価が低迷した事例です。

ブラジルを本拠地とする多国籍企業JBS S.A.は、食肉生産加工業者です。同社は米国でも事業展開をしています。その米国事業において、JBS S.A.はコロナ禍においても利益幅を拡大し、中国への輸出も増加させ、申し分ない財務成績を残しました。しかし、株価は低迷していました。

その株価低迷の原因として挙げられていることの一つが、ブラジルのアマゾン川流域の、違法な森林伐採による土地で飼育された牛を、JBS S.A.が仕入れているのではないか、と投資家から疑われたことです。アマゾン川流域の違法な森林伐採は、世界的に問題視されていて、それが大規模な森林火災の原因になったり、アマゾンの熱帯雨林からの大量の二酸化炭素排出につながると指摘されています。

参考ページ:アマゾンの森林火災は“必然”だった──急速に進む恐るべき「緑の喪失」のメカニズム
出典:WIRED
掲載日:2019年8月28日

JBS S.A.がサプライチェーン管理を十分に行っていないために間接的に森林伐採に関与していると投資家から疑われた結果、実際にJBS S.A.への投資を手控える投資家が現れました。ノルウェー最大の年金基金であるKLP and Nordea Asset Managementが、ESGの観点 から同社への投資をしない方針を決定したようです。

JBS S.A.が、もし自社のサプライチェーン管理を適切に行い、アマゾン川流域で違法に牛を飼育している業者から牛を仕入れない体制を築いていれば、好業績を背景に投資家からの投資が流入し、高い株価を誇ることができたでしょう

3. サプライチェーン管理と持続可能な社会への貢献

持続可能な社会のためにサプライチェーン管理に取り組む企業の好事例

前章でご紹介したJBS S.A.の事例は、サプライチェーン管理「持続可能な社会づくり」と密接に関連していることを示しています。実際、国際連合(United Nations, UN)が推進する「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals, SDGs)」においても、企業によるサプライチェーン管理を前提とする目標設定が多くなされています。

ここでは、持続可能な社会の実現のために、積極的にサプライチェーン管理に取り組む企業の事例3つご紹介します。

マルイグループの事例

ファッションビルの丸井などを傘下にもつマルイグループは、そのプライベートブランドの開発において、サプライチェーン管理を、取引先も巻き込んで進めています。

参考ページ:お取引先さまとの責任ある調達

マルイグループは以下のことを行っています。

① 調達方針の策定
マルイグループは2016年4月に、商品の製造過程における社会的責任を果たすことを目的に、「マルイグループ調達方針」 を制定しています。小売業を手掛ける同社が、その調達方針の制定の目的として「社会的責任を果たす」という軸を持っていることが画期的です。実際、その方針の項目の中に、「人権の尊重」「労働環境の整備」「公正な取引」「環境の保護」「地域コミュニティへの貢献」など、利益一辺倒では出てこない言葉も含まれています。

② 取引先とのコミュニケーション
同社は、プライベートブランドの取引先約100社に対し、上記調達方針のもととなる考え方の説明会を開催し、取引先から理解を得たといいます。また、商品の製造を委託している国内外の工場の現地視察を、取引先も巻き込んで実施 しています。

フランスのタイヤメーカー、ミシュランの事例

世界的なタイヤメーカーであるミシュランは、天然ゴム産業持続可能なものとするため、天然ゴムのサプライチェーンマッピングするスマートフォン用アプリケーションソフトを開発しています。

天然ゴムサプライチェーンには世界中で約600万人ゴム農園従事者10万人仲介業者および500か所を超える加工工場などが存在すると言われます。この複雑なサプライチェーンに関する情報収集し、その情報が世界中のタイヤ製造業者に提供されることによって、天然ゴムのサプライチェーンの透明性向上と、産業全体持続可能なものとすることを目指しています。

参考プレスリリース:
ミシュラン、コンチネンタル、SMAGの3社、持続可能な天然ゴムのサプライチェーンを促進するスマートフォンアプリ開発に特化した合弁会社設立
掲載日:2019年10月3日

スターバックスの事例(ブロックチェーン技術の利用)

コーヒーチェーンを展開するスターバックスは社会の持続可能性に対して高い感度を持っている企業ですが、持続可能な社会のためのサプライチェーン管理について、先進的な取り組みを行っています。

その取り組みとは、IT企業のマイクロソフトパートナーとして、ブロックチェーン技術を活用し、コーヒー農家から消費者コーヒー豆の袋を手にするまで来歴を追跡可能とするシステムを構築、消費者が利用できるようにしているというものです。

