サプライチェーン管理を経営に活かす – SDGsを入口に

あなたの会社は、自社が関わる”サプライチェーン”を管理できていますか?
「仕入先と販売先はわかるけど、その先はわからないよ。」という状態になっていませんか?

国境を越える物流が当たり前になっている現在、サプライチェーンを管理することは企業のさまざまなリスクを減らすことに直結します。

ITの発達によって、サプライチェーン管理ができる範囲がどんどん広がっています。
さらに、サプライチェーン管理に積極的に取り組むことが、社会から「上質な会社」「社会的に価値の高い会社」だと認められるような時代になってきています。この傾向は国連の推進する「持続可能な開発目標(SDGs)」に、企業のサプライチェーン管理を求める目標が含められていることからも明らかです。
この記事では、世界のサプライチェーン管理の最前線をご紹介するとともに、あなたの会社ですぐに取り組める「はじめの一歩」をご紹介します!

目次

  1. サプライチェーン管理ってなに?
  2. サプライチェーン管理による経営リスクの低減
  3. サプライチェーン管理と持続可能な社会への貢献
  4. まとめ

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1. サプライチェーン管理ってなに?

モノを取り扱うビジネスはすべて、仕入先があって、販売先があります。仕入と販売の一連の数珠つなぎ“サプライチェーン”と言います。そのサプライチェーンを管理することがサプライチェーン管理ですが、”モノ”の流れの管理のみならず、データの流れの管理財務面の管理も含まれます。

参考資料:サプライチェーン管理とは (出典:オラクルウェブサイト

2. サプライチェーン管理による経営リスクの低減

災害に強い経営体制づくりのためのサプライチェーン管理

あらゆる企業で、自社の仕入先と販売先の管理はされているでしょう。これはサプライチェーン管理の最も基本的な段階と言えます。こうした自社に”近い”範囲でのサプライチェーン管理を、もう少し先まで見えるようにしておくと、さまざまな経営リスクの低減につながります。

例えば、災害時等でのサプライチェーンの途絶に対して、迅速に対応することができます。2011年の東日本大震災の際には、東北に自動車向けの半導体集積回路(マイクロコンピュータ)の生産拠点が集中していたため、そのサプライチェーンが一時的に途絶し、日本全体の生産活動が大きな被害を受けました。

参考資料:内閣府「平成24年度年次経済財政報告 」
第2章第1節「生産の立て直しとサプライチェーンの再編成」

上記の内閣府の報告書によれば、資本金10億円を超えるような大企業においては、仕入先が多岐にわたるためサプライチェーンの途絶などがあった場合に対応がしやすく、サプライチェーン寸断の影響を緩和させられましたが、規模の小さい企業は、部品調達先の多様化重要性は認識しているものの、コストとの関係から多様化できない、という現実がありました。サプライチェーン管理は小さな企業にも必要ですが、いきなり大規模に取り組むことはできないのです。

このように、規模の小さい企業も含めてすべての企業は、自社のサプライチェーンを常に把握し、もしもの時にすぐに対応できる経営体制を、平時から徐々に整えておくことが必要です。

社会的に望ましくない仕入先からの調達の防止

もうひとつ、経営リスクの低減のためにサプライチェーン管理が必要である ことを教えてくれる事例をご紹介しましょう。サプライチェーン管理ができていないと投資家から見られたために、投資が手控えられ、好業績なのに株価が低迷した事例です。

ブラジルを本拠地とする多国籍企業JBS S.A.は、食肉生産加工業者です。同社は米国でも事業展開をしています。その米国事業において、JBS S.A.はコロナ禍においても利益幅を拡大し、中国への輸出も増加させ、申し分ない財務成績を残しました。しかし、株価は低迷していました。

その株価低迷の原因として挙げられていることの一つが、ブラジルのアマゾン川流域の、違法な森林伐採による土地で飼育された牛を、JBS S.A.が仕入れているのではないか、と投資家から疑われたことです。アマゾン川流域の違法な森林伐採は、世界的に問題視されていて、それが大規模な森林火災の原因になったり、アマゾンの熱帯雨林からの大量の二酸化炭素排出につながると指摘されています。

参考ページ:アマゾンの森林火災は“必然”だった──急速に進む恐るべき「緑の喪失」のメカニズム
出典:WIRED
掲載日:2019年8月28日

JBS S.A.がサプライチェーン管理を十分に行っていないために間接的に森林伐採に関与していると投資家から疑われた結果、実際にJBS S.A.への投資を手控える投資家が現れました。ノルウェー最大の年金基金であるKLP and Nordea Asset Managementが、ESGの観点 から同社への投資をしない方針を決定したようです。

JBS S.A.が、もし自社のサプライチェーン管理を適切に行い、アマゾン川流域で違法に牛を飼育している業者から牛を仕入れない体制を築いていれば、好業績を背景に投資家からの投資が流入し、高い株価を誇ることができたでしょう

3. サプライチェーン管理と持続可能な社会への貢献

持続可能な社会のためにサプライチェーン管理に取り組む企業の好事例

前章でご紹介したJBS S.A.の事例は、サプライチェーン管理「持続可能な社会づくり」と密接に関連していることを示しています。実際、国際連合(United Nations, UN)が推進する「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals, SDGs)」においても、企業によるサプライチェーン管理を前提とする目標設定が多くなされています。

ここでは、持続可能な社会の実現のために、積極的にサプライチェーン管理に取り組む企業の事例3つご紹介します。

マルイグループの事例

ファッションビルの丸井などを傘下にもつマルイグループは、そのプライベートブランドの開発において、サプライチェーン管理を、取引先も巻き込んで進めています。

参考ページ:お取引先さまとの責任ある調達

マルイグループは以下のことを行っています。

① 調達方針の策定
マルイグループは2016年4月に、商品の製造過程における社会的責任を果たすことを目的に、「マルイグループ調達方針」 を制定しています。小売業を手掛ける同社が、その調達方針の制定の目的として「社会的責任を果たす」という軸を持っていることが画期的です。実際、その方針の項目の中に、「人権の尊重」「労働環境の整備」「公正な取引」「環境の保護」「地域コミュニティへの貢献」など、利益一辺倒では出てこない言葉も含まれています。

② 取引先とのコミュニケーション
同社は、プライベートブランドの取引先約100社に対し、上記調達方針のもととなる考え方の説明会を開催し、取引先から理解を得たといいます。また、商品の製造を委託している国内外の工場の現地視察を、取引先も巻き込んで実施 しています。

フランスのタイヤメーカー、ミシュランの事例

世界的なタイヤメーカーであるミシュランは、天然ゴム産業持続可能なものとするため、天然ゴムのサプライチェーンマッピングするスマートフォン用アプリケーションソフトを開発しています。

天然ゴムサプライチェーンには世界中で約600万人ゴム農園従事者10万人仲介業者および500か所を超える加工工場などが存在すると言われます。この複雑なサプライチェーンに関する情報収集し、その情報が世界中のタイヤ製造業者に提供されることによって、天然ゴムのサプライチェーンの透明性向上と、産業全体持続可能なものとすることを目指しています。

参考プレスリリース:
ミシュラン、コンチネンタル、SMAGの3社、持続可能な天然ゴムのサプライチェーンを促進するスマートフォンアプリ開発に特化した合弁会社設立
掲載日:2019年10月3日

スターバックスの事例(ブロックチェーン技術の利用)

コーヒーチェーンを展開するスターバックスは社会の持続可能性に対して高い感度を持っている企業ですが、持続可能な社会のためのサプライチェーン管理について、先進的な取り組みを行っています。

その取り組みとは、IT企業のマイクロソフトパートナーとして、ブロックチェーン技術を活用し、コーヒー農家から消費者コーヒー豆の袋を手にするまで来歴を追跡可能とするシステムを構築、消費者が利用できるようにしているというものです。

参考ページ(英語):
Greener cups, fewer straws and tracing your coffee’s journey via app
掲載日:2019年3月20日

スターバックスは、この取り組みを行うはるか前、10年以上前からコーヒー豆来歴管理を行ってきたといいます。この取り組みによって、その来歴データ顧客と共有できるようになりました。顧客は、目の前のコーヒー豆がどこから来ているのか、どのように栽培されているのか、そして持続可能倫理的な方法で生産されているのかどうかを知ることができるようになり、スターバックスの製品に対する信頼と安心を持つようになります。

SDGsにはサプライチェーン管理が必要なターゲットが多く存在

持続可能な社会づくりのためにサプライチェーン管理を行う企業の事例を3つご紹介しました。3社とも企業の社会的責任という意識を持ってサプライチェーン管理に取り組むことで、特に社会から見た企業イメージにも関係する、広範な経営リスクの低減を行っています。

「社会から見た企業イメージ」というものは漠然としてわかりにくいものです。
何が社会的に善とされていて、何がそうではないのか。
これまでは明確な範囲が限定的でした。

しかし昨今、国連が推進するSDGsの広がりにより、その社会的に善とされるものが、さらに広範囲に明確化されました。
SDGsでターゲットとされているもののなかで、持続可能な社会づくりのためのサプライチェーン管理に関係するものとしては、ゴール12「つくる責任、つかう責任(持続可能な生産消費形態を確保する)」があります。

SDGsのゴール12に関心のある方は、以下の記事もご覧ください。

SDGs12を経営に取りこめ!製品デザインとビジネスモデルの事例

SDGsを入口に経営のためのサプライチェーン管理!その第一歩とは

企業は、2030年までに達成することを目標とするSDGsへの対応が問われており、カタチだけではなく、腰をすえた取り組みが求められつつあります。
しかし、売上にすぐに直結しない施策に大きな投資を行うことは、社内で合意を得にくいという企業がほとんどでしょう。そのような企業においては、SDGsの文脈も活用しつつ、まずは何らかの認証の取得を目指したり、公的機関の取り組みに参加したりすることをおすすめします。そうすることで、SDGsの切り口から、自社のビジネスを取り巻くサプライチェーンの全体像を知ることができます。

対象のサプライチェーンにはどのようなプレイヤー存在するのか。そうしたプレイヤーの間で、現状どのような社会課題認識されているのか。サプライチェーンの一部に存在する自社が、社会課題解決に貢献できることは何なのか。そのような視点でサプライチェーン上の他社と交流を持つことが、経営に活きるサプライチェーン管理の第一歩になります。