参考ページ(英語):
Greener cups, fewer straws and tracing your coffee’s journey via app
掲載日:2019年3月20日

スターバックスは、この取り組みを行うはるか前、10年以上前からコーヒー豆来歴管理を行ってきたといいます。この取り組みによって、その来歴データ顧客と共有できるようになりました。顧客は、目の前のコーヒー豆がどこから来ているのか、どのように栽培されているのか、そして持続可能倫理的な方法で生産されているのかどうかを知ることができるようになり、スターバックスの製品に対する信頼と安心を持つようになります。

SDGsにはサプライチェーン管理が必要なターゲットが多く存在

持続可能な社会づくりのためにサプライチェーン管理を行う企業の事例を3つご紹介しました。3社とも企業の社会的責任という意識を持ってサプライチェーン管理に取り組むことで、特に社会から見た企業イメージにも関係する、広範な経営リスクの低減を行っています。

「社会から見た企業イメージ」というものは漠然としてわかりにくいものです。
何が社会的に善とされていて、何がそうではないのか。
これまでは明確な範囲が限定的でした。

しかし昨今、国連が推進するSDGsの広がりにより、その社会的に善とされるものが、さらに広範囲に明確化されました。
SDGsでターゲットとされているもののなかで、持続可能な社会づくりのためのサプライチェーン管理に関係するものとしては、ゴール12「つくる責任、つかう責任(持続可能な生産消費形態を確保する)」があります。

SDGsのゴール12に関心のある方は、以下の記事もご覧ください。

SDGs12を経営に取りこめ!製品デザインとビジネスモデルの事例

SDGsを入口に経営のためのサプライチェーン管理!その第一歩とは

企業は、2030年までに達成することを目標とするSDGsへの対応が問われており、カタチだけではなく、腰をすえた取り組みが求められつつあります。
しかし、売上にすぐに直結しない施策に大きな投資を行うことは、社内で合意を得にくいという企業がほとんどでしょう。そのような企業においては、SDGsの文脈も活用しつつ、まずは何らかの認証の取得を目指したり、公的機関の取り組みに参加したりすることをおすすめします。そうすることで、SDGsの切り口から、自社のビジネスを取り巻くサプライチェーンの全体像を知ることができます。

対象のサプライチェーンにはどのようなプレイヤー存在するのか。そうしたプレイヤーの間で、現状どのような社会課題認識されているのか。サプライチェーンの一部に存在する自社が、社会課題解決に貢献できることは何なのか。そのような視点でサプライチェーン上の他社と交流を持つことが、経営に活きるサプライチェーン管理の第一歩になります。

サプライチェーンに関する認証は、業界ごとにさまざまに存在します。
例えば、マーガリンなどに利用され、「植物油」という食品表示名をもつパーム油には、「持続可能なパーム油のための円卓会議( RSPO, Roundtable on Sustainable Palm Oil )」という機関が運営する「RSPO認証」という制度があります。

パーム油は、その主要生産国が、インドネシアやマレーシアなど地球で最も生物多様性の豊かな熱帯林が広がる国々であり、その生産において熱帯林が大規模に失われてしまった歴史があります。熱帯林の開発にともなって、泥炭地が失われたり、森林火災が起きたり、野生動物先住民すみかを奪われるなどの社会課題が発生します。また、生産に携わる人々の労働環境収益性の問題もあります。

参考資料:パーム油 私たちの暮らしと熱帯林の破壊をつなぐもの(WWFジャパンのウェブサイト)

こうした環境問題社会問題配慮して生産された「持続可能なパーム油」認証する仕組みをRSPOが整備しています。RSPO認証油であれば、環境問題・社会問題に配慮されつつ生産・加工されたパーム油である、ということになります。

こちらのページ で、RSPOに賛同し円卓会議のメンバーとなっている企業が確認できます。企業の所在国毎にソートすることもでき、2020年10月時点で219日本企業RSPOのメンバーになっていることがわかります。

RSPOのような、すでに存在する認証制度公的な機関の取り組みに参加することで、自社のサプライチェーン上流下流何が問題になっているのかを知ることができ、経営リスクを減らす上で何をすべきか、具体的に検討を始めることができるでしょう