サプライチェーンに関する認証は、業界ごとにさまざまに存在します。
例えば、マーガリンなどに利用され、「植物油」という食品表示名をもつパーム油には、「持続可能なパーム油のための円卓会議( RSPO, Roundtable on Sustainable Palm Oil )」という機関が運営する「RSPO認証」という制度があります。

パーム油は、その主要生産国が、インドネシアやマレーシアなど地球で最も生物多様性の豊かな熱帯林が広がる国々であり、その生産において熱帯林が大規模に失われてしまった歴史があります。熱帯林の開発にともなって、泥炭地が失われたり、森林火災が起きたり、野生動物先住民すみかを奪われるなどの社会課題が発生します。また、生産に携わる人々の労働環境収益性の問題もあります。

参考資料:パーム油 私たちの暮らしと熱帯林の破壊をつなぐもの(WWFジャパンのウェブサイト)

こうした環境問題社会問題配慮して生産された「持続可能なパーム油」認証する仕組みをRSPOが整備しています。RSPO認証油であれば、環境問題・社会問題に配慮されつつ生産・加工されたパーム油である、ということになります。

こちらのページ で、RSPOに賛同し円卓会議のメンバーとなっている企業が確認できます。企業の所在国毎にソートすることもでき、2020年10月時点で219日本企業RSPOのメンバーになっていることがわかります。

RSPOのような、すでに存在する認証制度公的な機関の取り組みに参加することで、自社のサプライチェーン上流下流何が問題になっているのかを知ることができ、経営リスクを減らす上で何をすべきか、具体的に検討を始めることができるでしょう

まとめ

本記事では、経営管理直結しているサプライチェーン管理についてご案内しました。その中で、サプライチェーン管理を行うことでどのような経営リスク低減することができるのか、実例とともに解説しました。
サプライチェーン管理不十分だったために、企業イメージ損ない株価低下を招いた食肉加工会社のJBS S.A.社の事例からは、「持続可能な社会づくり」とサプライチェーン管理が密接関連していることがわかります。

「持続可能な社会づくり」に貢献するという明確な目的のために、サプライチェーン管理に取り組む3つの企業のご紹介もいたしました。
最近日本でも認知が広まってきている「持続可能な開発目標(SDGs)」においても、サプライチェーン管理関連するものが一つの大きなゴール「12 つくる責任、つかう責任」として設定されています。

サプライチェーン管理は、売上にすぐに直結する施策ではありません。しかし、中長期で取り組むことで、社会からみた企業イメージを向上し、企業価値をあげ、結果として優秀な人材の採用や、売上増加株価の上昇投資の増加につながるでしょう。その過程で起こる様々な経営リスクに対する耐性向上するはずです。

いきなり大きな投資を行う必要はありません。パーム油RSPOなど、既にある業界団体の活動に参加し、まずは自社を取り巻くサプライチェーンの全体像を知ることが第一歩となります。サプライチェーン上に存在する経営リスク全体像をおおまかに把握したうえで、具体的サプライチェーン管理アプローチを検討すると良いでしょう。

サプライチェーン管理を実施し、自社の社会的価値を向上させるには…

サプライチェーン管理を行うには、自社内の情報管理情報活用体制整備、さらには情報発信の方法も含め、綿密な計画と、確実な実行が必要になります。トークンエクスプレス株式会社では、業務負担少なくそれらを実現する方法をご提案できます。ご関心ある方はぜひ「お問い合わせ」よりお気軽にご連絡ください。

 

 

 

 

 

 

SDGsの隠れ重要テーマ「金融包摂」と信用金庫

日本でもたくさんの企業がアピールを始めている”SDGs”、あなたの会社では上手く取り組めていますか?

いまや多くの日本企業が、SDGsに貢献する活動を実施し、17のゴールのいずれかに当てはめながら、自社のアピールに使っています。

そのようななか、銀行信用金庫信用組合などの金融業に携わる方々が知っておきたい、国連機関が認める、金融のプロ向けのSDGsテーマがあるのをご存知ですか?

金融機関は、このテーマを使えば、毎日の通常業務の成果を、大きなSDGs貢献として、効率的にアピールできます!本業に関係のない地域ボランティア活動を、自社のSDGs活動として無理にこじつけなくても大丈夫!本記事ではその方法をご紹介します。

目次

  1. 一部の人しか知らないSDGs隠れテーマ「金融包摂」
  2. 「金融包摂」を起源とする金融機関:信用金庫
  3. 信用金庫のSDGs取り組みのあるべき姿
  4. まとめ

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1. 一部の人しか知らないSDGs隠れテーマ「金融包摂」

SDGsとは?

SDGsとは、「持続可能な開発目標」のことを指し、2015年9月の国連サミットで定められた国を超えた世界的な目標です。2030年までに、誰一人取り残さずに、持続可能でよりよい世界にしよう、と掲げており、17のゴールが設定されています。

参考資料:
SDGsとは?(外務省ウェブサイト)

SDGsの17のゴール

17 goals SDGs logo

実は、この17のゴール以外に、国連が重視する隠れテーマ「金融包摂」が存在するのです!

SDGsの隠れテーマ「金融包摂」とは?

金融包摂とは、英語ではFinancial Inclusionと言い、以下のように説明されます。

“持続的で責任ある正規の金融機関によって提供される広範な金融サービスに、個人やビジネスがアクセスできる機会を有し、また、利用することができる状態”
(出典:CGAP, New Funder Guidelines, September 2015)

日本は比較的、金融包摂が実現している国です。

日本では、一般的に誰でもゆうちょや銀行で口座をもつことができ、貯蓄ができます。地域の共済や郵便局で入れるかんぽ(簡易生命保険)なども含めて、誰でも保険に入りやすい仕組みがあります。事業を始めたい時などは、いくつか満たすべき要件などはありますが、正規の金融機関からお金を借りる仕組みもあります。

このような状態を、金融包摂が一定程度実現できている状態と言います。

国民の半数以上が金融機関に口座を持てない国は世界に61か国以上

日本とは異なり、世界には一般の人の金融サービスへのアクセスが難しい国が多いです。例えば、15歳以上の国民が金融機関で貯金口座を持っている割合で、その国の金融サービスへのアクセスの簡単さがわかります。日本はその割合が98.2%ですが、統計がとれている範囲でその割合が50%未満の国は、61か国あります。20%未満の国は、南スーダンや中央アフリカ共和国など、6か国あります。統計が取れていない国は17か国以上あります。(世界銀行調べ。)

金融包摂が実現できていない国では、サービスの価格が高すぎたり(銀行口座を開くのに50万円以上の預金を維持することを求める銀行もあります。)、銀行は一般市民が行くところではないと考えられていたり、保険サービスに対する信用がとても低い、などといった状況があります。(そもそも正規の金融サービスが存在できないほど、政情が不安定な国もあります。)

なぜ金融包摂はSDGsの隠れテーマなのか?

金融サービスは、人々の生活にとってとても重要な「社会インフラ」です。金融包摂は社会生活のうえで必須です。それにも関わらずSDGsのゴールの一つになっていないのはなぜでしょうか?
それは、金融包摂が、17のゴールの複数にまたがって関係する社会課題だからです。国連は、その公式ページの中で、「金融包摂はSDGsの8つのゴールにまたがる重要テーマ」と述べています。

参考資料:Financial Inclusion and the SDGs(UDCDF)

17のゴールに含まれていないので、日本においてはあまり知られていない社会課題ですが、特にSDGsに取り組む日本の金融機関は、金融包摂は知っておきたいテーマと言えるでしょう

2. 「金融包摂」を起源とする金融機関:信用金庫

中小企業も市民も融資サービスが受けられるように

日本に様々な金融機関がある中で、信用金庫は、金融包摂の考え方を起源として始まりました。明治時代、日本は資本主義による急速な産業化が進みましたが、その中で株式組織の銀行は、地方で集めた資金を都市部の大企業や土地投機に集中的に運用したため、地域の中小零細企業や市民は自分達の預けた資金を利用できず、地域社会は衰退し、貧富の差が拡大しました。こうした中で、特に融資サービスにおいて金融包摂を実現する組織として信用金庫の前身組織たちが設立されるようになりました。

参考資料:城南信用金庫ウェブサイト

現在の信用金庫のSDGsへのアプローチ

現在、信用金庫(信金)はそれぞれSDGsにどのように向かい合っているのでしょうか。金融包摂の視点は取り入れられているのでしょうか。

2019年3月末における信金の総資産ランキング(出典:週間エコノミストOnline)の上位10信金のSDGsに関する取り組みをウェブ上の情報からまとめると以下のようになります。

総資産順位 信用金庫名 都道府県 SDGsに係る情報掲載 金融包摂をテーマとした言及
1 京都中央 京都 〇(宣言と複数のゴールに紐づけた重点項目の提示) ×
2 城南 東京  〇(ゴール6以外の全てのゴールに具体的活動を紐付け) ×
3 岡崎 愛知 × ×
4 大阪 大阪 〇(宣言と複数のゴールに紐づけた重点項目の提示) ×
5 埼玉県 埼玉  〇(ゴール8,9,11についての具体的活動を例示) ×
6 多摩 東京 × ×
7 尼崎 兵庫 〇(宣言と複数のゴールに紐づけた重点項目の提示) ×
8 京都 京都 〇(SDGs宣言の掲載) 〇(具体的取組についての情報なし)
9 城北 東京 〇(宣言と複数のゴールに具体的活動を紐付け) ×
10 浜松いわた 静岡 〇(宣言と複数のゴールに具体的活動を紐付け) ×

 

上記の表をご覧いただくとわかりますとおり、総資産順位でトップ10のうち、8つがSDGsに関してなんらかウェブ上で公開しています。SDGsの浸透度合いはかなり高いです。

現状の信用金庫のSDGsへの向き合い方としては、

      1. SDGsに取り組むという組織的な宣言を行う
      2. 既存の地域貢献活動 or 今後取り組む活動をSDGsゴールに紐づける
      3. ウェブ上で公表する

というスタイルが一般的だとわかります。

一方で、信用金庫の根源的な役割であった金融包摂という視点を持っている信金はトップ10内には1つしかありませんでした

3. 信用金庫のSDGs取り組みのあるべき姿

closeup.business partners signing a new contract.