まとめ

本記事では、経営管理直結しているサプライチェーン管理についてご案内しました。その中で、サプライチェーン管理を行うことでどのような経営リスク低減することができるのか、実例とともに解説しました。
サプライチェーン管理不十分だったために、企業イメージ損ない株価低下を招いた食肉加工会社のJBS S.A.社の事例からは、「持続可能な社会づくり」とサプライチェーン管理が密接関連していることがわかります。

「持続可能な社会づくり」に貢献するという明確な目的のために、サプライチェーン管理に取り組む3つの企業のご紹介もいたしました。
最近日本でも認知が広まってきている「持続可能な開発目標(SDGs)」においても、サプライチェーン管理関連するものが一つの大きなゴール「12 つくる責任、つかう責任」として設定されています。

サプライチェーン管理は、売上にすぐに直結する施策ではありません。しかし、中長期で取り組むことで、社会からみた企業イメージを向上し、企業価値をあげ、結果として優秀な人材の採用や、売上増加株価の上昇投資の増加につながるでしょう。その過程で起こる様々な経営リスクに対する耐性向上するはずです。

いきなり大きな投資を行う必要はありません。パーム油RSPOなど、既にある業界団体の活動に参加し、まずは自社を取り巻くサプライチェーンの全体像を知ることが第一歩となります。サプライチェーン上に存在する経営リスク全体像をおおまかに把握したうえで、具体的サプライチェーン管理アプローチを検討すると良いでしょう。

サプライチェーン管理を実施し、自社の社会的価値を向上させるには…

サプライチェーン管理を行うには、自社内の情報管理情報活用体制整備、さらには情報発信の方法も含め、綿密な計画と、確実な実行が必要になります。トークンエクスプレス株式会社では、業務負担少なくそれらを実現する方法をご提案できます。ご関心ある方はぜひ「お問い合わせ」よりお気軽にご連絡ください。

 

 

 

 

 

 

SDGs12の取り組み事例4選!製品デザインとビジネスモデル

最近CMでも聞くようになった「SDGs」を知っていますか?
日本企業が続々と経営戦略に取り入れるようになってきましたが、具体的に何をすればいいのかわからない人も多いのではないでしょうか?

SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とは2015年に国連によって定められた17の目標です。その特徴は、貧困削減や飢餓の撲滅など主に低所得国に関係する項目の他に、ジェンダー平等や気候変動など先進国も含めた世界全体が取り組むべき項目が取り入れられていることです。

その中でも目標12「つくる責任、つかう責任」企業に関係の深い目標の1つで、次々と自社の経営に取り入れるようになっています。

そこで、この記事ではSDGs目標12に焦点を当て、目標12を達成する上で鍵となるサーキュラー・エコノミー(循環型経済)の考え方を説明しつつ、日本企業が実際に行っている取り組み事例を紹介します。

目次

  1. SDGs目標12と”サーキュラー・エコノミー”
  2. 目標12を経営に取り入れる!製品デザインとビジネスモデル事例
  3. まとめ

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1.SDGs目標12と”サーキュラー・エコノミー”

SDGs目標12とは?

SDGs目標12は「つくる責任、つかう責任」というキャッチコピーで「持続可能な生産消費形態を確保する」ことを目指しています。具体的には、先進国が取り組みをけん引する形で、自然資源の持続可能な管理(マネジメント)、食料ロス の削減、廃棄物のリサイクル、空気・水・土壌汚染削減への取り組み目標を定めています。詳しい内容は国連広報センターのページ を、小目標日本語訳は本記事最後※を参照してください。

SDGs-logo-Goal-12

参考資料:国連広報センター

目標12ロゴの意味:”サーキュラー・エコノミー”

目標12のロゴを見ると矢印が循環し、無限のループになっている様子がわかります。これは循環型経済(サーキュラー・エコノミー)を示しています。

サーキュラー・エコノミーとは資源の循環を遅らせること(廃棄までの時間を長くする等)と、循環を閉じること(廃棄物を資源とする等)を指し、地球が保持しているキャパシティを超えない範囲での経済成長を目指す概念です。

参考:Bocken, N.M.P.; de Pauw, I.; Bakker, C. and van der Grinten, B. (2016) ‘Product design and business model strategies for a circular economy’, Journal of Industrial and Production Engineering 33.5: 308-320

現在起こっている気候変動や生態系の破壊は、人間の経済活動が地球の持っている再生能力を超えていることを示しています。サーキュラー・エコノミーは経済成長を抑制する概念ではなく、従来の「作る、使う、捨てる」の直線的な生産・消費形態に対して、循環型の経済を推進し、長期的に地球環境を保全しつつ、経済成長を目指す考えです。