本業の役に立つSDGs

信用金庫のSDGs検討において金融包摂がほとんど取り上げられていないのは、単に金融包摂という概念が知られていない可能性が高いです。

しかし、信用金庫の業務の多くの部分で金融包摂の価値観を「再発見」することが可能だと考えます。金融包摂というテーマでSDGsをとらえなおせば、通常業務を行う中でSDGsの8つのゴールにアプローチできる可能性があります。

例えば、金融包摂においては、「誰でもサービスを利用しやすい」という価値が重視されます。都会ではなく地方部を営業範囲とする信用金庫にとっては、物理的にアクセスしづらい地域が営業範囲に含まれている可能性があります。そうしたアクセスしづらい地域にも、支店を置いたり、出張所を設けたりしてその地域の金融基盤を支えている信用金庫もあるでしょう。そうした営業努力は、SDGs上も重要な取り組みであり、積極的に発信すべきです。さらに、もしそうした地域で高齢化に伴う人口減少などが社会課題となっており、既存の拠点の維持が難しくなっている等の経営課題があるならば、デジタルの活用や他拠点からの定期的な訪問への切替等の取り組みを行い、それをSDGsとして積極的に発信していけばいいのです。

また、世界的には、女性や資本を持たない人々が金融サービスを享受しづらいという点も、金融包摂の課題として挙げられることがあります。信用金庫が、女性が経営する地元企業に積極的に融資を行っているのであれば、それもSDGsの成果としてアピールできます。経営者が若い企業への融資でも同様でしょう。

このように、信用金庫にとっても、金融包摂という視点を中心にSDGs戦略を再検討することは、自らの社会的な価値を外に上手にアピール可能となると同時に、経営の質の向上を再点検できるなど、取り組む価値あることだと思います。信用金庫の間で金融包摂という概念がもっと広まってほしいと感じます。

今後さらに重要な金融包摂

また、現状日本では金融包摂は実現されているといえますが、少子高齢化が進行し、格差の拡大が問題視される日本において、金融包摂が今後も維持されるのかには大きな疑問符が付きます。

信用金庫が金融包摂の視点で自らの取り組みを見直すことは、SDGs文脈のみならず、信用金庫の事業の根源価値を再度磨きあげることに直結するものとなりえるのです

まとめ

SDGsにおける国連機関公認の隠れテーマ「金融包摂」についてご紹介しました。そのうえで、この金融包摂の理念を起源とする金融機関の代表例として信用金庫を取り上げました。

信用金庫のうち、総資産規模トップ10のSDGsの取り組みを俯瞰したうえで、SDGsの中でも金融包摂が重視されていることが、まだ信用金庫間でそれほど広まっていない現状について確認しました。

少子高齢化や格差の拡大が問題になっている現代日本においては、金融包摂の観点で社会を見つめ直し、取り組みを見直すことが求められています。信用金庫においては自らの事業が提供する価値を増やし、かつSDGsの観点でアピール可能な要素を獲得する、一石二鳥の成果を獲得できる可能性を指摘しました。

金融機関が顧客提供価値を増加しつつSDGs的にもアピーリングな取り組みを行うには…

トークンエクスプレス株式会社は、「『社会的価値』を、ビジネスのチカラに。」をスローガンに、企業経営層向けに、社会的価値をもちいた経営強化支援サービスを提供しております。金融機関様がインパクトのある事業を実施するために、各機関様の御事情に合わせた具体的な施策をご提案できます。ご関心ある方はぜひ「お問い合わせ」よりお気軽にご連絡ください。

 

 

 

 

来年3月施行、EUのESG関連規制

「持続可能な成長のための金融」の分野で、EUはどんどん先に進んでいます。2021年3月10日から、EUでは「金融サービス部門における持続可能性関連の開示に関する規則」という規制が、施行されます。

外部プレスリリース
Regulation on sustainability-related disclosure in the financial services sector
(金融サービス部門における持続可能性関連の開示に関する規制)
発信者:欧州委員会(European Commission)

これは、金融商品を提供する業者およびフィナンシャル・アドバイザーが、一般の投資家に商品を販売する際に、対象の金融商品について、持続可能性に関する情報開示を行うことを義務付ける規制です。

具体的には、持続可能性に関するリスク(環境、社会、またはガバナンス(ESG)に関する事件または条件が発生した場合、投資の価値に重大な悪影響を与える可能性)の情報、持続可能性に負の影響を与えるような事柄に関する情報、環境または社会面での特徴に関する情報などを、金融商品提供者やアドバイザーが提供することを求めています。

この規制は、持続可能な社会のための配慮に関する企業活動について、企業の情報開示のルールが定まっていない状況でも、金融商品提供業者やフィナンシャル・アドバイザーを介して、一般の投資家が持続可能な社会の実現に寄与する投資を行えるようにするための規制です。

一方で、EUは企業に対して、横並び比較ができる情報開示をさせるためのルール作りも進めています。

欧州委員会が着々と進める「持続可能な投資」規制と懸念の声

持続可能な成長のための金融については、EUが米国よりも一歩も二歩も進んでいる印象です。これは、理想主義的な理念に基づく行動というよりも、短期的な財務的リスクのみならず、金融業界の大きな潮流の変化を先取りする、戦略的な行動と言えます。

こうした規制の変更は、新たな市場プレイヤーを生み出します。欧州から新たなゲームの支配者が出てくるかもしれません。いずれ世界全体に及ぶであろうこの動きから目を離すことができません。

トークンエクスプレス株式会社では、中規模企業(従業員100人から300人程度の企業)の経営者様に、経営の可視化に関するサービスをご提供しています。ご関心ある方は、お問い合わせページからお気軽にご連絡ください。

ESGの”S”(社会への配慮)とは何なのか

環境面(E)、社会面(S)、企業統治面(G)への適切な配慮を行う企業に対して投資を行うESG投資。環境面(E)は地球温暖化対策や環境配慮などでイメージがつきやすいですが、社会面(S)については、どのような事項が重視されているか、イメージできるでしょうか?

ESG格付業界における有力企業であるMSCIは、社会面の評価について、以下の評価項目をあげています。

    • 人的資源(労働マネジメント、労働安全衛生等)
    • 製品サービスの安全(製品の安全性、品質等)
    • ステークホルダー管理(紛争メタル等)
    • 社会市場機会(コミュニケーションへのアクセス、金融へのアクセス等、健康と栄養にかかる機会等)

ESG格付は、これらの評価項目について、対象企業がどのような長期的なリスクを抱えているか(リスクに対するエクスポージャーと言います)を分析、評価する枠組みと言えます。

ESGのSに関するリスクとして最近注目されたのは、新型コロナウイルス感染症の広がりに対して、それぞれの企業が、例えばどのように従業員(人的資源)の保全にかかる対応ができたか、という視点でした。

また、社会の不平等の広がりや格差社会の広がりも、ESGのSにかかるリスクとして認識されます。以下の記事は米国における不平等の進展について具体的数字を挙げ、それとESGとの関係について論じています。

関連外部記事
Facing hard truths: The material risk of rising inequality
(深刻な真実に向き合う:不平等の深刻化に伴う重大リスク)
記者:Anne Matusewicz & Henry Mason @Pensions & Investments

「社会」というとかなり広い概念です。企業外の、地球環境に関するもの(E)以外のあらゆるリスクを「社会」として扱えると思います。そうした多方向からやってくるリスクに都度きちんと対応できるよう、従業員(従業員)への配慮や、自社が社会に提供する製品に対する配慮などができているか。それがESGのSでは評価されるのです。

トークンエクスプレス株式会社では、中規模企業(従業員100人から300人程度の企業)の経営者様に、経営の可視化に関するサービスをご提供しています。ご関心ある方は、お問い合わせページからお気軽にご連絡ください。

年金基金のESG重視が深化する背景

以下の記事で、ブラジルに拠点を置く食肉生産加工業者JBS S.A.社が、持続可能な社会づくりに十分な責任を果たしていないという投資家視点により、株価が低迷しているというニュースをご案内しました。具体的に同社への投資を手控えるようになったノルウェーの年金基金が存在することもご紹介しました。

ESGの株式市場への浸透、それを示す株式銘柄

ESGについて情報を収集すると、よく年金基金の投資方針の話に当たります。多くの場合、年金基金が中長期での投資リターンの最大化のためにESGの観点を入れなければならないから、と説明されます。

例えば、運用総資産が1.2兆円にのぼるオランダの31の年金基金の90%は、少なくともESGの観点から投資を避けるべき石油やガス、武器などの特定の企業やセクターを投資対象から除外しているようです。

Survey: Dutch pension funds accuse asset managers of greenwashing
(オランダの年金基金たちは、資産管理者たちのグリーンウォッシングを訴える)
記者:TJIBBE HOEKSTRA @IPE
掲載日:9月16日

年金基金が中長期での投資リターンを最大化するモチベーションを持つのは、運用期間が長い投資主体として当然です。また、ESG投資が中長期的に良好なリターンをもたらすようになってほしいという「期待」もわかります。しかし、ESG配慮が中長期的に良いリターンをもたらしてほしい、という期待で投資できるほど、年金基金の資産運用は甘いものではないでしょう。

そこにはまだロジックのピースが欠けているように見えます。

私はそのロジック・ピースは、グローバルな大企業がもたらす、正負両面の社会的影響が、無視できないほど大きくなったという背景があるのではないかと推察します。上述のJBSの事例などがまさにそうで、彼らの肉牛の調達能力が、アマゾンの森林の縮小をもたらすほどの社会的影響力を持つに至ったということが、年金基金のESG重視の背景にあると思います。年金基金は、それほどの力を持つ企業たちが、その力を持続可能な形で運用する組織を有しているのかという観点で、その企業の株式価値を見ているのではないでしょうか。

グローバル化の進展により、資本主義の世界のなかで企業が、社会課題に直接の影響を与えうるほどにまで力を持つに至った。そういうマクロな時代背景が、年金基金のESG重視が深化する背景にあるのではないかと考えます。

トークンエクスプレス株式会社では、中規模企業(従業員100人から300人程度の企業)の経営者様に、経営の可視化に関するサービスをご提供しています。ご関心ある方は、お問い合わせページからお気軽にご連絡ください。

ESGの株式市場への浸透、それを示す株式銘柄

ESGを謳う投資信託への資金の流入が増加していると言われて久しいです。ESG投資が盛り上がったのは、人々が社会善の意識に目覚めたというよりは、年金基金を中心に、短期ではなく、中長期的に高いリターンを産む投資商品への投資に関心が高まったためだと考えられます。