具体的には「資源の循環を遅らせる」とは直線的な生産・消費形態であっても、使用できる期間を長くしたり、繰り返し使ったりして生産と消費のサイクルを長くすること、「資源の循環を閉じる」とはリサイクルや廃棄物を再利用することで、資源を「ゆりかごからゆりかごへ」循環させることを指します。

環境保全に対する消費者意識の向上

スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんを始めとして、若者世代での環境意識は高く、この傾向は今後も強まっていくと考えられます。これは人々の消費行動にも影響し、環境に配慮しているかどうかで会社や商品を選ぶ傾向は今後、強まっていくでしょう。

今では環境に配慮した製品やビジネスモデルを作り出すことは企業の生き残り戦略の1つです。日本でも多くの民間企業が環境に配慮した製品やビジネスモデルを生み出しています。ここからは、4つのサーキュラー・エコノミーのモデルに当てはめて事例を紹介します

2. 目標12を経営に取り入れる!製品デザインとビジネスモデル事例

サーキュラー・エコノミーを実践する具体的な方法は、上でも説明した通り、「資源の循環を遅らせる」ことと「資源の循環を閉じる」ことの2つの方法があります。資源の循環を遅らせるためには、耐久性のある製品デザインや製品を繰り返し使うビジネスモデルを生み出すことが必要です。資源の循環を閉じる方法はリサイクルや廃棄物の再利用を通じて、今ある資源を最大限活用することが重要です。ここでは、「循環を遅らせる」方法と「循環を閉じる」方法のそれぞれについて、実際の事例を紹介します。

「資源のサイクルを遅らせる」事例2選

「資源のサイクルを遅らせる」といっても具体的にはどのようなアプローチの仕方があるでしょうか?例えば以下のような例が考えられます。

「資源のサイクルを遅らせる」製品デザイン例
      • 耐久性を高めて、使用期間を長くする
      • ギフト用など思い出深い商品として売り出し、長期的に愛用してもらう
      • メンテナンスや修理をしやすくする
      • ハードウェアを替えなくてもよいように、ソフトウェアなどの更新をしやすくする
      • 充電器を共通のものにするなど他の製品との併用をしやすくする
「資源のサイクルを遅らせる」ビジネス戦略モデル例
      • シェアリング・エコノミー:カーシェアリング、ランドリー、携帯電話や洋服の貸し出し
      • リユース:顧客が使い終わった製品を店に戻し、現金等を受け取る

少しイメージがつきやすくなったでしょうか?ここからは、このような考え方を具体的にビジネスに取り入れている具体的な事例を2つ見ていきましょう!

事例1:サイクルを遅らせる製品デザイン:耐久性を上げて長く使う(パナソニック)

始めに紹介するのは、耐久性を上げて消費者に1つの商品を長く使ってもらうための製品です。パナソニックのノートパソコンの「レッツ・ノート」は高額パソコンであることで有名ですが、毎日持ち運んでも頑丈であること、愛用年数が6.04年という長期間であることが特徴的 です。

耐久性を高めることで、故障や早期の買い替えを防ぎ、結果的に消費~生産サイクルを遅らせることができます。また、消費者に長く愛用してもらうには、製品に愛着をもってもらうことが重要です。高い値段設定によってむしろ、消費者は製品に愛着を持ち、長期的に渡って同じ製品を愛用するようになります。さらには、レッツ・ノートにはメモリー容量などのスペックや天板の色などのデザインをカスタマイズできるサービスもあります。

Working on laptop computer

事例2:サイクルを遅らせるビジネス戦略:リユースで必要な人に服を届ける(ユニクロ )

次は、資源のサイクルを遅らせるビジネス戦略について紹介します。資源のサイクルを遅らせるとは、ビジネス戦略に工夫を加えることで、製品の使用期間やリユースの割合を高めることを指します。

ここでは事例として、ユニクロのリユース・システムを紹介します。ユニクロでは店舗で着なくなった服を回収し、国連難民高等弁務官事務局(UNHCR)や世界のNGOやNPOとともに、世界で服を必要としている人たちに届けています。また、リユースできない服を仕分けし、それらは燃料や防音材として加工・リサイクルしているようです。