一方、ESG投資の盛り上がりは、金融業界が食いつく新たな”ブーム”となり、ESG格付をもつ投資信託が好リターンを産むことを主張する記事が多く世に出回りました。そうした主張は根拠に欠くという趣旨の記事も多く見られました。

もてはやされるESG投資:金融業界の「ブーム」に要注意

投資信託等の複数の株式にまとめて投資する商品の投資成績となると、ESG目線との関係は曖昧になってしまいますが、個別企業の株式にスポットを当てると、ESGという枠組みに関わらず、持続可能な社会のための責任感のある企業を「価値ある企業」とみなす世の中が出来つつあると感じます。逆に、社会的責任を果たしていないとみられる企業はその評価、すなわち株価が低迷するという事例が出てきています。

その事例としてbloombergは、ブラジルに本拠を構える多国籍企業である食肉生産加工業者のJBS S.A.を挙げています。

関連外部記事
Being the Meat Industry’s Top Cash Cow Isn’t Enough in ESG Era
(ESG時代では、食肉産業のキャッシュカウでも満足されない)
記者:Tatiana Freitas & Vinicius Andrade @Bloomberg Quint
掲載日:10月1日

JBS S.A.はコロナ禍においても米国内の利益幅を拡大し、中国への輸出も増加させ、申し分ない財務成績を残していましたが、株価は低迷しています。その遠因と考えられているのが、同社の本拠地で起こっているアマゾンの火災とアマゾンの環境危機への政府の不作為です。投資家は、このブラジルの政治的課題にJBS S.A.がどのように関わっているのか厳密に調査を行うようになり、結果としてノルウェー最大の年金基金であるKLP and Nordea Asset Managementが、ESGの観点から同社への投資をしない方針を決定するなどしたようです。

これを受け、JBS S.A.は、5カ年計画を発表し、アマゾンからの全ての食肉供給者の追跡調査をブロックチェーン技術を用いて行う方針を示しました。JBS社に次ぐ規模の食肉加工業者であるMarfrig Global Foods SAも同様の計画を発表しています。

サプライチェーン管理による環境破壊防止:ブラジル市場の牛肉

世の中が環境や社会に配慮した企業の行動を重視し、それが金融を通じて企業の行動を変えていくというのは、国連をはじめとするESGの提唱者が思い描いた理想像に沿うものです。いよいよそのような時代が来たことを予見させる、象徴的な事例だと言えます。

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ブロックチェーンでの証券小口化と流動化、バーレーンで一部承認

ブロックチェーンを金融に活用するというと、まずビットコインなどの「通貨の代替物」のイメージがわくと思いますが、実は「証券の小口化と流動性の向上」というテーマも、日本も含めて世界の金融機関から注目を集めています。

その証券の小口化と流動性の向上を、持続可能なインフラストラクチャーを対象に、英国のブロックチェーン企業が、バーレーンで実証していくようです。

関連外部記事
UK fintech Fasset to test blockchain solutions in Bahrain
(英フィンテック”Fasset”、バーレーンでブロックチェーン・サービスをテスト)
記者:Imogen Lillywhite & Anoop Menon @ZAWYA
掲載日:9月29日

Fassetは、自身のプラットフォームを用いて、風力発電や太陽エネルギー発電などの持続可能なインフラストラクチャーへの投資証券の小口化および流動化を行うことを目指しています。

このプロジェクトに対し、バーレーン政府は、サンドボックス規制内で事業を行うことを許可したようです。(サンドボック規制内での事業実施とは、一定の範囲で金融規制の例外的緩和を行い、実証試験を行うこと。)

Fassetのウェブサイトを覗くと、CEOがアラブ首長国連邦(UAE)の首相に仕えていた人だったり、中東系の超エリート層(トップマネジメントたちはほとんど欧米の一流大学卒)だったりで、既にかなりの陣容を揃えているイメージです。同社はUAE、サウジアラビア、バーレーン、クウェート、シンガポールの投資家から、プレシードで(プロダクトができる前の投資で)470万ドル(約5億円)を調達したようで、この分野でグローバルにもてはやされているチームのようです。

プレシードで5億円も集めるとは、一般的なスタートアップとは全く異なるアプローチです。ウェブサイトを見る限り、技術的に尖った部分もなさそうではありますが、政治力と人脈など他社には真似できない際立った強みがこのチームにはありそうです。一般的ではないこのアプローチが、特に中東などで新しい事業を進める際には正解となる可能性もあります。

世界的に注目されるこの分野で、先行事例を作っていってくれることに期待です。

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ブロックチェーン技術に知見がありますが、その利用を前提とするものに限りません。
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複雑さを増す投資ポートフォリオ管理とテクノロジー不在

ESG投資が注目を集める中で、投資家、機関投資家等のポートフォリオ管理は更に複雑さを増しているでしょう。

ESG投資が熱を帯びる前から、特にプライベート・エクイティ投資やオルタナティブ投資(上場株式や債券といった伝統的資産と呼ばれるもの以外の新しい投資対象や投資手法のこと)においては、テクノロジーの活用の必要性が度々指摘されてきました。ポートフォリオ管理が複雑で、テクノロジーを用いないと、適時適切な判断を下せる管理ができない、ということです。実際そうした課題を解決しようとするサービス、プロダクトを提供する企業は存在します。