H&MやZaraなどのファストファッション企業はたびたび、低所得国にある工場の労働環境の悪さや環境に配慮しない生産と消費(つくる、つかう、捨てる)が問題になってきました。ユニクロは質のいい製品と環境にいいモデルをアピールすることで、批判されてきた外国企業との差別化を図っています。

「資源の循環を閉じる」事例2選

次は「資源のサイクルを閉じる」ためのビジネスアイディアを見ていきましょう。こちらの方がなじみがあるかもしれませんが、実際に導入するとなると初期投資が比較的高くなりますね。いったん導入してしまえば、長期的な企業価値の向上を見込むことが出来そうです。

資源のサイクルを閉じるデザイン・ビジネス戦略例
      • 技術的にリサイクルできる製品
      • 土へ還る製品
      • 解体しやすく、組み立てやすい製品

それでは、具体的にはどのように自社のビジネスに応用できるでしょうか?日本企業2社の事例を見ていきましょう!

事例3:サイクルを閉じる製品デザイン:土に還るプラスチック(GSアライアンス )

資源のサイクルを閉じる製品デザインをご紹介します。兵庫県に本社を置く会社であるGSアライアンス株式会社ナノ・サクラ という100%天然バイオマス系素材の生分解材料でできたプラスチックを開発しました。会社HPによると、

セルロースナノファイバーや植物、木材、廃木材、間伐材、竹、古紙などの、あらゆるバイオマス系リサイクル材料を複合化させた生分解性樹脂材料や、デンプン、及び非可食性バイオマスであるセルロース系の生分解性樹脂など、NANO-SAKURA には、さまざまな種類の新素材があります。

これにより、石油の使用料ゼロ、生産・使用・廃棄の過程でCO2の排出ゼロを実現しています。現在、海に捨てられたプラスチックごみが生態系を壊し、細かくなったマイクロ・プラスチックが私たちの食す魚介類の中に入っていることなどが注目を集め、次世代の環境にいいプラスチックが求められています。

そのほかにも、資源のサイクルを閉じる、つまり製品をリサイクルできるようにするデザインには以下の特徴があります。

Underwater global problem with plastic

事例4:サイクルを閉じるビジネス戦略:茶殻リサイクル(伊藤園)

資源のサイクルを閉じる、つまり、廃棄物の活用やリサイクルを通して資源を循環させる事例を紹介します。

伊藤園では3R(リデュース、リユース、リサイクル)に取り組み、廃棄物の削減に努めています。その一例として、茶殻を資源に変える「茶殻リサイクルシステム」があります。伊藤園のHPによると、

製造工程で排出される茶殻の大部分は堆肥や飼料として再利用していますが、さらに伊藤園では独自の「茶殻リサイクルシステム」を開発しました。茶殻の一部を紙製品・建材・樹脂などに配合し、協力企業でさまざまな製品を製造販売しています。これにより原材料の使用量が削減でき、省資源化が図れます。
また茶殻を、水分を含んだまま、紙などの資材に配合するため、茶殻乾燥時の石油資源消費などに伴うCO₂発生が抑制され、省資源・CO₂ 削減・リサイクルという3つの環境配慮の特色があります。

廃棄物をまだ使える資源とみて、循環させることで、資源のサイクルを閉じることに成功しています

まとめ

いかがでしょうか?ここでは、SDGs目標12に関連するサーキュラー・エコノミーの概念とそれに実際に貢献している日本企業の事例を4つ紹介しました。資源のサイクルを遅らせる、または資源のサイクルを閉じる製品デザインとビジネスモデルの中には自社で活用できそうなものはありましたでしょうか?

今回は事例を紹介しましたが、SDGs達成に向けた取り組みには、決まりきった正解がある訳ではなく、場所や状況、企業の規模や性質に合わせ、柔軟な取り組みが必要です。また、そのような取り組みの効果を科学的に評価し、常に改善し続けることも重要になってきます。

例えば、持続可能な(サステナブルな)サプライチェーン構築やプラスチックの不使用に積極的に取り組んでいるユニリーバのHPでは、自社のSDGsに対する取り組みの達成度合いを可視化し、消費者に分かりやすく開示しています。

uniliver-sdgs-disclosure-website
この例では「2020年までに農業製品を100%サステナブルに調達する」という目標に対して、62%しか達成できていないことを示しています。その中でも、パーム油、フルーツと野菜の調達が100%サステナブルではないようです。(ユニリーバHPを筆者がスクリーンショット(2020年10月14日時点))

ユニリーバの事例のように、自社の取り組みが定量的に、かつ透明性高く開示されている状態は、外部から自社への信頼感の獲得につながります。さらに、自社の社員がそこで働くことに誇りと納得感を持つことにもつながります。

適時正確な情報を開示するのは容易なことではありませんが、持続可能な社会のための貢献を、本業とは異なる「おまけ」事業ではなく、本記事でご紹介したようにビジネスの一部として取り組むことで、可能となるでしょう。

弊社サービスでこんなことができます

トークンエクスプレス株式会社は、「『社会的価値』を、ビジネスのチカラに。」をスローガンに、企業様向けに、社会的価値をもちいた経営強化サービスをご提供しております。記事内でご紹介した事例のような取り組みを、既存のビジネスと一貫させ、利益を出すものとするための施策をご提案できます。ご関心ある方はぜひ「お問い合わせ」よりお気軽にご連絡ください
※SDGs 目標12 小目標 日本語訳

12.1
持続可能な生産消費の10年枠組みを実行する。全ての国々が行動を起こし、特に先進国が取り組みをけん引し、途上国の発展や可能性を考慮する
12.2
2030年までに自然資源の持続可能なマネジメントと効果的な使用を達成する
12.3
2030年までに世界全体で小売りと消費者レベルでの1人当たりの食糧廃棄を半分にし、収穫後の作物のロスを含む生産とサプライチェーンにおける食糧ロスを削減する
12.4
2020年までに、合意された国際枠組みに基づき、化学製品やすべての廃棄物のライフ・サイクルにおいて環境にいいマネジメントを達成する。人の健康と環境への影響を最小限に抑えるために、空気、水、土壌への放出量を減らす。
12.5
2030年までに予防、削減、リサイクル、リユースによって廃棄物の量を大幅に減らす
12.6
民間企業、特に大企業や多国籍企業に持続可能な実践と報告書に持続可能性に関する情報を盛り込むことを促す
12.7
持続可能で国の政策や優先事項に合った公共調達の実践を促進する
12.8
2030年までに、すべての人々が持続可能な発展と自然と協調したライフスタイルに関連する情報と意識を持つ
12.a
途上国が科学的、また技術的な能力強化をし、より持続可能な消費と生産形態に移行できるようサポートをする
12.b
雇用を創出し、地域の文化と製品を継承する持続可能な観光のために、影響をモニタリングできるツールを開発、実行する
12.c
国の状況に応じて、税システムの再構築や有害な補助金の段階的な撤廃などによって市場の歪みを取り除くことで、無駄な消費を促す化石燃料補助金の非効率性を合理化するとともに、環境への影響を反映し、途上国の特定のニーズと状況を十分に考慮し、貧困層や影響を受ける地域社会を保護する方法で開発に及ぼす悪影響を最小限に抑える。

 

 

 

 

 

 

 

SDGsの隠れ重要テーマ「金融包摂」と信用金庫

日本でもたくさんの企業がアピールを始めている”SDGs”、あなたの会社では上手く取り組めていますか?

いまや多くの日本企業が、SDGsに貢献する活動を実施し、17のゴールのいずれかに当てはめながら、自社のアピールに使っています。

そのようななか、銀行信用金庫信用組合などの金融業に携わる方々が知っておきたい、国連機関が認める、金融のプロ向けのSDGsテーマがあるのをご存知ですか?

金融機関は、このテーマを使えば、毎日の通常業務の成果を、大きなSDGs貢献として、効率的にアピールできます!本業に関係のない地域ボランティア活動を、自社のSDGs活動として無理にこじつけなくても大丈夫!本記事ではその方法をご紹介します。

目次

  1. 一部の人しか知らないSDGs隠れテーマ「金融包摂」
  2. 「金融包摂」を起源とする金融機関:信用金庫
  3. 信用金庫のSDGs取り組みのあるべき姿
  4. まとめ

*******************************************

1. 一部の人しか知らないSDGs隠れテーマ「金融包摂」

SDGsとは?

SDGsとは、「持続可能な開発目標」のことを指し、2015年9月の国連サミットで定められた国を超えた世界的な目標です。2030年までに、誰一人取り残さずに、持続可能でよりよい世界にしよう、と掲げており、17のゴールが設定されています。

参考資料:
SDGsとは?(外務省ウェブサイト)

SDGsの17のゴール

17 goals SDGs logo

実は、この17のゴール以外に、国連が重視する隠れテーマ「金融包摂」が存在するのです!