一方で、米国の投資家向けテクノロジー会社であるMilestone Groupが実施した47の資産管理会社向けの調査では、資産管理会社は複雑なポートフォリオ管理のためのツールの不在を感じているという結果が示されているといいます。

関連外部記事
Tech demand increases as investment complexity rises
(投資の複雑さが増すにつれて高まるテクノロジー需要)
記者:Nick Fitzpatrick @funds europe
掲載日:9月29日

もちろん調査実施者たるMilestone Groupの営業の一部ではありますが、上記調査の結果は興味深いものです。例えば、以下のようなものです。

    •  調査対象の半数は、ポートフォリオを管理するのに4つ以上のシステムを活用している(一部には13個以上を併用している企業も存在。)
    • 回答者の1/4は、ポートフォリオ管理においてクリティカルな部分にスプレッドシートを活用している

こうした状況下で、ESG投資も投資ポートフォリオに入ってきた場合、投資家たちはどのように対応するのでしょうか。ESG格付やその背景の指標が無数に存在するなかで、投資家たちがESG投資についてデータや情報に基づいた適切な対応ができる状態には、まだ至っていないように想像されます。

このような状況では、ESG格付に完全に依存する投資家たちが存在するのも致し方ないのかとも感じます。

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国連PRIが初めて、ESG賛同企業リストから5つを除名

国連はESG投資を推進しています。その推進方法とは、責任投資原則(Principles for Responsible Investment, PRI)と呼ばれる6つの原則を掲げ、それに賛同する企業にはこの原則への署名を依頼する、というものです。署名した企業名は、PRIのウェブサイトにて名前とその概要が掲載されます。

国連が推進するPRIは、ESG投資という考え方の大きな裏付けになっています。ESG格付は世界中で無数に生まれていますが、PRIの署名者は、その中で一番基本的なESGスクリーニングの方法ともいえます。

そのPRIにおいて初めて、署名者リストからの除外という措置が行われました。4つの資産運用会社と、1つの資産保有会社が、署名者から除外されたとロイターは報じています。

関連外部記事
Exclusive: Five groups ousted from U.N.-backed responsible investment list
(5つのグループは国連が推進する責任ある投資家リストから除外された)
記者:Simon Jessop @Reuters
掲載日:9月28日

これまで国連のPRIは、署名すれば誰でも参加できるのではないかと、外部者からは認識されていたと思います。今回の除外は、そうした外部からの批判に対応する形で行われた取り組みの結果だということです。

このニュースは、ESG投資が、よりビジネスの領域に近づいてきていることを示していると感じます。すなわち、それまでPRI署名者リストに載ることが、金融サービス業者のブランディング上で特に意味を持たなかった時代から、そのリスト掲載者であることが、一定の社会的信頼を生み出す時代に入ったということです。それだけ、ESGに対する世の中のビジネス上の関心が高まってきたことを表しています。

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ユニセフが取り組む、新しい国際援助の提示

数年前から、国際連合児童基金(ユニセフ)が革新的な取り組みを行っています。

以前本ブログでもご紹介した、ユニセフ暗号通貨ファンド(UNICEF Cryptocurrency Fund)という名称の、暗号資産を用いて世界のテクノロジー系スタートアップに投資を行う取り組みは、その革新的な取り組みの一つです。

ユニセフの基金が7か国の8企業に仮想通貨で投資実行

上記の記事を記載した際には、このユニセフの取り組みの狙いが、単に暗号資産を用いて投資に伴う送金の手間やコストを減らせることを示す点にあると捉えていました。

しかし実はユニセフは、この暗号資産ファンドをはじめとする取り組みを通じ、国際援助の新しいカタチを示そうとしていたのです。私はそれを、ユニセフに近い関係者の方から教えていただく機会がありました。

ユニセフ内のチームであるUNICEF Venturesが目指しているのは以下の3つです。
(1)資源(資金等)の分配における革新的な金融モデルを生み出す
(2)内部プロセスの効率性と透明性を高める
(3)オープンソースのデジタル公共財の構築にインセンティブを付与し奨励する

私が注目するのは3つ目のデジタル公共財の構築の奨励です。

ユニセフの投資の条件として、生成されたITプロダクトをオープンソース化する、というものがあるようです。一般的なスタートアップはそのプロダクトのソースコードを外に出さないようにしますが、社会課題に挑むスタートアップの持つプロダクトは、オープンソース化に抵抗がない可能性があり、さらにオープンソース化されることで、他国も含めて大きな社会的インパクトを生み出す可能性があります。

UNICEFは営利組織ではないので、投資の対価として、投資が生み出す社会的インパクトを求めます。また、オープンソース化を要件とすることで、投資先がビジネスとして成功しても失敗しても、その社会実験を通じて得られる学びとオープンソース化されたプロダクトをもって、UNICEFの他の支援に役立てることができる可能性があります。これはUNICEFにとって、また世界にとって貴重な価値です。

特に投資先がパブリックなブロックチェーンを活用するプロダクトを開発・運用する場合、プロダクトのオープンソース化の条件は、受け入れられやすいと言えるでしょう。このスキーム設計をしたUNICEF Venturesというチームは、ブロックチェーンのもたらす社会的意義をよく理解していると感じます。新時代の開発援助の在り方を示す意味で、価値ある枠組みだと言えます。

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