SDGsの隠れテーマ「金融包摂」とは?

金融包摂とは、英語ではFinancial Inclusionと言い、以下のように説明されます。

“持続的で責任ある正規の金融機関によって提供される広範な金融サービスに、個人やビジネスがアクセスできる機会を有し、また、利用することができる状態”
(出典:CGAP, New Funder Guidelines, September 2015)

日本は比較的、金融包摂が実現している国です。

日本では、一般的に誰でもゆうちょや銀行で口座をもつことができ、貯蓄ができます。地域の共済や郵便局で入れるかんぽ(簡易生命保険)なども含めて、誰でも保険に入りやすい仕組みがあります。事業を始めたい時などは、いくつか満たすべき要件などはありますが、正規の金融機関からお金を借りる仕組みもあります。

このような状態を、金融包摂が一定程度実現できている状態と言います。

国民の半数以上が金融機関に口座を持てない国は世界に61か国以上

日本とは異なり、世界には一般の人の金融サービスへのアクセスが難しい国が多いです。例えば、15歳以上の国民が金融機関で貯金口座を持っている割合で、その国の金融サービスへのアクセスの簡単さがわかります。日本はその割合が98.2%ですが、統計がとれている範囲でその割合が50%未満の国は、61か国あります。20%未満の国は、南スーダンや中央アフリカ共和国など、6か国あります。統計が取れていない国は17か国以上あります。(世界銀行調べ。)

金融包摂が実現できていない国では、サービスの価格が高すぎたり(銀行口座を開くのに50万円以上の預金を維持することを求める銀行もあります。)、銀行は一般市民が行くところではないと考えられていたり、保険サービスに対する信用がとても低い、などといった状況があります。(そもそも正規の金融サービスが存在できないほど、政情が不安定な国もあります。)

なぜ金融包摂はSDGsの隠れテーマなのか?

金融サービスは、人々の生活にとってとても重要な「社会インフラ」です。金融包摂は社会生活のうえで必須です。それにも関わらずSDGsのゴールの一つになっていないのはなぜでしょうか?
それは、金融包摂が、17のゴールの複数にまたがって関係する社会課題だからです。国連は、その公式ページの中で、「金融包摂はSDGsの8つのゴールにまたがる重要テーマ」と述べています。

参考資料:Financial Inclusion and the SDGs(UDCDF)

17のゴールに含まれていないので、日本においてはあまり知られていない社会課題ですが、特にSDGsに取り組む日本の金融機関は、金融包摂は知っておきたいテーマと言えるでしょう

2. 「金融包摂」を起源とする金融機関:信用金庫

中小企業も市民も融資サービスが受けられるように

日本に様々な金融機関がある中で、信用金庫は、金融包摂の考え方を起源として始まりました。明治時代、日本は資本主義による急速な産業化が進みましたが、その中で株式組織の銀行は、地方で集めた資金を都市部の大企業や土地投機に集中的に運用したため、地域の中小零細企業や市民は自分達の預けた資金を利用できず、地域社会は衰退し、貧富の差が拡大しました。こうした中で、特に融資サービスにおいて金融包摂を実現する組織として信用金庫の前身組織たちが設立されるようになりました。

参考資料:城南信用金庫ウェブサイト

現在の信用金庫のSDGsへのアプローチ

現在、信用金庫(信金)はそれぞれSDGsにどのように向かい合っているのでしょうか。金融包摂の視点は取り入れられているのでしょうか。

2019年3月末における信金の総資産ランキング(出典:週間エコノミストOnline)の上位10信金のSDGsに関する取り組みをウェブ上の情報からまとめると以下のようになります。

総資産順位 信用金庫名 都道府県 SDGsに係る情報掲載 金融包摂をテーマとした言及
1 京都中央 京都 〇(宣言と複数のゴールに紐づけた重点項目の提示) ×
2 城南 東京  〇(ゴール6以外の全てのゴールに具体的活動を紐付け) ×
3 岡崎 愛知 × ×
4 大阪 大阪 〇(宣言と複数のゴールに紐づけた重点項目の提示) ×
5 埼玉県 埼玉  〇(ゴール8,9,11についての具体的活動を例示) ×
6 多摩 東京 × ×
7 尼崎 兵庫 〇(宣言と複数のゴールに紐づけた重点項目の提示) ×
8 京都 京都 〇(SDGs宣言の掲載) 〇(具体的取組についての情報なし)
9 城北 東京 〇(宣言と複数のゴールに具体的活動を紐付け) ×
10 浜松いわた 静岡 〇(宣言と複数のゴールに具体的活動を紐付け) ×

 

上記の表をご覧いただくとわかりますとおり、総資産順位でトップ10のうち、8つがSDGsに関してなんらかウェブ上で公開しています。SDGsの浸透度合いはかなり高いです。

現状の信用金庫のSDGsへの向き合い方としては、

      1. SDGsに取り組むという組織的な宣言を行う
      2. 既存の地域貢献活動 or 今後取り組む活動をSDGsゴールに紐づける
      3. ウェブ上で公表する

というスタイルが一般的だとわかります。

一方で、信用金庫の根源的な役割であった金融包摂という視点を持っている信金はトップ10内には1つしかありませんでした

3. 信用金庫のSDGs取り組みのあるべき姿

closeup.business partners signing a new contract.

本業の役に立つSDGs

信用金庫のSDGs検討において金融包摂がほとんど取り上げられていないのは、単に金融包摂という概念が知られていない可能性が高いです。

しかし、信用金庫の業務の多くの部分で金融包摂の価値観を「再発見」することが可能だと考えます。金融包摂というテーマでSDGsをとらえなおせば、通常業務を行う中でSDGsの8つのゴールにアプローチできる可能性があります。

例えば、金融包摂においては、「誰でもサービスを利用しやすい」という価値が重視されます。都会ではなく地方部を営業範囲とする信用金庫にとっては、物理的にアクセスしづらい地域が営業範囲に含まれている可能性があります。そうしたアクセスしづらい地域にも、支店を置いたり、出張所を設けたりしてその地域の金融基盤を支えている信用金庫もあるでしょう。そうした営業努力は、SDGs上も重要な取り組みであり、積極的に発信すべきです。さらに、もしそうした地域で高齢化に伴う人口減少などが社会課題となっており、既存の拠点の維持が難しくなっている等の経営課題があるならば、デジタルの活用や他拠点からの定期的な訪問への切替等の取り組みを行い、それをSDGsとして積極的に発信していけばいいのです。

また、世界的には、女性や資本を持たない人々が金融サービスを享受しづらいという点も、金融包摂の課題として挙げられることがあります。信用金庫が、女性が経営する地元企業に積極的に融資を行っているのであれば、それもSDGsの成果としてアピールできます。経営者が若い企業への融資でも同様でしょう。

このように、信用金庫にとっても、金融包摂という視点を中心にSDGs戦略を再検討することは、自らの社会的な価値を外に上手にアピール可能となると同時に、経営の質の向上を再点検できるなど、取り組む価値あることだと思います。信用金庫の間で金融包摂という概念がもっと広まってほしいと感じます。

今後さらに重要な金融包摂

また、現状日本では金融包摂は実現されているといえますが、少子高齢化が進行し、格差の拡大が問題視される日本において、金融包摂が今後も維持されるのかには大きな疑問符が付きます。

信用金庫が金融包摂の視点で自らの取り組みを見直すことは、SDGs文脈のみならず、信用金庫の事業の根源価値を再度磨きあげることに直結するものとなりえるのです

まとめ

SDGsにおける国連機関公認の隠れテーマ「金融包摂」についてご紹介しました。そのうえで、この金融包摂の理念を起源とする金融機関の代表例として信用金庫を取り上げました。

信用金庫のうち、総資産規模トップ10のSDGsの取り組みを俯瞰したうえで、SDGsの中でも金融包摂が重視されていることが、まだ信用金庫間でそれほど広まっていない現状について確認しました。

少子高齢化や格差の拡大が問題になっている現代日本においては、金融包摂の観点で社会を見つめ直し、取り組みを見直すことが求められています。信用金庫においては自らの事業が提供する価値を増やし、かつSDGsの観点でアピール可能な要素を獲得する、一石二鳥の成果を獲得できる可能性を指摘しました。

金融機関が顧客提供価値を増加しつつSDGs的にもアピーリングな取り組みを行うには…

トークンエクスプレス株式会社は、「『社会的価値』を、ビジネスのチカラに。」をスローガンに、企業経営層向けに、社会的価値をもちいた経営強化支援サービスを提供しております。金融機関様がインパクトのある事業を実施するために、各機関様の御事情に合わせた具体的な施策をご提案できます。ご関心ある方はぜひ「お問い合わせ」よりお気軽にご連絡ください。